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5章 浄化の旅編
6. 宝石
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国内だけをめぐる浄化の旅は順調に進み、お城に戻ってきた。
移動ばかりで疲れないようにとゆったり取られた日程で、街中へ遊びに行くことは叶わないけれど、まるまるオフの日はこの国の文字を書く練習をしたり、理沙が描く絵を見たり楽しく過ごせていた。
次の旅は国内を浄化して、そのまま国境を越えて南のベイロールへ行く。
お城では私たちが旅にでている間に、ベイロールに持っていく荷物や人員の調整がなされていた。今回の旅は国内だったのでパーティーや食事会は全て断ったけど、次はそうもいかない。最低限ベイロールの王様主催の歓迎会には出ないといけない。
ということで、帰ってきて早々にドレス合わせだ。王妃様とターシャちゃんのお義母さんが理沙に合うこの国の流行のドレスを仕立ててくれているので、その中からどれを持って行くか選んで、サイズの調整だ。
この国でのお披露目会では着物をアレンジしたドレスだったけど、今度はこの国から派遣されるので、この国のドレスを着用することで仲の良さのアピールをする。
「聖女様にはこちらの色のほうが合いますね」
「でしたら宝石はこちらにしましょう」
周りにたくさん置かれた高価な宝石に理沙の顔が引きつっている。この国の所有の宝石のうち、選りすぐりの物が並べられているので、キラキラと眩しい。
博物館で開催された宝石に関する特別展で、どこだかの王族の持ち物だったというコレクションが展示されていたのを見たけど、あれよりすごいんじゃないかしら。あの特別展、宝石に対して会場に配置された警備員の武装が足りないって思ったのだけど、今回はこの建物そのものが警備されているからその点では安心だわ。
「この宝石ってやっぱりつけないとダメですか?」
「お気に召しませんか?」
「あんまり高価なのはちょっと……」
理沙が出来れば高価な宝石は避けてほしいと言っているけど、傷をつけても弁償できないし、私も積極的につけたいとは思えない。私はキラキラしているガラスと見分けがつかないからガラスで十分なのだけど、王族や貴族は子どものころから見慣れていて多分分かるんでしょうね。
「マサコ様のその指輪はダイヤモンドですよね。思い出のお品ですか?」
「これは結婚指輪なんです」
その言葉の意味が分からず優雅に首を傾げた王妃様に、ターシャちゃんが結婚指輪が何かを説明してくれた。この世界には婚約指輪や結婚指輪の習慣はないようだ。
ずっとつけているのは、夫の形見の品というのもあるけど、外すと失くしそうだからという理由だったりする。そういうお年頃だから仕方ない。
「ではマサコ様の首元はダイヤモンドで揃えましょうか」
「でしたらドレスをもう少し華やかな色にしましょう」
あ、やってしまったかも。私を着飾っても誰の得にもならないから、宝石はいらないと思うのよ。指輪のダイヤだって、並べられている宝石とは比べ物にならないほど申し訳程度の大きさなのに。
思わずターシャちゃんに視線で助けを求めたのに、にっこり笑って躱されてしまった。ただの炭素ですよって、いやまあそうだけど。
結局、私の首飾りをダイヤモンドから選ぶと豪華なものになり、聖女様はそれよりも大きなものでなければということで、それはまあゴージャスな物になってしまった。理沙、ごめんね。
ベイロールも含めた浄化の旅へと出る前に、今日は第二王子とそのお妃様とお茶会だ。
この国からの派遣という形なので、ベイロールに入国する前に合流して、ベイロールの王様に会うときはこの国の王子様たちも一緒に行くことになっている。
「聖女様、ベイロールには私たちもご一緒いたします。よろしくお願いいたします」
「こちらこそお願いします」
お披露目会の時に一言交わしただけの王子様とお妃さまは、祐也と同年代に見えるけど子どもがいるそうだ。
ベイロールでは、誰かに何かをお願いされても即答せずに、王子様を通して返事をすると言ってほしいと注意があった。
ベイロールが何かをしてくることはおそらくないけれど、理沙の派遣を希望して断られた他の国が理沙から訪問の約束を取り付けようと画策してくる可能性がないとは言えないそうだ。
王子様たちが一緒にいられない時もターシャちゃんはそばにいてくれるらしいので、ターシャちゃんに全部お任せしよう。
「絵がお得意だと伺いましたが、習っていらっしゃったのですか?」
「学校の授業はありましたが、ただの趣味です」
浄化のことだけでなく、最近いろいろと挑戦させてもらったことについても聞かれているので、事前にターシャちゃんから情報は仕入れているのだろう。
クインスで王太子との間にあったトラブルのことを心配していたけれど、王子様と話している理沙には緊張している様子もないので、机を挟んで向かい合って座るくらいの距離はもう平気なんだろう。
ベイロールではこの国ほどいろんなことに配慮してもらえるか分からないのでちょっと心配だったけど、問題なく過ごせそうだ。
そんなことを考えて油断していたら、私に話が飛んできた。
「マサコ殿は騎士団に料理をふるまって下さったそうですね」
「大した料理ではありませんが」
「騎士からは好評だったと聞いています。ぜひ私も食べてみたいですね」
爽やかに笑った王子様はやっぱりイケメンだ。この世界、イケメンが多すぎじゃない?
