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夢だと言って
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目が覚めるとそこは見知らぬ場所だった。薄暗い大伽藍。以前海外旅行でヨーロッパを回ったときに見た中世建築のように見えた。けれど、あの美しく荘厳なステンドグラスはどこにも見つけられない。かわりに、薄暗い空間がただあるだけだった。
高い天井、そのアーチを描く天井には細部は不明だが、宗教画のようなフレスコが大きく天上いっぱいに描かれているのがかろうじて見えた。周囲に無数に灯されたろうそくの明かりで、ぼんやりと浮かび上がっている。何が描いてあるんだろうと気になったけれど、メインの二人らしい人物がなにかをしているということしかわからなかった。
あー、背中が痛い。布団で寝ているはずなのにおかしいと思い上半身を持ち上げると視界の奥にいくつもの人影が見えた。
夢をみているんだと思っていたのに、夢ではないのでは?と気付いた。すると、いっきにぼんやりしていた頭が仕事をはじめ、ここが自分の部屋でないことにようやく気付いた俺は一気に覚醒した。ここはどこだ?すわ犯罪に巻き込まれたかと思って、周囲に視線を走らせると、自分を中心として幾人もの人が一定の半径を保ちながらぐるりと取り囲んでいることがわかった。小さく何事かを囁きかわす無数の言葉が耳に届くけれど、何を言っているのかはわからなかった。
恐怖に襲われる。
皆同じような恰好をしていた。一番前に鎧を着こんだ男たち。その背後にローブを着込んだ人の影が、こちらをじっとみつめている。その無言の視線が、俺に非現実感を与えた。
少し寒い。
自分を見ると寝る前に着替えたパジャマのままだった。自分はどうやら寝ているところを運び出されたらしい。気づかないほどに疲れ切っていたのか。うかつな自分に内心で舌打ちをする。寝つきがいいことだけが取り柄だと思っていたが、それすらも取り柄ではなかったようだ。
よく見ると、人々はみな見慣れぬ恰好を、映画で見たような鎧やローブを着ている。
意味が分からなくてますます混乱していると、ひときわ背格好が大きく鎧兜を身にまとった男と、高齢の、繊細で複雑な文様の刺繍されたローブを着た男がゆっくりと、人の輪を外れて歩み寄ってきた。
俺はそのことに気付くとすぐに身をこわばらせた。
言っておくが俺は暴力沙汰には無縁の生活を30年も過ごしてきたんだぞ。殴れるものなら殴ってみろ!一発で死ぬぞ!
俺はそんな気持ちを視線に込めて、近づいてきた二人をにらむ。できることなら乱暴なことはされませんように……。身代金とか要求されたらどうしよう。払ってくれるかなぁ。無理だろうなぁ。俺んち貧乏だし……。
膝が微かに震えて、立ち上がろうとしたけれど無理だった。
そうしているうちにあっという間に二人が目の前に立つ。鎧の男の腰には装飾麗しい剣が下がっているのが見えた。さらに、その男が剣の柄に手を伸ばす。それを見て、終わったな俺、と思わずにはいられなかった。
見上げる位置に二人の頭がある。一人は立派な兜でその顔は見えない。かろうじて両の目が覗いているだけだった。もう一人は真っ白な髪と見事な髭の老人。その二組の目が俺を見下ろしている。冷たい視線に言葉が上手くでてこない。
人間は恐怖に襲われると上手く言葉がでてこないのだと思い知った。目の前で鎧の男が腰の剣を抜き取り構えるのが見えたのだ。あ、死んだわこれ。恐ろしさのあまり目を瞑ってしまいたかったが、俺の意思に反して目は剣の行方を追う。その切っ先は俺の喉元につきつけられた。
ひっと掠れた音が喉を通り過ぎて口から零れた。やめろやめろやめろ。首と胴体がバイバイする絵面が浮かぶ。
そう思っていると、ゆっくりと切っ先が下がり俺の着ているダサいパジャマに触れた。見ていると、かなり丁寧に手入れがされている美しい刃がその切れ味の鋭さを証明するように、俺のパジャマを小さな音を立てながら切り裂いた。肌まで切り裂かれそうで俺は身動きができなかった。
上半身がはだけ、暗闇にぼんやりと浮かび上がるように露わになる。これが職人の技か。露わになった傷一つない肌をひんやりとした空気が撫で、さっと鳥肌が立った。寒い。てか、床が石畳なせいでケツもいてぇしつめてぇ。
すると、目の前の二人のうちの一人、白髪のほうがなにやらぶつぶつと言い始めた。何て?よく聞いてみようとするがさっぱりわからない。日本語じゃないということだけはわかった。たぶんだけど。その老人は独特の調子で何かを唱えているようだった。黒魔術の儀式とか……?オカルト?
