1 / 5
1 焼き鳥を喉に詰まらせて転生!?
しおりを挟む
いや、知らんがな……!!!!
関西人でもないのにそう叫んでしまった。
私、西村陽葵(にしむら ひまり)はなぜか王子と名乗る変態に腰が砕けるような謎テクのキスをされていた。
「ヒマリさん、僕の妻になってくださいますね」
うわあ……とんでもないイケメンだなぁ……。
いやいやそうじゃない、出会い頭に意味不明なこと言ってきて求婚したあげく即クンニってなんですか??
「ああ、ヒマリさん。いえ、聖女様。やっとお会いできましたね。貴女は想像以上に愛らしく髪や肌まで甘い。この香りで香水が作れないですかね」
なになになんか怖いこと言ってるんですけど離れていただけませんか!?
なにこの世界どうなってるの???
私はただ――キンッキンに冷えたビールが飲みたかっただけなのに。
目の前が真っ暗になって、ああ死ぬんだなって思ったのはつい数時間前。
あーーーーもう無理、もう限界です。仕事辞めたい。
体感だけど。もう4徹目で頭全然動いてなくて、でも疲れてると逆に眠れないみたいなのあるじゃないですか。
どう考えても1人じゃ無理だよねって仕事量に加えてパワハラクソハゲ上司が押しつけてきた案件をなんとかこなして、ようやくゴールが見えてきたところで後輩が飛んでその後始末して……いや後輩は悪くないの、悪いのは人手不足が深刻なのに増やさない会社と逃げ遅れ続けている私で……ってそんなことは今はどうでもよくて。
18連勤3徹を経てなんとか終わらせた日、ひとり祝杯を挙げようと駆け込んだ居酒屋でうっきうきで頼んだビールよりも先に出てきたのは見るからにタレが少なくてパッサパッサの焼き鳥だった。
ぷはぁ、生き返る~!ってやりたかったのになぁ。喉カラカラなんですけど……と、思いつつお腹も空いてるし、焼き物は熱いうちに食べるのが一番美味しいですからね、と頬張った次の瞬間。
パッサパサなのに、ほろっと串から外れた鶏肉が、微々たるタレで喉へ直行。
うそ、うそうそうそ、焼き鳥喉に詰まってる。
苦しい、息ができない。
ゴリラ並みの強さで自分の胸を叩いた辺りで周りの人が気付いて何か言っていた気がするけど、その辺から意識がない。
気づいたらそこにはビールも憎き焼き鳥もなかった。
『――と、まぁつまり陽葵はこの世界を救う13代目の聖女なんだよ!』
「まだひと口も飲んでなかったんだけど……プレミアムにしたのに……」
『陽葵さん? 聞いてる? 神、大事な話してるよ?』
ようやく苦しくなくなったと思ったらよく分からない光の中でよく分からない神っぽい声を聞かされている始末。
聖女とか知らないんですけど。大体13代目ってそろそろいなくてもなんとかなるように業務改善してくださいよ、もはや始末書案件では???
「……ビール、2杯目はレモンサワー……レモン凍ってるやつ……」
『え? あっ! そうそう、今の王太子はミカエリスね。向こうは陽葵のことめちゃくちゃよく知ってるから名前くらいは覚えてあげてよ~神脅してくるくらいにはクセ強めだけど見た目はインテリヤクザ系のイケメンで最高だから陽葵のタイプだと思うよ、うん!』
「え? 合コン? もう5年彼氏いないのになんの準備もなしに? 自分のこと王子とか言っちゃう人と?」
『陽葵さん神の話何も聞いてないね???? とりあえず王宮に召喚される感じにするから――』
「飲み屋街で」
『え?』
「飲み屋街で」
話聞いてよぉ、と半泣きの神は『どうなっても知らない!』と拗ねた声を最後に私は眩い光の中に吸い込まれた。
関西人でもないのにそう叫んでしまった。
私、西村陽葵(にしむら ひまり)はなぜか王子と名乗る変態に腰が砕けるような謎テクのキスをされていた。
「ヒマリさん、僕の妻になってくださいますね」
うわあ……とんでもないイケメンだなぁ……。
いやいやそうじゃない、出会い頭に意味不明なこと言ってきて求婚したあげく即クンニってなんですか??
「ああ、ヒマリさん。いえ、聖女様。やっとお会いできましたね。貴女は想像以上に愛らしく髪や肌まで甘い。この香りで香水が作れないですかね」
なになになんか怖いこと言ってるんですけど離れていただけませんか!?
なにこの世界どうなってるの???
私はただ――キンッキンに冷えたビールが飲みたかっただけなのに。
目の前が真っ暗になって、ああ死ぬんだなって思ったのはつい数時間前。
あーーーーもう無理、もう限界です。仕事辞めたい。
体感だけど。もう4徹目で頭全然動いてなくて、でも疲れてると逆に眠れないみたいなのあるじゃないですか。
どう考えても1人じゃ無理だよねって仕事量に加えてパワハラクソハゲ上司が押しつけてきた案件をなんとかこなして、ようやくゴールが見えてきたところで後輩が飛んでその後始末して……いや後輩は悪くないの、悪いのは人手不足が深刻なのに増やさない会社と逃げ遅れ続けている私で……ってそんなことは今はどうでもよくて。
18連勤3徹を経てなんとか終わらせた日、ひとり祝杯を挙げようと駆け込んだ居酒屋でうっきうきで頼んだビールよりも先に出てきたのは見るからにタレが少なくてパッサパッサの焼き鳥だった。
ぷはぁ、生き返る~!ってやりたかったのになぁ。喉カラカラなんですけど……と、思いつつお腹も空いてるし、焼き物は熱いうちに食べるのが一番美味しいですからね、と頬張った次の瞬間。
パッサパサなのに、ほろっと串から外れた鶏肉が、微々たるタレで喉へ直行。
うそ、うそうそうそ、焼き鳥喉に詰まってる。
苦しい、息ができない。
ゴリラ並みの強さで自分の胸を叩いた辺りで周りの人が気付いて何か言っていた気がするけど、その辺から意識がない。
気づいたらそこにはビールも憎き焼き鳥もなかった。
『――と、まぁつまり陽葵はこの世界を救う13代目の聖女なんだよ!』
「まだひと口も飲んでなかったんだけど……プレミアムにしたのに……」
『陽葵さん? 聞いてる? 神、大事な話してるよ?』
ようやく苦しくなくなったと思ったらよく分からない光の中でよく分からない神っぽい声を聞かされている始末。
聖女とか知らないんですけど。大体13代目ってそろそろいなくてもなんとかなるように業務改善してくださいよ、もはや始末書案件では???
「……ビール、2杯目はレモンサワー……レモン凍ってるやつ……」
『え? あっ! そうそう、今の王太子はミカエリスね。向こうは陽葵のことめちゃくちゃよく知ってるから名前くらいは覚えてあげてよ~神脅してくるくらいにはクセ強めだけど見た目はインテリヤクザ系のイケメンで最高だから陽葵のタイプだと思うよ、うん!』
「え? 合コン? もう5年彼氏いないのになんの準備もなしに? 自分のこと王子とか言っちゃう人と?」
『陽葵さん神の話何も聞いてないね???? とりあえず王宮に召喚される感じにするから――』
「飲み屋街で」
『え?』
「飲み屋街で」
話聞いてよぉ、と半泣きの神は『どうなっても知らない!』と拗ねた声を最後に私は眩い光の中に吸い込まれた。
46
あなたにおすすめの小説
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。
そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!?
貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる