2 / 6
喜び
しおりを挟む
喜び
夜明け、喜びと興奮が冷めず、睡眠不足で朝を迎える。
朝、鏡を見て唖然 寝起きなの、ろくに開かない目なのに、顔がニヤけてる、さらに目の下にクマ!
こんな顔してたら、華菜ちゃん達にイジられる、ヨシ今日も学校だ!シャキッとしろ頑張れと、両手で頬をパンパンと叩き気合を入れた
ヤバイ今日は、家出るのが遅くなってしまった。 今日は、朝の本を読む時間、作れないだろうな
毎朝、皆んなから声をかけられて一日が、始まって感じだけど、今日は出遅れた 華菜ちゃん達はもう、校内に入っちゃったかな?
校門近くで三人がこっちを見ている華菜ちゃん、エミちゃん、琴子ちゃんだ
私が遅いから待っててくれたんだろうか?
ヤバイ顔大丈夫だろうか、学校に鏡を持ってくる習慣もないから、確認出来ない
今日は私から挨拶したい
「華菜ちゃん エミちゃん 琴子ちゃんおはよう~」
聞こえたかな……
「おー来た 葵おはよう~」
「あっ本当だ~ 葵ちゃん~おはよぅ~」
「葵遅かったね おはよぅ って、なんて顔してんの」
「おはよぅ 昨日興奮してあまり眠れなかった うんクマ出来ちゃって」
「いやいや、目から下がニヤけてるよ」
バレてる~ やっぱ鏡持ってくればよかった
「今走って息が切れたからじゃないアハハ」
「葵ちゃんが、変な言い訳してる~」
「葵それはないだろうアハハは」
「そんな恥ずかしい言い訳しなくてもいいって 葵が来る前に、もうひと笑い済ませたから」
「そだよ~朝から三人してニヤけ倒したんだからウフフ 葵ちゃんも、絶対ニヤけて学校来るって三人で話してたところウフ」
皆んな一緒だったんだ、なんか嬉しいな~ こんな風に、いろんな事を共有出来るって楽しい
「ほらー急げー遅刻するぞー」
先生の声を聞いて、慌てて教室に向かった。
昨日の寝不足で、あまり集中出来ない
今日は朝から本が読めなかった。私の唯一の楽しみ休み時間に本を読む事、一時間目の授業が終わり、鞄から本を取り出し読み始めた時に、前に誰かが立っている事に気がついた。
「葵、顔上げて 目をつぶって、ちょっと前髪手で押さえて」
と言われ、言われるがまま華菜ちゃんが、私の顔に何かしてる ちょっと良い匂いだ
「はい もう良いわよ~ あんたね~ 女の子なんだしもう少し手入れしなさいよ、はい鏡」
手入れとは何のこと?と言われるがまま、渡された鏡を覗いてみた
まさか落書きをするほど子供ではないと思うが、恐る恐る鏡を覗いて何かが違う、その何かが分からない
落書きだなんて、私はなんて子供なんだろう 恥ずかしい
そこに有るはずの何かが分かった、クマが消えてる 「えっ」
鏡と華菜ちゃんを交互に、何度見しただろう
「本当、葵は動きが面白い アハハは 動画撮っておけばよかった」
「そんなの撮ったら、琴子ちゃんに毎日顔弄られちゃう」
「アハハは そうなるかもねアハ」
「えっなぁに~」
ヒィー
ヒィー
二人して驚いて変な声をあげてしまった
「ちょっと、驚かさないでよ 変な声出しちゃったじゃない」
「華菜ちゃんも葵ちゃんもなんで驚くのよ~ あぁ~わかった 琴子の悪口言ってたんでしょ~」
「そん事言わないよー 琴子ちゃんも、お顔の手入れしてるのかなって」
「なんで琴子の名前が出た? ん~?じ~ぃ~ ウフフ」
「それは琴子ちゃんが綺麗だからだよ ね華菜ちゃん」
「あっそうだよ さっきクマ消してあげたのよ、少しは手入れしなって言ってたんだよね」
嘘を付いてしまった。
「ん?~ 本当かなぁ~ウフフ まぁいいや また後でね~」
思わず手を握り合い
「ふぅ~ビックリした」
「ビックリしたね、本当あの子は なんで急に現れるかね 流石に私も怖かったよ」
「うん怖かった 心読まれるかと思った」
琴子ちゃんは、たぶんエスパーだと思う事にした
○
休み時間に本読む時間が出来たけど、エスパー琴子の一件から集中して本が読めなかった
今日から、心の中だけはエスパー琴子と呼ぼう
そうだ、顔に塗ってくれたのどう落とすのか帰りに聞かないと、ゴシゴシ落としてもいいのかな?
いつものように、葵~と呼ばれた
「葵、今日バイトだよね?」
「うん」
「今日、本屋行きたいんだ、だから葵のバイト先行っていいかな?」
「まぁいいけど私、仕事中は あまり相手出来ないけど、大丈夫?」
「大丈夫!大丈夫! バイトの邪魔はしない様にするから」
「まぁいいけど」と言ったものの、ちょっと気になるのと、私も一緒にって思ったけど、流石に言えなかった
そうだ聞こうと思ってた事が有ったんだ
「顔に塗ったこれって、普通に洗顔でゴシゴシ落としてもいいの?」
「絶対ダメ クレンジングで優しく指でクルクルって、その後拭き取って洗顔ね」
「わっ分かった」なんかえらいもの付けられちゃったのかな?
でも女子なら、普通なのかもしれないな
琴子ちゃんには、絶対に秘密だな!毎日が大変になっちゃう
「ん~? 葵ちゃん琴子の事考えてたでしょ~」
うわっちょっとビックリした なんで分かるんだろう? 頭の上に吹き出しでも出てるのかな?
「そんな事はないよ」と目を逸らしてしまった
「なんで目を逸らしたの、なんか疚しい あっなんか目の下ファン コンシーラーでしょ~」ニヤ
バレた やっぱ分かるよなぁ~今ニヤって笑いましたよね
「あぁそれ、クマが酷かったから、私が消してあげたよ 琴子は葵をオモチャにしちゃダメだからね」
なっナイスです華菜ちゃん、アナタに一生ついて行きます!
「華菜ちゃんだけズルい~~」
「葵が怯えるからよせ」
「もう~エミまで~」
「ズルくない 葵がメイクする様になったら、琴子が教えてあげなよ」
「その時は、琴子ちゃんお願いします」
丸く収まったみたいでよかった。
○
バイトし先の本屋
どんな本を探してるんだろう?
案内くらいは出来るかな
「おはようございます、店長お疲れ様です」
「おはようございます春野さん、今日は、学校から直接来たのね」
「あっはい、友達が本を探してるとの事で、一緒に来ました」
「そう~ じゃ用意が出来たら、案内してあげて」
「はい それでは用意してきます」
「貴女達が春野さんの、お友達なのね やっぱそういう事なのね、良かった貴女達に会えて」
「えっどういう事ですか?」
「春野さんって、ここでバイトして一年半とかになるんだけど、あまり積極的に喋ったりする子じゃないでしょ、挨拶も辿々しくて、それでいて、棚の前でブツブツ言ってると思ったら、本読み出しちゃう子だったんだけど、ここ何ヶ月か前から挨拶もきちんと出来る様になったんだけど、棚の前の行動は変わらずなんだけどね、本当、貴女達のおかげであの子も変われたんだと思うのよ。いいお友達に会えたんでしょうね」
ちょっと皆さん!その憐れむ顔はやめて下さい
あー店長が、私の今までの失態を話したんだ やっぱ連れて来なければよかった
三人が駆け寄り、私を真ん中にして三人にハグをされた バイト先で、ちょっと恥ずかしいけど、まあ何を聞いたか分からないけど、久しぶりだから良いかな
「はいはい、皆さんお店の中なので、このへんで 春野さん、案内してあげるんでしょ」
よかった~久しぶりの感じだけど、ちょっと恥ずかしかったのでナイスなタイミングです店長!
「そうだった 葵、参考書の棚ってどの辺?」
最近の楽しさとバイクの事で、忘れてたけど、そうだ受験の事考えないといけない時期だった
皆んなは、何処の大学受けるんだろう 今まで考えてなかったけど、出来ればまだ皆んなと……
左右から二人に肩を組まれ
「うちらは進学組だけど 葵は、もうどうするのか決めてんの? もしかして、何もまだ考えてなかった?」
「えっあっアハハは、そっそっそんな事はないよ アハハは」
「おっと図星か」
エスパーがもう一人増えた
「葵ちゃんは、どうしたいか好きに決めて良いんだからね」
一緒にいたい、同じ大学に行きたい、無理かもしれない でも、やる前から諦めたくない
「本当は、まだ迷ってたんだけど、もう迷わない 決めた、私も進学する もっと見んなと一緒に居たい」
「うん知ってた じゃ一緒に頑張ろうね葵ちゃん ウフフ」
「あっそろそろバイト戻るね、それじゃごゆっくり」
進学するなら、バイトも考えなくちゃいけないな~
皆んなが何処の大学目指してるのか聞いとけばよかったー
進学考えてるのに、私 勝手に予定決めちゃったけど、どうしよう
その事は明日 謝ろう あと予約も取り消してもらわないと
○
翌朝、いつもと変わらぬ日常
放課後、皆んなに聞いてみよう 何処の大学目指してるのか、三人は成績良いから、やっぱ凄い大学行くんかな~
それを考えると、ちょっと挫けそう うっうう ヤバイちょっとうめき声みたいのが漏れた
咳払いして誤魔化そう
「あぁ~やっと終わった~ 葵~帰ろう~ 葵!お腹でも痛いの? うーうー言ってなかった?」
うわバレてた アハハ笑って誤魔化そう
「そうだ、華菜ちゃん 聞いてもいいのかな?大学って何処目指してるの?」
「○○大学だけど、葵も同じこと受ける?」
一つ上のランクの大学じゃないですか! 怖気付いたら負けだ、一緒がいい
「うん受けたい 一緒でもいいかな?」
「当たり前でしょ 頑張れば大丈夫だって」
お前は無理だって言われるかと思った 良かった~
もう一つ大事な事あったんだ
「後もう一つ大事な話……」
「おーいどうした~華菜、葵帰ろうぜ~」
「華菜ちゃん葵ちゃん迎えにきたよ~」
「あっごめんごめん、おまたせ~ って葵なに?」
「皆んなに聞こうと思ってて、来週の日曜の事なんだけど、私 皆んなの事何も考えず予定決めちゃって、本当申し訳なくて、ごめんなさい バイク乗る事しか考えてなくて、本当穴が有ったら入りたいくらい情けない」
「おい葵、何言ってんだよ」
「そうだぞ~」
「葵、来週の予定は皆んなで決めた事じゃない、葵一人で決めた訳じゃないでしょ だから来週の事は、何も気にしなくて大丈夫なんだよ」
「えっでも、私 皆んなが、大学受験の準備を始めるの気が付かなかったし」
「そこはごめんね 私もエミと琴子と同じ大学考えてて、もうそろそろやらないとかなって思って、参考書って何を使ってるか教えてもらう為に本屋さん行きたかったんだよね」
「私達、葵のバイトしてる本屋で、買った参考書が良かったから、華菜に教えたんだよね」
「ごめんね~葵ちゃん内緒にしてた訳じゃないんだよ、でも話すの忘れてたから内緒と同じだね 本当ごめんね」
「そんな~謝らないで、私が脳天気過ぎ……」
「さっき葵が、同じこと受けるって言ってくれたの本当嬉しかったし、正直二人に追いつけるか心配だったけど、一緒に頑張れる同志が出来て心強かったんだから」
「そっか葵も同じとこ受けるんだ じゃぁ四人一緒になれるように、皆んなで頑張ろぜ」
「一緒に頑張ろうね葵ちゃん」
「来週の予定止めちゃったら絶対に後悔する気がする だから来週は思いっきり楽しんで、受験頑張ろうよ」
「えっ本当にいいの?」
「当たり前だろ」
「そうだよ~」
「そうだ、来週のツーリングって寒いかな~?」
「そうだよ来週はツーリングなんだよな 葵、気にしなくていいから、ちゃんとニヤけていいんだからな」
なっなんて事を言うんですか、高根沢さん、赤面しちゃうじゃないですか!