すると、周囲の暗闇に沈んでいる誰も彼もが、それにならって囁き始める。波のようにその囁きは大きくなり、老人の声と重なった。大人数が何事かを一斉に唱える異様さに寒さなどどこかへいってしまった。これは悪魔召喚ですね。間違いない。
さらに鎧の男の剣が下へ降りて行って、今度はズボンにその切っ先がふれる。俺のフーゾクで数回しか使ったことのない息子が切り落とされる想像が一瞬で脳内に展開された。まさか。
身を捩って逃げようとするが、体が動かない。どうかびびりの俺の体よ、動いてくれ。頼む!そう思ってさらに力を籠めるが一向に体が動かず、指すらも動かせなかった。なんで?恐怖と混乱が全身を駆け巡った。
そうしている間に男の剣がおれのズボンを上着と同様に切り裂いた。よれよれのだっさいトランクスが見えた。
鎧男は無表情にさらに俺の最後の砦に手を架ける。おいおいおいおい。やめてくれよ?!ていうか、やるんならせめて俺の息子にだけは傷をつけないでくれ……。歴戦の友なんだ。
そして哀れ俺の最後の砦、もといトランクスはただの布切れになった。露わになる俺のかわいい息子。寒さと恐怖で余計縮こまってしまって。かわいそうに……。俺と同じで謙虚なイチモツを鎧の男が冷え切った視線で見ている。あるいは憐みの目か……。くっ殺せ!
なにが楽しいのかまじまじと俺の息子をじっと見ている。おいおい見つめすぎだろう。そんなに珍しいか。小さいという意味で。無性に羞恥心よりも腹立たしさが募った。
体は一向に動かせないし、周囲の囁きは今や大きなうねりとなって、寺の坊主がお経を唱えるときみたいに聞こえている。
異常な状況に羞恥心はやってこない。怒りというか苛立たしさだけがあって、そのおかげで変な余裕みたいなのが生まれ、俺は起こっていることをいつもよりは冷静にみられるような気がした。
目の前の男が剣を鞘に納めるのが見えた。良かった。殺されるわけではないようだ。なにか変なものを持っていないか確認のためだったのか?見ていると、そいつは美しい装飾の施された剣を、マントを外してそれで包むと、ものすごく大事なものを扱うように石畳の上に置いた。
そして、なんと鎧を脱ぎ始めた。は?おいおいおいおい、なにしてるん?攻撃の意思はありませんよっていうパフォーマンスだろうか?
兜が取り外された。想像を絶するイケメンの顔が現れた。はぁー、人生イージーモード。濃い金髪に黒でも茶でもない色の瞳。光の加減でうまく色が判別できなかったが、確実に日本人ではなかった。
どんどん男は鎧を外していく。俺はゲームでしか鎧の知識がなかったので、鎧の下にも一応服をきているんだなと変な驚きがあった。だって同人誌だと鎧の下はむちむちボディだったし。でもよく考えてみたら、素肌の上に直に鎧をつけるわけがなかった。その鎧の下に着ている服もなんだか上等なもののようだと思った。へぇー。もしかしたら位が相当上か相当金持ちのボンボンなんだろうと推察できた。しかもぴちぴちの服を盛り上げる筋肉がすごかった。これはナルシスト野郎だな。間違いない。自分の顔と筋肉を自慢することに慣れてるに違いない。
って、おいおいおいおい。何脱ぎ始めちゃってるわけ?うわ、やっぱり筋肉すげー。腹筋われて、ってあああああああパンツに手をかけやがった。きたねぇもんみせるんじゃねぇ。ってかもっこりすご!何それ、何つまってるん?それ全部ちんこじゃないよな?嘘だと言ってくれ。野球のセーフティカップみたいなものが入ってるんだよな?
