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3章 トルゴード編
11. 懐かしい人たち
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「ローズ!」
「理沙様、お久しぶりです。お元気そうで嬉しく思います」
ターシャちゃんのお姉さんの次はローズとレイ君との面会だ。
理沙はあれからどうしてたの?とローズを質問攻めにしている。
「レイ君、久しぶりね。あの後怒られなかった?」
「聖女様からの感謝の書状が届きましたので。ありがとうございました」
「いいのよ。こちらこそ助けてもらったんだし」
私たちが脱出した後のクインスについて聞くと、レイ君のお父さんがここぞとばかりに宰相の失態を指摘して追い落とし、成り代わったらしい。こっちも宮廷ドラマだった。
しかも今更知ったけど、レイ君は公爵家のご令息だった。私の護衛なんてしていい人材じゃないでしょ。
「ミュラさんの宿は、聖女様の話を聞きたい旅人で人気ですよ」
「宿を取り上げられたりしていないのね。よかった」
「そのようなことをすれば、国民からの反発を買いますよ。ところで、陛下からマサコさんへの書状を預かっています」
「理沙にじゃなくて?」
「いえ、マサコさんにです」
私の一存で受け取っていいのか分からずターシャちゃんを見ると、頷かれたので受け取った。
読んでみると、残りの浄化をしてもらえると嬉しいが無理は言わない、というものだった。
あの元王太子はとある離宮に幽閉されているらしい。
でも後でこっそりターシャちゃんが教えてくれたけど、こういう場合はそのうち病死が発表されるんだとか。宮廷ドラマ、怖い。
「クインスの人は理沙のことを悪く思ってない?大丈夫?」
「辛い思いをされながらも瘴気のひどい部分は浄化をしてくださったと、皆感謝しております。大丈夫ですよ」
「どうするかは理沙と相談するわ」
「ありがとうございます」
検討すると聞いてレイ君がホッとしている。
この人選も、私に話を持ってきたのも、多分レイ君の話を聞いたうえでの判断だろう。きっと他の人が来たのだったらこうして面会もしなかったし、書状だって受け取らなかった。
あのお気楽国王の案じゃなさそうだから、腹黒レイパパ宰相かしらね。侮れないわ。
理沙はローズとまだ楽しそうに話している。
「ねえ、レイ君、ターシャちゃん、もしローズが希望して可能だったらなんだけど、ローズに理沙のそばにいてもらうことはできるかしら?」
「侍女として、ということですね。確認しておきます」
「クインスには断る理由はありません」
所属とかいろいろ面倒なことがありそうなので無理は言えない。単純に国外出張ってわけにもいかないだろうし、移籍となると条件とか面倒そうだし、家族の事情もあるだろうし。
でもローズのことを姉のように慕っていた理沙のそばにいてくれると、これほど心強いことはない。
それにいつまでも公爵家の若奥様であるターシャちゃんに侍女のようなことをさせるわけにもいかないしね。
理沙の派遣は、トルゴードから見て東のクインス、南のベイロール、西のローズモスの3つの国で調整している。ローズモスは半分旅行だけど。
魔物は、その素材が資源として利用されているので、全くいなくなっても困る。けれど増えすぎると住民に被害が出るので抑えなければならない。
トルゴードと理沙が派遣される3つの国は、そのバランスが崩れているので、瘴気を薄くして魔物の発生を抑えるけれど、他の国は必要ないそうだ。
他の国からの派遣要請は、魔物の対応というよりも、来てもらって理沙が気に入って住んでくれればというお誘いらしい。理沙がクインスからトルゴードに移動したので、あわよくば自分の国に、というものだった。
護衛はトルゴードが付けてくれている騎士たちが一緒に行けるように、派遣先の国とも調整してくれている。
移動の馬車がしんどいと言ったことを考慮してくれたようで、トルゴード国内のクインス側の浄化後そのままクインスへ、ベイロール側の浄化後はベイロールへ、という感じで移動距離が一番短くなるようにする予定だ。
