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3章 トルゴード編
1. 再会
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「聖女様、ここから先はトルゴード王国の騎士が護衛いたします。どうぞあちらの馬車にお乗り換えをお願いします」
レイ君に言われて馬車から降りると、次の馬車が待っていた。その手前に立っている人に見覚えがある。
「理沙、彼女よ。ハンカチをくれた人」
「え?あの人が宿に泊まりに来たの?」
「あの時は裕福な庶民って感じだったけど」
そういえば一応貴族だと言っていた。言っていたが、一応どころではなく、どう見てもまぎれもない貴族のご令嬢じゃないの。
「聖女様のお越し、誠に有難く存じます。妻のナスターシャが道中の聖女様のお相手を務めさせていただきます」
「ハジメマシテ、ナスターシャ、ト、モウシマス」
「日本語……」
片言の日本語が、翻訳されないからこそ、逆に日本語として認識される。
理沙が驚いているが、私も信じられなかったからよく分かる。
あの時はゆっくり話せなかったし、彼女が何者なのか知りたいが、誰が聞いているか分からないところでする話ではない。
意識してこちらの言葉で自己紹介を済ませたところで、馬車へと誘導された。
でもその前に、レイ君にさよならを言おう。レイ君が護衛をしてここまで送ってくれなければ、きっと無事に出国はできなかったから。
「レイ君、ずっと付き合ってくれてありがとう。元気でね」
「レイさん、ありがとうございました」
勝手をしたと罪に問われないといいのだけれど。
ローズとは先にお別れを済ませてある。
ローズがいてくれたから、お城に理沙をひとり残して出ることが出来た。理沙が姉のように慕っているし、可能なら一緒に来て欲しかったけど、家族もいるだろうし無理は言えない。
この国にされたことは許せないけど、この国の人に助けられたのも事実だ。
浄化が途中のままでこの国を離れることになって彼らの安全も心配だが、それ以上に理沙に恨みが向かないか、それが最大の懸念事項だ。
トルゴードの馬車には、ナスターシャさんも一緒に乗り込んだので、馬車の中は3人だ。
理沙と私だけの予定だったみたいだけど、できればナスターシャさんの話を聞きたいので、一緒に乗ってもらえるようお願いした。
そして自己紹介を聞くと、ナスターシャさんはトルゴードの公爵家の若奥様だった。身分制度にはあまり詳しくないけど、あんな風に旅をしていい身分じゃない気がする。
宿で名乗っていたターシャと呼んでいいと言われたので、ターシャちゃんと呼ばせてもらおう。理沙は、聖女様でも理沙様でもなく、理沙と呼んでほしいとお願いしたけど、さすがにそれは無理なようだ。
「え、ターシャさん19歳なんですか?大人っぽいからもっと上だと思ってました」
「前世は30代くらいまでの記憶があるので、合わせると50歳くらいですよ」
「あら、私と一緒じゃない。でも実際は理沙と1歳違いなのね」
「じゃあ理沙さんは、日本ではまだ未成年ですね」
「ターシャさん、令和になって成人年齢は18歳になったんですよ」
平成が終わって令和になったことにも驚いている。
ターシャちゃんは昭和と平成の記憶があると言っていたので、令和になる前に亡くなったのかもしれない。
「19歳で結婚って、この世界では普通なんですか?」
「普通ですね。18歳で成人するとすぐに結婚します。ただ、トルゴードは少し特殊です」
ターシャちゃんはトルゴードの2つ隣の国の出身で、結婚のためにトルゴードに来て、まだ1年弱だそうだ。今は官吏養成学校に通っている。
そのトルゴードは、女性も活躍する珍しい国らしい。
「トルゴードは魔物の大量発生で人材が足りなくなった時に、女性と平民の登用を進めました。近隣諸国では一番日本に近いと思いますよ」
「官吏養成学校って何するんですか?」
「国家公務員になるための専門学校です。養成学校は、医師、薬師、官吏、騎士と4つありますが、卒業が日本で言うと国家試験にあたります。騎士は警察学校ですね」
ターシャちゃんが、日本に置き換えて説明してくれるので、とても分かりやすい。
結婚してから養成学校に通っているのは、日本で結婚して大学に通うのと同じくらいの感じで、珍しいがいないわけでもないらしい。
理沙も今まで疑問に思っていたことなどを、ここぞとばかりに聞いている。
この世界に来て、理沙が初対面からこんなに誰かに打ち解けることはなかった。
「ターシャさん、私、浄化をする代わりに自由を保障してもらいたいんです」
「理沙さん、その前にクインス王国で何が嫌だったかを聞いてもいいですか?政子さんも」
確かにそれは重要だわ。結局クインス王国を信用できなかった理由はそこだ。
王太子は論外だが、私はやはりお城でプライバシーがないのが一番気になった。
理沙もやはりプライバシーと、後はパーティーへのお誘いが面倒だと言っている。私が浄化の旅に同行しなくなってから、ローズでは断り切れず、何度もパーティーに誘われていた。
「プライバシーは難しいところですね。警護のためにはある程度は仕方のない面があります」
「理沙とふたりで話したことが、王様に知られていたり、そういうのがちょっと。日本語で話そうと思わないと、どうもこちらの言葉になっているみたいで」
「言葉は意識して切り替えているわけではないのですね」
ターシャちゃんは、交渉の場を設けるからそこで今の話をすれば、聖女様に滞在してもらいたいトルゴードが落としどころ見つけると言ってくれた。