目の前でぼろんという擬音が聞こえそうな勢いで男のイチモツが露わになった。うっそ。
子供の手首くらいの太さがありそうなんだが?俺のは小指か?格差社会の縮図を見せつけられて、俺は一気に冷静になれた。つら。
天は二物を与えずというが、二物どころか三物は与えてるじゃねーか。イチモツなだけに。
そうこうしていると男が俺の目の前に立った。あーこれは、同人誌によくあるやつ?そのポジションに俺はなりたかった……。
現実逃避的に別のことを考えていると、イケメンが俺の目の前で自前のものをしごき始める。あーはいはい。あれね。マッサージ。凝っちゃうよね。ほら、どんどん硬くなってって。ってでけぇ!おかしいって、人間のサイズじゃない。え?女の腕くらいの太さなんだけど?しかもへそ越えである。漫画でしかみたことないんだが……。それでそれで、それをどうするんですか?
イケメンが冷たいだろうに床に膝をつくと、身動きのとれない俺の上に覆いかぶさってきた。
頭のどこかでこの場面は予想で来ていた。できるだけ考えないようにしてたけど。
自分では自分の体が動かせないのに、男の筋骨隆々な腕で簡単に体勢が変えられた。石畳の上にあっという間に組み敷かれ、男が俺の両足の間に割って入る。もうねこれはエロゲで何万回もみた光景ですね。ほら、両足が抱えあげられて、ドスケベポーズさせらてるし。俺の一番好きな構図じゃん……。まさか自分がするはめになるとは思わなかったけど。しかもこれからヤられてしまうわけで。
終わった。俺の人生終わった。素人童貞を捨てられないままどこのだれとも知らない男にハメられて処女を失う羽目になるんですねわかります。ネットで何万回もこのネタみたからわかる。
イケメンが何事かを俺に囁いた。それはなんだかちょっと……、考えたくも知りたくもないけれど、熱のこもった囁きで。いや言ってる言葉の意味はわからんのだけれど!日本語しゃべれ。いややっぱいい。何を言われたのか知りたくない。
衆人環視の中、男がさらに膝を進めてきた。もう当たる当たる!めっちゃ触れそう!やばいってやめてやめて。ってかこの男、こんなにたくさんの人に見られてる状態でもできるって、なんなん?プロなん?やっぱりナルシストなん?顔が近い近い近い。
まって、俺のファーストキ――舌がはいってきたーーーーーー!嬢にもキスは無理ですって拒否されたのにーー!
お父さん、お母さん。俺の貞操はここで散ってしまいます。先立つ不孝をお許しください。子を作れなかった、いやそれよりも彼女を見せてあげられなかった俺を許してください。代わりに彼氏を紹介することになりそうです。
アッーーーーー!
高い天井、そのアーチを描く天井には細部は不明だが、宗教画のようなフレスコが大きく天上いっぱいに描かれているのがかろうじて見えた。周囲に無数に灯されたろうそくの明かりで、ぼんやりと浮かび上がっている。何が描いてあるんだろうと気になったけれど、メインの二人らしい人物がなにかをしているということしかわからなかった。
あー、背中が痛い。布団で寝ているはずなのにおかしいと思い上半身を持ち上げると視界の奥にいくつもの人影が見えた。
夢をみているんだと思っていたのに、夢ではないのでは?と気付いた。すると、いっきにぼんやりしていた頭が仕事をはじめ、ここが自分の部屋でないことにようやく気付いた俺は一気に覚醒した。ここはどこだ?すわ犯罪に巻き込まれたかと思って、周囲に視線を走らせると、自分を中心として幾人もの人が一定の半径を保ちながらぐるりと取り囲んでいることがわかった。小さく何事かを囁きかわす無数の言葉が耳に届くけれど、何を言っているのかはわからなかった。
恐怖に襲われる。
皆同じような恰好をしていた。一番前に鎧を着こんだ男たち。その背後にローブを着込んだ人の影が、こちらをじっとみつめている。その無言の視線が、俺に非現実感を与えた。
少し寒い。
自分を見ると寝る前に着替えたパジャマのままだった。自分はどうやら寝ているところを運び出されたらしい。気づかないほどに疲れ切っていたのか。うかつな自分に内心で舌打ちをする。寝つきがいいことだけが取り柄だと思っていたが、それすらも取り柄ではなかったようだ。
よく見ると、人々はみな見慣れぬ恰好を、映画で見たような鎧やローブを着ている。
意味が分からなくてますます混乱していると、ひときわ背格好が大きく鎧兜を身にまとった男と、高齢の、繊細で複雑な文様の刺繍されたローブを着た男がゆっくりと、人の輪を外れて歩み寄ってきた。
俺はそのことに気付くとすぐに身をこわばらせた。
言っておくが俺は暴力沙汰には無縁の生活を30年も過ごしてきたんだぞ。殴れるものなら殴ってみろ!一発で死ぬぞ!
俺はそんな気持ちを視線に込めて、近づいてきた二人をにらむ。できることなら乱暴なことはされませんように……。身代金とか要求されたらどうしよう。払ってくれるかなぁ。無理だろうなぁ。俺んち貧乏だし……。
膝が微かに震えて、立ち上がろうとしたけれど無理だった。
そうしているうちにあっという間に二人が目の前に立つ。鎧の男の腰には装飾麗しい剣が下がっているのが見えた。さらに、その男が剣の柄に手を伸ばす。それを見て、終わったな俺、と思わずにはいられなかった。
見上げる位置に二人の頭がある。一人は立派な兜でその顔は見えない。かろうじて両の目が覗いているだけだった。もう一人は真っ白な髪と見事な髭の老人。その二組の目が俺を見下ろしている。冷たい視線に言葉が上手くでてこない。
人間は恐怖に襲われると上手く言葉がでてこないのだと思い知った。目の前で鎧の男が腰の剣を抜き取り構えるのが見えたのだ。あ、死んだわこれ。恐ろしさのあまり目を瞑ってしまいたかったが、俺の意思に反して目は剣の行方を追う。その切っ先は俺の喉元につきつけられた。
ひっと掠れた音が喉を通り過ぎて口から零れた。やめろやめろやめろ。首と胴体がバイバイする絵面が浮かぶ。
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上半身がはだけ、暗闇にぼんやりと浮かび上がるように露わになる。これが職人の技か。露わになった傷一つない肌をひんやりとした空気が撫で、さっと鳥肌が立った。寒い。てか、床が石畳なせいでケツもいてぇしつめてぇ。
すると、目の前の二人のうちの一人、白髪のほうがなにやらぶつぶつと言い始めた。何て?よく聞いてみようとするがさっぱりわからない。日本語じゃないということだけはわかった。たぶんだけど。その老人は独特の調子で何かを唱えているようだった。黒魔術の儀式とか……?オカルト?
すると、周囲の暗闇に沈んでいる誰も彼もが、それにならって囁き始める。波のようにその囁きは大きくなり、老人の声と重なった。大人数が何事かを一斉に唱える異様さに寒さなどどこかへいってしまった。これは悪魔召喚ですね。間違いない。
さらに鎧の男の剣が下へ降りて行って、今度はズボンにその切っ先がふれる。俺のフーゾクで数回しか使ったことのない息子が切り落とされる想像が一瞬で脳内に展開された。まさか。
身を捩って逃げようとするが、体が動かない。どうかびびりの俺の体よ、動いてくれ。頼む!そう思ってさらに力を籠めるが一向に体が動かず、指すらも動かせなかった。なんで?恐怖と混乱が全身を駆け巡った。
そうしている間に男の剣がおれのズボンを上着と同様に切り裂いた。よれよれのだっさいトランクスが見えた。
鎧男は無表情にさらに俺の最後の砦に手を架ける。おいおいおいおい。やめてくれよ?!ていうか、やるんならせめて俺の息子にだけは傷をつけないでくれ……。歴戦の友なんだ。
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異常な状況に羞恥心はやってこない。怒りというか苛立たしさだけがあって、そのおかげで変な余裕みたいなのが生まれ、俺は起こっていることをいつもよりは冷静にみられるような気がした。
目の前の男が剣を鞘に納めるのが見えた。良かった。殺されるわけではないようだ。なにか変なものを持っていないか確認のためだったのか?見ていると、そいつは美しい装飾の施された剣を、マントを外してそれで包むと、ものすごく大事なものを扱うように石畳の上に置いた。
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目の前でぼろんという擬音が聞こえそうな勢いで男のイチモツが露わになった。うっそ。
子供の手首くらいの太さがありそうなんだが?俺のは小指か?格差社会の縮図を見せつけられて、俺は一気に冷静になれた。つら。
天は二物を与えずというが、二物どころか三物は与えてるじゃねーか。イチモツなだけに。
そうこうしていると男が俺の目の前に立った。あーこれは、同人誌によくあるやつ?そのポジションに俺はなりたかった……。
現実逃避的に別のことを考えていると、イケメンが俺の目の前で自前のものをしごき始める。あーはいはい。あれね。マッサージ。凝っちゃうよね。ほら、どんどん硬くなってって。ってでけぇ!おかしいって、人間のサイズじゃない。え?女の腕くらいの太さなんだけど?しかもへそ越えである。漫画でしかみたことないんだが……。それでそれで、それをどうするんですか?
イケメンが冷たいだろうに床に膝をつくと、身動きのとれない俺の上に覆いかぶさってきた。
頭のどこかでこの場面は予想で来ていた。できるだけ考えないようにしてたけど。
自分では自分の体が動かせないのに、男の筋骨隆々な腕で簡単に体勢が変えられた。石畳の上にあっという間に組み敷かれ、男が俺の両足の間に割って入る。もうねこれはエロゲで何万回もみた光景ですね。ほら、両足が抱えあげられて、ドスケベポーズさせらてるし。俺の一番好きな構図じゃん……。まさか自分がするはめになるとは思わなかったけど。しかもこれからヤられてしまうわけで。
終わった。俺の人生終わった。素人童貞を捨てられないままどこのだれとも知らない男にハメられて処女を失う羽目になるんですねわかります。ネットで何万回もこのネタみたからわかる。
イケメンが何事かを俺に囁いた。それはなんだかちょっと……、考えたくも知りたくもないけれど、熱のこもった囁きで。いや言ってる言葉の意味はわからんのだけれど!日本語しゃべれ。いややっぱいい。何を言われたのか知りたくない。
衆人環視の中、男がさらに膝を進めてきた。もう当たる当たる!めっちゃ触れそう!やばいってやめてやめて。ってかこの男、こんなにたくさんの人に見られてる状態でもできるって、なんなん?プロなん?やっぱりナルシストなん?顔が近い近い近い。
まって、俺のファーストキ――舌がはいってきたーーーーーー!嬢にもキスは無理ですって拒否されたのにーー!
お父さん、お母さん。俺の貞操はここで散ってしまいます。先立つ不孝をお許しください。子を作れなかった、いやそれよりも彼女を見せてあげられなかった俺を許してください。代わりに彼氏を紹介することになりそうです。
アッーーーーー!
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