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出会い
しおりを挟む教室の窓から見える青空に、4月の桜の花びらが舞う
水色に薄ピンクが混じり合い、春の心地良い天気、こんな日は本でも、読んでボーッとしたかっったなぁ~なんて考えながら歩いていると、出会いは突然だった。
ドコドンドコドン ブォーンブォーンと、突然バイクがパン屋に止まった。
私は、人と関わるのが苦手、人と話すのが苦手、出来るだけ独りで居るのが好き、こんな私は、『春野 葵』人と話すより本を読んでいる方のが好き
[なんだ暴走族か~このヤロ~ 絶対に声には出せないけど心の声なら何でも言える、アハハ]
目の前に居るバイクから目が離せなくなってしまった。
そのバイクに乗っていたのは、とても綺麗な女の人だった。
こんな綺麗な人が、こんな大きなバイクに乗ってる、なんてカッコいいんだろう
その綺麗な女の人と目が合い、素敵な笑顔で会釈してくれたのに、私は何も返せず、呆然と立ち伏せているだけだった。無意識に私は、しゃがみ込んでバイクを見ている事に、気が付いたのは、その綺麗な女の人に
「バイク好きなの」
なんて声を掛けられてハッと気が付いた ヤバイ無意識にも程が有るだろう
「すっ、すいません ヒィーーー」って言い捨てて、逃げる様に走り去ってしまった。
『佐々木 小百合』 家業のバイク屋を手伝いながら、イケメンを好む、ちょっとズボラなバイク女子
「あっ逃げられちゃった。せっかくバイク女子増やせると思ったのに~」
私は、なんてダメな奴なんだろう。情けなくて、ちょっと涙が滲んでいるのに気が付いた。変わりたい、あの綺麗な女の人の様、なれるか分からないけど、変わりたい。
○
私の人生に、バイクなんて縁の無いものだと思っていた。
あの日からバイクに乗るカッコいいお姉さんの事が、頭から離れない
私がバイトしている本屋で、バイクの本を買うのはちょっと恥ずかしいから、隣の街まで行ってバイク雑誌をゲット!ヨシ
「早く観たいけど、バイト行かないと、楽しみは後で ウフフフフ」
バイクには、原付から大型二輪まで、排気量によりいくつかの車種があるんだ
えっバイクの免許って、種類が複数あるの
免許取得可能年齢や免許取得にかかる所要期間って、年齢は大丈夫だ
ヨシ!
良かった~ 頑張って通うぞー
適性検査、学科試験に合格すれば免許が貰えるんだ!よし頑張る!
でも、適性検査って私受かるのかなぁ?
明日、バイト休みだし教習所行ってみよう。でも、ちょっと怖いけど、あの綺麗お姉さんみたいにカッコよくバイクに乗りたい!
○
隣街の○○自動車教習所、ここなら知り合いに会わずに済むかな
どうしよう!
緊張して中に入れない、ちょっと泣きそう
「あのぅ~大丈夫ですか?」
と声を掛けてきたのは、この教習所で働く『斉藤 夏代』
思わず、ヒィーーーって声が出てしまった。情けない
「あっすみません、緊張して入るタイミングが見つからなくて……」
「気にしなくて大丈夫ですよ~ じゃ私と一緒に中に入りましょ ウフ」[ヒィーーって、あの子 小百合が言ってた女の子かしら?]