「日中暖かいけど、バイクで風切って走ったら寒いよね」
「ちょっと見て帰ろうか」
「賛成~ 葵ちゃん何処がいいかなぁ~」
「そうですね~ちょっと前に調べた時に分かったんだけど、ワークショップのもバイク用品として使えるみたいだよ」
「ワークショップ?」
「あー聞いたことある」
「じゃ決まり~ ワークショップ行ってみよ~う」
「おっ……」
思わず反応して、おーって言ってしまった
「おぅ~って言ってくれたの、葵ちゃんだけじゃん もう~
本当、葵ちゃんは、良い子に育って良かったわ ウフフ」
育ててもらった覚えは無いが、そこは受け流そう
屈強な男達が集うお店、ワークショップ 私達が足を踏み入れて良い場所なのか、それとも、何かしらの試練が有るのだろうか、もし、もて遊ばれるような事が有っても、こっちにはエスパー琴子が居るから大丈夫!
アッハハは 待っていろー屈強な男共
「なぁ葵、なんか悪そうな微妙な顔してねぇ?」
ヤバ顔に出てしまっていたのか、琴子ちゃんに悟られる前に冷静に、ならないと
「試……そっそうかな ワークショップ行くの、ちょっと楽しみだったからじゃない アハハは」
誤魔化せただろうか?ちょっとビックリした。
でも、ワークショップに一人で行くのは、ハードルが高いよなぁ~
バイク屋ですら入るのに十日くらいかかったもんな~ 実際には、自力で入ってないけど、あれは本当 感謝、感謝だよなぁ~
ワークショップって一人で入れないから、試しに言ってみたけど、まさか行けるとは思わなかった。
ここは、男前のエミちゃんに頑張ってもらって入店!
ここで男前が、怖気付いたら、次の刺客は、華菜ちゃんだな!
女神様降臨!
女神がダメなら、真打エスパーの登場!これならワークショップを攻略出来る!アッハハ
今絶対に悪い顔してるだろうから、この攻略法を悟られないようにしないと!
異世界のダンジョン攻略する様に、ワークショップの前に立つ可愛い女子四人、可愛いなんて言っちゃった。 私を除いた三人は可愛いんだから、この言い方でOKかな
普通のドアなのに、何故か大きく感じるドア 誰がドアを開けるのか、男前に女神、エスパーをもっても緊張を隠せない私達、私は、戦力外だから参戦は出来ない
流石難易度高いワークショップ
お店の前でモジモジする四人、普通のお店なのに……
カラフルなポップで屈強な男を連想させない、綺麗な外観
店内からそそられる視線、やはり難易度が高い
突然ドアが開き、店員さんなのだろうか、エプロンをした女性が出て来て私達に可愛いらしい笑顔で「いらっしゃいませ、 ちょっと入りづらいですよね~ どうぞ~」
私達は、声を揃えて店員のお姉さんにお礼を言い、恐る恐るお店のドアをくぐり店内に
私はワークショップのドアは、異世界の入り口だと思っていたが、普通のお店だった
屈強な男達のイメージなど微塵も無い、なんて失礼なイメージを抱いていたのだろうか、店員さんが言うに、昔は男臭いお店だったらしいが、ここ数年アウトドアやツーリングなどが流行り始めたのがキッカケで、店内が変わったらしい
店内から、そそられた視線は、見兼ねた店員さんが、私達に声をかけに出て来てくれたらしい 本当優しい店員さんが居るお店で良かった。「あの~すいません、この時期のツーリングで着られる上着ってどの辺に有りますか?」
なんてナイっすなんですか華菜様、やっぱり女神様ですね
女神様降臨です!
本当 女神様に一生ついて行きます!
店員さんに教えてもらい、カッコいい服や、可愛らしいデザインの物、色もカラフルで目移りして、なかなか選べない
ここは女神様にお願いして選んでもらおう
「葵ちゃん~ちょっとこっち来て~」
エスパー琴子に呼ばれた、これは着せ替え人形として、もて遊ばれるんだきっと
着せ替えなら楽しそうだから良いかな アハハは
「やっぱり~葵ちゃんってオレンジ系似合うよ
よく見るのは紫や黒が多いよね。ここは冒険して黄色系かオレンジ系どっちが良いだろう ねぇ~どっちが良いかなぁ~」
えっ本気で選んでくれてたんだ、二人も、自分のを探すのを止めて、私のを真剣に悩んでくれてる
私的には、普段は紫系や黒系が多いんだけど、私がオレンジ着てもいいんだ
ここ最近は、普通で忘れていたけど、本当にこの人達と仲良くなれて心の底から良かったって思える。
普段はふざけてる事が多いけど、本当に優しい人達だよなぁ~
私に何が出来るだろうか?
何か返したい
「そうだねぇ~葵は、オレンジ系が良いかもね。 エミはどう思う?」
「私もオレンジ系がいいと思う 少し顔が明るく見える」
「は~ぃ葵ちゃんは、オレンジ系で決定~ ちゃんと鏡見て確かめてみて」
「ありがとう琴子ちゃん、初めて服選んでもらえたのが、本当嬉しい なんか感動して泣きそう~」
「や~ねぇ~葵ちゃんたら、大袈裟なんだから ウフフ
泣いたら移るから止めてよね」
そうだった、琴子ちゃんは、感受性が豊かだった
こんなお店の中で泣かせる訳にはいかないから、感動は家に着くまでお預けだな
「琴子ちゃんは、どの色するの?」
「琴子はねぇ~ そうだなぁ~葵ちゃんはどれかいいと思う ウフフ」
おっとこれはセンスが求められる代物ですね、見た目が可愛い子だから、やっぱりピンク系かパステル系とかなのかな?
ピンクやパステルってなんかアイドルみたいだよな
ここは、大人っぽくちょっと妖艶さを出して紫系とかアハハは
「紫系とかどうかなぁ~」
「紫系か~ あまり考えた事ない色かも ねぇ~紫系ってどう?」
「紫系か~なんか大人っぽくて良いんじゃないか~ 」
「ちょっともう~いつもが子供ぽいって事~ エミだって変わらないでしょ」
「違うよ、琴子ちゃん紫系似合うって事じゃないかな? ねぇエミちゃん!」
上手く誤魔化せたようで、良かった良かった
まだ二人は、悩んでるみたいだし、この際だから、皆んな同じ色のデザインにしないか聞いてみようかな チーム妖艶とか面白いかも、アハハ
あっさり紫系の同じデザインで通った チーム妖艶が効いたのかな?
さっき選んでもらったのは、別で買うとワガママを言って、一人で二着買う事にした。
ちょっと痛い出費だけど、初めて選んでもらったのを、買わずには帰る訳にはいかない!
友達とお買い物って、本当楽しいなぁ~
「そういえばさぁ~葵って今日バイトは?」
……バイト? ヤバー忘れてた
「楽しくてバイト忘れてた アハハは これから行ってくるね」
「気を付けて行けよ~ 葵~顔ニヤけてるぞ~転ぶなよー」
「葵ちゃん~また明日ね~」
「じゃねぇ葵~」
「うん また明日学校で~」
店長に受験する事を言わないと、バイト入れる日少なくなるだろうな~
やっぱ、バイト辞める方向の方がいいのかな?
バイト辞めるの勿体ない気もするんだよなぁ~でも、皆んなと一緒に進学したいし、ここは心を鬼にして頑張ろう
今日、遅くなっちゃったから、話し出来ないかな~
「店長、おはようございます。遅くなってすいません」
遅くなった事を咎められず、直ぐに店内で本の整理を始めた やはり学生だからだろうか、多少の事は仕方ないと思っているのだろうか、それとも、私の実力を認めてるからだろうか?
そういえば、三人に出会わなかったら、進学するなんて今まで考えてなかった バイトから正社員になって、いずれは本屋の店長。
人見知りの私では、店長は無理かなアハハ
店長に、進学する事を伝え、今月いっぱいでバイトを辞める事を伝えたが、いつでも来れるようにと、籍を置いといてくれるらしい。
急なヘルプの時は、出来るだけ助けに来よう
○
いつもと変わらぬ朝、朝靄がかかる空気の済んだ朝の匂いに、排気ガスが混じり今日は何処まで走ろう、エンジンも調子良さそう。
ヨシ、バイク君 宜しくね。
今日も一緒に風になろうじゃないか!
さぁ出発、背中に背負ったリュックには、今日読む本とアウトドア用のイスにポットに入れたコーヒーとサンドイッチ
これから、ちょっと贅沢な時間を使う為、ソロツーリング 山道を登り、そして降り目指すは湖畔 キャンプやアクテビティも出来、ファミリーからソロまで楽しめる場所
どのくらい走っただろう、目の前に湖が広がる、なんて素敵な場所なんだろ…………
あっ夢……
うぅ~~続きが~
なんて夢見てしまったのだろう、ちょっと苦しい夢だよなぁ~
でも、夢でも楽しかった
。
ん?……
うっわ
最低だ~ 私!
大切な三人の事を忘れるなんて
流石に、三人の事を忘れてソロで走った夢だし、これで夢の影響受けてバイク買ったら、マジ最低だよ私
受験する事を決めたんだから、終わるまでバイクの事は考えない
でも、ほかのバイク屋で買ったら分からないだろうけど、せっかく手に入れた友情を手放す気にはならない!本当にそんな事をしたら、友情は愚か、皆んなに合わせて、無理してたんだと思われるだろうし、無理に合わせなくて良いよって、言われるだろうし、皆んなの足を引っ張ってしまう事になりかねない、ここは受験が終わり、皆んなと笑える日を迎える為に、心を鬼にして頑張る
今日見た夢の事は、皆んなには内緒にしておいた方がいいだろう。
あの夢の事を思い出して、顔がニヤけないようにしないと、絶対に無理するなって言われる
初めて出来た友達、いつまで一緒にいられるか分からないけど、離れたくない、一人だけ違う場所に行くのは嫌だ、出来るだけ四人でいたい。
○
いつもと変わらぬ朝、違うのは夢を見たとこだけ、自分で窮屈にしてしまったが、これでいい 最後に皆んなで笑う為、今は我慢の時!
「葵~おはよぅ~」
「おはよう華菜ちゃん」
「どうした?なんか難しい顔してるよ なんか有った?」
ちょっと考え過ぎてたみたいだ、顔に出てたみたい 危ない危ない
「何もないよ たぶん朝飲んだコーヒーかな?
濃くて苦かったからかなアハハは」
いつも気にかけてくれて、本当に嬉しい やはり女神様だ
「おハー華菜、葵~」
「おはよぅ~華菜ちゃん葵ちゃん ん? ウフフ」
この二人には、悟られないようにしないと、特にエスパーには気を付けないと
何事も無く、教室に向かう
朝のルーティーン、チャイムが鳴るまで、本を読む 夢の事で、集中して読めない、頭の中に文字が入って来ない、今日の授業は集中出来ないだ
無常にも、時間は過ぎていく
いつもの声が聴こえた
ハッと気が付くと放課後となった。朝から数時間の記憶が全く無い、いろいろ考え過ぎたようだ
「葵~帰ろ~」
「はーい」
隣のクラスにも声をかけ
「エミ~ 琴子~ 帰ろ~」
「おぅ~」
「は~い 職員室に寄って行くから、ちょっと待ってて」
数分待ち、四人揃ったところで学校を出たところで、
「日曜のツーリング、何処行くか決めない? どうする ウチ来る?」
「うん行く 何処行くか決めてなかったよな」
「うん賛成~行く行く 葵ちゃんは、来れる?」
「うん!もちろん行く 進学するから、しばらくお休みもらってる」
「じゃ~気にしないで行けるね ウフフ」
必ず私の事を心配してくれる 優しい子、ちょっと怖いところもあるけど、本当に可愛い子
進学するって決めたり、バイトを辞めようとしたり、バタバタしてツーリングの事忘れてた
ツーリング忘れてた事、絶対に言わないでおこう
あと夢でソロツーリングした事も内緒
久しぶりの佐々木モータース、ヤバい顔がニヤけちゃうかも
「パパただいまぁ~」
「人の親にパパって言うな 琴子お前がパパって言うと違う風に聴こえるんだよ」
「いいでしょ エミのパパだって、華菜ちゃんのパパだって、葵ちゃんのパパだって、みんなパパなんだから~」
「お父さんも、あまりデレってしないの」
とばっちりの親父さん、かわいそうに
「そういえば娘達よ、お前達はヘルメットって、もちろん有るよな?」
「無いよ、私と琴子は 教習所で貸してくれたから」
「あっ私も借りたので、まだ持ってないです」
「じゃ華菜だけかヘルメット持ってるのは」
「ごめんお父さん、私はお姉ちゃんの借りて使ってた」
「なんだお前達ヘルメット無いのか! しょうがねぇなー
ジェットヘルメットでいいか? ちょっと被って合わせてみな」
これからバイク乗ろうとしてるのに、誰もヘルメットを持ってなかった、四人揃ってやらかしてしまった。
四人揃って、ヘルメットを試着させてもらった
私はバイトして、それなりにお金有るから、この位の金額ならなんとか大丈夫だけど、普通の高校生は、ちょっとキツイよな~
ここは私がって、四倍はやっぱ無理だ
私の基準だけど、普通の高校生のお小遣いだと足りないと思うけど、足りない分は私が!
