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5 一目惚れ(概念)です 【最終話】
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向き合っていた体制とも、膝を立てて後ろからされたときとも違う。
ミカエリスさんの膝で足を挟まれているから逃げられないし、覆い被さられているから動けない。脚を閉じているから刺激が逃がせなくて少し腰を揺らされると真っ直ぐ子宮に当たって視界がチカチカする。
「まっ、待って、まってえ」
「ああ、大丈夫ですよ。ヒマリさんはゆっくりしていてください」
とちゅとちゅっ、トントン、ぱちゅぱちゅぱちゅ。
「ぁあ……っ、ぅ~~……!!」
きもちいい。きもちいい。こんなにきもちいこと知らない。
「あ、ヒマリさん。腰を少しだけ上げていただけますか?」
「んっ……んぁっ!?」
回らない頭で素直に腰を上げると先ほど舌と指で散々弄られて敏感になっている突起をきゅっと摘ままれた。
「大丈夫ですよ。気持ちいいことしかしませんからね。ほら、力を抜いて」
力なんて抜けるわけない。指の腹で転がしたかと思えば爪の先でカリカリ引っ掛かれて、根元をぐっと押される。
もちろんその間も腰はとんとん打ち付けられているからずっと浮いた感覚から降りてこられない。
項のあたりから脳天までが溶けるように熱くて上手く息ができなくなっていく。
「ァッあっあっあっ」
イッてもイッてもやめてもらえない。終わらない。
まるでこなしてもこなしても終わらない仕事みたいに。
「ヒマリさん?」
「っ~~……!! もうやだぁ……!」
ついにうえうえ、と子供が駄々をこねるように泣いてしまった。
大丈夫ですか、と向き合う体制に変わると目が合った。
ぎゅっと抱きしめられて頭を撫でられる。ミカエリスさんの手が戸惑っているのが分かるし、貼り付けた作り笑顔ではなく本当に心配してくれているのが伝わってくる。ここで拒否すれば彼はきっとやめてくれるだろう。
でも私は……ぎゅうっと自分からミカエリスさんにしがみついた。
「私ばっかりずっと気持ちよくてやだぁ……っ」
そうだ。もう私は彼に触れられることが嫌なんじゃなくなっていた。
突然転生したこの世界が嫌なわけでもない。もちろんミカエリスさん自身が嫌なわけでも。
ただ、前世で毎日やるせなかったのは自分ばかり、誰かばかりが与える側だったり、与えられる側だったりすることだった。そうじゃない。ちゃんと分かち合って、わかり合って仕事を……ううん。もう難しいことを考えるのはやめよう。私は気持ちよくなりたい。
ただ、一緒に気持ちよくなりたいのだ。
なんか、なんか分からないけどこれって……。
「運命ですよね」
「こ、こんなのおかしいのに……っ」
「おかしくなんてありませんよ。ヒマリさんは今まで頑張り過ぎていたくらいです。これからは少しくらいご褒美をもらってもいいでしょう?」
「ご褒美……」
そっか。いいんだ。
「あの……ヒマリさん。申し訳ないのですが……その……ここで止めることが出来れば紳士的かと思いますが……貴女を前にして静まるはずもなく……」
「あ……えっと……」
私も一緒に気持ちよくなりたい……そんな気持ちが言葉にするよりも先に顔に出ていたのだろう。
「あなたって人は……!」
「んっ!……はっ、ぁ……ッ」
貪るようなキスをされて同時に思いっきり奥を突き上げられた。ずちゅんっ、ばちゅんっ。そんな音が私の喘ぎ声の合間で聞こえる。
「アッ! んぁあっ! やぁっだめっぁあんっんぅう……! んぁ――……またきちゃぅ……!!」
頭のてっぺんからつま先まで全部が気持ちよくて苦しいくらいで、もうずっとイキっぱなしだ。
「すみません……っ、もうっ」
全身を抱え込むように抱きしめられ、奥のいちばん気持ちいいところを乱暴に穿たれる。
「――――ッ~~!!」
今まででいちばん大きな波に包まれたとき、ミカエリスさんが小さく唸ってお腹がじんわり熱くなった。
「……ぁ……っ」
それさえも気持ちよくて、優しい手に頬を撫でられキスをされて……そのまま眠るように意識を失った。
◇
目を覚ましたらそこには見慣れた家賃5万2千円のワンルーム……じゃないんですよね。はい。
なにここ、ちょっと揺れてる? クッション……でもない、馬車の中……?