優しく笑顔で、私を中に案内してくれ説明を受け通う事にした。
名札に 斉藤
斉藤さんかー優しく説明してくれて本当良かった。
バイトをしながら、教習所に通う事、もうすぐ三ヶ月目になろうとしていた。
「どうしよう卒検が受からない」
三度目の正直!今度は絶対大丈夫!根拠は無いけど
ようやく卒検も受かり、学科試験も難なくクリヤ
「ヤッターーーー受かったーー」
思わず天を仰いでガッツポーズ
「ねえねぇママー見てー」
「ダメよ指さて見ちゃ」
「ヤバ恥ずかしい」
そうだ、帰りにバイク屋行ってみよう、今日は、ちょっと見るだけ!ウフフ お店のガラスに映った私、ヤバイこんなにニヤけてたら、子供に指差されるわ……
バイク屋に通う事一週間って、まだ中に入った事無いけど、
「最近、お店の前をウロウロしている女の子がいるだろう。そんな子いました? えっ私見た事有るけど、一週間も、洋さんなんかしたんじゃない!お前、ふざけんな俺は何もしてねぇよ」
そこにいたのは、このバイク屋 店主、『佐々木 源太』と娘の『佐々木小百合』、『佐々木華菜』に『春野 洋』、葵の兄である。
私が、バイク屋に入れず十日目の事
[見つけた!あの子か、って同じクラスの春野さんじゃん!捕まえて話聞いてみよぅ]
突然、「確保~」
「えっ」
ヤバイ……
腕を掴まれ、お店の中に連れて行かれ……
また思わずヒィーーーって声が出てしまった。
私の腕を掴んでいるのは、同級生の『佐々木 華菜』、リア充代表みたいな女子
「ごっごめんなさい ごめんなさい」
「何か悪い事でもしたの?」
「えっ……しっしてないです」
「そうなの、じゃこれからするの?」
「しっしません」
「冗談よ、そんな驚く事じゃ無いと思うけど、ごめんなさいね、驚かしちゃって」
「だっ大丈夫です」
「じゃ行くよ」
「えっ」
行くよって何処に……
ヤバい不審者として、連れて行かれる、どーしょう……親の顔が浮かんできた、これが走馬灯なんだろうか、パパママ親不孝な娘を、お許しください。
「おーい大丈夫~? ほら、顔あげて、なんて顔してんのよ」
「えっあっ……」 凄い凄いガラス越しに外から見ていたバイクが、目の前にこんなにある
「バイク見たかったんでしょ」
「あっ はい」
「興味があるんなら、近くで見なくちゃ分からないでしょ」
「あっはい すっすいません」
「ねぇ春野さんだよねぇ、私の事分かるよね?」
…………
「えっ」
「あっすみません、分かります」
「まぁいいや、っていうか、春野さん免許持ってるの?」
私は、リア充代表みたいな子に、取ったばかりの免許証を見せると、佐々木華菜が、驚いた様に
「中免持ってるんじゃん!」
うぅ驚かれてしまった。
「そうなんだ、この辺が中免で乗れるバイクだよ」
このリア充は、やけに詳しいな、さてはこの子もバイク好きなんだ
そんな事を心の声が呟いていると、「誰かいる~ 洋さん~」
聞いた事ある名前だけど、まぁ違うだろ
「はーいどうした?」
店の奥から出てきたのは、そう葵の兄の洋である。
「ゲッ」
「お前、ゲッって言うんじゃねえよ」
「なに、う~ん~ ちょっとうるさいんだけど!」
お店のカウンターから、ボサボサの頭の女性が起き上がって、背伸びをしていた。そう何を隠そう、この人が、葵の憧れの女性、葵は、まだ気が付いていない。
「なに」
「洋さんがお客さんに、お前って」
「あんたねぇ、いい加減にしなさいよ!」
「あんたって、俺は年上だぞ!」
「はっ?たった何ヶ月かでしょ、っつうか、いつまで学生気分なん」
「ちょっと、春野さんが引いてるから、二人ともいい加減にしなよ」
「春野さん?もしかして」
「兄です。」
「そうだよ妹だよ」
二人はニヤけ顔で「あぁ~」
ちょっとなんか、恥ずかしい
「おいおい、うるせぇーなー外まで丸聞こえだぞ! おぅいらっしゃい、ようやく店入れたかい」
「あぁ、お父さんおかえり」
「お父さんって」
「あぁここ、あたしんち」
「えーーー」
どうりで詳しいわけだ!