「お前達ヘルメット決まったか?
そのヘルメットあげるから、ちゃんと被れよ」
親父さん、貴方は神ですか!やはり女神のお父様だけあって、神なんですね
「パパ~ありがとう~」
「やめろ琴子、抱きつこうとするな」
「お父さん本当、大丈夫?良いの?
お母さんに怒られない?」
「もちろん大丈夫に決まってるだろ」
ありがたやーありがたやー
無言で拝んでしまった。
しばらく大喜びした後、初ツーリングの目的地を決めるはずだが、流石 女子なかなか決まらない
「あの~ ふと思ったんだけど、神社巡りとかどうかな?
合格祈願と受験のお守りも欲しいかなって
って初ツーリングには、地味だよねアハハは」
「良いじゃん葵~」
「うん いいねぇ~」
「葵ちゃん~~
地味じゃ無いょ~ じゃ何処の神社が良いかな~」
「良かった~」
夢で見た、湖にツーリングってのも、気になるけど 試しに湖を見るってのも言ってみよう
初ツーリングは、合格祈願に神社巡りからの、湖が見えるカフェに決まった。
私しが、提案した両方が採用されて嬉しいけど、カフェって単語は私には無かったアハハは
ちょっとビックリだが、本当に嬉しいのと楽しみだ
楽しみ過ぎて、また夢見てニヤけ顔が治らなかったらどうしよう
なんて幸せな悩みなんだろう~
○
ツーリング当日、朝九時半
佐々木モータースに集合
プレゼントしてもらったヘルメットと皆んなと一緒に購入した上着 グローブ、お財布、紙コップをリュックに入れて、忘れ物は無いよな~
朝、ポットにコーヒー入れて、休憩の時に、皆んと飲もうっと
明日の支度を準備
楽しさが勝って、ちゃんと寝られるかな~心配
バイク君、宜しく頼むよ!
今日も一緒に風になろうじゃないか!
ゴーゴー
バイク君、風になろうって言ったじゃないか、前にいる三人に全然追いつかないじゃないか
どんどん離されてるよ、私が離れてるの気が付いてないのかな~
ヤバい おーい待って~
だんだん見えなくなってきたヤバい
おーいおーい
待っ……
あー夢だ
変な夢観ちゃった
えっ何時?
時間は五時か~
いつの間にか寝ちゃったみたいだ、寝れて良かったけど、嫌な夢
正夢にならない様に願って手を合わせておこう
○
早く起きちゃったせいもあるけど、ちょっと早めに着いちゃった
でも、二十分前なら大丈夫かな
「おはようございます 華菜ちゃんおはよう」
「おはよぅ葵~ ちゃんと寝られたかな?」
変な夢の事は、言うのは止めておこう
二人も合流して、待ちに待ったツーリング日和
バイクに乗る為の準備をして、親父さんに注意事項を聞き、ヘルメットを被り 華菜ちゃんと琴子ちゃんが、ハンターカブ
エミちゃんと私が、クロスカブを借り 帰りは、バイク交換する事になった。
まずは、スタンドで燃料を入れる為に、ガソリンスタンドにゴー
本当に風になってる気がした
もう楽しい
五分位走っただろうか、ガソリンスタンドが見えてきた
レンタルだけど、初めての給油
初めての給油、物凄く緊張したし、物凄く興奮した
ガソリンスタンドのお兄さんが、給油の仕方などを教えてくれた。
普段何気なく観ている事だったけど、いざ自分がやるとなると、こんなにも緊張するものなのか!
こんなに緊張してても、めっちゃ楽しい。
親父さんに、原付じゃないから三十キロじゃないからなって言われたけど、初めての公道はちょっとびびってしまう たぶん一番びびっているのは私だろう。
夢みたいに置いていかれない様にしないと、頑張って付いて行かないと
そういえば、小百合さんがヘルメットに付けるスピーカーとマイク インカムを付けてくれた。
やっぱり皆んなも緊張してるんだろうな、私だけじゃないんだ、なんかそう考えたら 少し楽になってきたかも アハハは
それにしても、風を切る音とタイヤの音、なんて心地良いんだろう~あぁ~風になってる~
インナーちゃんと着てきたし、寒さ対策は一応してきたけれど、皆んな、少し寒いのかなぁ~小刻みに少し震えてる
寒いのかな~確かリュックの中にカイロ有ったよな
次の信号で止まったら、コンビニに止まってもらって、カイロ渡そう
このヘルメットのマイク繋がってれば、信号で コンビニに止まってって、言わなくていいのにな~
三人とも震えてるかわいそうに
信号で止まれる
「ねぇ次のコンビニ……」
「ちょっと皆んなして、何笑ってるの?」
寒さで可笑しくなっちゃったのかな?
「わかった次のコンビニね」
信号から五百メートル位走った場所に、有るコンビニで一旦休憩
「皆んな寒くない?カイロ有るから背…… ん?」
なんだろう皆んなの目が、怖いと言うか、笑ってる
「アッハハハハダメだ 葵は、優しいなっハハハ」
「エミ そんなに笑ったら葵ちゃんが可哀想でしょ 葵ちゃんは、本当に優しいん あっフ」
「琴子だって笑ってるじゃん」
本当なんだろう~?琴子ちゃんは、笑うの堪えてた
私何かしたかな?走りが下手っぴ過ぎて、笑われてるのかな?
「もう~エミも琴子もちゃんと言ってあげなきゃ可哀想でしょ
あれね葵、落ち着いて聞いてね
葵がぶつぶつ喋ってた事、私達聴こえてたんだよ こっちから話しかけても反応しないからイヤホンの線が抜けてるんじゃないかな? ごめん葵 一回笑わせて アッハハハハ
本当ごめん」
「えっ~~~ あのーつかぬ事をお伺いしますが、どの辺から聴いてたの?」
「うんとねー 風になってる~ってくらいかな アッハハハ ごめん葵 本屋でもこんな風にぶつぶつ言ってるのかなって思ったら可笑しくて」
「もう~エミは笑い過ぎ! 葵ちゃんが可哀想でしょ~ 私達の事、凄く心配してくれてたんだよ
あと夢が何とかって言ってたかなぁ~ あっフ」
「ごめんな葵 寒くて震えてたんじゃないんだよ、早く教えたかったんだけど、なかなか止まれなくてな」
あーなんと!
なんて恥ずかしい事でしょう
自分でも、顔が赤くなってるのが分かる
あー恥ずかしい
穴が有ったら入りたい
ん?
本屋のぶつぶつってなんだ?
まぁいいか
あーそうだったのか、寒くて震えてたんじゃなくて、可笑しくて肩が震えてたんだ
もっと早くにジェスチャーでもしとけば良かった~
「葵 ちょっとヘルメット貸して」
「あっありがとう華菜ちゃん」
「どう? あっあっあっ 葵聴こえる」
うん
「葵ちゃん~私の声聴こえる~」
「おーい葵~聴こえるか~」
「そんな泣きそうな顔するんじゃないの 教えないで笑ったのは悪かったと思ってるから ごめんね」
三人が笑った事を謝ってくれた、私も気が付かなかったのだから、許してやろう ちょっと上からだなアハハは
ちょっとーこんな風に話しながら走ってたの?
あぁ~楽しい~
「おーい大丈夫か~ 葵~ ちゃんと繋がってる」
「うん大丈夫」
「葵ちゃん 黙ってると心配しちゃう~」
黙ってるとラジオを聴いてるみたいで面白いのだが
「あっごめん 皆んなの話し聞いてると、ラジオのリスナーになった感じで面白かったから」
「琴子のお悩み相談ラジオ~
はい、さっそく始まりました。
パーソナリティの琴子です。
今週のコメンテーターは、
高根沢エミさんと、
佐々木華菜さんです。
宜しくお願いします。
(はいよろしくお願い申し上げます)
(あっはいよろしくお願い申し上げます。)
は~い次のリスナーさんは
ラジオネーム葵春さんからの相談メールです」
あぁ~なんか始まった~
それに二人も乗っかった
「ふむふむ、夢で見た事が心配みたいですね
分かりました
お二人は、専門分野では無いですが、宜しくお願いします。
それでは、お電話が繋がってるみたいですねぇ~
もしも~し葵春さん」
うっぅぅぅ
うわっ、夢の事、話さなくていいかなって思ってたのにー
本当エスパー感が良すぎだよって、さっきの独り言で、夢って言ったからかー
あーどうしよう、本当の夢の話しをしようか、それとも作ちゃおうか、見た夢、忘れちゃったって事にしちゃおうか、忘れたって言ったら、この場の空気悪くなるよなー
ヨシ決めた
「あっはいもしもし、葵春だっけ? あっ葵春です。宜しくお願いちま します。」
ヤバい、噛んじゃった
「は~い大丈夫ですよ~
緊張されてるんですね~ 生放送ですもんね、それじゃ深呼吸してから、始めましょうか
はいどうぞ
(えっ深呼吸するのか スースー)
はい大丈夫でしょうかね、それでは、どんな夢を見られたんですか?
(えっと~ちゃんと覚えてはいないんですが、仲の良い友達に、自分の声が届かなくなるって夢です。)」
「そんな悲しい夢見ちゃダメだよ葵ちゃん
私達が、葵ちゃんを独りぼっちなんかさせないから」
「あっ声が届かないって言うか、呼んでる最中に目が覚めちゃったから アハハは
途中で目が覚めちゃったから、嫌な夢だなって思ってただけだから
ごめんね心配させちゃって」
「コンビニが有ったら、ちょっと休憩しよう」
この空気を察したのか、女神華菜様の一言で、休憩することになった
私のネガティブ要素、無くならないかな
せっかくのツーリングなのに、変な空気にしちゃったなー
でも、せっかく盛り上げようと琴子ちゃんがしてくれたのに、嫌な気持ちにさせてしまっただろうか
ちょっと心配
コンビニに止まるや否や、琴子ちゃんに抱きつかれた
「私達は、何が有っても葵ちゃんを見捨てないし、ずーっと友達だから」
そうだった 琴子ちゃんは感受性が高い、エスパーだった
「うんわかってる 私も皆んなとずっと友達でいたい」
こんな私に、手を差し出してくれた人達だもん、私のせいで嫌な思いにさせたくない!
「おーいお前たち、いつまでやってんだよ~ トイレ借りて、飲み物買ってこいよって、なんで二人して泣いてんの?って、お前たちバカなのか」
「分かったわよ もう~ウルサいわねぇ~エミは~
華菜ちゃんも、そんな呆れた顔しなくたっていいじゃん」
「イヤーそんな泣いてたら、運転大丈夫かって思って
葵も琴子も、買い物有るならしてきな」
しばらく、このコンビニで休憩をし、出発することにした
少しの間、沈黙の時間が流れた
時間にして、五~六分だろうか、会話が途切れることがない、私達としては、二~三時間くらい黙っている感覚だったのかもしれない。
さっきの一件で、ちょっと気まずい感じにしてしまったのだろう。
いつも私に優しさを分けてくれる皆んなに、今私が出来る事をやらなくちゃ!
この沈黙を破り、最初に話しを切り出し、この雰囲気を変えようと質問を投げかけてみた。
「ねぇ琴子ちゃん 気になってた事が、あるんだけどいいかなぁ~」
「うん大丈夫よ~」
「気になってた事って言うか、エミちゃんは、呼び捨てなのに、私や華菜ちゃんは、ちゃん付けなのはどうしてなんだろうって思ってて アハハ 」
「あ~そこか~ 私とエミって幼稚園入る前から一緒なのね、まぁ幼馴染ってヤツ~ 」
「長いんだねーって言うか、姉妹だね」
「ただの腐れ縁だよ」
「うん 幼稚園の頃は、エミちゃん琴子ちゃんって、呼び合ってたかな
小学校の時、何がきっかけだったんだっけ?」
「きっかけ?
たぶん、クラスが変わってっから、私が琴子~って呼んだのが始まりだった様な気がする」
「うん、たぶんそうだった様な気がする」
「へーそうなんだー 小さな謎が解けた気がする
でも、エミちゃん以外はちゃん付けなのはなぜ?
私だって葵って呼び捨てでも、いいのに」
「たぶんそれはね葵、性格の問題なんじゃないかな?
