40 / 101
4章 2年目の中年レーサー
第40話 2年目の初レース
しおりを挟む
今日は今年度初のレースの日だ。
今回のレースは去年とは違う上り坂があるクリテリウムだ。
今回レース会場である公園に集ったは私、木野さん、南原さんの3人。
だが、実際にレースに参加するのは私と木野さんの二人だ。
南原さんは応援と写真撮影で参加してくれたのだ。
一周800mの短い周回レースだが、コース途中で2回現れる上り坂が難関だ。
木野さんの話によると、大体30秒程度で上り切れる短い坂で、以前走った時は体重の6倍のパワーが必要だったそうだ。
木野さんの体重は65kgだから、390Wのパワーを30秒間出していた事になる。
私の場合は体重70kgだから、420Wのパワーを30秒間出す必要がある。
1分間持続出来るパワーが411Wだから、1分より短い30秒で420Wはギリギリ許容範囲だ。
これが去年の体重だったら78kgの6倍で468Wのパワーが必要だった。
つまり、去年と比較すると10%以上少ないパワーで上り坂が攻略出来るのだ。
ダイエットコースを教えてくれた西野に感謝しないとな。
それに、南原さんとのトレーニングで上りのインターバル耐性も上がっているのだ。
これだけ仲間のお陰で成長出来たのだ。
苦手な上り坂があるレースだからといって挫けたら恥ずかしい……とは言っても目標は優勝ではなく完走だけど。
「今日は一緒に参加してくれてありがとね」
木野さんに感謝される。
私が苦手な上り坂があるコースだから気にしているのだろう。
「気にしないでくれ。チームリーダーとしてメンバーのサポートをしただけだよ」
「嬉しいから、どうしてもお礼を言っちゃうんですよね」
「それは良かった。本当はレースでアシスト出来れば良いのだけど、完走出来るかどうかも怪しい」
「絶対完走出来ますよ。一緒に頑張りましょう!」
木野さんに激励される。
そうだな、今日は自分が完走する事に専念しよう。
距離は短いが上り坂があるクリテリウムなら、クライマーの木野さんにとっては少しだけ有利になるから気にかけなくても大丈夫だろう。
「猛士さんと木野さんが受付している間、自分が荷物を預かりますよ」
「ありがとう」
「ありがとね」
南原さんが荷物を預かると申し出てくれたので、安心して受付に向かった。
そして、受付でエントリー表を見て思わず笑みがこぼれる。
ビギナークラス……
12番 中杉猛士 『いつも一緒』
13番 木野正 『いつも一緒』
…………
名前の横に私達のチーム名『いつも一緒』が表示されているからだ。
今回は初めてチーム名を登録してエントリーしたからな。
片仮名や英字のカッコ良いチーム名の中に、ゆるい名前のチーム名が載っているから目立つ。
しかも、私と木野さんの名前が並んでいる。
同じチーム名でエントリーしているから、レースの運営が一緒に纏めてくれているのだ。
「一緒に載ってますな」
「そうだな。こうして目にすると本当に仲間なんだって実感出来るな」
「ほんとですよ、ほんと。まったりしたチーム名も大好きだから最高ですよ」
木野さんも喜んでくれているな。
まったりしたチーム名が大好きか……私のチームメンバーで木野さんが一番まったりした名前が似合う男だからな。
喜んでもらえるのは私も嬉しい。
感慨深いが、長居したら他の参加者の邪魔になる。
「さて、試走に行こうか」
受付を済ませた私は、木野さんと一緒に試走を開始した。
木野さんの方が私より速いので、ゆっくりと自分のペースで試走する。
コースの確認は大事だが、試走で体力を使い切ってしまえば、本番のレースで力が出せない。
無理して木野さんを追う必要はない。
スタート直後は右コーナーの下り坂か。
足を止めていても速度がグングンあがる。
続いてストレート部分。
下り坂から続いている為、立ち上がりの負荷は減らせるな。
続いて右コーナーの上り。ここが最初の難関だ。
1分くらいかけてゆっくり上ったが、レースでは30秒で駆け上る必要があるのか。
結構ハードになりそうだ。
そして少し平地を走ったら直ぐに下りの右コーナー突入した。
下りはディープリムホイールの効果で圧倒的な速度が出る。
そして再びストレート部に突入した。
ここは道幅が狭く、追い抜きが難しいレイアウトだな。
そして最後の右コーナーの上り。
ここを上り切った所がスタートラインだ。
一周回ってみてコースの特性は理解出来た。
昨年参加したクリテリウムはヘアピンコーナーの立ち上がりの10秒パワーが重要だったが、今回のレースはコーナーの立ち上がりでパワーを必要としない。
代わりに木野さんの事前情報通り、コーナー侵入時の上り坂で30秒パワーが重視される。
後はコースレイアウト上、追い抜きが難しいという事だ。
コース幅が狭く、コースの一部には砂利が落ちているからだ。
レースの運営が清掃してくれているが、元々普通の公園だから除去しきれないのは仕方がないな。
砂利に乗り上げたら落車するから気を付ける必要がある。
コースレイアウト確認と路面コンディションを確認出来たので、直ぐにコースから出て試走を止めた。
体力の消耗を避けるためだ。後は静かにレース開始を待つだけだ。