かなり長期の旅になりそうなので、騎士だけでなく身の回りの世話をする人など一緒に行く人たちの調整が大変そうだ。聖女様の移動とあってそれなりの体裁が必要なのだ。
「浄化が終わっても、理沙が住んでいるとその国にいいことがあるの?」
「そうですね。聖女様が気に入ってくださった国、という宣伝にもなりますし、もしまた瘴気が増えた場合にはすぐに対応してもらえます」
「過去の資料を見る限り後から増えたことはなさそうだったけど、ないとは言えないものね」
「それに……、お子様が浄化の力を受け継がないとは言い切れません。クインスの王族は情報を秘匿していますので」
できることなら王族にその血を入れてしまいたいというのが本音らしい。例え浄化の力が受け継がれなくても、神の祝福を受けた聖女の血を継ぐ王族というステータスのために。
ただ、この国には理沙と同年代の独身の王族がいない。重婚はあり得ないというのをターシャちゃんが伝えてくれているので、この国の王族からのお誘いは今後もないそうだ。
「個人的には他の世界の人との間に子どもができるのかは不明だと思いますが」
「……ターシャちゃん、理沙で実験したら許さないからね?」
「もちろんです。そのような実験、日本でも倫理審査を通りません」
「私は子どもができないかもしれないってことですか?」
「私が知る限り人体の構造に違いはなさそうですが、体内の事は分かりませんので、その可能性も否定できません」
要は分からないってことでしょう。言い回しが科学者ね。
クインスの過去の聖女の記録では子どもを産んだ人もいたけど、出身が日本というか地球からかどうかは分からないから何とも言えない。
でもターシャちゃん、ちょっとマッドサイエンティストの気質がありそうで心配だわ。理沙を泣かせるようなことはしないでしょうけど、ジェン君は振り回されそうねえ。
「理沙の未来のお相手はどんな人かしら」
「お母さんもよ。新しいことに挑戦って言ってたじゃない」
「いいですね。どういう方がお好みですか?紹介するよう義母に伝えておきますよ」
流れ弾にあたってしまった。ターシャちゃんがノリノリだ。
でもそうねえ。好みはやっぱり、異世界にいきなり飛ばされても頼りになる人、で決まりよ。
「理沙様、お久しぶりです。お元気そうで嬉しく思います」
ターシャちゃんのお姉さんの次はローズとレイ君との面会だ。
理沙はあれからどうしてたの?とローズを質問攻めにしている。
「レイ君、久しぶりね。あの後怒られなかった?」
「聖女様からの感謝の書状が届きましたので。ありがとうございました」
「いいのよ。こちらこそ助けてもらったんだし」
私たちが脱出した後のクインスについて聞くと、レイ君のお父さんがここぞとばかりに宰相の失態を指摘して追い落とし、成り代わったらしい。こっちも宮廷ドラマだった。
しかも今更知ったけど、レイ君は公爵家のご令息だった。私の護衛なんてしていい人材じゃないでしょ。
「ミュラさんの宿は、聖女様の話を聞きたい旅人で人気ですよ」
「宿を取り上げられたりしていないのね。よかった」
「そのようなことをすれば、国民からの反発を買いますよ。ところで、陛下からマサコさんへの書状を預かっています」
「理沙にじゃなくて?」
「いえ、マサコさんにです」
私の一存で受け取っていいのか分からずターシャちゃんを見ると、頷かれたので受け取った。
読んでみると、残りの浄化をしてもらえると嬉しいが無理は言わない、というものだった。
あの元王太子はとある離宮に幽閉されているらしい。
でも後でこっそりターシャちゃんが教えてくれたけど、こういう場合はそのうち病死が発表されるんだとか。宮廷ドラマ、怖い。
「クインスの人は理沙のことを悪く思ってない?大丈夫?」
「辛い思いをされながらも瘴気のひどい部分は浄化をしてくださったと、皆感謝しております。大丈夫ですよ」
「どうするかは理沙と相談するわ」
「ありがとうございます」
検討すると聞いてレイ君がホッとしている。
この人選も、私に話を持ってきたのも、多分レイ君の話を聞いたうえでの判断だろう。きっと他の人が来たのだったらこうして面会もしなかったし、書状だって受け取らなかった。
