魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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壊れた歯車

破壊神とメイド

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やっほー!皆、謎のスーパーアイドル、エレナちゃんだぞー!

「作者さぁ…初手からボクのなりすましするの辞めてくれない?ボク、そんなふざけた性格キャラじゃないよ。」

ここで突然だが、皆のアイドル作s…じゃなくて、謎の観察者さんが簡単にエレナについて説明しよう。

エレナは兎族の女の子でボンキュッボンの世界で活躍するチート級(なろう系主人公レベル)に強い冒険者で天才学者だ!以上!

「無視した上にボクの紹介めちゃくちゃ雑ですね。まあ、ボクの紹介としては間違ってないんですけど…」

ちょっと待って!なんでエレナちゃんは謎の観測者さんにツッコミ入れてるの?!と言うか、なんでこのおふざけ茶番に居るの?!

「いやぁ…作者になろう系主人公とか言う紹介されたら、これくらいしないといけないかなぁ…と…後、茶番コーナーにボクを呼んだのは作者だよ。」

いやいやいやいや、ものの例えってやつだからね?!後、謎の観測者さんだからね!?てか、私が呼んでたの忘れてましたよ。

「…作者がなんかワーワーうるさいので、今のうちにこの場で設定集全部読み上げようかな…」

辞めてください。某レベル5さんのレジェンド妖怪のネタバレ〇ーナじゃないんだからさぁ…

「神に喧嘩売って大丈夫?消されない?」

いや、日〇神はハンターズギルドのある方でしか会えなくない?真打しんだの方で会えましたっけ?

「ツッコミが追いつかないから、もうボケないでくれませんかねぇ…それと真打しんうち真打しんだって言うやつとバスターズをハンターズギルドなんて言うやつも初めて見たよ…ボクは。」

まあまあ、伝わればいいっしょ!

「作者の相手は疲れますね。と言うわけで…初手おふざけからの本編です!」

待って!私って、そんなにめんどくさい相手ですか?!ついでに私のセリフも盗らないで!

「実はエレナはパリスの…いや、これよりももっと違うネタバレの方が良いかな…実はクレアはパリスを…」
はいはいはいはいはいはい!ネタバレ警報発令!ウーウー!
本編へGO!さっさとGO!今すぐGO!イナイレGO!

「あ、逃げた。それと最後のは某社さんの別作品じゃないか!」

実はポケモ〇GOと迷いました。

「いや、戻ってこなくていいし、いちいちネタが10年くらい前だし、喧嘩売る相手は選んだ方がいいよ?」

待ってください!妖怪ウォッチとかイナイレGOってそんなに前の作品なんですか?!

「…作者、3DSって2011年2月26日に発売されたらしいよ。」

えっ…そんな馬鹿な…2011年なんて、12年前じゃないですか…

「ちなみに作者が最近ハマってる妖怪ウォッチ2真打は2014年7月10日みたいだね。」

それでも9年前ですか…時の流れは早いものですねぇ…

「作者の中だと、今でもファイアーエムブレムif仕様の3DSは現役だもんね。」

だから、何でそう言う情報を知ってるんですかね…

「後、ロリコンだからって理由でエリーゼが好きとか言ってたっけ…」

待って?!エリーゼちゃんだけじゃなくて、サクラちゃんとリョーマお兄様とマークスお兄様も好きだからね?!
ちなみに最推しは子世代のキヌちゃんとベロアちゃんですね。
親世代ではマークスお兄様とベロアちゃんのお父さんのフランネル君が好きです。

「可哀想なカーミラ姉さんとヒノカ姉さん…タンスの隅でしょんぼりしてるよ。」

ヒノカ姉さんはともかく、カーミラ姉さんはマジで想像がつきますね。
地味にレオンお兄様とタクミお兄様もしょんぼりしてそうです。

「あー…想像が着くね~…ボクも可愛い可愛い妹の事を思うと胸が苦しくなるよ。」

一応エレナちゃんも重度のシスコンですもんね。
まあ、その設定つけたの私ですが。

「じゃ、作者がまた余計な事をバラしちゃう前に本編行こっか♪」

待ってください!まだ挨拶がm…
「読者さん、こんなくだらない茶番につきあってくれてありがとうございます!それでは、本編始まります!」

あー!また私のセリフを盗りましたねっ!ビーストキラーぶん投げてやっからな…

「特にFEのやつは獣特攻ついてて、馬と獣人に2倍くらいのダメージが出るから危ないよね。こんな危ないものはへっぽこの作者なんぞに持たせられないので、ボクが預かっておきます。」

