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第1章「吹き返す呼吸」
吹き返す呼吸 その②
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不思議な少女と出逢ってから、初めて迎えた月曜日の朝。
高校の正面玄関で上履きに履き替える朱珠の姿があった。
朱珠が顔を上げると、一昨日出逢った、謎の少女が廊下に立っていた。
謎の少女
『随分ゆっくりとした登校ね。授業開始まで後5分よ。』
神原 朱珠
『ほんまに来てくれたんや!』
謎の少女
『出来ない約束はしないわ。』
謎の少女の顔を眺め、安堵の表情を浮かべる朱珠。
しかし階段の方から足音が聞こえて来た瞬間、朱珠は顔を強張らせながら慌てて階段の方へと走って行った。
階段の踊り場には、白髪の長い髪を靡かせた少女を筆頭に、両目が隠れる程の長い髪を垂らした少女と、朱珠のことを見下ろし含み笑いを浮かべている、髪の毛がぼさぼさな少女の姿があった。
白髪の少女達は、階段を降りると朱珠に近寄ってきた。
月下 美優(げっか みゆう)=白髪の少女
『おはよ。』
黒田 黎空(くろだ りあ)=ぼさぼさ髪の少女
『いつもの持って来てくれた?』
神原 朱珠
『もうお金無いから、無理言うたやろ。』
俯いたまま小さな声で返答する朱珠。
黒田 黎空
『はっ?』『じゃあ、私達に昼抜けって事?』
黎空が物凄い形相で朱珠に迫り寄り、朱珠は目に涙を浮かべている。
その光景を見兼ねた謎の少女が、朱珠の元へ近寄ろうとすると、美優が口を開いた。
月花 美優
『もう良いよ。また、この間と同じ話しを繰り返すつもり?』
『昼食ならコンビニで弁当でも買おうよ。少しくらいは金、持ってんだろ?』
黎空は美優を睨みつけ舌打ちをした後、朱珠に向かい『放課後は覚悟しといてよ』と言い、朱珠を突き飛ばして階段を上がっていった。
桃井 凛心(ももい りんご)=両目が隠れた少女
『あ~怖い怖い。』
凛心も黎空が階段を上がり切った少し後で、独り言を言いながら階段を上がっていった。
2人の階段を上がる足音が、聞こえなくなったことを確認した後、美優も階段を2段上がり、朱珠に背を向けたまま『いつまでも同じこと、やらせないでよ。』と言い、立ち去って行った。
謎の少女
『虐めに加担しているのは、あの3人だけ?』
『それとも他にも居るの?』
謎の少女は階段の踊り場を眺めながら、朱珠に近寄って来た。
神原 朱珠
『あの3人以外は、居らへん。』
謎の少女
『あなた昼食代まで払わされているの?』
神原 朱珠
『せやねん。お小遣いのある内はな。』
謎の少女
『休憩時間も集られるようなら、私の所に来ると良いわ。 私なら休憩時間内も、ずっと2年1組の教室に居るから。』
そう話すと、謎の少女は階段の踊り場を眺めながら、『放課後、蹴りをつけるわよ。』と言葉を発した。
神原 朱珠
『は⁈』『蹴り⁈』『無理やって‼︎』
『私もあんたもボコボコにされんで!』
謎の少女
『大丈夫よ。私に任せて。』
『それじゃあ、授業の後でね。待ってるわ。』
謎の少女は朱珠の方へ振り向き、手を振った後、階段を上がっていった。
------------------------
1限目の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響く中、謎の少女は、椅子に座ったまま廊下の方を眺めるも、2限目を終えても、朱珠の姿が教室に現れることは無かった。
3限目の終わりを迎えるチャイムが鳴り始め、教員が教室を出て行ったのを追うように、謎の少女は席を立ち早足で1年の教室へと向かったが、教室には、ぽつぽつと1年の生徒が残ってはいるものの、そこに朱珠の姿は無かった。
謎の少女は、朱珠を探しに屋上や校庭にも足を運んだものの、休憩時間内に朱珠の姿を見つける事ができないまま、昼休みを迎えることになったのであった。
------------------------
昼休みを終えるチャイムが鳴り響く中、教室に足を運ぶ朱珠。