あのお気楽国王の案じゃなさそうだから、腹黒レイパパ宰相かしらね。侮れないわ。
理沙はローズとまだ楽しそうに話している。
「ねえ、レイ君、ターシャちゃん、もしローズが希望して可能だったらなんだけど、ローズに理沙のそばにいてもらうことはできるかしら?」
「侍女として、ということですね。確認しておきます」
「クインスには断る理由はありません」
所属とかいろいろ面倒なことがありそうなので無理は言えない。単純に国外出張ってわけにもいかないだろうし、移籍となると条件とか面倒そうだし、家族の事情もあるだろうし。
でもローズのことを姉のように慕っていた理沙のそばにいてくれると、これほど心強いことはない。
それにいつまでも公爵家の若奥様であるターシャちゃんに侍女のようなことをさせるわけにもいかないしね。
理沙の派遣は、トルゴードから見て東のクインス、南のベイロール、西のローズモスの3つの国で調整している。ローズモスは半分旅行だけど。
魔物は、その素材が資源として利用されているので、全くいなくなっても困る。けれど増えすぎると住民に被害が出るので抑えなければならない。
トルゴードと理沙が派遣される3つの国は、そのバランスが崩れているので、瘴気を薄くして魔物の発生を抑えるけれど、他の国は必要ないそうだ。
他の国からの派遣要請は、魔物の対応というよりも、来てもらって理沙が気に入って住んでくれればというお誘いらしい。理沙がクインスからトルゴードに移動したので、あわよくば自分の国に、というものだった。
護衛はトルゴードが付けてくれている騎士たちが一緒に行けるように、派遣先の国とも調整してくれている。
移動の馬車がしんどいと言ったことを考慮してくれたようで、トルゴード国内のクインス側の浄化後そのままクインスへ、ベイロール側の浄化後はベイロールへ、という感じで移動距離が一番短くなるようにする予定だ。
かなり長期の旅になりそうなので、騎士だけでなく身の回りの世話をする人など一緒に行く人たちの調整が大変そうだ。聖女様の移動とあってそれなりの体裁が必要なのだ。
「浄化が終わっても、理沙が住んでいるとその国にいいことがあるの?」
「そうですね。聖女様が気に入ってくださった国、という宣伝にもなりますし、もしまた瘴気が増えた場合にはすぐに対応してもらえます」
「過去の資料を見る限り後から増えたことはなさそうだったけど、ないとは言えないものね」
「それに……、お子様が浄化の力を受け継がないとは言い切れません。クインスの王族は情報を秘匿していますので」
できることなら王族にその血を入れてしまいたいというのが本音らしい。例え浄化の力が受け継がれなくても、神の祝福を受けた聖女の血を継ぐ王族というステータスのために。
ただ、この国には理沙と同年代の独身の王族がいない。重婚はあり得ないというのをターシャちゃんが伝えてくれているので、この国の王族からのお誘いは今後もないそうだ。
「個人的には他の世界の人との間に子どもができるのかは不明だと思いますが」
「……ターシャちゃん、理沙で実験したら許さないからね?」
「もちろんです。そのような実験、日本でも倫理審査を通りません」
「私は子どもができないかもしれないってことですか?」
「私が知る限り人体の構造に違いはなさそうですが、体内の事は分かりませんので、その可能性も否定できません」
要は分からないってことでしょう。言い回しが科学者ね。
クインスの過去の聖女の記録では子どもを産んだ人もいたけど、出身が日本というか地球からかどうかは分からないから何とも言えない。
でもターシャちゃん、ちょっとマッドサイエンティストの気質がありそうで心配だわ。理沙を泣かせるようなことはしないでしょうけど、ジェン君は振り回されそうねえ。
「理沙の未来のお相手はどんな人かしら」
「お母さんもよ。新しいことに挑戦って言ってたじゃない」
「いいですね。どういう方がお好みですか?紹介するよう義母に伝えておきますよ」
流れ弾にあたってしまった。ターシャちゃんがノリノリだ。
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