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大罪覚醒
68話
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「嫉妬の力はこんなものではないですよ。」
パリスが両手のナイフを合わせるとどんな赤よりも赤く燃え上がる長い炎の剣とその半分くらいの長さの静かな青い炎の剣が現れる。
パリスは赤い剣を左手に、青い剣を右手に持つ。
青い剣だけでもパリスの身長ほどの長さがあり、かなりの長さである事が見て分かる。
「嫉妬の煉獄剣…それがこの剣の名前です。パリスの大罪武具の一つです。」
パリスは静かに目を閉じる。
「燃えなさい…」
パリスがそう呟いて目を見開くと自身の身体を燃やして、周囲が火の海に包まれる。
「良い力ですね。これだけの炎を操れるのであれば、S級程度なら高耐性でも数秒で致命傷となるでしょう。」
フィルアールはレーバテインを軽く振るって火の海を吹き飛ばす。
「ですが、私には通用しませんよ。」
パリスは予想通りだと言いたげにニヤリと笑う。
「えぇ…存じてますよ…パリスの嫉妬に耐えうる貴方を見てれば、想像に容易いですからね。」
パリスはさらに燃え上がる。
「こんなにも妬けてしまうもの…」
パリスが深呼吸して言うと同時にフィルアールが言う。
「本気で殺しますよ!」
「楽しくなりそうです!」
パリスが赤い剣を突き出しながら突撃する。
フィルアールがレーバテインを振るって応戦する。
手数が多いはずのパリスの剣を軽々と全てを受け流し、反撃を加えようとする様はまさに剣豪と呼ばれるに相応しい動きだった。
パリスも手数の多さでなんとか応戦していたが、次第にフィルアールの攻撃がパリスの身体を刻み始め、徐々にパリスの炎が弱まっていく。
「くっ…このままでは…」
パリスは一度距離を取ろうと赤い剣を振る速度を上げて離れる。
「させませんよ!」
だが、フィルアールもパリスが距離を取れないように距離を詰めながらレーバテインを振るいながら迫ってくる。
「もっと…もっと…燃え上がらないと…もっと…熱く…もっと…妬けないと…」
パリスのバックから青い光が漏れる。
「そうですよね…パリスはこんなもんじゃないですよね…」
パリスは力一杯に赤い剣を振るってフィルアールを吹き飛ばすと青い剣を赤い剣と合わせる。
「進化せよ…嫉妬の金剛剣!」
パリスの炎と交わった二つの剣が眩い黄金の輝きを放ち、その刀身を露わにする。
パリスの左手には自身の背丈ほどの長さの黄金の剣、パリスの左腕にはその輝きに負けず劣らずの黄金の鎧の一部が現れていた。
「嗚呼、こんなにも妬けてしまったのは初めての事でしょう…」
パリスが剣を地面に突き刺して、右手の薬指に黒い指輪をつけると右手が黒く染まる。
「その黒は…」
パリスは右手を突き出して言う。
「黒神弓…フェイルノート…そう…アリスさんが受け継いだ神弓フェイルノートですっ!」
パリスはそう言うと地面から抜いた黄金の剣で薙ぎ払い、煉獄の熱風を纏った斬撃を放つ。
「せいっ!」
フィルアールは軽く剣を振るって斬撃を相殺する。
「続けて行きます!」
パリスはそう言うと右手を天に掲げる。
「爆裂せよ!バーストレイン!」
パリスが突き上げた右手で「パチン」と指を鳴らすとその指先から天高く高熱のエネルギー弾が放たれ分散し、地面に向かって降ってくると共に凄まじい熱量の爆発が起きる。
「吹き飛ばしますよ!真空派!」
フィルアールが勢いよく剣を振るうと凄まじい竜巻が起こり、パリスの爆撃から身を護る。
「さらに速く!電光石火!」
その名の通り、雷のような速さでフィルアールはパリスに迫り、剣を振るう。
「今のパリスにはそんな小細工は通用しませんよ!」
パリスは言葉通りにフィルアールの怒涛の剣撃を軽く受け流しながら、少しづつ魔力を高める。