教室の引き戸の斜め前に、少し曇った表情をした謎の少女が立っていた。
目が合った瞬間、俯く朱珠。
その姿を眺めながら近寄る謎の少女。
謎の少女
『何故、私から逃げるの?』
神原 朱珠
『迷惑を掛けたく無いねん!』
『私と居ったら、あんたまで・・・。』
謎の少女
『それなら、あなたが私から隠れ回るものだから、3限目が終わった後も、お昼休みもあなたを探し回って、もう既に迷惑を感じているわ。』
神原 朱珠
『さらっと綺麗な顔してキツい事言うなぁ。』
そう言いながらも、朱珠の心の中は少しだけ暖かい気持ちになっていた。
謎の少女
『あの白い髪の子がリーダーなのかしら?』
神原 朱珠
『うん。多分そうやと思う。せやけどな、最近はぼさぼさ髪の子の方が突っかかってくるようになってん。』
謎の少女
『それならそうと、上手く事を運ばないと、少し厄介な事になりそうね。』
神原 朱珠
『えっ!』
『まだこれ以上、厄介事に巻き込まれるん?』
謎の少女
『大丈夫。私を信じて。』
『ただ、あの白い髪の子は、あなたを必要としている感じがしたわ。』
神原 朱珠
『私を必要?』『どうゆうこと?』
2人が話していると4限目のチャイムが鳴り、引き戸を開き教員が顔を覗かせ、無表情で『授業が始まるぞ』と声を掛けて来た。
神原 朱珠
『はい!』『御免なさい!』
教員が顔を引っ込めて扉を閉じた後、謎の少女の顔を不安気な表情で眺める朱珠。
謎の少女
『お手洗い以外で教室を出ないこと。6限目が終わったら
私が教室に迎えに行くまで教室の中で待っていること。この2つは、ちゃんと守ってね。分かった?』
神原 朱珠
『分かった。約束する。』
2人は約束を交わした後、それぞれの教室へ戻っていった。
4限目の授業が終わり、5限目の授業が始まるまでの時間も、5限目の授業が終わってから、6限目の授業の開始を知らせるチャイムがなるまでの時間も、謎の少女は朱珠の友達を装い教室へと来てくれた。
しかしその行動を遠くから眺め、怪訝な表情を浮かべる黎空の存在もそこにはあったのであった。
高校の正面玄関で上履きに履き替える朱珠の姿があった。
朱珠が顔を上げると、一昨日出逢った、謎の少女が廊下に立っていた。
謎の少女
『随分ゆっくりとした登校ね。授業開始まで後5分よ。』
神原 朱珠
『ほんまに来てくれたんや!』
謎の少女
『出来ない約束はしないわ。』
謎の少女の顔を眺め、安堵の表情を浮かべる朱珠。
しかし階段の方から足音が聞こえて来た瞬間、朱珠は顔を強張らせながら慌てて階段の方へと走って行った。
階段の踊り場には、白髪の長い髪を靡かせた少女を筆頭に、両目が隠れる程の長い髪を垂らした少女と、朱珠のことを見下ろし含み笑いを浮かべている、髪の毛がぼさぼさな少女の姿があった。
白髪の少女達は、階段を降りると朱珠に近寄ってきた。
月下 美優(げっか みゆう)=白髪の少女
『おはよ。』
黒田 黎空(くろだ りあ)=ぼさぼさ髪の少女
『いつもの持って来てくれた?』
神原 朱珠
『もうお金無いから、無理言うたやろ。』
俯いたまま小さな声で返答する朱珠。
黒田 黎空
『はっ?』『じゃあ、私達に昼抜けって事?』
黎空が物凄い形相で朱珠に迫り寄り、朱珠は目に涙を浮かべている。
その光景を見兼ねた謎の少女が、朱珠の元へ近寄ろうとすると、美優が口を開いた。
月花 美優
『もう良いよ。また、この間と同じ話しを繰り返すつもり?』
『昼食ならコンビニで弁当でも買おうよ。少しくらいは金、持ってんだろ?』
黎空は美優を睨みつけ舌打ちをした後、朱珠に向かい『放課後は覚悟しといてよ』と言い、朱珠を突き飛ばして階段を上がっていった。
桃井 凛心(ももい りんご)=両目が隠れた少女
『あ~怖い怖い。』
凛心も黎空が階段を上がり切った少し後で、独り言を言いながら階段を上がっていった。
2人の階段を上がる足音が、聞こえなくなったことを確認した後、美優も階段を2段上がり、朱珠に背を向けたまま『いつまでも同じこと、やらせないでよ。』と言い、立ち去って行った。
謎の少女