「もしかしてなんですが、カウンターの人は」
「あれ、お姉ちゃんだよ」
「えーーー」
「あっ遅くなりました、春野葵といいます。 兄が、お世話になってます。」
「しっかりした子じゃない」
カウンターにいた、お姉さんが私に近づき、耳元にそっと「(バイク好きなの)ウフフ」
ヒィーーーって声が出てしまった。
「あっすみません その節はすみませんでした」
「本当に、面白い驚き方するのね」
「いいのよ、会えて良かった ウフフ」
突然、優しそうな笑顔でバイク屋の店主が
「葵ちゃんバイク見たかったんだろ、ゆっくり見ていきな」
「そんなに目を見開いてどうしたの?」
「家族以外に名前で呼ばれることがなくて」
「気がすむまで見ていきな」
佐々木さんのお父さんは、本当に優しい
今日は帰ります。
明日、明日また来ます。
と言いお店を出て、さっきまでの情報を頭の中で整理しながら、ぶつぶつ言いながら歩いている姿を、見られている事を、葵は、知らなかった。
○
翌朝
「春野さん、おはよぅ 放課後なんだけど空けといてね、先に帰っちゃダメだからね!」
「おっおはようございます あっはい わっ分かりました。」
なんだろう?先に帰ったら、怒られるだろうなぁ
あの失態をさらしたし、もう逃げられないだろうな…… 仕方がない覚悟を決めるしかない 放課後嫌だな~
ぜんぜん授業に集中出来なかった
「あぁ~やっと終わった~ 葵!帰るよ~ ってなんて顔してんの 顔色悪」
顔色が悪いのは、あなたのせいです。
って、絶対に言えない
葵と呼ばれたのと、周りの目が気になって、ちょっと動揺と緊張が
「琴子~ エミ~ 帰ろ~」
『畠山 琴子』ちょっと天然と言うか、計算マイペース女子
「はーい華菜ちゃん、ん? 春野さんだウフフ」
『高根沢 エミ』見た目と中身が正反対で、ちょっとセッカチな女子
「おぅ華菜 帰ろうぜ おっと珍しいのがいるね、どうしたの?」
この二人は、急に私なんかがいて、なんでそんなに冷静なの?
「葵と友達になったから、エミと琴子にも言っておこうと思って」
「なんだそんな事か、華菜が友達なら、私とも友達だ! 葵、よろしくね」
「うん、知ってた~ よろしくね葵ちゃん」
おいおい、高根沢さんそんな簡単に友達なんてなれるのか!私は、高根沢さんの事、元気っ子としか知らないのに
ましてや畠山さんなんか、知ってる~って あの一瞬で察したのだろうか、恐ろしいこの天然娘
思わず、ウルトラマンのファイティングポーズの様に身構えてしまった。
「あぁ~よーし私も~ヤー」
「よーしやるか~ヤー」
「二人ともなにやってんの~ じゃ~私もヤー」
三人が、楽しそうに笑っている
「って言うか何これ ちょっと笑わせないでよ」
「だって葵ちゃんがヤーってやってたから ウフフ」
「畠山さんが、一瞬で察した事が恐ろしくて思わず、身構えて……」
「あぁっウフフ えっと~なぁ~いしょウフフ」
「琴子って、そう言う子だから」
「うん、華菜の言うとうり、琴子って、そういう子だよ」
「なによもぅ~二人とも酷くない~」
三人共、本当楽しそうだし、本当に仲が良いんだろうな
「あっ私、あまり皆んなの事知らないし、私なんかが友達になって良いのかって……」
「私達の名前も知らない」
「それは分かります、佐々木華菜さんに、高根沢エミさんと畠山琴子さん」
「名前分かれば、初めましてじゃないじゃん、それに、一年の時、私と琴子とも、同じクラスだったんだし忘れちゃった?」
「うんん覚えてます」
そうだ、高根沢さんと畠山さんって一年の時同じクラスだった。言われて思い出した。
「それに、華菜が葵と友達になったっていうなら、私だって琴子だって友達だから、ねぇ琴子」
「そだょ~ぅ」
「友達の定義と言うか、なんていうか、友達になりたいって、気持ちが大切なんだと思うんだけど、迷惑?」
「そんなことは…… 私なんかが一緒にいたら、周りの目が、そっちの方が迷惑かと」
「なんだそんな事か そんな下ばっか見てないで、ほら顔上げてごらんなさいよ、私達が、そんな風に見えるの?」
私の目の前には、優しい笑顔で私を見る三人がいた。 その三人は、私の両肩にそっと触れ、うんうんと二人は頷き、もうそれ以上言うなと言わんばかりに、三人に笑顔で見つめられ
今まで、人との関わりを持たなかったとしても、この三人の笑顔に嘘は無いことに気が付いた
「信じ……」
「うんいいんだよ 葵」
「そうだよ 葵」
「うん 葵ちゃん」
初めて友達というものに触れて、三人の温かさに包まれて、気がつくと一雫の涙が
なんかよく分からないけど、何故か涙が出てしまった。
「ごめんない 私こんなんだから今まで、友達なんて言ってくれる人いなかったから」
