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2章 城下編
3. おかえり。ただいま。
初日に採取した薬草は、30バークで買い取ってもらえた。果物3つ分だ。
私の泊まっている宿が1泊いくらなのか知らないが、新人の冒険者はこれでやっていけるのだろうか。
翌日からは、午前中のみ薬草採取をして、昼の馬車で帰ってきている。要領も分かったので午前中だけでも果物2つ分にはなる。
1日中腰で薬草を摘むのがしんどかったし、筋肉痛は翌日には出ないし、一度腰が痛くなるとしばらく治らないお年頃なのだ。無理をしてはいけない。
冒険者たちの顔見知りが増えてくると、いろいろな話を聞かせてくれる。例えば聖女様の話も。
「北のほうはだいぶ浄化されたらしい」
「へえ。聖女様ってすごいのねえ」
「おかげで、北のほうの冒険者の仕事があがったりらしいぜ」
冒険者も聖女様の話題にはみんな興味があるらしく、誰かが話始めるといろいろと噂話が出てくる。
冒険者は魔物を狩って、その素材を収入源としている人も多いので、浄化が進むと仕事がなくなる人もいるようだ。
「じゃあ冒険者としてはあまり浄化されないほうがいいの?」
「そうでもない。数は減るけどいなくなるわけじゃないし、弱くなるから倒しやすくなる」
「でも聖女様、身体が弱いって噂だぞ。浄化して倒れたんだとか」
思わずレイ君を見たが、特に反応を返してくれなかった。今行っている先でまた倒れたわけじゃないよね?
今回は1か月くらい街を転々としてから帰ってくることになっているので、心配だ。
薬草採取中に聞くと、そういう情報は入ってきてないと言われたので、多分初回のことなんだろう。
それからも、午前中は薬草採取をして、午後は市場に行ったり街中を散策したり、のんびりと過ごしているうちに、理沙が浄化の旅から帰ってくるとレイ君が教えてくれた。
「マサコさん、その服で王城に行くのですか?」
「ああ、そうね。お城でもらった服のほうがよかったわね。ちょっと着替えてくるわ」
最近古着に慣れていたので、そのままの格好で王城に行こうとして、レイ君に止められてしまった。
くたくたになった綿は、肌触りもいいし、汗もよく吸う。織りは均一ではないけれど、それがいい味を出している。
でもこの格好で行くと、入り口で止められそうだ。お城に着いたらどうせ着替えるけど、Tシャツ短パンで出勤したら、ビルの入り口の警備員さんに止められるのと同じだろう。
お城について、お城に置いたままにしていたドレスを着て、理沙の出迎えの団体の隅のほうに立った。中心には王太子がいるので、相変わらず諦めてないのだろう。
「お母さん!」
「理沙、おかえり。大丈夫だった?また倒れたりしていない?」
「ただいま。大丈夫。心配性だなあ。お母さんの話も聞かせてね」
馬車から降りた理沙が、私を見つけて走ってきて抱き着いた。こんなこと初めてだ。離れて不安だったのかもしれない。
いきなり手を放したことに申し訳ない気持ちが湧いて、理沙の背中を撫でながら、ひとりでよく頑張ったね、お疲れ様と何度も声をかける。
おかえり。ただいま。
当たり前のようにそう言えることが、とても嬉しくて、切ない。
出迎えに出ていた王太子に対して理沙は塩対応で、話しかけられても挨拶だけ返して話を切り上げた。
そして、この1か月何をやっていたのか話してとねだられて、話しながら理沙の部屋に向かって歩き始める。
そんな私たちに周りが少しざわめいている。どうも理沙と私が仲違いして私がお城から追い出されたと思っていたらしい。
「ええー、じゃあお母さん、本当に冒険者やってるの?」
「そうよ。理沙が異世界なら冒険者でしょう、って言ってたから。毎日薬草採取に行ってるわ。全然お金にならないけど、冒険者のお友達はたくさんできたのよ。そうそう、紹介しておくわ。私の護衛のレイ君」
「レイさん、お母さんの事お願いしますね」
「命に代えましても」
レイ君が大真面目に答えているけど、それこそイケメンの無駄遣いなので、命はかけなくていい。
部屋に着くと、男性の騎士たちは扉の外に待機し、女性騎士だけ部屋に入った。レイ君も私がここにいる間は任務から外れてお休みだそうだ。
「エルちゃん、リンちゃん、理沙を守ってくれてありがとう。理沙、大丈夫だったかしら?」
「はい。いつもとお変わりなく、5つの街で浄化をされました」
「よかったわ。これからもよろしくね」
理沙が着替えに行っている間に、女性騎士見習いの子たちから旅の様子を聞いてみたが、特に変わったことはなかったようだ。よかった。