「そこだっ!」
フィルアールはパリスの鳩尾辺りを狙って、不思議な力を纏わせた左の拳を叩きつける。
「バリーン!」と何かが割れた様な音と共にパリスの身体が吹き飛ぶ。
「がっ!ぐっ…」
パリスが血を吐きながら、フィルアールの左の拳を見る。
「パリス…の…・・・・・・に…干渉…した…わけ…ですか…」
パリスは肩で息をしながら呼吸を整えつつ、能力による身体の治癒も行う。
「その通りです。ですが、ただ干渉した訳ではありません。反転属性による属性反発作用を利用した核への攻撃です。それ故に肉体強化の影響を受けず、さらには対応する属性の魔力が高ければ高いほどダメージを与える事が出来るわけです。」
フィルアールはそう言うとレーバテインを鞘に納める。
パリスは立ち上がり、淡々と言う。
「勝負は…まだ終わってませんけど…」
パリスの傷はもうほとんど回復した様だった。
「言ったでしょう?今の攻撃はパリスさんの核に攻撃をしたと…それはつまり、肉体は関係無いのです。もし核が破壊されれば、破壊されたモノはなんであれど死にます。無機物も有機物も概念ですらも死にます。ただし、私は概念の核を破壊する事はできません。そして、パリスさん、貴方には核に対する特異能力があります。その証拠に核を攻撃されたはずのパリスさんの存在は崩壊せず、アリスちゃんのフェイルノートを簡単に扱えたでしょう?」
そう言うとフィルアールはパリスに核の事について詳しく説明をする。
フィルアールの言う通りで、パリスは本来ならアルフェノーツの継承を受けていない為、フェイルノートを扱う事は出来ず、フェイルノートに触れる事もフェイルノートを宿す事も出来ないはずなのだ。
ちゃんと継承されてなければ、本来は触れる事すら許されず、身体をすり抜ける事により扱う事は不可能であり、身体に宿す事も出来ないのだ。
何故フェイルノートがアルフェノーツの血を持つ女性にしか扱えないのかを説明するとアルフェノーツが誕生する前から後のアルフェノーツになる女性が名も無き世界樹の女神からフェイルノートを扱う力を受け継ぎ、それを代々継承し続けているからなのである。
一度継承が行われれば、前の持ち主が扱えなくなるのも、この力の完全な譲渡によるものなのだ。
ちなみに何故継承されるのがアルフェノーツの血を持つ女性限定なのかは、分からないがアルフェノーツの血を持っていても男性には如何なる方法によっても継承が出来なかったからだそう。
そして、必ず女性が一人は産まれ、代々女性がアルフェノーツの当主をしていたのも、この神弓フェイルノートの継承が関係しているらしい。
よって、パリスがフェイルノートを扱えるのは、普通の事では無く、パリスの能力が影響しているという事になる。
ちなみにアリスも扱えるのはアリス自身が正式にアルフェノーツ家の子供として扱われたことにある。
これはアリスが普通のヒトとは違う存在である事が大きく関係しているのだが、これについてはまた後ほど明かされると思う。
そして、核にダメージを受ければどんなモノでも死に至るとフィルアールが言ったように、本来であれば核にダメージを負う事は如何なる存在であっても存在の消滅に繋がるほどに核は重要なのである。
例え、それがどれだけ強い肉体を持つモノであっても、肉体がない概念の様なモノであっても、パリスの様な能力が無ければ核が破壊されれば1時間以内に消滅し、遅くても24時間以内には消滅するのはずなのだ。
…まあ、そういうことなのだ(作者、投げやりになるな)
パリスはフィルアールが難しく説明するので、説明をされてもよくわからなかったが「そういうもの」なのだと受け入れる事にした。
「しかし、妙だとは思いませんか?」
パリスがそう言うとフィルアールは「どうかしたのか?」と言いたげに見る。
「パリスの魔力の源…いえ、核に対する攻撃には肉体は関係ないのですよね?」