「嬉しくて」
「やだな琴子、あんたも泣いてんの」
「華菜ちゃんだって、もうエミまで」
こんな感情は初めてで、涙が止まらない
「ありがとう佐々木さん高根沢さん畠山さん」
「畠山さんじゃないょ琴子だよ葵ちゃん」
「そうだよ苗字じゃなくて、華菜でいいんだって」
「はーい 苗字禁止、敬語もな」
ううぅ強引だな高根沢さん
「ううん分かりま… わかった、ありがとう華菜ちゃん、エミちゃん、琴子ちゃん」
「はい葵ちゃん、よく出来ましたぁ~」
と言って、泣きながら私を抱きしめ、しばらく三人は、私を囲んで一緒に涙を涙を流し続けました。
○
小春日和の様な人の温かさに触れ、今まで人と関わりを持たなかったり、自分の殻に閉じこもって周りをシャットダウンしていた事が、今になって恥ずかしいというか、勿体ない日々だった事に後悔してしまった
毎日一緒にいる様になり、人と接する事に少しずつ慣れ、自分から離せる様になってきた。
でも、出来るだけ自分でバイクを買うと決めたので、ほぼ毎日の様にバイトを入れてしまっていた。せっかく友達になってくれたのに、ちょっと悪い気がした。でも目標の為だから、言われたら謝ろう。
小百合さんの様に、颯爽とバイクに乗るんだ。本当カッコよかったなぁ~
もう十月も、もう終わりかぁ~
少し寒くなってきたなぁ。
今までの貯金とバイト代でなんとかなるかも。
近々、華菜ちゃん家で買えるバイク探してもらおっと。
そんな事考えながら歩いていると、いつもの様に、葵~おはようって聞こえた。
思わずドキッとした。
「なに驚いてんのよ、いつもの挨拶でしょ」
と華菜ちゃんが、笑いながら話しかけてきた。
「華菜ちゃんおはよう。もうそろそろ、華菜ちゃん家で、バイク探そうかなって考えてた時に声かけられたから、ちょっとビックリしただけ アハハ」
「華菜、葵、おはー」
「華菜ちゃん葵ちゃん~おはよぅ~ 何々、私の葵ちゃんをいじめないでよ ウフフ」
って抱きつかれた、朝から本当賑やかだ。
「バイクの事考えてた時に声かけられて、ちょっとビックリしただけだから アハハ」
「ウフフ 知ってる」
この子は、何を知っているのだろう、やっぱ怖い
「そうだ葵、今日バイトは?」
今日はバイト入ってなかったよな~
「入ってないよ」
「じゃ今日、寄り道して帰ろう」
「オーケー」
「はーい」
朝から、帰りの事を決めるのが分からないけど
「うん」
寄り道ってどこ行くんだろう?
ちょっと気になって、授業が半分くらい集中出来なかった。
「終わったね~ 葵、帰ろう~」
「うん」
ここ最近の変わらぬ風景
周りからはどう見えているのだろう、あの輪の中にいて本当大丈夫なだろうか凄い違和感だろうな、今まで独りでいた弊害だろうか、たまに考えてしまう。
隣の教室、出入り口の隙間から顔だけ覗き込んで二人に声をかける
「エミ~琴子~帰るよ~」
二人の返事が聴こえた。
「おぅ~」
「はーい、ちょっと待って~ エミ待ってよぅ~」
エミちゃんは、いつも思うが男前だ、琴子ちゃんは、相変わらずだ
隣の教室を過ぎた辺りに男子に声をかけられた
「おー佐々木 最近、春野とよく一緒にいるけど、なに手下?アハハ」
「はぁ? 普通に友達だけどなにか」
「本当か? 春野とは、中学ん時から知ってるけど、友達付き合いしてるの見た事なかったし、春野、本当の事言ってみ、話すわけないか」
「ほっ本当」
「しゃ喋った」
「当たり前だろ 葵をいじめたら殺すよ」
「そんなことはしないけど……」
「なになに~ 私の葵をいじめてるのか! 華菜、田辺殴っていい?」
「いいよ~エミ 許可する」
「良くない許可するな、ただ話…………」
「ドーン」
一番危ない子が、ふと私の横をサッと消えたかと思うと、ドーンって言いながら、なにも聞かずに後ろ向きになりお尻で体当たりして男子を突き飛ばした
「痛ってててて」
「私の葵ちゃんをいじめないでよねぇ~」
「誤解だよ最近、春野が変わったなって思ったから、ただ話ししてただけだよ」
「そうなの?」
「あっうん」
「アハハは テヘ」
テヘで済ませられるのかこの子は、本当に怖い
「ん? じーー」
「なっなにもないよ」
「ウフフ本当だ」
怖い、心を読まれるかと思った
「あらら もしかして葵の事、気になっちゃったかな ウフフ」
ふと訳の分からない事を言われたので、思わず身構えてしまった
「ん? ドーン」
また体当たりされ、突き飛ばされてしまった田辺君かわいそうに。
「ちょっちょっと待ってくれ畠山、本当に痛いんだから止めてくれよ、それに佐々木、誤解される様な事は言わないでくれ 」
「テヘ」
またテヘで済ませた!
