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第4章「逃した悪霊」
逃した悪霊 その④
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男は不敵な笑みを浮かべると急に葵達の方へと走って来た。
神原 朱珠
『なあ、どないするん?』
綾女 葵
『皆、球体は持った?』
『2人体制に散らばってヨツバちゃんからの連絡が来るまで時間を稼ぐわよ!』
そう言うと葵は朱珠の手を引き草っ原の中へと走り始め、如月警部も葵達の後ろに続いた。
黄泉と紫月は来た道を引き返し、白華と橙羽は道路に反って左側へと走り始めた。
紫月が振り返ると、男は葵達の向かった方向に向かって走って行った。
朝顔 紫月
『リーダー!』
その声を聞き立ち止まる黄泉。
百合 黄泉
『人通りの少ないリーダー達の方向へ行くとは思わなかったわ。でもその方が都合が良いわね。』
朝顔 紫月
『そうだね。』
紫月と黄泉は、道を切り返し葵達の元へと走り始めた。
その頃、白華と橙羽も同じく葵達の元へ向かっていたのであった。
日廻 橙羽
『リンドウちゃん、同じ所に行くなら最初から皆こっちに走ったら良かったんじゃないの?』
林藤 白華
『少し姑息ではあるけど、攻撃の許可が降りた時に、追われているメンバーが囮になって、残りのメンバーがその隙に遠方から攻撃出来るようにだと思うよ。』
日廻 橙羽
『えっ、遠方から?』『って事は・・・。』
林藤 白華
『頼りにしてるよ。』
橙羽に向かって優しく微笑む白華と、青褪める橙羽。
葵達の姿を発見した白華と橙羽は、少し遠い位置にある茂みに身を隠し、その直ぐ後ろを着いてきた紫月と黄泉も同じく茂みに身を潜め男を観察していた。
葵達の周辺は黒い霧に包まれており、男に対して攻撃をし始めている様子であった。
だが当たり前ながら、朱珠は拳銃を右手に握り締めているものの、使ったことの無い拳銃の取り扱いに苦戦しているようだ。
そんな中、白華のスマホにヨツバから着信が入った。
林藤 白華
『もしもし、許可は貰えた?』
四葉 緑莉(電話)
『たった今、貰えたよ。今、どんな感じ?』
林藤 白華
『少し深刻かな。ターゲットなら目の前に居るんだけど、ユリちゃんやヒマワリちゃんが一発でターゲットを消滅させられる程の距離では無いから・・・。』
四葉 緑莉(電話)
『blancは、その辺りのサポートが劣っているもんね。』
林藤 白華
『1番頼りになる如月警部もリーダーやバラちゃんの方に居て、ターゲットはリーダー達の方へ向かって行ってしまったからね。少し想定外だったなって・・・。』
四葉 緑莉(電話)
『そうなんだ・・・大丈夫かしら?』
林藤 白華
『大丈夫、きっと何とかするよ。』
四葉 緑莉(電話)
『健闘を祈ってるね。』
林藤 白華
『うん。また後でね。』
白華は電話を切ると、拳銃を所有している中で1番経歴の長い黄泉にターゲットを狙ってほしい旨を伝えることにした。
林藤 白華
『ユリちゃん、相談したいことがあるんだけど・・・。』
百合 黄泉
『良いわよ。』
黄泉は話しを終えると、拳銃をターゲットの方向へ向け狙いを定め始めた。
その姿を眺め、申し訳無さそうな表情を浮かべる白華。
林藤 白華
『・・・有難う。』
白華が葵達の方へ目をやると、少し離れたところに居る葵
と目が合った。
白華が葵に向かって親指を立てOKサインを送ると、葵は静かに頷き再び男の方へと目をやった。
だがその一瞬の不可解な動きを男は見逃していなかった。