葵だって、私達を呼び捨てにしないのと一緒なんじゃないかな~
私も、呼び捨てで華菜でいいよって言ったけど、葵と同じだったから」
「なるほど~」
「ねぇ~なんか、ちょっと恥ずかしんだけど~もう~」
「じゃ華菜ちゃんとの出会いは?」
「わっ私~
そうね~私って小五の頃、転校して来たんだけど、普通転校生の初日って、皆んなちょっと距離空いてる感じするじゃない 隣の席が琴子で、視線は痛いし、転校生が珍しかったのか、授業中も結構話しかけられて、そのおかげもあってか、早くクラスに溶け込めたって感じかな~
エミは六年の時一緒になったんだけど、琴子絡みで同じクラスになる前に仲良くなったって感じかな~」
「華菜ちゃん言い方」
「いやいや嘘は言ってないから」
「うん、それ分かる」
「エミまでもう~
そんな視線が痛いって、ストーカーみたいじゃない もう~」
「…………」
「……」
「もう~二人とも黙らないでよ~
いいわよ、もう~
私には葵ちゃんがいるんだから~」
なんか矛先がこっちに来ましたよ怪我しない程度にしてくださいよ。
いつも通りの日常に戻った感じがする
この感じってやっぱ落ち着く
エスパーが静かになると、このチームは壊滅してしまうのかもしれない! もし女神がいなかったら、たぶん何も決まらなそうだ。
やはり女神がこのチームのリーダーで、主導権を握ってるって感じかな
あの二人が、女神の決定に逆らった事無い気がする
そういえば、男前さんのポジションってなんだろう?
こんな失礼な事を考えているうちに、最初の目的地に、無事到着する事ができた。
最初の目的地は、○○神社
交通安全や合格祈願の参拝や御守りをゲットするのが、最初のミッション
男前さんが、神社やお寺の作法を調べたみたいで、調べて来た事を考えてくれた。
「いいかお前たち、鳥居から先は神様のいらっしゃる神聖な場所なんだから失礼のない様にするんだぞ。」
①神社の鳥居は、社会と神域を区切る結界のような意味があるらしく、一礼してからくぐるのが丁寧なくぐり方とされている。
参道の中央は神様の通り道なので、中央を避けて端を歩いて鳥居をくぐりった方がいいらしい。
参拝を終え、境内を出る時も社殿の方に向き直って一礼するだって
②手水舎で手と口を清めてから参拝をする。
神前に参る前に身を清めるという意味があり。
まず、右手で柄杓を持ち水を汲んで、その水を左手にそそいで左手を清め、柄杓を左手に持ち換え、同じように右手を清め、最後に、また柄杓を右手に持ち換え、水を汲み、その水を左の掌に受け、その水で口を清めるとき柄杓に直接、口をつけてはダメらしい
一度、柄杓に汲んだ水だけで、最後までやるらく、何回も汲んではダメ。
③軽く会釈をしてから賽銭箱にお賽銭を静かにいれる。
正しい参拝のしかたは、
二礼二拍手一礼
二度深くお辞儀をし、柏手を二回打ち
最後に、一回頭を深く下げお辞儀をするのが、参拝の作法らしい。
「お前たち分かったか~
(はーい)
(ほ~い)
(あっはーい)
琴子 お前は、いつまで葵に引っ付いてんだよ
お前たち一列に並べ~ 番号ー」
(いち
にーぃ
あっえっさーん)
「貴様~何をやっとる
それでも軍人かー」
「すっすいません大佐、葵軍曹は今回が初めてでして、お許し下さい」
「琴子少佐、きちんと教育しておくように
今回のミッションを発表する
参拝して、御神籤からの絵馬に合格祈願を書くのが最終ミッション、心して取り組む様に!」
おっと、何か始まっちゃいましたよ この二人は本当、息が合ってるよなぁ~さすが幼馴染
今回は軍人かー
軍人になった覚えはないのだが
「はいはい もう終わり
まったく~誰が軍人よ~
すぐそうやって葵を巻き込むんじゃないの」
やっぱり華菜ちゃん貴女は、女神です。
女神様以外あり得ませぬ
男前さんから、大佐になられました。
女神様の一言で、コントが終了して、私達は、ミッションいや目的の合格祈願をする為、前に進み、教えてもらった様に中央を空け一礼して、左端をお行儀良く鳥居を括り、手水舎に向かい、神様の聖域に入る為に手と口を清め、先程までふざけ合っていた二人も大人しくなり、四人が一列に並び、静かにお賽銭箱にお賽銭を入れ 礼二拍手一礼 神様にお願いをした。
私が一番長かったみたいで、最後に頭を上げ振り向くと三人の笑顔が待っていた。
皆んなよりも長く神様にお願いしていた事は、もちろん大学進学 皆んなの合格祈願の事と、交通安全、四人無事に帰れること、いつまでも この三人とお友達でいられます様にって、欲張り過ぎたかな?
みんなは何をお願いしたのだろう?
最初のミッション完了
「なぁ葵 なにお願いしたんだよ~」
「そんなのエミに言うわけないでしょ~ 葵ちゃんは、いつまでも私と仲良しでいられる様に、に決まってるでしょ ねぇ~葵ちゃん~」
「まったく~あんた達自分の言わないで、葵の聞こうなんてズルくな~い」
ここは正直に「あっ私は、皆んなの合格祈願と、ずーっと仲良しの友達でいられます様にってお願いしたの アハハはちょっと恥ずかしい」
「もう~葵ちゃんったら、私も同じことお願いしたよ ウフフ
もし、私のお願い聞いてくれなかったら、もう神様なんか信じない
私は無宗教で生きるわ」
急に突拍子もない事言い出しましたよ
神様を脅しにかかりましたよ、この子は
たまにこの人は、怖い事言い出すから
でも、本当に優しい人だよね琴子ちゃんって、エスパーに成らなかったら、本当可愛い子なんだけどなぁ~
四人とも、同じ様な事をお願いしたみたいで、四人とも満面の笑みでハイタッチしあい、本当にこの和の中に入れた気がした。
今までの様に、独りぼっちになるのがちょっと怖くなった。
この大切な友を失いたくないって、今は本気で思う。
次は、御守りを買う為に移動した時「なあ考えたんだけど、一人ずつ行って買った御守りを、くじかあみだでもらうってのはどうかな?」
「うん、面白そう~」
「どう二人は?
(いいんじゃない)
(うん)
じゃ~
じゃんけんで順番決めようぜ」
じゃんけんで、私が一番になってしまった
皆んなは、どんな御守りを買うのか分からない様に、背を向けて待っている
あまり時間かけずに、さっと選ぼう
いっぱい種類がなければいいんだけど
でも、いつもの優柔不断が出たらやだなぁ~
えっとー何種類あるかなぁ~
えっこれってどっち
「ねぇねぇ学業成就、合格成就どっち選べばいいのかな~
合格成就でいいの?」
「進学、受験だから、合格成就でいいんじゃないかな」
「学業成就って、勉強頑張るって事なのかな?
ここは葵、合格成就にしよう」
女神様の一言で、合格成就の御守りに決まった
どちらの御守りを買うか決まったは良いけど、どうしよう二種類色が有る
どちらにしょうかな、神様の言う通りおべべのって、こんなの決まるわけない
やばい早く決めないと皆んな待ってる あぁ~もういい、こっちだ 私が手にした御守りは、赤なのかピンクなのかよくわからない方を掴み、巫女さんに手渡し、小さな袋に入れてくれた。
ちょっと待たせ過ぎたかな? 小走りで皆んなのところに戻ると、三人に御守りの入った袋を透視するかの様に、じっと見られ、私は慌てて背後に隠してしまった。
順番に御守りを買いに行き戻って来た 「よーしあみだ書くから、適当に置いて」と男前大佐が地面にあみだを描き始めた
一人一ヶ所線を引きあみだは完成
またじゃんけんで、順番を決め私は、今回は最後になってしまった
残り物には福があるって言うと信じて、最後のあみだで最後の御守りを手にした
皆んなで、〈せ~の〉で袋から御守りを取り出した
私は、私が買った微妙な赤っぽい御守りだ 顔を上げ皆んなお見ると三人とも青っぽい緑の御守りを持っていた
私だけ赤っぽい御守りを買ったってとこか~ ってことは、自分で買ってきた御守りを引いてしまった
ついてない あぁ~私はなんてついてないんだろう
やはりここは言うべきか、言わざるべきか
悩む~
「これって三人色が一緒だと自分で買って来たのと、なんら変わんねえよな」
大佐ナイスです!
大佐について行きます。
ここは言うべきって事だな 「あっ私も、御守り自分のところに帰って来ちゃったアハハは
じゃんけんしませんか、私とじゃんけんで買った人と御守りを交換ってどうかなぁ」
「よーし葵 最初はグーじゃんけんぽん」
女神様のところに、私の御守りが行った
「華菜ちゃんズル~イ」
「いやズルくはないだろう じゃんけんで勝てなかった琴子が悪い」
「琴子ちゃん、私のと交換しましょう」
「三人の御守り私に貸して」
私は、華菜ちゃんの言う通り御守りを預けシャッフルして私達に渡してくれた、これなら誰のか分からない
女神様ナイっすです。
琴子ちゃんは、私と交換したかったのだろう、ぎゅっと御守りと手を握り、合格します様にと念を送った。
一人だけってダメだよな
二人の手も握り念を送ってあげた。
「よーしおみくじ引こうぜ~」
次のイベントは、おみくじか~
さっきも、一人だけ色違いだったし、ちょっとついてないかも……
おみくじも運なんだろうなぁ~
大丈夫!何が出ても受け止める
大凶とか出ちゃったらどうしよう
そんな事考えてたら、本当出ちゃうかな?
〈カラッカラカラ〉
おみくじを振って、数字が描かれた棒を出して、描かれている数字を巫女さんに言うと、同じ数字が描かれたおみくじを渡された
正直開けるのが、本気で怖いかも
巫女さんにおみくじって大吉以外は、結んだ方が良いのか聞いてくれた
「おみくじ」は単に吉凶判断を目的として引くのではなく、その内容を今後の生活指針としていくことが何より大切なことといえます。 また神社境内の木の枝に結んで帰る習わしもありますが、持ち帰っても問題はなく、引いた「おみくじ」を充分に読み返し、自分自身の行動に照らし合わせるのも必要なんですよって、巫女さんに教えてもらったけど、大吉以外は置いて帰りたいのが、一般人な気がする。
おっと私だけ大吉って、運が良いのか悪いのか分からなくなってきた
誰も大凶や凶はいないみたいで、一安心
これで最後のイベント、絵馬に願い事を書いて奉納
巫女さんから、絵馬を受け取り油性ペンで、○○大学合格、受験合格の願いを念を込めて書いてみる。
四人揃って絵馬を結び、最後にダメ押しで、本堂に手を合わせに行き神頼み
普通に神社にお参りに来るより、ちょっと楽しかったかも
こんな事言うと、怒られちゃうかもアハハは
駐車場のバイクの所に戻り、次の目的地の場所をナビでセットしている間に、合格祈願の御守りを買った時に四人分の交通安全の御守りを、購入したので一人ずつに御守りを手渡した。
四人お揃いの御守り
気に入ってくれると嬉しいんだけど、「何~御守り 葵ありがとう 合格祈願の事しか考えてなかったよ」「ありがとう葵 サプライズビックリだよ」「やだ~葵ちゃん~ ありがとう~もう~言ってくれれば、私も買ったのに~」「私が買いたかったから アハハは」
良かった気に入ってくれた様だ
背中に背負っているリュックに御守りを括り付け、次の目的地へ
○
次の目的地は、カフェ
湖畔沿いのカフェ、私には思いつかない目的地カフェ
さすが、リア充
やっぱまだリア充の修行が足りないのだろう
私なら、湖で終わりだったかも、いつか湖畔までソロツーリングして、湖の淵にバイクを止め、コーヒーを飲みながら読書を満喫したい
そうだ今度、ネットで見たコーヒーミル ポチっちゃおうっと
ソロも楽しみだけど、皆んなとツーリングも楽しいなぁ~
もっと皆んなといっぱい走りたいし、皆んなといろんな所に行きたい
自分で決めた事だけど、このツーリングでしばらくお預けか~
受験に合格してバイク買った方が、ご褒美感が大きいかも!
よし
頑張ろうっと
って、その前に今日を満喫しなくっちゃ
そろそろ次の目的地に着くみたい
湖が少し見えた!