今回のレースは去年とは違う上り坂があるクリテリウムだ。
今回レース会場である公園に集ったは私、木野さん、南原さんの3人。
だが、実際にレースに参加するのは私と木野さんの二人だ。
南原さんは応援と写真撮影で参加してくれたのだ。
一周800mの短い周回レースだが、コース途中で2回現れる上り坂が難関だ。
木野さんの話によると、大体30秒程度で上り切れる短い坂で、以前走った時は体重の6倍のパワーが必要だったそうだ。
木野さんの体重は65kgだから、390Wのパワーを30秒間出していた事になる。
私の場合は体重70kgだから、420Wのパワーを30秒間出す必要がある。
1分間持続出来るパワーが411Wだから、1分より短い30秒で420Wはギリギリ許容範囲だ。
これが去年の体重だったら78kgの6倍で468Wのパワーが必要だった。
つまり、去年と比較すると10%以上少ないパワーで上り坂が攻略出来るのだ。
ダイエットコースを教えてくれた西野に感謝しないとな。
それに、南原さんとのトレーニングで上りのインターバル耐性も上がっているのだ。
これだけ仲間のお陰で成長出来たのだ。
苦手な上り坂があるレースだからといって挫けたら恥ずかしい……とは言っても目標は優勝ではなく完走だけど。
「今日は一緒に参加してくれてありがとね」
木野さんに感謝される。
私が苦手な上り坂があるコースだから気にしているのだろう。
「気にしないでくれ。チームリーダーとしてメンバーのサポートをしただけだよ」
「嬉しいから、どうしてもお礼を言っちゃうんですよね」
「それは良かった。本当はレースでアシスト出来れば良いのだけど、完走出来るかどうかも怪しい」
「絶対完走出来ますよ。一緒に頑張りましょう!」
木野さんに激励される。
そうだな、今日は自分が完走する事に専念しよう。
距離は短いが上り坂があるクリテリウムなら、クライマーの木野さんにとっては少しだけ有利になるから気にかけなくても大丈夫だろう。
「猛士さんと木野さんが受付している間、自分が荷物を預かりますよ」
「ありがとう」
「ありがとね」
南原さんが荷物を預かると申し出てくれたので、安心して受付に向かった。
そして、受付でエントリー表を見て思わず笑みがこぼれる。
ビギナークラス……
12番 中杉猛士 『いつも一緒』
13番 木野正 『いつも一緒』
…………
名前の横に私達のチーム名『いつも一緒』が表示されているからだ。
今回は初めてチーム名を登録してエントリーしたからな。
片仮名や英字のカッコ良いチーム名の中に、ゆるい名前のチーム名が載っているから目立つ。
しかも、私と木野さんの名前が並んでいる。
同じチーム名でエントリーしているから、レースの運営が一緒に纏めてくれているのだ。
「一緒に載ってますな」
「そうだな。こうして目にすると本当に仲間なんだって実感出来るな」
「ほんとですよ、ほんと。まったりしたチーム名も大好きだから最高ですよ」
木野さんも喜んでくれているな。
まったりしたチーム名が大好きか……私のチームメンバーで木野さんが一番まったりした名前が似合う男だからな。
喜んでもらえるのは私も嬉しい。
感慨深いが、長居したら他の参加者の邪魔になる。
「さて、試走に行こうか」
受付を済ませた私は、木野さんと一緒に試走を開始した。
木野さんの方が私より速いので、ゆっくりと自分のペースで試走する。
コースの確認は大事だが、試走で体力を使い切ってしまえば、本番のレースで力が出せない。
無理して木野さんを追う必要はない。
スタート直後は右コーナーの下り坂か。
足を止めていても速度がグングンあがる。
続いてストレート部分。
下り坂から続いている為、立ち上がりの負荷は減らせるな。
続いて右コーナーの上り。ここが最初の難関だ。
1分くらいかけてゆっくり上ったが、レースでは30秒で駆け上る必要があるのか。
結構ハードになりそうだ。
そして少し平地を走ったら直ぐに下りの右コーナー突入した。
下りはディープリムホイールの効果で圧倒的な速度が出る。
そして再びストレート部に突入した。
ここは道幅が狭く、追い抜きが難しいレイアウトだな。
そして最後の右コーナーの上り。
ここを上り切った所がスタートラインだ。
一周回ってみてコースの特性は理解出来た。
昨年参加したクリテリウムはヘアピンコーナーの立ち上がりの10秒パワーが重要だったが、今回のレースはコーナーの立ち上がりでパワーを必要としない。
代わりに木野さんの事前情報通り、コーナー侵入時の上り坂で30秒パワーが重視される。
後はコースレイアウト上、追い抜きが難しいという事だ。
コース幅が狭く、コースの一部には砂利が落ちているからだ。
レースの運営が清掃してくれているが、元々普通の公園だから除去しきれないのは仕方がないな。
砂利に乗り上げたら落車するから気を付ける必要がある。
コースレイアウト確認と路面コンディションを確認出来たので、直ぐにコースから出て試走を止めた。
体力の消耗を避けるためだ。後は静かにレース開始を待つだけだ。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる