光の速さで自爆する! 光の速さで動けるけど、生身の人間だから摩擦熱で死んじゃいます

キュロビ ラムダ

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朝の会

三話 ストーキング父さん

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 無事に身分証の確認も済み、釈放された父さんは、俺と一緒に警察署から家への帰路きろについていた。

 ちなみに母さんは、ついていくのもバカバカしいと、警察署に来てさえくれなかった。

「全く!なんだあの失礼な警察官!『十大神』の権限で首にしてやろうか……。」

 自分の父親ながら、権力の不正行使に余念がないなー。

「どう考えても父さんが悪いだろ。まず父さんがあんなことしなきゃ警察の厄介にもならなかったし、父さんがもっとちゃんとした格好してたら少しは信じてくれたと思うけど……。」

 父さんの服をじっと見てつくづく思う。

 父さんの服は馬鹿っぽすぎる。

 まだ春で肌寒いっていうのに白の安っぽいアロハシャツにラフな海パン、これまた安っぽいサングラスにビーチサンダル。

 その格好で海もないこの町を歩いていると、明らかに変人だ。

「なんだよ、そんなじろじろ見るなよ。服装なんて俺の勝手だろ」

 確かにそうだが、身内のことも少しは考えて欲しい。

 何度も注意したのだが、俺はこの服装じゃないと、俺じゃなくなるとか意味わからんことを言って、いつもうやむやにされる。

「あ、そうだ。いやー、さっきのことで後回しになってたけど、卒業おめでとうな!成績もいつも一番だったし毎日よく頑張ったなー」

 あ、やば、忘れてた。

 早くそのこと言わなきゃ。

「は、ははは。そ、そのことなんだけど────」

 モゴモゴして聞こえなかったらしく、俺の声を遮って父さんが。

「そういえば、卒業式で名前が呼ばれなかった奴がいるらしいんだよ」

「ふぇ⁈」

「しかもそいつ、卒業式が終わった後に応接室に呼ばれてたらしくて」

「ニョオ⁈」

「しばらくしたら出てきて、『単位とか知るかぁぁ!!』って叫んでから、ものすごい速さでトイレに行ってたらしいんだけど、流石に単位ぐらいは知ってるよなぁ」

「うぇ⁈あ、うん」

 思わず肯定してしまった。

 やばい、この後バレたら───

「だよなぁ、しかもその生徒の名前、大間光矢っていうんだよ」

 …………………………………………。

 父さんの方を向いて!

 拳をしっかりと握りしめて!

 渾身の力を込めて!

「知ってんのかぁい!!」

「ゲヘェ!」

 父さんが2メートルほど後方に吹っ飛ばされる。

 父さんがウザすぎて思わずお腹を殴ってしまった。

「お前何で知ってんだよ!俺のことストーキングでもしてたのかよ!」

 父さんは颯爽と立ち上がって、

「やっと気づいたか、5歳の頃からずっとストーキングしてきたんだぞ、彼女とのデートとか、フフッ、可愛かったなー」

「ふざけんな何してんだよ!あの時の『だれかの視線がして気持ち悪いから解散しましょう』はお前のせいだったのか!」

「ハッハッハー、何言ってんだよ、親が子供のことストーキングするのなんて当たり前だろぅふりゅぇぇ!!」

 今度はイラついて顔面を殴ってしまった。

 いけないいけない、父さんみたいになってる。

 父さんみたいには絶対ならないと、3歳の頃に硬く決意したのに

「全く、子供のこと5歳の頃からストーキングする親なんてそうそういねぇだろ!」


  〈一般常識である〉


「うそつけぇぇぇぇい!何だよこれ!ふざけんじゃねぇよ!どっから持ってきたんだよこれ!絶対嘘だろ!」 

 父さんは落ち着き払って、立ち上がり。

「やるな、光矢。これは『十大神』の権力で用意させたものだ。それにしてもよく気付いたな」

「『十大神』の権力をそんなしょうもないことに使うなぁぁ!」

 『十大神』は世界を救った英雄だ。

 人間界でいうところの、『嵐』で『徳川家康』で『仮面ライダー』で『プリキュア』で『大統領』なのだ。

 つまり、『国民的アイドル』で『歴史的な偉人』で『戦いの天才』で『子供たちの憧れ』で『神たちをまとめる偉い人』なのだ。

 それぐらい『十大神』はすごいのだ。

 その権力を……ストーキングを正当化するために使うなんて……。

 『仮面ライダー』が「ストーキングは正義だ!」とか言ってたらどう思う?

 悲しくない?

 世界中の子供達がかわいそうだ。

「全く……。もうこういうことに十大神の権力を使うなよ」

「何を言う!権力とはこういうときに使───ハッ!危ない危ない。話をずらそうたってそうはいかんぞ。応接室で何を言われたんだ?」

 別に話をずらそうとしてたわけじゃないんだが………

 父さんに事情を聞かれた俺は、卒業できなかったこと。

 卒業するために学校の先生をやるということ。

 その学校が人間界にあるというところまで話した。

 すると父さんが驚いて、

「偶然だな俺も人間界に行くことになったんだよ」

 俺も驚いて、

「は?何で父さんが人間界に行くことになったんだよ」

「さっき警察署で、俺が仕事が決まったからってわめいてたろ?」

 わめいてる自覚はあるんだ……。

「確かにそんなことも言ってたな……。それがどうしたの?」

 父さんは十大神の仕事の一線から退いてからはずっと食っちゃ寝のフリーターだった。

「いやー、偶然にも俺も学校の教師になるんだよ」

 ん?

 嫌な予感がする!

 ま、まさかな……

「俺が教師をする学校は『日本国立土田旗学園都市所属針葉学校』の女子中等部なんだけど……」

「おお!偶然だなぁ!俺も同じ学校だよ!」

「十大神の権力は?」

「使った。わざわざ暗部に連絡して……って、おい、そんな睨にらむなよ……。お前が怒るとほんとシャレにならないから!ヤバイヤバイ!死んじゃ──」

「『聖なる拳』ォォォ!!!」 

 ん?

 この技の強さ?

 神滅級に決まってんじゃん。



 この後、俺は警察署へ

 父さんは全治1ヶ月の重傷を負った。

 学校に来るのは遅れるらしいが、結局教師はやるらしい。

 いっそクビになれば良かったのに……。
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