ちょっとテンション上がる
朝ちゃんと食べてきたけど、初めてのツーリングと、さっきの神社ではしゃぎ過ぎたのか、お腹すいた
まずは、カフェでお昼ご飯、何食べようう……
オシャレ過ぎるカフェで、緊張してお腹いっぱいにならなかったらどうしよう
我ながら幸せな悩みだ アハハは
オシャレなお店が見えてきましたよ
あれ? 通り過ぎた
ここじゃないんだ
また通り過ぎた
えっここも通り過ぎた
まただ、通り過ぎてますよ
そっか、湖を一周して何処にするのか決めるって事だな 湖一周ちょっと楽しんじゃおうっと
ちょっと楽しんじゃおって考えたら、めっちゃ楽しくなってきた
やばい顔がニヤけてるのが、自分でも分かる
でも、本当に何処でご飯食べるんだろう?
聞いた方がいいのかな
「ねぇ~華菜ちゃん~ 何処のお店寄るの~」
ナイっすです!
やっぱり琴子ちゃん、あなたはエスパーですね!
私の思念が届いたんでしょうか
「アッハハ ごめんごめん、とっくに通り過ぎたアッハハ 湖沿い走るのが楽しくって、寄ろうと思ってたカフェ通り過ぎちゃった」
なんと
あの女神様が、楽しくて通り過ぎたと!
その気持ち、分かりますすご~く分かります
私も同じ気持ちです 女神様~
「やっぱそうだろう~ おかしいと思ったんだ っでどうするん?戻る、それとも一周する?」
私~一周したいです大佐!
華菜ちゃん戻るなんて言わないでね、一周するって言って下さい
「あっせっかくだから、一周しようかなって たぶん葵もそう思ってるだろうし」
えっ女神様は、エスパーに成られたのですか!
まさかまた、声が漏れてたって事はないですよね
あー怖い怖い、変なあだ名付けちゃってるから、心の声だけで、絶対に声に出しちゃダメなやつだ
私の思念が届いたんですね そう思っておきましょう
ヨッシ!
湖を一周する様に走り、見覚えの有るお店の前でバイクを止め四人ともお腹が空いているのに、湖一周が満足だったのか、満面の笑みでヘルメットを脱ぎながら、顔お見合わせ皆んなで大笑いしてしまった。
やっぱツーリングは楽しい
店内に入り、席に着くなり
「なぁ華菜、湖一周楽しかったけど、考え事でもしてたのか?」
「違うのよ~ 湖が見えてきたら、なんか楽しくなってきちゃって、一周したくなっちゃってアハハは」
それは分かります。
めっちゃ楽しかったし
「華菜ちゃんなんか考え事でもしてたのかと思ったよ~
でも、めっちゃ楽しかったしOKじゃないウフフ」
思わず、琴子ちゃんの楽しかったしにつられて、親指を立て頷きながら、ニンマリしてしまった。
「まぁ葵が喜んでくから、OKかなアハハは」
三人が満面の笑顔で親指を立て、こっちを見てきたので、私も親指を立てニタついてみた
結果は、大笑い お店の中で大爆笑してしまった。
さすがに四人で騒ぎ過ぎた
周りの人の目が気になり、大人しく、すましていても思い出し笑いでさっきのが出てきそうで、笑いを耐えるのが辛かった。
ランチのプレートを食べるのも一苦労
美味しいのに、面白いが勝っちゃって辛い
食後のコーヒーを飲み、やっと落ち着けた気がする。
この湖畔が最終目的地、しばらくはツーリングはお預け、楽しい思い出を残す為に、撮影会が始まった。
四人の最高の時間と思い出をパシャリと写真に収める
この思い出があったら、受験乗り越えられそう 大丈夫、絶対に大丈夫
「そろそろ行こうか」
「安全運転で気を付けて帰ろう」
楽しい時間は、あっという間に終わってしまう
名残惜しいけど、またいつか皆んなと来たいな~
夜明け、喜びと興奮が冷めず、睡眠不足で朝を迎える。
朝、鏡を見て唖然 寝起きなの、ろくに開かない目なのに、顔がニヤけてる、さらに目の下にクマ!
こんな顔してたら、華菜ちゃん達にイジられる、ヨシ今日も学校だ!シャキッとしろ頑張れと、両手で頬をパンパンと叩き気合を入れた
ヤバイ今日は、家出るのが遅くなってしまった。 今日は、朝の本を読む時間、作れないだろうな
毎朝、皆んなから声をかけられて一日が、始まって感じだけど、今日は出遅れた 華菜ちゃん達はもう、校内に入っちゃったかな?
校門近くで三人がこっちを見ている華菜ちゃん、エミちゃん、琴子ちゃんだ
私が遅いから待っててくれたんだろうか?
ヤバイ顔大丈夫だろうか、学校に鏡を持ってくる習慣もないから、確認出来ない
今日は私から挨拶したい
「華菜ちゃん エミちゃん 琴子ちゃんおはよう~」
聞こえたかな……
「おー来た 葵おはよう~」
「あっ本当だ~ 葵ちゃん~おはよぅ~」
「葵遅かったね おはよぅ って、なんて顔してんの」
「おはよぅ 昨日興奮してあまり眠れなかった うんクマ出来ちゃって」
「いやいや、目から下がニヤけてるよ」
バレてる~ やっぱ鏡持ってくればよかった
「今走って息が切れたからじゃないアハハ」
「葵ちゃんが、変な言い訳してる~」
「葵それはないだろうアハハは」
「そんな恥ずかしい言い訳しなくてもいいって 葵が来る前に、もうひと笑い済ませたから」
「そだよ~朝から三人してニヤけ倒したんだからウフフ 葵ちゃんも、絶対ニヤけて学校来るって三人で話してたところウフ」
皆んな一緒だったんだ、なんか嬉しいな~ こんな風に、いろんな事を共有出来るって楽しい
「ほらー急げー遅刻するぞー」
先生の声を聞いて、慌てて教室に向かった。
昨日の寝不足で、あまり集中出来ない
今日は朝から本が読めなかった。私の唯一の楽しみ休み時間に本を読む事、一時間目の授業が終わり、鞄から本を取り出し読み始めた時に、前に誰かが立っている事に気がついた。
「葵、顔上げて 目をつぶって、ちょっと前髪手で押さえて」
と言われ、言われるがまま華菜ちゃんが、私の顔に何かしてる ちょっと良い匂いだ
「はい もう良いわよ~ あんたね~ 女の子なんだしもう少し手入れしなさいよ、はい鏡」
手入れとは何のこと?と言われるがまま、渡された鏡を覗いてみた
まさか落書きをするほど子供ではないと思うが、恐る恐る鏡を覗いて何かが違う、その何かが分からない
落書きだなんて、私はなんて子供なんだろう 恥ずかしい
そこに有るはずの何かが分かった、クマが消えてる 「えっ」
鏡と華菜ちゃんを交互に、何度見しただろう
「本当、葵は動きが面白い アハハは 動画撮っておけばよかった」
「そんなの撮ったら、琴子ちゃんに毎日顔弄られちゃう」
「アハハは そうなるかもねアハ」
「えっなぁに~」
ヒィー
ヒィー
二人して驚いて変な声をあげてしまった
「ちょっと、驚かさないでよ 変な声出しちゃったじゃない」
「華菜ちゃんも葵ちゃんもなんで驚くのよ~ あぁ~わかった 琴子の悪口言ってたんでしょ~」
「そん事言わないよー 琴子ちゃんも、お顔の手入れしてるのかなって」
「なんで琴子の名前が出た? ん~?じ~ぃ~ ウフフ」
「それは琴子ちゃんが綺麗だからだよ ね華菜ちゃん」
「あっそうだよ さっきクマ消してあげたのよ、少しは手入れしなって言ってたんだよね」
嘘を付いてしまった。
「ん?~ 本当かなぁ~ウフフ まぁいいや また後でね~」
思わず手を握り合い
「ふぅ~ビックリした」
「ビックリしたね、本当あの子は なんで急に現れるかね 流石に私も怖かったよ」
「うん怖かった 心読まれるかと思った」
琴子ちゃんは、たぶんエスパーだと思う事にした
○
休み時間に本読む時間が出来たけど、エスパー琴子の一件から集中して本が読めなかった
今日から、心の中だけはエスパー琴子と呼ぼう
そうだ、顔に塗ってくれたのどう落とすのか帰りに聞かないと、ゴシゴシ落としてもいいのかな?
いつものように、葵~と呼ばれた
「葵、今日バイトだよね?」
「うん」
「今日、本屋行きたいんだ、だから葵のバイト先行っていいかな?」
「まぁいいけど私、仕事中は あまり相手出来ないけど、大丈夫?」
「大丈夫!大丈夫! バイトの邪魔はしない様にするから」
「まぁいいけど」と言ったものの、ちょっと気になるのと、私も一緒にって思ったけど、流石に言えなかった
そうだ聞こうと思ってた事が有ったんだ
「顔に塗ったこれって、普通に洗顔でゴシゴシ落としてもいいの?」
「絶対ダメ クレンジングで優しく指でクルクルって、その後拭き取って洗顔ね」
「わっ分かった」なんかえらいもの付けられちゃったのかな?
でも女子なら、普通なのかもしれないな
琴子ちゃんには、絶対に秘密だな!毎日が大変になっちゃう
「ん~? 葵ちゃん琴子の事考えてたでしょ~」
うわっちょっとビックリした なんで分かるんだろう? 頭の上に吹き出しでも出てるのかな?
「そんな事はないよ」と目を逸らしてしまった
「なんで目を逸らしたの、なんか疚しい あっなんか目の下ファン コンシーラーでしょ~」ニヤ
バレた やっぱ分かるよなぁ~今ニヤって笑いましたよね
「あぁそれ、クマが酷かったから、私が消してあげたよ 琴子は葵をオモチャにしちゃダメだからね」
なっナイスです華菜ちゃん、アナタに一生ついて行きます!
「華菜ちゃんだけズルい~~」
「葵が怯えるからよせ」
「もう~エミまで~」
「ズルくない 葵がメイクする様になったら、琴子が教えてあげなよ」
「その時は、琴子ちゃんお願いします」
丸く収まったみたいでよかった。
○
バイトし先の本屋
どんな本を探してるんだろう?
案内くらいは出来るかな
「おはようございます、店長お疲れ様です」
「おはようございます春野さん、今日は、学校から直接来たのね」
「あっはい、友達が本を探してるとの事で、一緒に来ました」
「そう~ じゃ用意が出来たら、案内してあげて」
「はい それでは用意してきます」
「貴女達が春野さんの、お友達なのね やっぱそういう事なのね、良かった貴女達に会えて」
「えっどういう事ですか?」
「春野さんって、ここでバイトして一年半とかになるんだけど、あまり積極的に喋ったりする子じゃないでしょ、挨拶も辿々しくて、それでいて、棚の前でブツブツ言ってると思ったら、本読み出しちゃう子だったんだけど、ここ何ヶ月か前から挨拶もきちんと出来る様になったんだけど、棚の前の行動は変わらずなんだけどね、本当、貴女達のおかげであの子も変われたんだと思うのよ。いいお友達に会えたんでしょうね」
ちょっと皆さん!その憐れむ顔はやめて下さい
あー店長が、私の今までの失態を話したんだ やっぱ連れて来なければよかった
三人が駆け寄り、私を真ん中にして三人にハグをされた バイト先で、ちょっと恥ずかしいけど、まあ何を聞いたか分からないけど、久しぶりだから良いかな
「はいはい、皆さんお店の中なので、このへんで 春野さん、案内してあげるんでしょ」
よかった~久しぶりの感じだけど、ちょっと恥ずかしかったのでナイスなタイミングです店長!