私の泊まっている宿が1泊いくらなのか知らないが、新人の冒険者はこれでやっていけるのだろうか。
翌日からは、午前中のみ薬草採取をして、昼の馬車で帰ってきている。要領も分かったので午前中だけでも果物2つ分にはなる。
1日中腰で薬草を摘むのがしんどかったし、筋肉痛は翌日には出ないし、一度腰が痛くなるとしばらく治らないお年頃なのだ。無理をしてはいけない。
冒険者たちの顔見知りが増えてくると、いろいろな話を聞かせてくれる。例えば聖女様の話も。
「北のほうはだいぶ浄化されたらしい」
「へえ。聖女様ってすごいのねえ」
「おかげで、北のほうの冒険者の仕事があがったりらしいぜ」
冒険者も聖女様の話題にはみんな興味があるらしく、誰かが話始めるといろいろと噂話が出てくる。
冒険者は魔物を狩って、その素材を収入源としている人も多いので、浄化が進むと仕事がなくなる人もいるようだ。
「じゃあ冒険者としてはあまり浄化されないほうがいいの?」
「そうでもない。数は減るけどいなくなるわけじゃないし、弱くなるから倒しやすくなる」
「でも聖女様、身体が弱いって噂だぞ。浄化して倒れたんだとか」
思わずレイ君を見たが、特に反応を返してくれなかった。今行っている先でまた倒れたわけじゃないよね?
今回は1か月くらい街を転々としてから帰ってくることになっているので、心配だ。
薬草採取中に聞くと、そういう情報は入ってきてないと言われたので、多分初回のことなんだろう。
それからも、午前中は薬草採取をして、午後は市場に行ったり街中を散策したり、のんびりと過ごしているうちに、理沙が浄化の旅から帰ってくるとレイ君が教えてくれた。
「マサコさん、その服で王城に行くのですか?」
「ああ、そうね。お城でもらった服のほうがよかったわね。ちょっと着替えてくるわ」
最近古着に慣れていたので、そのままの格好で王城に行こうとして、レイ君に止められてしまった。
くたくたになった綿は、肌触りもいいし、汗もよく吸う。織りは均一ではないけれど、それがいい味を出している。
でもこの格好で行くと、入り口で止められそうだ。お城に着いたらどうせ着替えるけど、Tシャツ短パンで出勤したら、ビルの入り口の警備員さんに止められるのと同じだろう。
お城について、お城に置いたままにしていたドレスを着て、理沙の出迎えの団体の隅のほうに立った。中心には王太子がいるので、相変わらず諦めてないのだろう。
「お母さん!」
「理沙、おかえり。大丈夫だった?また倒れたりしていない?」
「ただいま。大丈夫。心配性だなあ。お母さんの話も聞かせてね」
馬車から降りた理沙が、私を見つけて走ってきて抱き着いた。こんなこと初めてだ。離れて不安だったのかもしれない。
いきなり手を放したことに申し訳ない気持ちが湧いて、理沙の背中を撫でながら、ひとりでよく頑張ったね、お疲れ様と何度も声をかける。
おかえり。ただいま。
当たり前のようにそう言えることが、とても嬉しくて、切ない。
出迎えに出ていた王太子に対して理沙は塩対応で、話しかけられても挨拶だけ返して話を切り上げた。
そして、この1か月何をやっていたのか話してとねだられて、話しながら理沙の部屋に向かって歩き始める。
そんな私たちに周りが少しざわめいている。どうも理沙と私が仲違いして私がお城から追い出されたと思っていたらしい。
「ええー、じゃあお母さん、本当に冒険者やってるの?」
「そうよ。理沙が異世界なら冒険者でしょう、って言ってたから。毎日薬草採取に行ってるわ。全然お金にならないけど、冒険者のお友達はたくさんできたのよ。そうそう、紹介しておくわ。私の護衛のレイ君」
「レイさん、お母さんの事お願いしますね」
「命に代えましても」
レイ君が大真面目に答えているけど、それこそイケメンの無駄遣いなので、命はかけなくていい。
部屋に着くと、男性の騎士たちは扉の外に待機し、女性騎士だけ部屋に入った。レイ君も私がここにいる間は任務から外れてお休みだそうだ。
「エルちゃん、リンちゃん、理沙を守ってくれてありがとう。理沙、大丈夫だったかしら?」
「はい。いつもとお変わりなく、5つの街で浄化をされました」
「よかったわ。これからもよろしくね」
理沙が着替えに行っている間に、女性騎士見習いの子たちから旅の様子を聞いてみたが、特に変わったことはなかったようだ。よかった。
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