魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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魔王都市とルネリス

???

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「…貴方の言う通りにしましたよ。」

中性的な見た目の人族がに言う。

『よくやった。』

は気にする様子も無く言う。

「…で、お嬢さん、次は何をすればいいんだ?」

魔族特有の黒く曲がった角のある男が言うとは羊のように丸く曲がった黒い角の羊族シーパの少女の姿になって言う。

「そうじゃな。・・・が覚醒する前に殺せと言いたいところじゃが…」

羊族の少女は考える様に首を捻る。

「じゃあ、俺がぶっ殺してやるよ。」

魔族の男が言うと羊族の少女は首を振って応える。

「いや、正直に言うとそなたの力を持ってしても今の・・・を完全に殺すのは不可能に近いのじゃ。せめて、妾がかつての力を持っておれば良かったのじゃが…」

羊族の少女はそこまで言うと思いついたように手をぽんと叩いて言う。

「ミラ、そなたは確か・・・を見た事があると申しておったな?」

人族に少羊族の女は言う。

「そうですが、常に・・・の周囲には鬼神のような怪力を持つヒトと不思議な獣人がいます。オマケにこちらの事が分かるかのように奴らは一切離れないので自分も手が出せない状況ですね。」

人族がそう言うと羊族の少女はわかっていたかのような反応をする。

「そうじゃな…どちらも今の妾達では歯が立たぬ。オマケに全員、加護も持っておるしのう…加護の力は妾とて奪えぬ。せめて、どちらかを離せれば数でごり押せる可能性はあるはずなのじゃが…」

魔族の男がニヤリと不気味に笑って言う。

「じゃあ、俺の部下に特攻させてやろうか?そうして、こちらの場に引き寄せれば封印も出来るはずだ。」

羊族の少女は静かに首を振る。

「一人は力が強大過ぎてダメじゃ、もう一人は無力化の力を持つからダメじゃ。そして、・・・は魂を奪わねば意味が無い故、封印ではダメなのじゃ。」

羊族の少女はそこまで言うとおもむろに弓を取り出す。

そのまま、的に狙いを定めて構える。

「せめて、やつらが手を貸してくれたら良かったのじゃがな…」

少女が手を離すとどこからともなく矢が現れて的を射抜く。

「ならよ、の野郎に食ってもらうのはどうだ?アイツなら、食っちまえば加護の力も関係ねぇし、例え加護持ちを食えなくても・・・を食えば殺せるだろ?」

男がそう言うと少女は目を閉じる。

「問題はやつが手を貸すかどうか…じゃな…妾が求めるのは・・・の魂じゃからのう。やつの場合は魂も取り込むし、下手をすると妾達もやつに食われる可能性すらあるじゃろう?その時に対抗手段がない以上、かなりリスクのある賭けにはなるのじゃ…」

「それこそ、ミラの得意な封印の出番じゃねぇのかよ?」

「悪食のみを封印するなら…な…・・・の魂までも封印するのはダメなのじゃ。」

ミラは少女に言う。

「なら、初めに魂を奪っておくのはどうでしょう?幸いにも自分の疑似封印を利用すれば、魂のみを奪う事も可能だと思いますが…」

「ふむ…魂が無事ならば、妾としては何でも良いのじゃが…」

少女は悩むように首を傾げる。

「ならよ、顕現アンティーテしてぶっ殺せば良いんじゃねぇか?」

男が面倒だと言いたげに言う。

「うむぅ…それは最後の手段として取っておきたいのが本音じゃが…」

少女がミラを見る。

「ミラ、そなたはどう思うかのぅ?」

「そうですね…顕現を使うのが前提であれば、自分が使って・・・に接触するのが良いでしょう。それであれば、例え失敗したとしても2の策として、ディアブロが殺れますから…」

ミラが男を見て言う。

「結局、俺任せなんじゃねぇかよ。」

呆れたように男が言う。

「仕方ないのじゃ。今のミラはあくまでじゃからのう。そなたが普段の力を出せぬのと同じじゃ。今のミラはそなた以上に力が出ぬからのう。」

少女が庇うように言う。

「へいへい。わかっておりますよ。本来の姿なら、俺たちが束になっても敵わない事もわかってるさ。」

ディアブロが嫌そうに言う。

「すみませんが、その場合は自分の力を取り戻す為の足止め役をしてもらいますよ。貴方がやられてしまえば、ガラティア様のお手を煩わせる事になりますからね。」

ミラは少女を見て、そう言うと静かに使い魔を呼び出して何かの準備をさせる。

「そういう事じゃ。今のミラなら今の妾でも勝てるが、本来の力では万全の状態であっても妾はミラの足元にも及ばぬからのう。」

「そうか?俺はガラティア様の方が強いと思ってたんだが…」

ガラティアが遠くを見るように言うとディアブロが信じられないと言いたげな表情をして言う。

「脳筋のディアブロに合わせて手を抜いたのですよ。一応、自分たちの仲間ですから、間違っても殺さないようにしないといけませんからね。」

ミラがそう言うとディアブロは食い殺さんがばかりの勢いで言う。

「やんのかテメェ!」

「やりませんよ。いくら力が衰えた脳筋が相手とは言え、今の自分では倒されてしまいますからね。さすがに一撃程度なら耐えられると思いますが…」

ミラは冷静に分析する様に煽りながら言う。

「じゃが、こやつの魔力の扱いは以前と比べると見違える様なレベルに達しておるじゃろ?」

ガラティアがそう言ってディアブロを援護する。

「そうですね。以前と違うと言えば、自分は大半の力を失って不死性を得ましたし、ガラティア様も魔力が低くなりましたが以前より筋力が増していますよね。」

ミラがそう言うとミラの使い魔が戻ってきて耳打ちをする。

「ちょうど準備が出来たようなので自分は一足先に行きますね。」

ミラはそのまま使い魔と共に扉を開けて部屋から出ようとする。

「そうそう。」

ミラはディアブロを見て言う。

「ディアブロ、後の事は頼みましたよ。今のガラティア様を護れるのは貴方だけですからね。」

ミラはそのまま正面を向いて部屋から出て、扉を閉める。

「ケッ…気に入らねぇ野郎だ。この俺に対してやり逃げしやがった。」

ディアブロは照れ隠しでもするかのように煙草に火をつける。

「こ、これ!妾の前でタバコを吸うなと何度も言っておるじゃろう!」

「おっと、忘れてたぜ。」

ガラティアに怒られたディアブロは煙草を握り潰すとそのまま異空間に放り込む。

「ガキにタバコは有毒なんだったな。」

「青二才のくせにぬかしよるわ。」

ガラティアが呆れた様に部屋から出ようとする。

「ついてまいれ。」

「へいへいっと…」

ディアブロは面倒くさそうに立ち上がって言う。

そのまま二人が部屋の外に出る。

「…」

誰も居なくなった部屋に静けさが戻る。
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