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キスはルールに含まれます(2)
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話が飛躍しすぎていて、どういう意味か分からずエルバートの顔を見上げた。
するとエルバートは鏡の隣に置かれた天秤を手に取った。天秤は繊細な細工が施されており、皿の上にはそれぞれ球体が乗っている。
「これは心臓の天秤って言って、皇族の結婚式に使われてるんだ。月と太陽を模したもので――説明するより見たほうが早いか」
「んっ」
エルバートはそういうと、ソフィーの唇に月を触れさせ、自分も太陽に口づけた。
そして天秤の皿の上に戻すと、先程まで確かに中立だったはずなのにガチャン! と音を立てて完全に太陽側へと傾いた。
あまりの勢いに月が飛んでいってしまうかと思ったほどだ。
「これは口づけた者の愛の重さを測れるんだ。太陽側ってことは悲しいけど今は圧倒的に僕がソフィーを好きってこと」
「そ、それで……!」
この天秤と三ヶ月間の婚約となんの関係があるのか。
前のめりになるソフィーに、エルバートは天秤を指で傾けて太陽と月を平行にした。
「これが三ヶ月後、中立になったら僕の妻になって。もし、結果が今と同じだったら諦めて国へ返すよ。結果がどちらにせよ結界は修復する。どう?」
つまり、この国でエルバートの婚約者として三ヶ月間過ごせば結界は修復してもらえるし、国に帰ることもできる。
天秤がつり合えば妻にならなければいけないが、エルバートへの感情を今のまま保てばいいだけだという。
あまりに破格の条件だ。
「――お願いします!」
「これは契約だよ? 途中で条件は変えられないし、中立になると心臓のリンクがされて、死ぬ瞬間まで同じになる。人間のソフィーが魔法使いの僕と同じ時間を生きることになるから……二百歳くらいかな? 三十くらいから外見はほとんど変わらなくなっちゃうんだけど」
「構いません」
何百歳まで生きるとか、死ぬまで一緒だとか、前提であるエルバートはを好きになる事自体がありえないのだからどんな条件があろうと構わない。
「分かった。契約成立だね」
エルバートが目を細めると、天秤がぱあっと光を放った。そして、月に『ソフィー』太陽に『エルバート』の名が刻まれる。
――始まったのだ、と改めて覚悟する。ありえないと思っていても油断ならない。キッとエルバートを見上げると、なぜか彼は満面の笑みでソフィーを軽々と抱き上げた。
「さあ、可愛い婚約者様っ。なにする? とりあえずベッドにいこうか?」
「やっ、ベッドってなんですかっ、おろしてくださいっ!」
「ソフィーまさかここがいいの……? 意外と大胆だね僕は大歓迎だけど」
するとエルバートは鏡の隣に置かれた天秤を手に取った。天秤は繊細な細工が施されており、皿の上にはそれぞれ球体が乗っている。
「これは心臓の天秤って言って、皇族の結婚式に使われてるんだ。月と太陽を模したもので――説明するより見たほうが早いか」
「んっ」
エルバートはそういうと、ソフィーの唇に月を触れさせ、自分も太陽に口づけた。
そして天秤の皿の上に戻すと、先程まで確かに中立だったはずなのにガチャン! と音を立てて完全に太陽側へと傾いた。
あまりの勢いに月が飛んでいってしまうかと思ったほどだ。
「これは口づけた者の愛の重さを測れるんだ。太陽側ってことは悲しいけど今は圧倒的に僕がソフィーを好きってこと」
「そ、それで……!」
この天秤と三ヶ月間の婚約となんの関係があるのか。
前のめりになるソフィーに、エルバートは天秤を指で傾けて太陽と月を平行にした。
「これが三ヶ月後、中立になったら僕の妻になって。もし、結果が今と同じだったら諦めて国へ返すよ。結果がどちらにせよ結界は修復する。どう?」
つまり、この国でエルバートの婚約者として三ヶ月間過ごせば結界は修復してもらえるし、国に帰ることもできる。
天秤がつり合えば妻にならなければいけないが、エルバートへの感情を今のまま保てばいいだけだという。
あまりに破格の条件だ。
「――お願いします!」
「これは契約だよ? 途中で条件は変えられないし、中立になると心臓のリンクがされて、死ぬ瞬間まで同じになる。人間のソフィーが魔法使いの僕と同じ時間を生きることになるから……二百歳くらいかな? 三十くらいから外見はほとんど変わらなくなっちゃうんだけど」
「構いません」
何百歳まで生きるとか、死ぬまで一緒だとか、前提であるエルバートはを好きになる事自体がありえないのだからどんな条件があろうと構わない。
「分かった。契約成立だね」
エルバートが目を細めると、天秤がぱあっと光を放った。そして、月に『ソフィー』太陽に『エルバート』の名が刻まれる。
――始まったのだ、と改めて覚悟する。ありえないと思っていても油断ならない。キッとエルバートを見上げると、なぜか彼は満面の笑みでソフィーを軽々と抱き上げた。
「さあ、可愛い婚約者様っ。なにする? とりあえずベッドにいこうか?」
「やっ、ベッドってなんですかっ、おろしてくださいっ!」
「ソフィーまさかここがいいの……? 意外と大胆だね僕は大歓迎だけど」
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