それともお城にいるとみんなイケメンになるのかしら。
移動ばかりで疲れないようにとゆったり取られた日程で、街中へ遊びに行くことは叶わないけれど、まるまるオフの日はこの国の文字を書く練習をしたり、理沙が描く絵を見たり楽しく過ごせていた。
次の旅は国内を浄化して、そのまま国境を越えて南のベイロールへ行く。
お城では私たちが旅にでている間に、ベイロールに持っていく荷物や人員の調整がなされていた。今回の旅は国内だったのでパーティーや食事会は全て断ったけど、次はそうもいかない。最低限ベイロールの王様主催の歓迎会には出ないといけない。
ということで、帰ってきて早々にドレス合わせだ。王妃様とターシャちゃんのお義母さんが理沙に合うこの国の流行のドレスを仕立ててくれているので、その中からどれを持って行くか選んで、サイズの調整だ。
この国でのお披露目会では着物をアレンジしたドレスだったけど、今度はこの国から派遣されるので、この国のドレスを着用することで仲の良さのアピールをする。
「聖女様にはこちらの色のほうが合いますね」
「でしたら宝石はこちらにしましょう」
周りにたくさん置かれた高価な宝石に理沙の顔が引きつっている。この国の所有の宝石のうち、選りすぐりの物が並べられているので、キラキラと眩しい。
博物館で開催された宝石に関する特別展で、どこだかの王族の持ち物だったというコレクションが展示されていたのを見たけど、あれよりすごいんじゃないかしら。あの特別展、宝石に対して会場に配置された警備員の武装が足りないって思ったのだけど、今回はこの建物そのものが警備されているからその点では安心だわ。
「この宝石ってやっぱりつけないとダメですか?」
「お気に召しませんか?」
「あんまり高価なのはちょっと……」
理沙が出来れば高価な宝石は避けてほしいと言っているけど、傷をつけても弁償できないし、私も積極的につけたいとは思えない。私はキラキラしているガラスと見分けがつかないからガラスで十分なのだけど、王族や貴族は子どものころから見慣れていて多分分かるんでしょうね。
「マサコ様のその指輪はダイヤモンドですよね。思い出のお品ですか?」
「これは結婚指輪なんです」
その言葉の意味が分からず優雅に首を傾げた王妃様に、ターシャちゃんが結婚指輪が何かを説明してくれた。この世界には婚約指輪や結婚指輪の習慣はないようだ。
ずっとつけているのは、夫の形見の品というのもあるけど、外すと失くしそうだからという理由だったりする。そういうお年頃だから仕方ない。
「ではマサコ様の首元はダイヤモンドで揃えましょうか」
「でしたらドレスをもう少し華やかな色にしましょう」
あ、やってしまったかも。私を着飾っても誰の得にもならないから、宝石はいらないと思うのよ。指輪のダイヤだって、並べられている宝石とは比べ物にならないほど申し訳程度の大きさなのに。
思わずターシャちゃんに視線で助けを求めたのに、にっこり笑って躱されてしまった。ただの炭素ですよって、いやまあそうだけど。
結局、私の首飾りをダイヤモンドから選ぶと豪華なものになり、聖女様はそれよりも大きなものでなければということで、それはまあゴージャスな物になってしまった。理沙、ごめんね。
ベイロールも含めた浄化の旅へと出る前に、今日は第二王子とそのお妃様とお茶会だ。
この国からの派遣という形なので、ベイロールに入国する前に合流して、ベイロールの王様に会うときはこの国の王子様たちも一緒に行くことになっている。
「聖女様、ベイロールには私たちもご一緒いたします。よろしくお願いいたします」
「こちらこそお願いします」
お披露目会の時に一言交わしただけの王子様とお妃さまは、祐也と同年代に見えるけど子どもがいるそうだ。
ベイロールでは、誰かに何かをお願いされても即答せずに、王子様を通して返事をすると言ってほしいと注意があった。
ベイロールが何かをしてくることはおそらくないけれど、理沙の派遣を希望して断られた他の国が理沙から訪問の約束を取り付けようと画策してくる可能性がないとは言えないそうだ。
王子様たちが一緒にいられない時もターシャちゃんはそばにいてくれるらしいので、ターシャちゃんに全部お任せしよう。
「絵がお得意だと伺いましたが、習っていらっしゃったのですか?」
「学校の授業はありましたが、ただの趣味です」
浄化のことだけでなく、最近いろいろと挑戦させてもらったことについても聞かれているので、事前にターシャちゃんから情報は仕入れているのだろう。
クインスで王太子との間にあったトラブルのことを心配していたけれど、王子様と話している理沙には緊張している様子もないので、机を挟んで向かい合って座るくらいの距離はもう平気なんだろう。
ベイロールではこの国ほどいろんなことに配慮してもらえるか分からないのでちょっと心配だったけど、問題なく過ごせそうだ。
そんなことを考えて油断していたら、私に話が飛んできた。
「マサコ殿は騎士団に料理をふるまって下さったそうですね」
「大した料理ではありませんが」
「騎士からは好評だったと聞いています。ぜひ私も食べてみたいですね」
爽やかに笑った王子様はやっぱりイケメンだ。この世界、イケメンが多すぎじゃない?
それともお城にいるとみんなイケメンになるのかしら。
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