魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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大罪覚醒

69話

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「そうです。フィルアールさん、貴方の攻撃は失敗しました。正しくはパリスの能力により失敗させたのですけど…」

「驚きました。私の目にもパリスさんの核が無傷で存在するのが目に見えます。確かに核を修復したりは出来るでしょうけど、この短時間では確実に完璧な状態に回復させるのは不可能です。そして、何より驚いたのが私は確実に核を攻撃したはずだったのに、傷どころか無傷で攻撃を完全に対策されていた事です。」

アスティアが感心した様子で口を開けていた。

「いえ、たまたま読みが当たっただけですよ。外せばパリスは負けていたでしょう。」

パリスはそう言ってフィルアールの喉元に黄金の剣を突きつける。

「今回はパリスの勝ち…ですよね?」

フィルアールはフッと微笑む。

「その通りですね。私は貴方を少し見くびって油断していた…いや、私の想像の遥か上の実力であったと見抜けなかったです。負けました。」

パリスが黄金の剣を魔力に戻すと決闘結界が解除される。

「お前、すっげぇ強くなってんな!俺の何倍も早く強くなってるじゃん!」

ウルカが尻尾をブンブン振りながら、凄く興奮した様子でパリスに言う。

「いえ、アリスさんやソルさん…それとウルカのおかげですよ。前にウルカと戦った事があったでしょう?実はあの後、皆さんに内緒でアリスさんに接近戦の特訓をしてもらってたんですよ。それとソルさんと出会った後からはソルさんを交えて接近戦の特訓をしてもらってましたし…」

ウルカがソルを目を輝かせながらソルを見る。

一方、リリアはもの凄く驚いた表情でパリスとソルを交互に見ていた。

「アリスが…良かった…だけ…」

ソルは淡々とそう言いながら恥ずかしげに目を逸らす。

「いや…アンタも十分強いでしょう…」

ヴェルドールが呆れた様子で言う。

「ソル!俺にも稽古つけてくれよ!俺ももっと強くなりてぇし、アリスも居ねぇなら戦力強化するのは理にかなってるだろ?な?頼むよ~!」

ウルカが珍しく興奮気味にソルに言う。

「…わかった。」

ソルは少し面倒くさそうな雰囲気を出しながら小さく言う。

「そう言えば、魔王様もアリスちゃんのパーティに加入されたそうですね。」

フィルアールがアスティアに言う。

「そうじゃな。とは言っても、無理矢理入った感は否めないのじゃがな。」

アスティアは苦笑しながらも堂々とした振る舞いで言う。

「では、後ほど私と手合わせをしていただけませんか?アリスちゃんがパリスさんが居なければ負けていたと言ってたほどの実力を拝見させていただこうかと思いまして…」

「わはは!それなら良いぞ!武士もののふたるもの、常に上を目指すもの…なのじゃろう?」

「恥ずかしながら、私もまだまだ未熟者ですからね。道を極めるにはまだまだ修行しなければいけませんし、何より目の前に強そうな人が居るのに黙って見てるなんて出来ませんからね!」

フィルアールがそう言うとアスティアは胸を張って言う。

「ふふん♪この姿の我にそこまで言うとはお主、なかなか見る目があるではないか!アネラーゼ、我はこの者と試合を行う故、この場は任せたぞ!」

アスティアはそう言うとフィルアールを連れて遠くに行ってしまった。

「はぁ…魔王様の戦闘狂にも困ったものですね。」

アネラーゼは溜息をつきながら呆れたように言うと眼鏡をクイッと持ち上げてパリスたちを見る。

「皆さん、今のうちに今後の事を話し合っておきませんか?今はアリスさんが不在の為、戦闘力としてはかなり弱体化していると予想されます。」

アネラーゼはそう言って、皆の顔を見る。

「なので、アネラーゼからはしばらく能力を高める時間を取る必要があると提言させていただきますが、いかがでしょう?」

「リリア…賛成…アリス…居ない…リリア…弱い…だから…」

リリアは自身の弱さを補いたいと思っている様だ。

「俺も賛成だぜ!特に俺はこん中じゃ一番弱いし、俺も強くなって役に立ちてぇからな。」

ウルカが真剣な表情で言う。

「ソルは…どっちでも…いい…」

ソルは少し面倒くさそうな雰囲気を出しながら無表情で言う。

「面倒くさい…とも言ってられないのよねぇ…怠惰の名を持つものとしてはかなり嫌な状況なのだけれど…」

ヴェルドールは面倒くさいを全面に押し出した態度で言う。

「確かにヴェルドールさんの場合ですと、どちらかと言えば堕落している方が能力による強化はかなり大きくなりそうですが、能力が使用出来ない状況になってしまうと一気に弱体化してしまう恐れがあります。それを踏まえるといわゆる基礎能力を上げるのは行った方が良いと思いますね。」

アネラーゼはどこからともなく取り出した本を見ながらヴェルドールに言う。

「まあ、その辺の采配は副リーダーのパリスさんに任せましょう。私たちが出来るのはパリスさんへの提案ですからね。」

アネラーゼは本をしまい、どこか楽しそうに微笑みながら眼鏡をクイッと持ち上げる。

「パリスは…」

皆の視線がパリスに集まる。

パリスは静かに目を閉じる。

「パリスはアリスさんのように完璧な選択は出来ないかもしれません。」

パリスは深呼吸する。

「それでも…」

パリスが目を開ける。

「パリスは一度立ち止まって考えなければならないと思います。」

パリスは堂々と胸を張って言う。

「パリスはアネラーゼさんの特訓を行うと言う案を採用します!よろしいでしょうか?」

ソルとヴェルドール以外の全員が拍手を、ソルはパリスの目を見て小さく頷いて、ヴェルドールは面倒くさそうにため息をついていた。

「よーし!そうと決まれば、早速やってやるぜ!」

ウルカはソルの手を引きながら、近くの洞窟の中に入る。

「あ、私も仲間に入れろなのじゃ!」

クレアがウルカとソルを追いかける。

「面倒くさいですが、私も動かなきゃいけませんねぇ…」

ヴェルドールはそう言うとアネラーゼと軽く相談をしてウルカ達が向かった洞窟とは別の洞窟に向かう。

残されたパリスにアネラーゼが言う。

「では、パリスさん、行きましょうか。」

アネラーゼはそう言うといつもより引き締まった雰囲気を出して森の方へ歩き始める。

パリスは置いて行かれないようにアネラーゼについていく。
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