男は葵の目線を追い白華達の存在に気がつくと、入社したばかりで瞬時に行動することができない朱珠に急足で近寄り、朱珠の左腕を引き朱珠が男の盾になるように朱珠を人質に取ったのであった。
神原 朱珠
『嘘やろ!』『怖いねんけど!』
男
『煩い!』『黙れ!』
男は大粒の涙を流す朱珠を左腕に抱え込み、勝利を確信し満遍の笑みで葵や白華達の方を見渡しながら、大声で挑発をしたり暴言を吐き捨て始めていた。
だがそんな最悪の状況の中、意図的になのか咄嗟に離してしまっただけなのかは分からないが、朱珠は男に左腕を引かれた瞬間、右手に握り締めていた拳銃を手放していたのであった。
如月警部
『僕が着いていながら・・・。』
頭を抱える如月警部。
綾女 葵
『リーダーとして失格ね。でもリーダーがちゃんとしていない分、うちのメンバーは優秀だったみたい。』
男が勝利を確信している中、黄泉は体を地面に伏せて男に狙いを定めていた。
黄泉の姿が無いことに気がつき辺りを見渡す男。
男
『目付きの悪い女は、どこへ行った?』
男は警戒しながら辺りを見渡し、葵に対して足元に落ちている拳銃を男の元まで持ってくるように促した。
綾女 葵
『それはできないわ。』
男
『この女が、どうなっても良いのか?』
男は朱珠の首の辺りに当てた腕を、先程よりも少し強く自分の方へと引き寄せた。
呼吸が苦しくなり顔を歪める朱珠。
綾女 葵
『分かったわ。但し条件を聞いてもらえるかしら?』
『その手渡した銃口を彼女に突きつけるというのなら、彼女を危険な目に合わせてしまったリーダーの責任として、私から始末してもらえるかしら?』
如月警部
『綾女ちゃん!』
綾女 葵
『大丈夫よ、如月警部。これもリーダーとしての責任なのだから、これで私が消えてしまったとしても仕方が無いことだわ。』
そう言い終わると、葵は拾い上げた拳銃を男に手渡した。
拳銃を握りしめた男は葵に向かって銃口を向け、『じゃあ、望み通りにしてやるよ。』と不敵な笑みを浮かべたのであった。
神原 朱珠
『なあ、どないするん?』
綾女 葵
『皆、球体は持った?』
『2人体制に散らばってヨツバちゃんからの連絡が来るまで時間を稼ぐわよ!』
そう言うと葵は朱珠の手を引き草っ原の中へと走り始め、如月警部も葵達の後ろに続いた。
黄泉と紫月は来た道を引き返し、白華と橙羽は道路に反って左側へと走り始めた。
紫月が振り返ると、男は葵達の向かった方向に向かって走って行った。
朝顔 紫月
『リーダー!』
その声を聞き立ち止まる黄泉。
百合 黄泉
『人通りの少ないリーダー達の方向へ行くとは思わなかったわ。でもその方が都合が良いわね。』
朝顔 紫月
『そうだね。』
紫月と黄泉は、道を切り返し葵達の元へと走り始めた。
その頃、白華と橙羽も同じく葵達の元へ向かっていたのであった。
日廻 橙羽
『リンドウちゃん、同じ所に行くなら最初から皆こっちに走ったら良かったんじゃないの?』
林藤 白華
『少し姑息ではあるけど、攻撃の許可が降りた時に、追われているメンバーが囮になって、残りのメンバーがその隙に遠方から攻撃出来るようにだと思うよ。』
日廻 橙羽
『えっ、遠方から?』『って事は・・・。』
林藤 白華
『頼りにしてるよ。』
橙羽に向かって優しく微笑む白華と、青褪める橙羽。
葵達の姿を発見した白華と橙羽は、少し遠い位置にある茂みに身を隠し、その直ぐ後ろを着いてきた紫月と黄泉も同じく茂みに身を潜め男を観察していた。
葵達の周辺は黒い霧に包まれており、男に対して攻撃をし始めている様子であった。
だが当たり前ながら、朱珠は拳銃を右手に握り締めているものの、使ったことの無い拳銃の取り扱いに苦戦しているようだ。
そんな中、白華のスマホにヨツバから着信が入った。