あ、盗らないで…私のビーストキラー…ついでにディスらないでください…

「まあ、世界線が違うから、こっちの世界では使い物にならないけど。」

それはもっと早く知りたかったな…









美しく輝く長い金髪と綺麗な湖畔を思わせる様なコバルトブルーの瞳の身体の線が際立つピッチリとした青いタイツを着た兎族の女性…エレナはアテもなく街をふらついていた。

「お?いい匂いがするね…カイザーポークかな?」

エレナの視線の先では大きく筋肉質なでっかい肉が焼かれていた。

エレナはその肉を焼いている男性に近づいて言う。

「すみません。これ、少し分けて貰えませんか?」

「あん?まあ、良いけどよ…姉ちゃん、どこのもんだい?」

男性は一瞬だけ顔を顰めていたが、すぐにエレナのビックバンボディ…主に驚異のサイズに釘付けになっていた。

「ボクは辺境の地から来たエレナと申します~」

エレナはにこやかにそう言うと男性がお皿に切り分けた肉を持って近くの小さな石に座って食べ始める。


辺境の地はフィレスタ王国から北東に竜車で2週間ほどの距離にあるとされる超がつくほどの田舎であり、辺境の地からの情報は王都では聞けないと言われるほどである。


「辺境の地…?聞いた事もねぇ場所だな…」

「まあ、辺境の地ですからね。王都で住んでると情報屋くらいしか知らない様な場所だと思いますよ。」

エレナは食べ終わって「ごちそうさまでした」と言うと立ち上がって男性にお皿を返す。

「では、ボクはもう行きますね。お肉を分けていただきありがとうございました。」

「あ、あぁ…達者でな。」

男性はかなり残念そうにエレナを見ていた。

「さてと…」

エレナは「んう~」と言いながら、身体を伸ばして地図機能マップ&ナビがある魔道具を取り出す。

「よし。暇だし、ギルドに遊びに行こうかな」

エレナがギルドに向けて足を運ぼうとした瞬間。

「カティーちゃん、この辺でしたよね?」

兎族の女の子が赤く長い髪の背中に天使の様な黒い羽のある少女…カティーに言う。

「パリスちゃんの地図が間違えてなければ、この辺りに…」

カティーが少し困った様な声で言いながら、周りを見渡していた。

「やあ、お嬢さんたち、お困りかい?」

イカにもな感じのイカした男性が怪しげな笑みで二人に近づく。

「この場所に行きたいんですけど…」

パリスが地図に書かれた店を指さすと男性は爽やかな笑顔で言う。

「この場所なら、俺が知ってるからついておいで!」

男性がそう言うとパリスは安心した様子でカティーに言う。

「カティーちゃん、やりましたよ!これでお買い物も済みそうです!」

「そうですね。では、案内をお願いします。」

カティーがほんの一瞬だけ男性を睨んだ様な気がした。

「任せてよ!ほら、こっちこっち!」

男性はそう言うと手馴れてそうな感じで二人を人目のつかない路地に引き込む。

「…怪しいね。」

エレナは隠密スニークの能力を使って、自身の姿と足音と匂いを消す。

しばらく追跡していると男性が行き止まりで立ち止まる。

「あの…」

パリスがそう呟くと同時に男性が不気味に笑い始める。

「君たち、知らない人には着いて行っちゃダメじゃないか。」

男性がそう言うとともに至る所の影から2人の周りにニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべている屈強な男たちが現れる。

「お前たち、久しぶりの上物だよ。傷をつけないように丁重に扱えよ?」

(まずいっ!)