パリスがそう言った瞬間、ヴェルドールが納得した様子で頷いて、フィルアールが大きく目を見開きながら「まさか…」と呟く。
パリスが両手のナイフを合わせるとどんな赤よりも赤く燃え上がる長い炎の剣とその半分くらいの長さの静かな青い炎の剣が現れる。
パリスは赤い剣を左手に、青い剣を右手に持つ。
青い剣だけでもパリスの身長ほどの長さがあり、かなりの長さである事が見て分かる。
「嫉妬の煉獄剣…それがこの剣の名前です。パリスの大罪武具の一つです。」
パリスは静かに目を閉じる。
「燃えなさい…」
パリスがそう呟いて目を見開くと自身の身体を燃やして、周囲が火の海に包まれる。
「良い力ですね。これだけの炎を操れるのであれば、S級程度なら高耐性でも数秒で致命傷となるでしょう。」
フィルアールはレーバテインを軽く振るって火の海を吹き飛ばす。
「ですが、私には通用しませんよ。」
パリスは予想通りだと言いたげにニヤリと笑う。
「えぇ…存じてますよ…パリスの嫉妬に耐えうる貴方を見てれば、想像に容易いですからね。」
パリスはさらに燃え上がる。
「こんなにも妬けてしまうもの…」
パリスが深呼吸して言うと同時にフィルアールが言う。
「本気で殺しますよ!」
「楽しくなりそうです!」
パリスが赤い剣を突き出しながら突撃する。
フィルアールがレーバテインを振るって応戦する。
手数が多いはずのパリスの剣を軽々と全てを受け流し、反撃を加えようとする様はまさに剣豪と呼ばれるに相応しい動きだった。
パリスも手数の多さでなんとか応戦していたが、次第にフィルアールの攻撃がパリスの身体を刻み始め、徐々にパリスの炎が弱まっていく。
「くっ…このままでは…」
パリスは一度距離を取ろうと赤い剣を振る速度を上げて離れる。
「させませんよ!」
だが、フィルアールもパリスが距離を取れないように距離を詰めながらレーバテインを振るいながら迫ってくる。
「もっと…もっと…燃え上がらないと…もっと…熱く…もっと…妬けないと…」
パリスのバックから青い光が漏れる。
「そうですよね…パリスはこんなもんじゃないですよね…」
パリスは力一杯に赤い剣を振るってフィルアールを吹き飛ばすと青い剣を赤い剣と合わせる。
「進化せよ…嫉妬の金剛剣!」
パリスの炎と交わった二つの剣が眩い黄金の輝きを放ち、その刀身を露わにする。
パリスの左手には自身の背丈ほどの長さの黄金の剣、パリスの左腕にはその輝きに負けず劣らずの黄金の鎧の一部が現れていた。
「嗚呼、こんなにも妬けてしまったのは初めての事でしょう…」
パリスが剣を地面に突き刺して、右手の薬指に黒い指輪をつけると右手が黒く染まる。
「その黒は…」
パリスは右手を突き出して言う。
「黒神弓…フェイルノート…そう…アリスさんが受け継いだ神弓フェイルノートですっ!」
パリスはそう言うと地面から抜いた黄金の剣で薙ぎ払い、煉獄の熱風を纏った斬撃を放つ。
「せいっ!」
フィルアールは軽く剣を振るって斬撃を相殺する。
「続けて行きます!」
パリスはそう言うと右手を天に掲げる。
「爆裂せよ!バーストレイン!」
パリスが突き上げた右手で「パチン」と指を鳴らすとその指先から天高く高熱のエネルギー弾が放たれ分散し、地面に向かって降ってくると共に凄まじい熱量の爆発が起きる。
「吹き飛ばしますよ!真空派!」
フィルアールが勢いよく剣を振るうと凄まじい竜巻が起こり、パリスの爆撃から身を護る。
「さらに速く!電光石火!」
その名の通り、雷のような速さでフィルアールはパリスに迫り、剣を振るう。
「今のパリスにはそんな小細工は通用しませんよ!」
パリスは言葉通りにフィルアールの怒涛の剣撃を軽く受け流しながら、少しづつ魔力を高める。
「そこだっ!」
フィルアールはパリスの鳩尾辺りを狙って、不思議な力を纏わせた左の拳を叩きつける。
「バリーン!」と何かが割れた様な音と共にパリスの身体が吹き飛ぶ。
「がっ!ぐっ…」