林藤 白華
『もしもし、許可は貰えた?』
四葉 緑莉(電話)
『たった今、貰えたよ。今、どんな感じ?』
林藤 白華
『少し深刻かな。ターゲットなら目の前に居るんだけど、ユリちゃんやヒマワリちゃんが一発でターゲットを消滅させられる程の距離では無いから・・・。』
四葉 緑莉(電話)
『blancは、その辺りのサポートが劣っているもんね。』
林藤 白華
『1番頼りになる如月警部もリーダーやバラちゃんの方に居て、ターゲットはリーダー達の方へ向かって行ってしまったからね。少し想定外だったなって・・・。』
四葉 緑莉(電話)
『そうなんだ・・・大丈夫かしら?』
林藤 白華
『大丈夫、きっと何とかするよ。』
四葉 緑莉(電話)
『健闘を祈ってるね。』
林藤 白華
『うん。また後でね。』
白華は電話を切ると、拳銃を所有している中で1番経歴の長い黄泉にターゲットを狙ってほしい旨を伝えることにした。
林藤 白華
『ユリちゃん、相談したいことがあるんだけど・・・。』
百合 黄泉
『良いわよ。』
黄泉は話しを終えると、拳銃をターゲットの方向へ向け狙いを定め始めた。
その姿を眺め、申し訳無さそうな表情を浮かべる白華。
林藤 白華
『・・・有難う。』
白華が葵達の方へ目をやると、少し離れたところに居る葵
と目が合った。
白華が葵に向かって親指を立てOKサインを送ると、葵は静かに頷き再び男の方へと目をやった。
だがその一瞬の不可解な動きを男は見逃していなかった。
男は葵の目線を追い白華達の存在に気がつくと、入社したばかりで瞬時に行動することができない朱珠に急足で近寄り、朱珠の左腕を引き朱珠が男の盾になるように朱珠を人質に取ったのであった。
神原 朱珠
『嘘やろ!』『怖いねんけど!』
男
『煩い!』『黙れ!』
男は大粒の涙を流す朱珠を左腕に抱え込み、勝利を確信し満遍の笑みで葵や白華達の方を見渡しながら、大声で挑発をしたり暴言を吐き捨て始めていた。
だがそんな最悪の状況の中、意図的になのか咄嗟に離してしまっただけなのかは分からないが、朱珠は男に左腕を引かれた瞬間、右手に握り締めていた拳銃を手放していたのであった。
如月警部
『僕が着いていながら・・・。』
頭を抱える如月警部。
綾女 葵
『リーダーとして失格ね。でもリーダーがちゃんとしていない分、うちのメンバーは優秀だったみたい。』
男が勝利を確信している中、黄泉は体を地面に伏せて男に狙いを定めていた。
黄泉の姿が無いことに気がつき辺りを見渡す男。
男
『目付きの悪い女は、どこへ行った?』
男は警戒しながら辺りを見渡し、葵に対して足元に落ちている拳銃を男の元まで持ってくるように促した。
綾女 葵
『それはできないわ。』
男
『この女が、どうなっても良いのか?』
男は朱珠の首の辺りに当てた腕を、先程よりも少し強く自分の方へと引き寄せた。
呼吸が苦しくなり顔を歪める朱珠。
綾女 葵
『分かったわ。但し条件を聞いてもらえるかしら?』
『その手渡した銃口を彼女に突きつけるというのなら、彼女を危険な目に合わせてしまったリーダーの責任として、私から始末してもらえるかしら?』
如月警部
『綾女ちゃん!』
綾女 葵
『大丈夫よ、如月警部。これもリーダーとしての責任なのだから、これで私が消えてしまったとしても仕方が無いことだわ。』
そう言い終わると、葵は拾い上げた拳銃を男に手渡した。
拳銃を握りしめた男は葵に向かって銃口を向け、『じゃあ、望み通りにしてやるよ。』と不敵な笑みを浮かべたのであった。
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