しかもちゃっかりあのミカエルさんに横抱きされているわけで。
「……夢じゃないんですね」
「ええ。もちろん。あんなに熱い時間を過ごしておいて夢だなんて……まったく、ヒマリさんは謙虚な方ですね」
「いえ、謙虚というわけではなくてで……」
「ふふ。そんなところも愛していますよ」
「ただ……くどいようですがヒマリさん、貴女はこの国を救う聖女です。この国の伝説の勇者とまぐわい、聖なる力をお与えになる……のが歴史の常でしたが気が変わりました。この国は僕が救いますし、貴女は僕の妻であり、唯一のかわいい人。あ、もちろん妾はとりません。僕はこうみえて一途なんです」
「えええ……なんですか突然」
「一目惚れです。貴女が別世界にいた頃からずっと……いえ。なんでもありません。さっき一目惚れしました」
「えええ……」
「そもそも僕の純粋な心を奪っておいてお断りなんてあり得ませんよ」
「脅迫じゃないですか。おかしいですよ」
「考えてもみてください。ヒマリさんの前世で飲食店でのセックスが許されるわけありますか? 衛生的に絶対だめですよね。この世界は魔法やらなんやらがあるので問題ないのですが」
「た、確かに……」
「ね? それ以上におかしいことがないのですから、他は無問題です。さ、そろそろ城に……我が家に帰りましょうか。夜ももちろん飲み放題付きですよ」
「ええ――……んん、まあ……」
まあ、いいかあ。だって、飲み放題付きだし。
あとなんか、ちょっとときめいちゃってる自分がいるし。
そして当然のように返事よりも先に到着した飲み放題会場……もとい、王宮へと帰って行ったのだ。
それから数年。
今までの歴史を覆すスピードと力で王子自らが前線に立ち、長年の悩みの種だった魔王軍を含む敵国をすべて制圧した。
それからというものの、王子は愛しい妻とのんびりイチャイチャタイムに勤しむようになったこと、そして国内の酒造技術・品質が驚異的な向上をみせたのは言うまででもない。
了
ミカエリスさんの膝で足を挟まれているから逃げられないし、覆い被さられているから動けない。脚を閉じているから刺激が逃がせなくて少し腰を揺らされると真っ直ぐ子宮に当たって視界がチカチカする。
「まっ、待って、まってえ」
「ああ、大丈夫ですよ。ヒマリさんはゆっくりしていてください」
とちゅとちゅっ、トントン、ぱちゅぱちゅぱちゅ。
「ぁあ……っ、ぅ~~……!!」
きもちいい。きもちいい。こんなにきもちいこと知らない。
「あ、ヒマリさん。腰を少しだけ上げていただけますか?」
「んっ……んぁっ!?」
回らない頭で素直に腰を上げると先ほど舌と指で散々弄られて敏感になっている突起をきゅっと摘ままれた。
「大丈夫ですよ。気持ちいいことしかしませんからね。ほら、力を抜いて」
力なんて抜けるわけない。指の腹で転がしたかと思えば爪の先でカリカリ引っ掛かれて、根元をぐっと押される。
もちろんその間も腰はとんとん打ち付けられているからずっと浮いた感覚から降りてこられない。
項のあたりから脳天までが溶けるように熱くて上手く息ができなくなっていく。
「ァッあっあっあっ」
イッてもイッてもやめてもらえない。終わらない。
まるでこなしてもこなしても終わらない仕事みたいに。
「ヒマリさん?」
「っ~~……!! もうやだぁ……!」
ついにうえうえ、と子供が駄々をこねるように泣いてしまった。
大丈夫ですか、と向き合う体制に変わると目が合った。
ぎゅっと抱きしめられて頭を撫でられる。ミカエリスさんの手が戸惑っているのが分かるし、貼り付けた作り笑顔ではなく本当に心配してくれているのが伝わってくる。ここで拒否すれば彼はきっとやめてくれるだろう。
でも私は……ぎゅうっと自分からミカエリスさんにしがみついた。
「私ばっかりずっと気持ちよくてやだぁ……っ」
そうだ。もう私は彼に触れられることが嫌なんじゃなくなっていた。
突然転生したこの世界が嫌なわけでもない。もちろんミカエリスさん自身が嫌なわけでも。