パリスが血を吐きながら、フィルアールの左の拳を見る。
「パリス…の…・・・・・・に…干渉…した…わけ…ですか…」
パリスは肩で息をしながら呼吸を整えつつ、能力による身体の治癒も行う。
「その通りです。ですが、ただ干渉した訳ではありません。反転属性による属性反発作用を利用した核への攻撃です。それ故に肉体強化の影響を受けず、さらには対応する属性の魔力が高ければ高いほどダメージを与える事が出来るわけです。」
フィルアールはそう言うとレーバテインを鞘に納める。
パリスは立ち上がり、淡々と言う。
「勝負は…まだ終わってませんけど…」
パリスの傷はもうほとんど回復した様だった。
「言ったでしょう?今の攻撃はパリスさんの核に攻撃をしたと…それはつまり、肉体は関係無いのです。もし核が破壊されれば、破壊されたモノはなんであれど死にます。無機物も有機物も概念ですらも死にます。ただし、私は概念の核を破壊する事はできません。そして、パリスさん、貴方には核に対する特異能力があります。その証拠に核を攻撃されたはずのパリスさんの存在は崩壊せず、アリスちゃんのフェイルノートを簡単に扱えたでしょう?」
そう言うとフィルアールはパリスに核の事について詳しく説明をする。
フィルアールの言う通りで、パリスは本来ならアルフェノーツの継承を受けていない為、フェイルノートを扱う事は出来ず、フェイルノートに触れる事もフェイルノートを宿す事も出来ないはずなのだ。
ちゃんと継承されてなければ、本来は触れる事すら許されず、身体をすり抜ける事により扱う事は不可能であり、身体に宿す事も出来ないのだ。
何故フェイルノートがアルフェノーツの血を持つ女性にしか扱えないのかを説明するとアルフェノーツが誕生する前から後のアルフェノーツになる女性が名も無き世界樹の女神からフェイルノートを扱う力を受け継ぎ、それを代々継承し続けているからなのである。
一度継承が行われれば、前の持ち主が扱えなくなるのも、この力の完全な譲渡によるものなのだ。
ちなみに何故継承されるのがアルフェノーツの血を持つ女性限定なのかは、分からないがアルフェノーツの血を持っていても男性には如何なる方法によっても継承が出来なかったからだそう。
そして、必ず女性が一人は産まれ、代々女性がアルフェノーツの当主をしていたのも、この神弓フェイルノートの継承が関係しているらしい。
よって、パリスがフェイルノートを扱えるのは、普通の事では無く、パリスの能力が影響しているという事になる。
ちなみにアリスも扱えるのはアリス自身が正式にアルフェノーツ家の子供として扱われたことにある。
これはアリスが普通のヒトとは違う存在である事が大きく関係しているのだが、これについてはまた後ほど明かされると思う。
そして、核にダメージを受ければどんなモノでも死に至るとフィルアールが言ったように、本来であれば核にダメージを負う事は如何なる存在であっても存在の消滅に繋がるほどに核は重要なのである。
例え、それがどれだけ強い肉体を持つモノであっても、肉体がない概念の様なモノであっても、パリスの様な能力が無ければ核が破壊されれば1時間以内に消滅し、遅くても24時間以内には消滅するのはずなのだ。
…まあ、そういうことなのだ(作者、投げやりになるな)
パリスはフィルアールが難しく説明するので、説明をされてもよくわからなかったが「そういうもの」なのだと受け入れる事にした。
「しかし、妙だとは思いませんか?」
パリスがそう言うとフィルアールは「どうかしたのか?」と言いたげに見る。
「パリスの魔力の源…いえ、核に対する攻撃には肉体は関係ないのですよね?」
パリスがそう言った瞬間、ヴェルドールが納得した様子で頷いて、フィルアールが大きく目を見開きながら「まさか…」と呟く。
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