エレナがそう思った瞬間。

「…カ、カティーちゃんはパリスが守ります!」

パリスが今にも泣きそうなほどに瞳を閏間せながら、カティーと男たちの間に立つ。

「パリスちゃん…」

カティーが心配そうにパリスを見ると同時にパリスが結界を展開して男たちが寄りつけない様にする。

「おやおや、そんなもので俺たちから逃げれると思ってんの?」

男性が触れた結界を破壊する魔道具を突きつけてパリスの結界を崩壊させる。

エレナはこのままではマズいと隠密を解いて言う。

「君たちさぁ…」

エレナが声を出すと同時に男たちが驚いて、こっちを振り返る。

「おやおや…ここにも美しいお嬢さんが…」

男性がエレナの身体を見ながら言う。

「…発情期の獣みたいな気持ち悪い目を向けないでくれる?」

エレナが空間収納から取り出した羽織物で胸を隠しながら言うと男性はあからさまに不機嫌な顔をする。

「この俺を侮辱するとは生意気な女だな。お前ら、まずはあいつに身の程を教えてやりな!」

「いえっさー!」

エレナは飛びかかってきた男たちを的確に左手の平手打ちだけで弾き飛ばして、一撃で行動不能にさせる。

「な…なんてゴリラ女なんだ…」

追い込まれた表情で男性が言う。

「いや、どっからどう見ても可憐な兎ちゃんですけど?」

キレ気味にエレナがツッコミを入れて、威圧する様に男性を睨みつける。

「幼い二人を狙った罪…そして…」

エレナが男性の前に現れる。

「ボクに気持ち悪い目を向けた罪を地獄で後悔しな!」

そのまま左で構えた拳で男性が盾替わりにした魔道具を粉砕しながら、男性の顔にぶち当てると同時に男性の顔が原型がわからないほど歪に歪む。

全員気絶しているが、息はある様子だ。

「ふん。今のあんたは女を性奴隷としか考えてないクズに相応しい顔よ。」

エレナが吐き捨てる様に男性に言うと二人がエレナの前に歩み寄ってくる。

「あの…助けていただいてありがとうございます!」

パリスが丁寧にお辞儀をする。

「良いって事よ!それに…」

エレナはパリスを見て言う。

「ボクの妹にそっくりな君が無事で良かったよ。もちろん、そっちの天使ちゃんもね♪」

エレナはカティーの方も見て言う。

「あの…こっちは私の友達のカティーちゃんで、パリスはパリスって名前なんですけど、お姉さんの名前を教えてもらってもいいですか?」

パリスがカティーを紹介しながら自己紹介する。

カティーは無表情だったが、目が輝いていた。

「あれ?パリスって…あのパリスちゃん?」

エレナがそう言うと同時にパリスの手を握る。

「あ、あの…」

パリスが困ったように言うとエレナはそのままパリスをギュッと抱き締める。

「ボクだよ!エレナお姉ちゃんだよ!こんなところで出会えるなんてすっごく嬉しい!」

「えっと…エレナ…お姉ちゃん?」

エレナがパリスを解放するとパリスはピンと来ないような表情をしていた。

「そうそう!」

パリスは少し考える様に腕を組む。

「う~ん…パリスが思い出せる限りではわからないんですけど…」

「嘘でしょ?!小さい頃、あんなにボクに懐いてくれてたのに?!」

エレナがそう言うとパリスは申し訳なさそうに言う。

「すみません。今のパリスには小さい頃の記憶が無いんです…」

エレナはガックリと膝を着いて、そのまま絶望した様子で地面に手を着く。

「そんな…あの時…ボクが守れなかったせいで…」

エレナの目から大粒の涙が落ちる。


6年前…まだパリスが2歳、エレナが12歳だった頃に龍人族によってパリスが誘拐された。

この頃はエレナはまだ弱かった為、パリスを取り返そうと龍人族に挑んだが、あっさりと返り討ちにあって気絶させられていた。

意識を取り戻してから1ヶ月ほど経過した後は冒険者ギルドに駆け込み、何度も実技で見習い卒業試験に失格になりながらも寝る間も惜しんで修行し、3ヶ月で見習いを卒業した。

後にパリスを取り返す為に龍人の里に向かおうとしたが、たまたま王都に来ていたクレアによって、別の場所にいる事がわかり、また一から探し始める事になっていたのだ。

その後は2年で危険度X4クラスのダンジョンのソロ踏破を史上最年少の14歳でやり遂げるなど、凄まじい勢いで成長していた。


「エレナさん?!」

パリスが慌ててエレナの名を呼ぶ。

「ごめんね…ボクが…不甲斐なかったがばかりに…」

カティーがパリスにハンカチを手渡し、パリスがそのハンカチを持ったままエレナの顔を両手で包み込む。

「お、落ち着いてください。とりあえず、ここでは場所が悪いので場所を移動しませんか?」

パリスがそう語りかけるとエレナの顔を拭く。

「ありがとう…」

エレナは赤くなった目を擦って立ち上がる。

「それでは行きましょう!カティーちゃんも着いてきてください!」

カティーは何も言わずにコクリと頷くとパリスの後ろについて行く形で歩き始める。

路地から出る時に会った兵士に路地裏の男たちの事を報告して、パリスの名を聞いた兵士から軽く事情聴取を受けた後、パリスが地図を見ながら指さしたお店までエレナが案内する。

「着いたよ。ここが目的地だね!」

エレナがそう言うとパリスが嬉しそうにカティーに言う。

「カティーちゃん、エレナさんのおかげで辿り着けましたね!」

「うん…エレナさんのおかげです…ありがとうございます…」

カティーが丁寧にお辞儀をしてお礼を言う。

「アハハ!良いってことよ!」

エレナが楽しげに笑って店の扉を開ける。

パリスたちもエレナの後から店の中に入る。

中はちょっとお城っぽい高級志向な内装であり、色は薄いピンクっぽい物が多かった。

そうしてパリスが見回しているとゴスロリのメイド服を着た店員がやって来る。

「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

「3名だよ!」

「かしこまりました。お席にご案内しますので、こちらへどうぞ。」

そうして案内された個室にパリスたちが入る。

「カティーちゃん!カティーちゃん!このお部屋、すっごく可愛くないですか?」

パリスがとっても楽しそうな笑顔で部屋の中の家具や壁の色なんかも見ながら言う。

「パリスちゃん、あんまりはしゃぎ過ぎると危ないですよ。」

カティーは無表情な顔でそう言っているが、声が楽しそうな雰囲気になっていた。

ちなみにパリスは8歳なのだが、カティーも同い歳の8歳だそう。

同じ8歳でも雰囲気が全然違うのはおもしろいなとか考えながらエレナは言う。

「2人とも、とりあえず座ろうよ。」

エレナが先に座って二人に呼びかけ、メニュー表を開く。

二人も「はーい」と言って席に座る。

「カティーちゃん、これとか可愛いですよね!」

パリスが壁の可愛らしいリボンの装飾を指さして言う。

「うん。アリスさんに似合いそうです。」

カティーは無表情ながらも楽しそうな声で言う。

「そうですね!マスターさんには何が良いかな~…」

パリスがそう言うとカティーがメニュー表の「デラックスチョコレートマウンテンパフェ」を指さして言う。

「これとか?」

「マスターさんのイメージ的に甘さは控えめなのが好きそうですけど…」

パリスが首を傾げながら言う。

「意外にもご主人様はかなりの甘党なんですよ。それこそ私を利用してハートの天使ちゃんケーキとか買ってくるし…」

「ハートの天使ちゃんケーキと言えば、あのすっごく甘くて、甘党なら絶対食べるべきって噂のあれですか?」

パリスが目を丸くしながら言う。

「それですよ。しかも、ホールで買ってくるんです。4つも。」

カティーはどことなく呆れた雰囲気が漂う声で言う。

「パリスも甘い物は好きですけど、それはちょっと胸焼けしちゃいそうですね。」

パリスが苦笑していた。

エレナは二人の会話が終わらなさそうなので、呼び出しボタンを押してやって来た店員に「ビターテイストミルフィーユ」を頼んでいた。

「私はどっちかと言えば甘い物は苦手な方でブラックコーヒーみたいなビターな物が好きだから、見てるだけで頭が痛くなりましたよ。」

「すごい!カティーちゃん、ブラックコーヒー飲めるんですね!パリスはミルクと砂糖を入れないと飲めないのでちょっと羨ましいです。」

「コーヒーは上手い人が入れると同じコーヒー豆でも全く別物になるんですよ。」

「なるほど…パリスが好きなお茶もそこは同じなので、今度マスターさんの入れるコーヒーを飲みに行きたいですね。」

「フフッ…ご来店お待ちしております♪」

店員がエレナの注文した「ビターテイストミルフィーユ」を持ってくると「忘れてたっ!」と言わんがばかりの表情をしながら二人も注文をする。

パリスは「デラックスチョコレートマウンテンパフェ」、カティーは「ワイルドビターマウンテン」を頼んだようだ。

「パリスちゃんはそれにしたんですね。」

「うん!パリスは甘党なので気になっちゃって…」

「パリスちゃんっぽいや。私は甘さが控えめそうなのを選んでみたけど、写真を見た感じも可愛い系のスイーツでしたね。」

「うんうん!逆にカティーちゃんのワイルドビターマウンテンは大人な感じのスイーツですよね!」

完全に蚊帳の外のエレナは黙々と一人でスイーツの味を噛み締めていた。

「うん。後、エレナさんの食べてるビターテイストミルフィーユもオシャレな雰囲気のエレナさんにピッタリなスイーツですね。」

エレナは突然自分の話題になった事に驚いてむせて咳き込んでいた。

「ゴホッゴホッ!…はぁ、死ぬかと思った。」

エレナが涙目になりながら言う。

「だ、大丈夫ですか?」
「…大丈夫ですか?」

パリスとカティーがほぼ同時に言う。

「あぁ…大丈夫だよ。急に話が飛んできたからビックリしてむせただけさ。」

エレナがそう言うと同時にパリスたちのスイーツが届く。

「わぁ…とっても大きいですね!」

パリスが「デラックスチョコレートマウンテンパフェ」を見て嬉しそうに言う。

「私のはパリスちゃんのよりは小さいけど、大きいサイズですね。」

カティーは「ワイルドビターマウンテン」を少し不安げに見ていた。

そんな2人も一度食べ始めると「おいしい!」と言いながら、黙々と…いや、パリスちゃんの表情が凄くうるさいな?!

よく見るとカティーも少しだけ表情に出ていた。



「ごちそうさまでした!」

「ごちそうさま…」

2人とも綺麗に完食していた。

「ここのスイーツは美味しかったですね!」

「うん。ここは王都でも一二を争うレベルの名店ですからね。」

「なるほど…確かにスイーツ系の店舗が少ない王都ではなかなか食べられないのも頷ける美味しさでしたね。」

2人がそんな話をしているとエレナが楽しそうに微笑みながら言う。

「ここのも美味しいけど、遥か西の国…ワコクって国の和菓子って言う食べ物も凄く美味しいんだよね。ただこの辺だと原料が取れないのと技術が無いから再現が出来ないみたいだけど…」

「なるほど…パリスも和菓子を食べてみたいです!」

「私も和菓子が気になります…特にマンジュウとか美味しそうです。」

「お?饅頭を知ってるんだね!さすが情報屋の娘だね。」

エレナがそう言うとカティーは少し照れた様な目をして言う。

「ご主人様の手にかかればどんな情報も手に入りますからね…後はカステラとかわらび餅って言う不思議な食べ物があるって聞いた事があります。」

「あ、カステラなら、パリスも知ってます!確かケーキのクリームが無いバージョンみたいなお菓子なんですよね?」

「まあ、正確にはちょっと違うらしいんだけど、だいたいあってるね。それとカステラだけはこの辺りでも再現は出来るけど、ワコクのカステラとは全くの別物になっちゃうみたいだよ。」

「この辺りでもカステラが食べられるのですね!でも、ワコクのものと違うなら、食べ比べをしないとですね。」

「私もパリスちゃんみたいに旅をしてみたいですね。王都から出た事が無いのでいろんなところに行けるパリスちゃんが羨ましいです。」

「なら、カティーちゃんもアリスさんのパーティーに加わりませんか?アリスさんならきっと大歓迎してくれると思いますよ。」

「あ、それ良いかもですね!帰ったら、早速ご主人様に言ってみます。」

「アハハ!それなら、パリスもアリスさんに相談してみますね!」

2人はそんな事を言いながら盛り上がっていた。

「アリス…?」

エレナが思い出そうとするかの様に首を傾げているとカティーが言う。

「アリスさんはフィレスタ王国の英雄と呼ばれてる凄い冒険者なんですよ。この間もあった魔物の襲撃でヘヴンズゲートとかドリヤードとかも出たんですけど、それらも一人で全部瞬殺するんです。それだけじゃなくて、何度か魔物の襲撃があった時も一人で全滅させたって噂もあるほどの凄い人なんです。しかも、王様によって王族と同等の権利を持ってるそうで、まさに老若男女も貴族も平民も皆が憧れるヒーローみたいな存在なんですよ。」

カティーが少しだけ興奮気味に言う。

「へぇ…あのヘヴンズゲートも瞬殺ねぇ…」

エレナが興味のある反応を示すとパリスも自慢げに言う。

「そうなんです!しかも、アリスさんは強いだけじゃなくて、とても優しくて博識な人でもあるんですよ!今のアリスさんの右腕の様な人のリリアさんもとても強くて、さらには強力な回復魔法も使えるんですよ。」

「回復魔法が使える子もいるんだ!それは楽しみかも!」

エレナが興味ありげに言うとパリスが首を傾げながら言う。

「楽しみ…ですか?」

「うん!ボクは基本的にソロパーティーなんだけど、今度依頼で強い人とパーティーを組むことになっててさ。回復魔法が使えるともなれば、そこに居てくれるかなぁ?ってね。」

そう語るエレナの表情はどこか嬉しそうだった。



しばらくして、3人が店から出る。

「思っていた以上に時間が経ってしまいましたね。」

パリスがそう言うとカティーがどこか満足そうに微笑む。

「カティーちゃんは楽しそうだね。」

エレナがそう言うとカティーは嬉しそうに翼をはためかせる。

「私、お友達とこんなにも長く遊んだの初めてで…自分でも驚くほどとても嬉しいんです。」

夕焼けを背景に微笑むカティーはこれまでで一番の笑顔を見せていた。
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