『虐めに加担しているのは、あの3人だけ?』
『それとも他にも居るの?』
謎の少女は階段の踊り場を眺めながら、朱珠に近寄って来た。
神原 朱珠
『あの3人以外は、居らへん。』
謎の少女
『あなた昼食代まで払わされているの?』
神原 朱珠
『せやねん。お小遣いのある内はな。』
謎の少女
『休憩時間も集られるようなら、私の所に来ると良いわ。 私なら休憩時間内も、ずっと2年1組の教室に居るから。』
そう話すと、謎の少女は階段の踊り場を眺めながら、『放課後、蹴りをつけるわよ。』と言葉を発した。
神原 朱珠
『は⁈』『蹴り⁈』『無理やって‼︎』
『私もあんたもボコボコにされんで!』
謎の少女
『大丈夫よ。私に任せて。』
『それじゃあ、授業の後でね。待ってるわ。』
謎の少女は朱珠の方へ振り向き、手を振った後、階段を上がっていった。
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1限目の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響く中、謎の少女は、椅子に座ったまま廊下の方を眺めるも、2限目を終えても、朱珠の姿が教室に現れることは無かった。
3限目の終わりを迎えるチャイムが鳴り始め、教員が教室を出て行ったのを追うように、謎の少女は席を立ち早足で1年の教室へと向かったが、教室には、ぽつぽつと1年の生徒が残ってはいるものの、そこに朱珠の姿は無かった。
謎の少女は、朱珠を探しに屋上や校庭にも足を運んだものの、休憩時間内に朱珠の姿を見つける事ができないまま、昼休みを迎えることになったのであった。
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昼休みを終えるチャイムが鳴り響く中、教室に足を運ぶ朱珠。
教室の引き戸の斜め前に、少し曇った表情をした謎の少女が立っていた。
目が合った瞬間、俯く朱珠。
その姿を眺めながら近寄る謎の少女。
謎の少女
『何故、私から逃げるの?』
神原 朱珠
『迷惑を掛けたく無いねん!』
『私と居ったら、あんたまで・・・。』
謎の少女
『それなら、あなたが私から隠れ回るものだから、3限目が終わった後も、お昼休みもあなたを探し回って、もう既に迷惑を感じているわ。』
神原 朱珠
『さらっと綺麗な顔してキツい事言うなぁ。』
そう言いながらも、朱珠の心の中は少しだけ暖かい気持ちになっていた。
謎の少女
『あの白い髪の子がリーダーなのかしら?』
神原 朱珠
『うん。多分そうやと思う。せやけどな、最近はぼさぼさ髪の子の方が突っかかってくるようになってん。』
謎の少女
『それならそうと、上手く事を運ばないと、少し厄介な事になりそうね。』
神原 朱珠
『えっ!』
『まだこれ以上、厄介事に巻き込まれるん?』
謎の少女
『大丈夫。私を信じて。』
『ただ、あの白い髪の子は、あなたを必要としている感じがしたわ。』
神原 朱珠
『私を必要?』『どうゆうこと?』
2人が話していると4限目のチャイムが鳴り、引き戸を開き教員が顔を覗かせ、無表情で『授業が始まるぞ』と声を掛けて来た。
神原 朱珠
『はい!』『御免なさい!』
教員が顔を引っ込めて扉を閉じた後、謎の少女の顔を不安気な表情で眺める朱珠。
謎の少女
『お手洗い以外で教室を出ないこと。6限目が終わったら
私が教室に迎えに行くまで教室の中で待っていること。この2つは、ちゃんと守ってね。分かった?』
神原 朱珠
『分かった。約束する。』
2人は約束を交わした後、それぞれの教室へ戻っていった。
4限目の授業が終わり、5限目の授業が始まるまでの時間も、5限目の授業が終わってから、6限目の授業の開始を知らせるチャイムがなるまでの時間も、謎の少女は朱珠の友達を装い教室へと来てくれた。
しかしその行動を遠くから眺め、怪訝な表情を浮かべる黎空の存在もそこにはあったのであった。
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