「はいはーい 遊んでないで帰るよ~じゃぁね田辺」
「じゃぁな田辺」
「ウフフじゃぁねぇ田辺君」
「おぅ じゃぁな 春野、さっきのはもうやるなよ」
「あぁっうん さようなら、たっ田辺君」
「あぁじゃぁな」
琴子ちゃんを使って、遊んでみたら面白いかな、blackな葵ちゃんを出しちゃったりしてアハハは
本当に痛そうだし、悪いから止めておこう
以前なら、こんな事本当に考えなかったのにアハハ ヤバイ琴子ちゃんに顔覗き込まれてる
「ん~?ウフフ」
「本当にやらないから」
本当に心読まれてるみたいで、本当怖い
皆んなの笑い声の後に付いて行く、これが本当の高校生なんだろうか?
イヤ、これは特殊なケースだと思う。
そんな事を考えながら歩いて行くと、近所の公園に入って行くので付いて行くと、三人が止まるや否や、こちらを向き、三人がニヤニヤしているので、何か企んでいるのは分かた。
三人がなにかカードみたいなのを見せてきたので、良く見てみると、運転免許証だった!
「もっもしかして バイクの免許取ったの?」
驚きのあまり三人の前で固まってしまった。
「おーい葵~大丈夫かー」
「あの日の翌日、葵バイトだったでしょ、葵のいない所でいろいろ話したんだ、なぜ友達になろうと思ったこととか、ウチにバイク見に来た事とかね。
あぁ私は、少し前から通い始めてたんだけど、二人は話した次の日に申し込んで一ヶ月位で取れたんだっけ?私は一ヶ月半かかっちゃったけど、アハハは」
「えっ! 一ヶ月」
目と口を見開いて、また固まってしまった。大丈夫かーと両肩を揺すぶられながら
「葵がメデューサに石に変えられた~
葵~しっかりしろぅ~大丈夫か 」
「メデューサ琴子だぞぅ」ウフフ
あぁ~この子のっかった
華菜ちゃんは、一ヶ月半でも凄いけど、さすがエミちゃんは凄い、私は、バイトしながらとはいえ三ヶ月もかかったんだから
「琴子の方が、三日位早かったんだっけ?」
「えっ琴子ちゃんの方が、早く卒業出来たの!」
私とこの子に、どんな差があるの?
私と同じだと思ってたのに、絶対に何かあるに違いない
「ん~?」
ダメだ目を逸らす事が出来ない
「アハハは、なにもないよ、凄いなって思っただけ」
私と同じと言うのは、鈍臭いって事だけど、それは悟られない様にしよう
本当いろんな意味で、この子怖い
「葵にサプライズできた事だし、じゃぁ次はウチね」
久しぶりの佐々木モータースか~、次の日来ますって言っときながら、バイトやなんやかんやで行けてなかったな~ 早くバイク見たい!
んちょっとまて、次はウチって、この流れは決まっていたのか
○
〈佐々木モータース、佐々木華菜の家で有り、葵が十日近くかかってやっと入れたバイクショップ〉
久しぶりの風景だ
そういえば、十日近くかかったんだよな入るのに、この事は二人には内緒にしておこう アハハは
「葵、なにニヤけてんの ただいまぁ~ あら夏代ちゃんお久~」
顔に出てしまっていたらしい、平常心、平常心
「あぁいや久しぶりだったから」
これで誤魔化せたかな?
かよちゃんって誰だろう、話しかけられたら、頑張ってかえそう!
ヨシ
「こんにちは お邪魔しまーす」
ちゃんと挨拶出来た ヨシ!