ただ、前世で毎日やるせなかったのは自分ばかり、誰かばかりが与える側だったり、与えられる側だったりすることだった。そうじゃない。ちゃんと分かち合って、わかり合って仕事を……ううん。もう難しいことを考えるのはやめよう。私は気持ちよくなりたい。
ただ、一緒に気持ちよくなりたいのだ。
なんか、なんか分からないけどこれって……。
「運命ですよね」
「こ、こんなのおかしいのに……っ」
「おかしくなんてありませんよ。ヒマリさんは今まで頑張り過ぎていたくらいです。これからは少しくらいご褒美をもらってもいいでしょう?」
「ご褒美……」
そっか。いいんだ。
「あの……ヒマリさん。申し訳ないのですが……その……ここで止めることが出来れば紳士的かと思いますが……貴女を前にして静まるはずもなく……」
「あ……えっと……」
私も一緒に気持ちよくなりたい……そんな気持ちが言葉にするよりも先に顔に出ていたのだろう。
「あなたって人は……!」
「んっ!……はっ、ぁ……ッ」
貪るようなキスをされて同時に思いっきり奥を突き上げられた。ずちゅんっ、ばちゅんっ。そんな音が私の喘ぎ声の合間で聞こえる。
「アッ! んぁあっ! やぁっだめっぁあんっんぅう……! んぁ――……またきちゃぅ……!!」
頭のてっぺんからつま先まで全部が気持ちよくて苦しいくらいで、もうずっとイキっぱなしだ。
「すみません……っ、もうっ」
全身を抱え込むように抱きしめられ、奥のいちばん気持ちいいところを乱暴に穿たれる。
「――――ッ~~!!」
今まででいちばん大きな波に包まれたとき、ミカエリスさんが小さく唸ってお腹がじんわり熱くなった。
「……ぁ……っ」
それさえも気持ちよくて、優しい手に頬を撫でられキスをされて……そのまま眠るように意識を失った。
◇
目を覚ましたらそこには見慣れた家賃5万2千円のワンルーム……じゃないんですよね。はい。
なにここ、ちょっと揺れてる? クッション……でもない、馬車の中……?
しかもちゃっかりあのミカエルさんに横抱きされているわけで。
「……夢じゃないんですね」
「ええ。もちろん。あんなに熱い時間を過ごしておいて夢だなんて……まったく、ヒマリさんは謙虚な方ですね」
「いえ、謙虚というわけではなくてで……」
「ふふ。そんなところも愛していますよ」
「ただ……くどいようですがヒマリさん、貴女はこの国を救う聖女です。この国の伝説の勇者とまぐわい、聖なる力をお与えになる……のが歴史の常でしたが気が変わりました。この国は僕が救いますし、貴女は僕の妻であり、唯一のかわいい人。あ、もちろん妾はとりません。僕はこうみえて一途なんです」
「えええ……なんですか突然」
「一目惚れです。貴女が別世界にいた頃からずっと……いえ。なんでもありません。さっき一目惚れしました」
「えええ……」
「そもそも僕の純粋な心を奪っておいてお断りなんてあり得ませんよ」
「脅迫じゃないですか。おかしいですよ」
「考えてもみてください。ヒマリさんの前世で飲食店でのセックスが許されるわけありますか? 衛生的に絶対だめですよね。この世界は魔法やらなんやらがあるので問題ないのですが」
「た、確かに……」
「ね? それ以上におかしいことがないのですから、他は無問題です。さ、そろそろ城に……我が家に帰りましょうか。夜ももちろん飲み放題付きですよ」
「ええ――……んん、まあ……」
まあ、いいかあ。だって、飲み放題付きだし。
あとなんか、ちょっとときめいちゃってる自分がいるし。
そして当然のように返事よりも先に到着した飲み放題会場……もとい、王宮へと帰って行ったのだ。
それから数年。
今までの歴史を覆すスピードと力で王子自らが前線に立ち、長年の悩みの種だった魔王軍を含む敵国をすべて制圧した。
それからというものの、王子は愛しい妻とのんびりイチャイチャタイムに勤しむようになったこと、そして国内の酒造技術・品質が驚異的な向上をみせたのは言うまででもない。
了
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