魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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魔王都市とルネリス

魔王と秘書②

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兎族ラビストは人間で言う身体の性的成熟が特に早い種族デスヨ。パリスサンの例だと女性は幼少期から胸が大きくなりやすい等と言った特徴がありマスネ。他にも男性だとより筋肉質な身体であったり、肩幅が広かったりと言った特徴が現れやすいデスネ。」

アネラーゼが眼鏡をクイッと持ち上げながら説明する。

「な、なるほどなのじゃ…我の領土には兎族は少ないから勉強になったのじゃ。」

アスティアは腑に落ちないところはありつつも種族の特性として受け入れる。

「パリスは兎族の中ではあまりその特徴が出てないと教わった事があります。外見的にはとてもよく発育してるけど、中は人間並みで兎族としてはとても遅いみたいです。」

パリスが少し下を見ながら話す。

「パリスでも、遅い方なのか…」

アスティアがパリスの胸を見ながら言うとパリスは恥ずかしそうに目を逸らしながら言う。

「そうみたいですね。通常、兎族は4~6歳までに人族ヒトで言う生理や精通が起こり、10歳で完全に性機能が成熟するそうです。パリスは8歳でまだなので兎族としては成長が遅いとなるわけですね。」

「なるほど…しっかりと覚えておかなくてはな…」

アスティアは兎族について知らな過ぎたと思いながら、記憶に焼きつける。

「マア、アスティーが知らないのも無理はないデスネ。ほんとにこの都市には兎族が少ないデスし、兎族の里にでも行かなければ会えませんカラネ。」

アネラーゼが眼鏡をクイッと持ち上げて言う。

「兎族の里…ですか…」

どことなくパリスは嫌そうに目を背ける。

「何かあったのか?」

アスティアがそういうとパリスは「ハッ」とした表情で言う。

「い、いえ、なんでもないです…」

アスティアは「そうか…」と言って笑う。

アネラーゼは何も言わずに眼鏡を外してポケットに入れていた布で眼鏡を拭いていた。

「パリスちゃーん!」

パリスはその声を聞くと一瞬で明るい表情に戻って部屋から出ようとする。

「そうだ」

パリスは扉の前で振り返って言う。

「アネラーゼさん、アスティアさん、いろいろ教えていただきありがとうございました!では!」

パリスはそう言うと軽やかな足取りで部屋を出ていく。

アネラーゼが眼鏡をかけ直して言う。

「…紅茶、いれましょうカ?」

「そうじゃな。」

アスティアがそう言うとアネラーゼは紅茶を作りながら配下の蜘蛛を召喚してある場所へと向かわせる。

「そうじゃ、アネラーゼ。」

アネラーゼは紅茶の入ったカップを持ってきながら言う。

「狐の件なら、白みたいですネ。ですが、が臭うとの事デス。」

「うむ。なら、引き続きはぐれの動向を探るのとから情報を抜き出しておいてくれ。余裕があれば、はぐれの情報と異形の女プリミゥシアの状況の確認と報告もよろしくな。」

「魔王サマならそうおっしゃられると思い、既に手配は済ませてありマス。時期に報告がなされマス。そして、こちらが今年の姫龍軍プリンセスドラゴニカルの入隊希望者デス。こちらはの候補者デス。」

そう言ってアネラーゼは次々と書類をアスティアに渡す。

「ふむ。この者は時期魔王の秘書として雇おうか…」

「はぁ…貴方と言う人は…まだ諦めてないのデスカ?」

呆れた様子でアネラーゼは言う。

「当然じゃ。我より優れた者が居るなら、我は潔く引くべきじゃ。それにアリスと会って、ますます冒険者と言うものに惹かれるようになった。我は産まれ持っての魔王じゃが、元より魔王の座に就きたいとは思っておらぬ。今はお主以外のものが居らぬから我が魔王の座に就いておるが、適性がある者には魔王の座を明け渡しても問題ないと思うておる。もちろん、名はやれぬがな。」

アスティアは堂々とそう言うと書類をいくつかアネラーゼに手渡す。

「アネラーゼ、今渡した書類にはお主が担当する者もおる。そやつらはお主の好きな様に教育してやると良い。それとパリスの事はお主に任せるぞ。」

「ふふっ…アスティー、今の貴方はとても魔王サマっぽいデスヨ。」

そう言ってアネラーゼは可愛らしい笑みを浮かべながら書類の確認を行う。

「アーティ、からかうのはよさんか!我だって、少しくらいは魔王らしい仕事をしたりもするわい!」

アスティアが頬を膨らませて怒る。

「あはは!ごめんなサイ。アスティーがあんまりにも可愛いものですカラ…つい…ねぇ?」

アネラーゼは姿に変化して可愛らしく微笑む。

「ついね?じゃないのじゃ。全く…罰としてしばらくその姿で仕事するんじゃな。」

アスティアがふーんと顔を背ける。

「それは困りましたねぇ…この姿だと手が足りなくなってしまいますぅ…」

…と言いながらアネラーゼは姿が変わる前と変わらないどころか、数倍速い速さで仕事をしていた。

「ふん。対して困るわけでもないくせによく言うのじゃ。我なんてお主みたいに長時間は違う形態になれぬと言うのに…」

アスティアはベッドに寝転がって身体ごと壁に顔を向けてしまう。

「あらあら…完全にご機嫌を損ねてしまったようですねぇ…ですが、私は形態変化する度にかっこよくて強そうな見た目になるアスティーの変化も好きですよぉ。もちろん、いつもの可愛いアスティーも好きですけどねぇ♪」

アネラーゼはそう言うと書類を持って部屋を出る。

「ん?あいつの知り合いか?」

「あら、ウルカさん。ごきげんようですわぁ!」

「お、おう…」

「あはは!もしかして、私の完璧な可愛さに見とれちゃいましたぁ?なんてねぇ♪」

「いや、俺はなんか見慣れない奴がいるなと思っただけで…」

「あー…そう言えば、この姿はまだ見せてませんでしたねぇ…アネラーゼですよぉ。」

「は?アネラーゼって、あのでっけぇ蜘蛛みたいな下半身の?」

「そうですよぉ」

「なんでもありかよ…」

そんな声を聞きながらアスティアは眠りにつくのであった。
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