ターシャちゃんの旦那さんのお父さんは宰相らしいので、その言葉は信用できるだろう。
レイ君に言われて馬車から降りると、次の馬車が待っていた。その手前に立っている人に見覚えがある。
「理沙、彼女よ。ハンカチをくれた人」
「え?あの人が宿に泊まりに来たの?」
「あの時は裕福な庶民って感じだったけど」
そういえば一応貴族だと言っていた。言っていたが、一応どころではなく、どう見てもまぎれもない貴族のご令嬢じゃないの。
「聖女様のお越し、誠に有難く存じます。妻のナスターシャが道中の聖女様のお相手を務めさせていただきます」
「ハジメマシテ、ナスターシャ、ト、モウシマス」
「日本語……」
片言の日本語が、翻訳されないからこそ、逆に日本語として認識される。
理沙が驚いているが、私も信じられなかったからよく分かる。
あの時はゆっくり話せなかったし、彼女が何者なのか知りたいが、誰が聞いているか分からないところでする話ではない。
意識してこちらの言葉で自己紹介を済ませたところで、馬車へと誘導された。
でもその前に、レイ君にさよならを言おう。レイ君が護衛をしてここまで送ってくれなければ、きっと無事に出国はできなかったから。
「レイ君、ずっと付き合ってくれてありがとう。元気でね」
「レイさん、ありがとうございました」
勝手をしたと罪に問われないといいのだけれど。
ローズとは先にお別れを済ませてある。
ローズがいてくれたから、お城に理沙をひとり残して出ることが出来た。理沙が姉のように慕っているし、可能なら一緒に来て欲しかったけど、家族もいるだろうし無理は言えない。
この国にされたことは許せないけど、この国の人に助けられたのも事実だ。
浄化が途中のままでこの国を離れることになって彼らの安全も心配だが、それ以上に理沙に恨みが向かないか、それが最大の懸念事項だ。
トルゴードの馬車には、ナスターシャさんも一緒に乗り込んだので、馬車の中は3人だ。
理沙と私だけの予定だったみたいだけど、できればナスターシャさんの話を聞きたいので、一緒に乗ってもらえるようお願いした。
そして自己紹介を聞くと、ナスターシャさんはトルゴードの公爵家の若奥様だった。身分制度にはあまり詳しくないけど、あんな風に旅をしていい身分じゃない気がする。
宿で名乗っていたターシャと呼んでいいと言われたので、ターシャちゃんと呼ばせてもらおう。理沙は、聖女様でも理沙様でもなく、理沙と呼んでほしいとお願いしたけど、さすがにそれは無理なようだ。
「え、ターシャさん19歳なんですか?大人っぽいからもっと上だと思ってました」
「前世は30代くらいまでの記憶があるので、合わせると50歳くらいですよ」
「あら、私と一緒じゃない。でも実際は理沙と1歳違いなのね」
「じゃあ理沙さんは、日本ではまだ未成年ですね」
「ターシャさん、令和になって成人年齢は18歳になったんですよ」
平成が終わって令和になったことにも驚いている。
ターシャちゃんは昭和と平成の記憶があると言っていたので、令和になる前に亡くなったのかもしれない。
「19歳で結婚って、この世界では普通なんですか?」
「普通ですね。18歳で成人するとすぐに結婚します。ただ、トルゴードは少し特殊です」
ターシャちゃんはトルゴードの2つ隣の国の出身で、結婚のためにトルゴードに来て、まだ1年弱だそうだ。今は官吏養成学校に通っている。
そのトルゴードは、女性も活躍する珍しい国らしい。
「トルゴードは魔物の大量発生で人材が足りなくなった時に、女性と平民の登用を進めました。近隣諸国では一番日本に近いと思いますよ」
「官吏養成学校って何するんですか?」
「国家公務員になるための専門学校です。養成学校は、医師、薬師、官吏、騎士と4つありますが、卒業が日本で言うと国家試験にあたります。騎士は警察学校ですね」
ターシャちゃんが、日本に置き換えて説明してくれるので、とても分かりやすい。
結婚してから養成学校に通っているのは、日本で結婚して大学に通うのと同じくらいの感じで、珍しいがいないわけでもないらしい。
理沙も今まで疑問に思っていたことなどを、ここぞとばかりに聞いている。
この世界に来て、理沙が初対面からこんなに誰かに打ち解けることはなかった。
「ターシャさん、私、浄化をする代わりに自由を保障してもらいたいんです」
「理沙さん、その前にクインス王国で何が嫌だったかを聞いてもいいですか?政子さんも」
確かにそれは重要だわ。結局クインス王国を信用できなかった理由はそこだ。
王太子は論外だが、私はやはりお城でプライバシーがないのが一番気になった。
理沙もやはりプライバシーと、後はパーティーへのお誘いが面倒だと言っている。私が浄化の旅に同行しなくなってから、ローズでは断り切れず、何度もパーティーに誘われていた。
「プライバシーは難しいところですね。警護のためにはある程度は仕方のない面があります」
「理沙とふたりで話したことが、王様に知られていたり、そういうのがちょっと。日本語で話そうと思わないと、どうもこちらの言葉になっているみたいで」
「言葉は意識して切り替えているわけではないのですね」
ターシャちゃんは、交渉の場を設けるからそこで今の話をすれば、聖女様に滞在してもらいたいトルゴードが落としどころ見つけると言ってくれた。
ターシャちゃんの旦那さんのお父さんは宰相らしいので、その言葉は信用できるだろう。
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