「ういーっす ここ来るのも久しぶりだなぁ~」
ういーっすって、凄い
「お邪魔しまーす そうだね~教習所行ってたしね ねぇ本当久しぶり」ウフフ
「あら小百合ちゃん、夏代ちゃんお久しぶりでーす。」
「あっ本当だ小百合ちゃん、夏代ちゃんお久~」
おいおい、あの小百合さんをちゃん付けなのか、この二人って本当凄過ぎる そうだ私も小百合さんに挨拶し…… ん?かよちゃんってだれ……
って、なんであの人がいんの!
〈あの人とは、隣街の教習所で、声をかけられビックリしてしまった 斉藤夏代の事である〉
「よ~華菜にエミに琴子、久しぶり~どのくらいぶりだろ」
「ゲ」
「えっ あぁ春野葵さん久しぶりね」ウフフ
思わず ゲって言ってしまった。聞こえてないことを祈ろう
この人、あの時と喋り方が違う
「さっ斉藤さん ごっご無沙汰してます。そっその節はお世話になりました。 あぁー小百合さんも、ご無沙汰してます。 おっお二人は、お知り合いだったんですね」
「久しぶり葵ちゃん、やっと来れたね 待ってたのよ ウフフ
それに、なんでそんなに緊張してるの? もしかして」
小百合さんは、斉藤夏代さんの方をチラッと見て、こちらに向き直るとニコって笑顔をくれた って事は、私の失態が筒抜けって事!
「葵が、また固まってぞ 大丈夫かかー葵」
エミちゃんに、また両肩を揺すぶられ、
その時、琴子ちゃんが動くのが分かり、我に戻って静止する事ができた、危ない危ない
男子だろうが当たり構わず行くのは、やめて欲しい
「チッぇ」
今この子チッって言いましたよ。
もうドーンっていうのは止めてよね
「春野さんって呼ぶから、余計に緊張しちゃうのかな 私も葵ちゃんって呼ぶね、良いかな?
私も、斉藤じゃなくて名前でよ・ん・で・ね!」
私をどうしようと言うのだ!
斉藤さん違うんですよ、苗字じゃないんです、あなたと会った時の事を思い出すと緊張しちゃうんですよ
「そうねぇ~私の葵ちゃんんだから、いじめたりしなければ、呼んでもいいよ~」
「いやいや琴子に聞いてないんだけど、華菜~」
「琴子は、そういう子だから諦めて」
エミちゃんは、そうだそうだと言わんばかりに、うんうん頷き、私も便乗して小さくうんと頷いてみた。
「もぅ~皆んなして~ まぁ葵ちゃんまで、ママは葵ちゃんをそんな子に育てた覚えはありません」
これ以上変なスイッチが入らなければいいんだけど……
「喫茶店じゃねえぞ、ここは溜まり場か おー葵ちゃん良くきたね」
「あっはい、お邪魔しています。」
華菜ちゃんのお父さんの登場で、騒がし時間がようやく終わり、待ちに待ったバイクが見れる、触ってもいいのかな?
せっかく買うんだから、しっかり見ないとね!
「気になるのがあったら、言ってね エンジンかけてあげるから」
「はい」
自分でも、顔が緩んであるのが分かる
バイク見てるだけで、なんでこんなに楽しんだろう。
数台のバイクに絞って、少し広い場所に、一台ずつ移動して見やすくしてくれた。
エミちゃんと琴子ちゃんも、バイクを探し始めた。ちょっと皆んなのが気になって集中出来ない
たしか兄が、まだ学生なんだから車検の有るバイクはまだ止めときな、 稼げる様になったら車検付きのバイクにすればいいんじゃないか、バイクって趣味って人も多いから、自分の趣味に親に金出させるのは、俺的になんか違うと思うんだよなって言ってたなぁ せっかくのアドバイスだから、たまには兄をたててやろう
私はバイトしてるから大丈夫だと思うんだけど、たまには、兄をたててあげよう
そうなると、車検無しのバイクにするって事は、これとこれは無しって事になるかな~
候補は、この二台か~
こっちのオレンジのタンクのかわいい
「あの~小百合さんが乗ってバイクって」
「あれはダメよ乗れないのよ、大型だから、葵ちゃんは、小百合のハーレーがいいの?」
小百合?
小百合さんが乗っているバイクの事を教えてくれた
へ~~あのバイク、ハーレーっていうんだ~と思いながら振り向いてちょっとビックリした 近くにいる事すら気が付かなかった 小百合さんが近くにいるもんだと思って話しかけてた
「あっそっそうなんですね アハハは
ありがとうございます。」
ちょっとビックリしたけど、皆んながいない、私に気を遣って席を外してくれたのだろうか。
「あの~皆さんって何処……」
ブォーンブォーン エンジン音が外から聞こえた
「あぁここってレンタルバイクもやってるから、見せてもらってるんじゃない」
おいおい聞いてないぞー
なんですかレンタルバイクって、そんな素晴らしいシステムがあるんですか! 教えてくれればいいのに、やはり私は、まだ馴染んでいないのですね。大した事はないです、前と何も変わってないのですから
「あっかっ夏代さん、私もレンタルバイク見たいです。ちょっと行ってきてもいいですか」
夏代さんは、笑顔でうんと頷き皆んながいる所まで、ついて来てくれた
「あ~やっと来た~葵ちゃん呼んだのに、何かに操られてるみたいに展示しているバイクの所にフラフラって行っちゃうんだもん」
えっ! ちゃんと呼んでくれたんだ、馴染んでないとか、勝手に諦めた事が、本当に恥ずかしい穴が有ったら入りたいって、こう言う事なんだろうな ちょっと泣きそう
「なにウルウルしてんの」
「葵ちゃん 変な事考えてたんでしょ~」
「ごめんよ葵 あの顔見てたら、シツコク呼ぶの止めさせたんだ 悪かった悪かった」
本当、なんでこんなに優しくしてくれるんだろう、自分の考え方や行いが本当に考え直さないと、恥ずかし過ぎる
「えっあっいやっ ちょっと恥ずかしかったのと、皆んなの顔見てホットしちゃって アハハは」
「そうだ葵ちゃんはまだ、聴いてなかったよね レンタルバイクなんだけど、貸し出しは本来二十歳からなんだって、せっかく期待を胸に抱いて来たのに」
「ウチら、まだ未成年だから無理なんだって」
「そうなんだよ、だからエンジンだけ、かけてもらってたんだよ 葵は、まだ店内だから後から教えようって事になったんだ」
「大丈夫?葵ちゃん?」
「ハハは、アハ 大丈夫」
話の内容を聴いて、放心状態で立ち竦んでいると
「おー娘達よ、大きいバイクはレンタル無理だけど、小型なら良いぞ
HONDAのハンターカブとクロスカブで、どうだ」
「本当お父さん!」
「親父さん!」
「ありがとうパパ」
「お前が言うと、違うパパに聞こえるぞ」
「人の親をパパ言うな」
「おじさんありがとうございます」
天国から地獄に落とされたと思ったら、なんと言う事でしょう、天国です!おじさん、貴方は神様ですか! この嬉しさをどう表現していいのか分からない
「取り敢えず、日曜に四台予約しといてやるから、今日は、そんな格好で運転させらんねえしな」
日曜?あっバイト入ってる、なんてついてない、やっぱそんなに美味い話はないよな バイトの事思い出したとたんに、また固まっていると
「葵しっかりしろー大丈夫か~」
「葵、あんたなんて顔してんの~もしかしてバイトなの」
「うん」
「葵ちゃんが、日曜ダメなら私はキャンセルねぇ~」
「そうだな葵が来れないんじゃ、つまらないしな!親父さん、私もキャンセル」
「いやいや私の事情で、皆んながキャンセルする事ないよ」
「葵 私達、四人で予約する事に意味が有ると思うだよね、だから葵が来れないんじゃ私だってキャンセルだよ
だからお父さんごめんね、やっぱ四人でバイク乗りたいから」
「そうかーそれじゃしょうがねえな」
こんな私の為に、皆んなが諦めるなんてダメだよ!
でも、私が何を言っても聞いてくれないだろうな……
「あっおじさん いや 社長さん、私の為に皆んなが諦めるなんて、本当辛いので、来週の日曜に変更させて下さい お願いします。」
こんな事で、皆んなに感謝を返せるとは思えないけど、今までなら言えなかったけど、頑張った
「葵」
「葵、顔怖いぞ」
「もう葵ちゃんったら」
「来週かー ちょっと待ってな、来週は予約が入って二台しか空いてないから、再来週に四台、予約入れてやるから 再来週で良いかな?」
「本当ですか、ありがとうございます。 あっでも、皆んなの予定は大丈夫?」
三人が顔を見合わせ、三人がうんうんと頷き、笑顔で私に近寄って来た
ヤバイ泣きそうだ
四人で抱き合いながら、やった~やった~としばらく四人で飛び跳ねていた。
0
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「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
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