「そうだった 葵、参考書の棚ってどの辺?」
最近の楽しさとバイクの事で、忘れてたけど、そうだ受験の事考えないといけない時期だった
皆んなは、何処の大学受けるんだろう 今まで考えてなかったけど、出来ればまだ皆んなと……
左右から二人に肩を組まれ
「うちらは進学組だけど 葵は、もうどうするのか決めてんの? もしかして、何もまだ考えてなかった?」
「えっあっアハハは、そっそっそんな事はないよ アハハは」
「おっと図星か」
エスパーがもう一人増えた
「葵ちゃんは、どうしたいか好きに決めて良いんだからね」
一緒にいたい、同じ大学に行きたい、無理かもしれない でも、やる前から諦めたくない
「本当は、まだ迷ってたんだけど、もう迷わない 決めた、私も進学する もっと見んなと一緒に居たい」
「うん知ってた じゃ一緒に頑張ろうね葵ちゃん ウフフ」
「あっそろそろバイト戻るね、それじゃごゆっくり」
進学するなら、バイトも考えなくちゃいけないな~
皆んなが何処の大学目指してるのか聞いとけばよかったー
進学考えてるのに、私 勝手に予定決めちゃったけど、どうしよう
その事は明日 謝ろう あと予約も取り消してもらわないと
○
翌朝、いつもと変わらぬ日常
放課後、皆んなに聞いてみよう 何処の大学目指してるのか、三人は成績良いから、やっぱ凄い大学行くんかな~
それを考えると、ちょっと挫けそう うっうう ヤバイちょっとうめき声みたいのが漏れた
咳払いして誤魔化そう
「あぁ~やっと終わった~ 葵~帰ろう~ 葵!お腹でも痛いの? うーうー言ってなかった?」
うわバレてた アハハ笑って誤魔化そう
「そうだ、華菜ちゃん 聞いてもいいのかな?大学って何処目指してるの?」
「○○大学だけど、葵も同じこと受ける?」
一つ上のランクの大学じゃないですか! 怖気付いたら負けだ、一緒がいい
「うん受けたい 一緒でもいいかな?」
「当たり前でしょ 頑張れば大丈夫だって」
お前は無理だって言われるかと思った 良かった~
もう一つ大事な事あったんだ
「後もう一つ大事な話……」
「おーいどうした~華菜、葵帰ろうぜ~」
「華菜ちゃん葵ちゃん迎えにきたよ~」
「あっごめんごめん、おまたせ~ って葵なに?」
「皆んなに聞こうと思ってて、来週の日曜の事なんだけど、私 皆んなの事何も考えず予定決めちゃって、本当申し訳なくて、ごめんなさい バイク乗る事しか考えてなくて、本当穴が有ったら入りたいくらい情けない」
「おい葵、何言ってんだよ」
「そうだぞ~」
「葵、来週の予定は皆んなで決めた事じゃない、葵一人で決めた訳じゃないでしょ だから来週の事は、何も気にしなくて大丈夫なんだよ」
「えっでも、私 皆んなが、大学受験の準備を始めるの気が付かなかったし」
「そこはごめんね 私もエミと琴子と同じ大学考えてて、もうそろそろやらないとかなって思って、参考書って何を使ってるか教えてもらう為に本屋さん行きたかったんだよね」
「私達、葵のバイトしてる本屋で、買った参考書が良かったから、華菜に教えたんだよね」
「ごめんね~葵ちゃん内緒にしてた訳じゃないんだよ、でも話すの忘れてたから内緒と同じだね 本当ごめんね」
「そんな~謝らないで、私が脳天気過ぎ……」
「さっき葵が、同じこと受けるって言ってくれたの本当嬉しかったし、正直二人に追いつけるか心配だったけど、一緒に頑張れる同志が出来て心強かったんだから」
「そっか葵も同じとこ受けるんだ じゃぁ四人一緒になれるように、皆んなで頑張ろぜ」
「一緒に頑張ろうね葵ちゃん」
「来週の予定止めちゃったら絶対に後悔する気がする だから来週は思いっきり楽しんで、受験頑張ろうよ」
「えっ本当にいいの?」
「当たり前だろ」
「そうだよ~」
「そうだ、来週のツーリングって寒いかな~?」
「そうだよ来週はツーリングなんだよな 葵、気にしなくていいから、ちゃんとニヤけていいんだからな」
なっなんて事を言うんですか、高根沢さん、赤面しちゃうじゃないですか!
「日中暖かいけど、バイクで風切って走ったら寒いよね」
「ちょっと見て帰ろうか」
「賛成~ 葵ちゃん何処がいいかなぁ~」
「そうですね~ちょっと前に調べた時に分かったんだけど、ワークショップのもバイク用品として使えるみたいだよ」
「ワークショップ?」
「あー聞いたことある」
「じゃ決まり~ ワークショップ行ってみよ~う」
「おっ……」
思わず反応して、おーって言ってしまった
「おぅ~って言ってくれたの、葵ちゃんだけじゃん もう~
本当、葵ちゃんは、良い子に育って良かったわ ウフフ」
育ててもらった覚えは無いが、そこは受け流そう
屈強な男達が集うお店、ワークショップ 私達が足を踏み入れて良い場所なのか、それとも、何かしらの試練が有るのだろうか、もし、もて遊ばれるような事が有っても、こっちにはエスパー琴子が居るから大丈夫!
アッハハは 待っていろー屈強な男共
「なぁ葵、なんか悪そうな微妙な顔してねぇ?」
ヤバ顔に出てしまっていたのか、琴子ちゃんに悟られる前に冷静に、ならないと
「試……そっそうかな ワークショップ行くの、ちょっと楽しみだったからじゃない アハハは」
誤魔化せただろうか?ちょっとビックリした。
でも、ワークショップに一人で行くのは、ハードルが高いよなぁ~
バイク屋ですら入るのに十日くらいかかったもんな~ 実際には、自力で入ってないけど、あれは本当 感謝、感謝だよなぁ~
ワークショップって一人で入れないから、試しに言ってみたけど、まさか行けるとは思わなかった。
ここは、男前のエミちゃんに頑張ってもらって入店!
ここで男前が、怖気付いたら、次の刺客は、華菜ちゃんだな!
女神様降臨!
女神がダメなら、真打エスパーの登場!これならワークショップを攻略出来る!アッハハ
今絶対に悪い顔してるだろうから、この攻略法を悟られないようにしないと!
異世界のダンジョン攻略する様に、ワークショップの前に立つ可愛い女子四人、可愛いなんて言っちゃった。 私を除いた三人は可愛いんだから、この言い方でOKかな
普通のドアなのに、何故か大きく感じるドア 誰がドアを開けるのか、男前に女神、エスパーをもっても緊張を隠せない私達、私は、戦力外だから参戦は出来ない
流石難易度高いワークショップ
お店の前でモジモジする四人、普通のお店なのに……
カラフルなポップで屈強な男を連想させない、綺麗な外観
店内からそそられる視線、やはり難易度が高い
突然ドアが開き、店員さんなのだろうか、エプロンをした女性が出て来て私達に可愛いらしい笑顔で「いらっしゃいませ、 ちょっと入りづらいですよね~ どうぞ~」
私達は、声を揃えて店員のお姉さんにお礼を言い、恐る恐るお店のドアをくぐり店内に
私はワークショップのドアは、異世界の入り口だと思っていたが、普通のお店だった
屈強な男達のイメージなど微塵も無い、なんて失礼なイメージを抱いていたのだろうか、店員さんが言うに、昔は男臭いお店だったらしいが、ここ数年アウトドアやツーリングなどが流行り始めたのがキッカケで、店内が変わったらしい
店内から、そそられた視線は、見兼ねた店員さんが、私達に声をかけに出て来てくれたらしい 本当優しい店員さんが居るお店で良かった。「あの~すいません、この時期のツーリングで着られる上着ってどの辺に有りますか?」
なんてナイっすなんですか華菜様、やっぱり女神様ですね
女神様降臨です!
本当 女神様に一生ついて行きます!
店員さんに教えてもらい、カッコいい服や、可愛らしいデザインの物、色もカラフルで目移りして、なかなか選べない
ここは女神様にお願いして選んでもらおう
「葵ちゃん~ちょっとこっち来て~」
エスパー琴子に呼ばれた、これは着せ替え人形として、もて遊ばれるんだきっと
着せ替えなら楽しそうだから良いかな アハハは
「やっぱり~葵ちゃんってオレンジ系似合うよ
よく見るのは紫や黒が多いよね。ここは冒険して黄色系かオレンジ系どっちが良いだろう ねぇ~どっちが良いかなぁ~」
えっ本気で選んでくれてたんだ、二人も、自分のを探すのを止めて、私のを真剣に悩んでくれてる
私的には、普段は紫系や黒系が多いんだけど、私がオレンジ着てもいいんだ
ここ最近は、普通で忘れていたけど、本当にこの人達と仲良くなれて心の底から良かったって思える。
普段はふざけてる事が多いけど、本当に優しい人達だよなぁ~
私に何が出来るだろうか?
何か返したい
「そうだねぇ~葵は、オレンジ系が良いかもね。 エミはどう思う?」
「私もオレンジ系がいいと思う 少し顔が明るく見える」
「は~ぃ葵ちゃんは、オレンジ系で決定~ ちゃんと鏡見て確かめてみて」
「ありがとう琴子ちゃん、初めて服選んでもらえたのが、本当嬉しい なんか感動して泣きそう~」
「や~ねぇ~葵ちゃんたら、大袈裟なんだから ウフフ
泣いたら移るから止めてよね」
そうだった、琴子ちゃんは、感受性が豊かだった
こんなお店の中で泣かせる訳にはいかないから、感動は家に着くまでお預けだな
「琴子ちゃんは、どの色するの?」
「琴子はねぇ~ そうだなぁ~葵ちゃんはどれかいいと思う ウフフ」
おっとこれはセンスが求められる代物ですね、見た目が可愛い子だから、やっぱりピンク系かパステル系とかなのかな?
ピンクやパステルってなんかアイドルみたいだよな
ここは、大人っぽくちょっと妖艶さを出して紫系とかアハハは
「紫系とかどうかなぁ~」
「紫系か~ あまり考えた事ない色かも ねぇ~紫系ってどう?」
「紫系か~なんか大人っぽくて良いんじゃないか~ 」
「ちょっともう~いつもが子供ぽいって事~ エミだって変わらないでしょ」
「違うよ、琴子ちゃん紫系似合うって事じゃないかな? ねぇエミちゃん!」
上手く誤魔化せたようで、良かった良かった
まだ二人は、悩んでるみたいだし、この際だから、皆んな同じ色のデザインにしないか聞いてみようかな チーム妖艶とか面白いかも、アハハ
あっさり紫系の同じデザインで通った チーム妖艶が効いたのかな?
さっき選んでもらったのは、別で買うとワガママを言って、一人で二着買う事にした。
ちょっと痛い出費だけど、初めて選んでもらったのを、買わずには帰る訳にはいかない!
友達とお買い物って、本当楽しいなぁ~
「そういえばさぁ~葵って今日バイトは?」
……バイト? ヤバー忘れてた
「楽しくてバイト忘れてた アハハは これから行ってくるね」
「気を付けて行けよ~ 葵~顔ニヤけてるぞ~転ぶなよー」
「葵ちゃん~また明日ね~」
「じゃねぇ葵~」
「うん また明日学校で~」
店長に受験する事を言わないと、バイト入れる日少なくなるだろうな~
やっぱ、バイト辞める方向の方がいいのかな?
バイト辞めるの勿体ない気もするんだよなぁ~でも、皆んなと一緒に進学したいし、ここは心を鬼にして頑張ろう
今日、遅くなっちゃったから、話し出来ないかな~
「店長、おはようございます。遅くなってすいません」
遅くなった事を咎められず、直ぐに店内で本の整理を始めた やはり学生だからだろうか、多少の事は仕方ないと思っているのだろうか、それとも、私の実力を認めてるからだろうか?
そういえば、三人に出会わなかったら、進学するなんて今まで考えてなかった バイトから正社員になって、いずれは本屋の店長。
人見知りの私では、店長は無理かなアハハ
店長に、進学する事を伝え、今月いっぱいでバイトを辞める事を伝えたが、いつでも来れるようにと、籍を置いといてくれるらしい。
急なヘルプの時は、出来るだけ助けに来よう
○
いつもと変わらぬ朝、朝靄がかかる空気の済んだ朝の匂いに、排気ガスが混じり今日は何処まで走ろう、エンジンも調子良さそう。
ヨシ、バイク君 宜しくね。
今日も一緒に風になろうじゃないか!
さぁ出発、背中に背負ったリュックには、今日読む本とアウトドア用のイスにポットに入れたコーヒーとサンドイッチ
これから、ちょっと贅沢な時間を使う為、ソロツーリング 山道を登り、そして降り目指すは湖畔 キャンプやアクテビティも出来、ファミリーからソロまで楽しめる場所
どのくらい走っただろう、目の前に湖が広がる、なんて素敵な場所なんだろ…………
あっ夢……
うぅ~~続きが~
なんて夢見てしまったのだろう、ちょっと苦しい夢だよなぁ~
でも、夢でも楽しかった
。
ん?……
うっわ
最低だ~ 私!
大切な三人の事を忘れるなんて
流石に、三人の事を忘れてソロで走った夢だし、これで夢の影響受けてバイク買ったら、マジ最低だよ私
受験する事を決めたんだから、終わるまでバイクの事は考えない
でも、ほかのバイク屋で買ったら分からないだろうけど、せっかく手に入れた友情を手放す気にはならない!本当にそんな事をしたら、友情は愚か、皆んなに合わせて、無理してたんだと思われるだろうし、無理に合わせなくて良いよって、言われるだろうし、皆んなの足を引っ張ってしまう事になりかねない、ここは受験が終わり、皆んなと笑える日を迎える為に、心を鬼にして頑張る
今日見た夢の事は、皆んなには内緒にしておいた方がいいだろう。
あの夢の事を思い出して、顔がニヤけないようにしないと、絶対に無理するなって言われる
初めて出来た友達、いつまで一緒にいられるか分からないけど、離れたくない、一人だけ違う場所に行くのは嫌だ、出来るだけ四人でいたい。
○
いつもと変わらぬ朝、違うのは夢を見たとこだけ、自分で窮屈にしてしまったが、これでいい 最後に皆んなで笑う為、今は我慢の時!
「葵~おはよぅ~」
「おはよう華菜ちゃん」
「どうした?なんか難しい顔してるよ なんか有った?」
ちょっと考え過ぎてたみたいだ、顔に出てたみたい 危ない危ない
「何もないよ たぶん朝飲んだコーヒーかな?
濃くて苦かったからかなアハハは」
いつも気にかけてくれて、本当に嬉しい やはり女神様だ
「おハー華菜、葵~」
「おはよぅ~華菜ちゃん葵ちゃん ん? ウフフ」
この二人には、悟られないようにしないと、特にエスパーには気を付けないと
何事も無く、教室に向かう
朝のルーティーン、チャイムが鳴るまで、本を読む 夢の事で、集中して読めない、頭の中に文字が入って来ない、今日の授業は集中出来ないだ
無常にも、時間は過ぎていく
いつもの声が聴こえた
ハッと気が付くと放課後となった。朝から数時間の記憶が全く無い、いろいろ考え過ぎたようだ
「葵~帰ろ~」
「はーい」
隣のクラスにも声をかけ
「エミ~ 琴子~ 帰ろ~」
「おぅ~」
「は~い 職員室に寄って行くから、ちょっと待ってて」
数分待ち、四人揃ったところで学校を出たところで、
「日曜のツーリング、何処行くか決めない? どうする ウチ来る?」
「うん行く 何処行くか決めてなかったよな」
「うん賛成~行く行く 葵ちゃんは、来れる?」
「うん!もちろん行く 進学するから、しばらくお休みもらってる」
「じゃ~気にしないで行けるね ウフフ」
必ず私の事を心配してくれる 優しい子、ちょっと怖いところもあるけど、本当に可愛い子
進学するって決めたり、バイトを辞めようとしたり、バタバタしてツーリングの事忘れてた
ツーリング忘れてた事、絶対に言わないでおこう
あと夢でソロツーリングした事も内緒
久しぶりの佐々木モータース、ヤバい顔がニヤけちゃうかも
「パパただいまぁ~」
「人の親にパパって言うな 琴子お前がパパって言うと違う風に聴こえるんだよ」
「いいでしょ エミのパパだって、華菜ちゃんのパパだって、葵ちゃんのパパだって、みんなパパなんだから~」
「お父さんも、あまりデレってしないの」
とばっちりの親父さん、かわいそうに
「そういえば娘達よ、お前達はヘルメットって、もちろん有るよな?」
「無いよ、私と琴子は 教習所で貸してくれたから」
「あっ私も借りたので、まだ持ってないです」
「じゃ華菜だけかヘルメット持ってるのは」
「ごめんお父さん、私はお姉ちゃんの借りて使ってた」
「なんだお前達ヘルメット無いのか! しょうがねぇなー
ジェットヘルメットでいいか? ちょっと被って合わせてみな」
これからバイク乗ろうとしてるのに、誰もヘルメットを持ってなかった、四人揃ってやらかしてしまった。
四人揃って、ヘルメットを試着させてもらった
私はバイトして、それなりにお金有るから、この位の金額ならなんとか大丈夫だけど、普通の高校生は、ちょっとキツイよな~
ここは私がって、四倍はやっぱ無理だ
私の基準だけど、普通の高校生のお小遣いだと足りないと思うけど、足りない分は私が!
「お前達ヘルメット決まったか?
そのヘルメットあげるから、ちゃんと被れよ」
親父さん、貴方は神ですか!やはり女神のお父様だけあって、神なんですね
「パパ~ありがとう~」
「やめろ琴子、抱きつこうとするな」
「お父さん本当、大丈夫?良いの?
お母さんに怒られない?」
「もちろん大丈夫に決まってるだろ」
ありがたやーありがたやー
無言で拝んでしまった。
しばらく大喜びした後、初ツーリングの目的地を決めるはずだが、流石 女子なかなか決まらない
「あの~ ふと思ったんだけど、神社巡りとかどうかな?
合格祈願と受験のお守りも欲しいかなって
って初ツーリングには、地味だよねアハハは」
「良いじゃん葵~」
「うん いいねぇ~」
「葵ちゃん~~
地味じゃ無いょ~ じゃ何処の神社が良いかな~」
「良かった~」
夢で見た、湖にツーリングってのも、気になるけど 試しに湖を見るってのも言ってみよう
初ツーリングは、合格祈願に神社巡りからの、湖が見えるカフェに決まった。
私しが、提案した両方が採用されて嬉しいけど、カフェって単語は私には無かったアハハは
ちょっとビックリだが、本当に嬉しいのと楽しみだ
楽しみ過ぎて、また夢見てニヤけ顔が治らなかったらどうしよう
なんて幸せな悩みなんだろう~
○
ツーリング当日、朝九時半
佐々木モータースに集合
プレゼントしてもらったヘルメットと皆んなと一緒に購入した上着 グローブ、お財布、紙コップをリュックに入れて、忘れ物は無いよな~
朝、ポットにコーヒー入れて、休憩の時に、皆んと飲もうっと
明日の支度を準備
楽しさが勝って、ちゃんと寝られるかな~心配
バイク君、宜しく頼むよ!
今日も一緒に風になろうじゃないか!
ゴーゴー
バイク君、風になろうって言ったじゃないか、前にいる三人に全然追いつかないじゃないか
どんどん離されてるよ、私が離れてるの気が付いてないのかな~
ヤバい おーい待って~
だんだん見えなくなってきたヤバい
おーいおーい
待っ……
あー夢だ
変な夢観ちゃった
えっ何時?
時間は五時か~
いつの間にか寝ちゃったみたいだ、寝れて良かったけど、嫌な夢
正夢にならない様に願って手を合わせておこう
○
早く起きちゃったせいもあるけど、ちょっと早めに着いちゃった
でも、二十分前なら大丈夫かな
「おはようございます 華菜ちゃんおはよう」
「おはよぅ葵~ ちゃんと寝られたかな?」
変な夢の事は、言うのは止めておこう
二人も合流して、待ちに待ったツーリング日和
バイクに乗る為の準備をして、親父さんに注意事項を聞き、ヘルメットを被り 華菜ちゃんと琴子ちゃんが、ハンターカブ
エミちゃんと私が、クロスカブを借り 帰りは、バイク交換する事になった。
まずは、スタンドで燃料を入れる為に、ガソリンスタンドにゴー
本当に風になってる気がした
もう楽しい
五分位走っただろうか、ガソリンスタンドが見えてきた
レンタルだけど、初めての給油
初めての給油、物凄く緊張したし、物凄く興奮した
ガソリンスタンドのお兄さんが、給油の仕方などを教えてくれた。
普段何気なく観ている事だったけど、いざ自分がやるとなると、こんなにも緊張するものなのか!
こんなに緊張してても、めっちゃ楽しい。
親父さんに、原付じゃないから三十キロじゃないからなって言われたけど、初めての公道はちょっとびびってしまう たぶん一番びびっているのは私だろう。
夢みたいに置いていかれない様にしないと、頑張って付いて行かないと
そういえば、小百合さんがヘルメットに付けるスピーカーとマイク インカムを付けてくれた。
やっぱり皆んなも緊張してるんだろうな、私だけじゃないんだ、なんかそう考えたら 少し楽になってきたかも アハハは
それにしても、風を切る音とタイヤの音、なんて心地良いんだろう~あぁ~風になってる~
インナーちゃんと着てきたし、寒さ対策は一応してきたけれど、皆んな、少し寒いのかなぁ~小刻みに少し震えてる
寒いのかな~確かリュックの中にカイロ有ったよな
次の信号で止まったら、コンビニに止まってもらって、カイロ渡そう
このヘルメットのマイク繋がってれば、信号で コンビニに止まってって、言わなくていいのにな~
三人とも震えてるかわいそうに
信号で止まれる
「ねぇ次のコンビニ……」
「ちょっと皆んなして、何笑ってるの?」
寒さで可笑しくなっちゃったのかな?
「わかった次のコンビニね」
信号から五百メートル位走った場所に、有るコンビニで一旦休憩
「皆んな寒くない?カイロ有るから背…… ん?」
なんだろう皆んなの目が、怖いと言うか、笑ってる
「アッハハハハダメだ 葵は、優しいなっハハハ」
「エミ そんなに笑ったら葵ちゃんが可哀想でしょ 葵ちゃんは、本当に優しいん あっフ」
「琴子だって笑ってるじゃん」
本当なんだろう~?琴子ちゃんは、笑うの堪えてた
私何かしたかな?走りが下手っぴ過ぎて、笑われてるのかな?
「もう~エミも琴子もちゃんと言ってあげなきゃ可哀想でしょ
あれね葵、落ち着いて聞いてね
葵がぶつぶつ喋ってた事、私達聴こえてたんだよ こっちから話しかけても反応しないからイヤホンの線が抜けてるんじゃないかな? ごめん葵 一回笑わせて アッハハハハ
本当ごめん」
「えっ~~~ あのーつかぬ事をお伺いしますが、どの辺から聴いてたの?」
「うんとねー 風になってる~ってくらいかな アッハハハ ごめん葵 本屋でもこんな風にぶつぶつ言ってるのかなって思ったら可笑しくて」
「もう~エミは笑い過ぎ! 葵ちゃんが可哀想でしょ~ 私達の事、凄く心配してくれてたんだよ
あと夢が何とかって言ってたかなぁ~ あっフ」
「ごめんな葵 寒くて震えてたんじゃないんだよ、早く教えたかったんだけど、なかなか止まれなくてな」
あーなんと!
なんて恥ずかしい事でしょう
自分でも、顔が赤くなってるのが分かる
あー恥ずかしい
穴が有ったら入りたい
ん?
本屋のぶつぶつってなんだ?
まぁいいか
あーそうだったのか、寒くて震えてたんじゃなくて、可笑しくて肩が震えてたんだ
もっと早くにジェスチャーでもしとけば良かった~
「葵 ちょっとヘルメット貸して」
「あっありがとう華菜ちゃん」
「どう? あっあっあっ 葵聴こえる」
うん
「葵ちゃん~私の声聴こえる~」
「おーい葵~聴こえるか~」
「そんな泣きそうな顔するんじゃないの 教えないで笑ったのは悪かったと思ってるから ごめんね」
三人が笑った事を謝ってくれた、私も気が付かなかったのだから、許してやろう ちょっと上からだなアハハは
ちょっとーこんな風に話しながら走ってたの?
あぁ~楽しい~
「おーい大丈夫か~ 葵~ ちゃんと繋がってる」
「うん大丈夫」
「葵ちゃん 黙ってると心配しちゃう~」
黙ってるとラジオを聴いてるみたいで面白いのだが
「あっごめん 皆んなの話し聞いてると、ラジオのリスナーになった感じで面白かったから」
「琴子のお悩み相談ラジオ~
はい、さっそく始まりました。
パーソナリティの琴子です。
今週のコメンテーターは、
高根沢エミさんと、
佐々木華菜さんです。
宜しくお願いします。
(はいよろしくお願い申し上げます)
(あっはいよろしくお願い申し上げます。)
は~い次のリスナーさんは
ラジオネーム葵春さんからの相談メールです」
あぁ~なんか始まった~
それに二人も乗っかった
「ふむふむ、夢で見た事が心配みたいですね
分かりました
お二人は、専門分野では無いですが、宜しくお願いします。
それでは、お電話が繋がってるみたいですねぇ~
もしも~し葵春さん」
うっぅぅぅ
うわっ、夢の事、話さなくていいかなって思ってたのにー
本当エスパー感が良すぎだよって、さっきの独り言で、夢って言ったからかー
あーどうしよう、本当の夢の話しをしようか、それとも作ちゃおうか、見た夢、忘れちゃったって事にしちゃおうか、忘れたって言ったら、この場の空気悪くなるよなー
ヨシ決めた
「あっはいもしもし、葵春だっけ? あっ葵春です。宜しくお願いちま します。」
ヤバい、噛んじゃった
「は~い大丈夫ですよ~
緊張されてるんですね~ 生放送ですもんね、それじゃ深呼吸してから、始めましょうか
はいどうぞ
(えっ深呼吸するのか スースー)
はい大丈夫でしょうかね、それでは、どんな夢を見られたんですか?
(えっと~ちゃんと覚えてはいないんですが、仲の良い友達に、自分の声が届かなくなるって夢です。)」
「そんな悲しい夢見ちゃダメだよ葵ちゃん
私達が、葵ちゃんを独りぼっちなんかさせないから」
「あっ声が届かないって言うか、呼んでる最中に目が覚めちゃったから アハハは
途中で目が覚めちゃったから、嫌な夢だなって思ってただけだから
ごめんね心配させちゃって」
「コンビニが有ったら、ちょっと休憩しよう」
この空気を察したのか、女神華菜様の一言で、休憩することになった
私のネガティブ要素、無くならないかな
せっかくのツーリングなのに、変な空気にしちゃったなー
でも、せっかく盛り上げようと琴子ちゃんがしてくれたのに、嫌な気持ちにさせてしまっただろうか
ちょっと心配
コンビニに止まるや否や、琴子ちゃんに抱きつかれた
「私達は、何が有っても葵ちゃんを見捨てないし、ずーっと友達だから」
そうだった 琴子ちゃんは感受性が高い、エスパーだった
「うんわかってる 私も皆んなとずっと友達でいたい」
こんな私に、手を差し出してくれた人達だもん、私のせいで嫌な思いにさせたくない!
「おーいお前たち、いつまでやってんだよ~ トイレ借りて、飲み物買ってこいよって、なんで二人して泣いてんの?って、お前たちバカなのか」
「分かったわよ もう~ウルサいわねぇ~エミは~
華菜ちゃんも、そんな呆れた顔しなくたっていいじゃん」
「イヤーそんな泣いてたら、運転大丈夫かって思って
葵も琴子も、買い物有るならしてきな」
しばらく、このコンビニで休憩をし、出発することにした
少しの間、沈黙の時間が流れた
時間にして、五~六分だろうか、会話が途切れることがない、私達としては、二~三時間くらい黙っている感覚だったのかもしれない。
さっきの一件で、ちょっと気まずい感じにしてしまったのだろう。
いつも私に優しさを分けてくれる皆んなに、今私が出来る事をやらなくちゃ!
この沈黙を破り、最初に話しを切り出し、この雰囲気を変えようと質問を投げかけてみた。
「ねぇ琴子ちゃん 気になってた事が、あるんだけどいいかなぁ~」
「うん大丈夫よ~」
「気になってた事って言うか、エミちゃんは、呼び捨てなのに、私や華菜ちゃんは、ちゃん付けなのはどうしてなんだろうって思ってて アハハ 」
「あ~そこか~ 私とエミって幼稚園入る前から一緒なのね、まぁ幼馴染ってヤツ~ 」
「長いんだねーって言うか、姉妹だね」
「ただの腐れ縁だよ」
「うん 幼稚園の頃は、エミちゃん琴子ちゃんって、呼び合ってたかな
小学校の時、何がきっかけだったんだっけ?」
「きっかけ?
たぶん、クラスが変わってっから、私が琴子~って呼んだのが始まりだった様な気がする」
「うん、たぶんそうだった様な気がする」
「へーそうなんだー 小さな謎が解けた気がする
でも、エミちゃん以外はちゃん付けなのはなぜ?
私だって葵って呼び捨てでも、いいのに」
「たぶんそれはね葵、性格の問題なんじゃないかな?
葵だって、私達を呼び捨てにしないのと一緒なんじゃないかな~
私も、呼び捨てで華菜でいいよって言ったけど、葵と同じだったから」
「なるほど~」
「ねぇ~なんか、ちょっと恥ずかしんだけど~もう~」
「じゃ華菜ちゃんとの出会いは?」
「わっ私~
そうね~私って小五の頃、転校して来たんだけど、普通転校生の初日って、皆んなちょっと距離空いてる感じするじゃない 隣の席が琴子で、視線は痛いし、転校生が珍しかったのか、授業中も結構話しかけられて、そのおかげもあってか、早くクラスに溶け込めたって感じかな~
エミは六年の時一緒になったんだけど、琴子絡みで同じクラスになる前に仲良くなったって感じかな~」
「華菜ちゃん言い方」
「いやいや嘘は言ってないから」
「うん、それ分かる」
「エミまでもう~
そんな視線が痛いって、ストーカーみたいじゃない もう~」
「…………」
「……」
「もう~二人とも黙らないでよ~
いいわよ、もう~
私には葵ちゃんがいるんだから~」
なんか矛先がこっちに来ましたよ怪我しない程度にしてくださいよ。
いつも通りの日常に戻った感じがする
この感じってやっぱ落ち着く
エスパーが静かになると、このチームは壊滅してしまうのかもしれない! もし女神がいなかったら、たぶん何も決まらなそうだ。
やはり女神がこのチームのリーダーで、主導権を握ってるって感じかな
あの二人が、女神の決定に逆らった事無い気がする
そういえば、男前さんのポジションってなんだろう?
こんな失礼な事を考えているうちに、最初の目的地に、無事到着する事ができた。
最初の目的地は、○○神社
交通安全や合格祈願の参拝や御守りをゲットするのが、最初のミッション
男前さんが、神社やお寺の作法を調べたみたいで、調べて来た事を考えてくれた。
「いいかお前たち、鳥居から先は神様のいらっしゃる神聖な場所なんだから失礼のない様にするんだぞ。」
①神社の鳥居は、社会と神域を区切る結界のような意味があるらしく、一礼してからくぐるのが丁寧なくぐり方とされている。
参道の中央は神様の通り道なので、中央を避けて端を歩いて鳥居をくぐりった方がいいらしい。
参拝を終え、境内を出る時も社殿の方に向き直って一礼するだって
②手水舎で手と口を清めてから参拝をする。
神前に参る前に身を清めるという意味があり。
まず、右手で柄杓を持ち水を汲んで、その水を左手にそそいで左手を清め、柄杓を左手に持ち換え、同じように右手を清め、最後に、また柄杓を右手に持ち換え、水を汲み、その水を左の掌に受け、その水で口を清めるとき柄杓に直接、口をつけてはダメらしい
一度、柄杓に汲んだ水だけで、最後までやるらく、何回も汲んではダメ。
③軽く会釈をしてから賽銭箱にお賽銭を静かにいれる。
正しい参拝のしかたは、
二礼二拍手一礼
二度深くお辞儀をし、柏手を二回打ち
最後に、一回頭を深く下げお辞儀をするのが、参拝の作法らしい。
「お前たち分かったか~
(はーい)
(ほ~い)
(あっはーい)
琴子 お前は、いつまで葵に引っ付いてんだよ
お前たち一列に並べ~ 番号ー」
(いち
にーぃ
あっえっさーん)
「貴様~何をやっとる
それでも軍人かー」
「すっすいません大佐、葵軍曹は今回が初めてでして、お許し下さい」
「琴子少佐、きちんと教育しておくように
今回のミッションを発表する
参拝して、御神籤からの絵馬に合格祈願を書くのが最終ミッション、心して取り組む様に!」
おっと、何か始まっちゃいましたよ この二人は本当、息が合ってるよなぁ~さすが幼馴染
今回は軍人かー
軍人になった覚えはないのだが
「はいはい もう終わり
まったく~誰が軍人よ~
すぐそうやって葵を巻き込むんじゃないの」
やっぱり華菜ちゃん貴女は、女神です。
女神様以外あり得ませぬ
男前さんから、大佐になられました。
女神様の一言で、コントが終了して、私達は、ミッションいや目的の合格祈願をする為、前に進み、教えてもらった様に中央を空け一礼して、左端をお行儀良く鳥居を括り、手水舎に向かい、神様の聖域に入る為に手と口を清め、先程までふざけ合っていた二人も大人しくなり、四人が一列に並び、静かにお賽銭箱にお賽銭を入れ 礼二拍手一礼 神様にお願いをした。
私が一番長かったみたいで、最後に頭を上げ振り向くと三人の笑顔が待っていた。
皆んなよりも長く神様にお願いしていた事は、もちろん大学進学 皆んなの合格祈願の事と、交通安全、四人無事に帰れること、いつまでも この三人とお友達でいられます様にって、欲張り過ぎたかな?
みんなは何をお願いしたのだろう?
最初のミッション完了
「なぁ葵 なにお願いしたんだよ~」
「そんなのエミに言うわけないでしょ~ 葵ちゃんは、いつまでも私と仲良しでいられる様に、に決まってるでしょ ねぇ~葵ちゃん~」
「まったく~あんた達自分の言わないで、葵の聞こうなんてズルくな~い」
ここは正直に「あっ私は、皆んなの合格祈願と、ずーっと仲良しの友達でいられます様にってお願いしたの アハハはちょっと恥ずかしい」
「もう~葵ちゃんったら、私も同じことお願いしたよ ウフフ
もし、私のお願い聞いてくれなかったら、もう神様なんか信じない
私は無宗教で生きるわ」
急に突拍子もない事言い出しましたよ
神様を脅しにかかりましたよ、この子は
たまにこの人は、怖い事言い出すから
でも、本当に優しい人だよね琴子ちゃんって、エスパーに成らなかったら、本当可愛い子なんだけどなぁ~
四人とも、同じ様な事をお願いしたみたいで、四人とも満面の笑みでハイタッチしあい、本当にこの和の中に入れた気がした。
今までの様に、独りぼっちになるのがちょっと怖くなった。
この大切な友を失いたくないって、今は本気で思う。
次は、御守りを買う為に移動した時「なあ考えたんだけど、一人ずつ行って買った御守りを、くじかあみだでもらうってのはどうかな?」
「うん、面白そう~」
「どう二人は?
(いいんじゃない)
(うん)
じゃ~
じゃんけんで順番決めようぜ」
じゃんけんで、私が一番になってしまった
皆んなは、どんな御守りを買うのか分からない様に、背を向けて待っている
あまり時間かけずに、さっと選ぼう
いっぱい種類がなければいいんだけど
でも、いつもの優柔不断が出たらやだなぁ~
えっとー何種類あるかなぁ~
えっこれってどっち
「ねぇねぇ学業成就、合格成就どっち選べばいいのかな~
合格成就でいいの?」
「進学、受験だから、合格成就でいいんじゃないかな」
「学業成就って、勉強頑張るって事なのかな?
ここは葵、合格成就にしよう」
女神様の一言で、合格成就の御守りに決まった
どちらの御守りを買うか決まったは良いけど、どうしよう二種類色が有る
どちらにしょうかな、神様の言う通りおべべのって、こんなの決まるわけない
やばい早く決めないと皆んな待ってる あぁ~もういい、こっちだ 私が手にした御守りは、赤なのかピンクなのかよくわからない方を掴み、巫女さんに手渡し、小さな袋に入れてくれた。
ちょっと待たせ過ぎたかな? 小走りで皆んなのところに戻ると、三人に御守りの入った袋を透視するかの様に、じっと見られ、私は慌てて背後に隠してしまった。
順番に御守りを買いに行き戻って来た 「よーしあみだ書くから、適当に置いて」と男前大佐が地面にあみだを描き始めた
一人一ヶ所線を引きあみだは完成
またじゃんけんで、順番を決め私は、今回は最後になってしまった
残り物には福があるって言うと信じて、最後のあみだで最後の御守りを手にした
皆んなで、〈せ~の〉で袋から御守りを取り出した
私は、私が買った微妙な赤っぽい御守りだ 顔を上げ皆んなお見ると三人とも青っぽい緑の御守りを持っていた
私だけ赤っぽい御守りを買ったってとこか~ ってことは、自分で買ってきた御守りを引いてしまった
ついてない あぁ~私はなんてついてないんだろう
やはりここは言うべきか、言わざるべきか
悩む~
「これって三人色が一緒だと自分で買って来たのと、なんら変わんねえよな」
大佐ナイスです!
大佐について行きます。
ここは言うべきって事だな 「あっ私も、御守り自分のところに帰って来ちゃったアハハは
じゃんけんしませんか、私とじゃんけんで買った人と御守りを交換ってどうかなぁ」
「よーし葵 最初はグーじゃんけんぽん」
女神様のところに、私の御守りが行った
「華菜ちゃんズル~イ」
「いやズルくはないだろう じゃんけんで勝てなかった琴子が悪い」
「琴子ちゃん、私のと交換しましょう」
「三人の御守り私に貸して」
私は、華菜ちゃんの言う通り御守りを預けシャッフルして私達に渡してくれた、これなら誰のか分からない
女神様ナイっすです。
琴子ちゃんは、私と交換したかったのだろう、ぎゅっと御守りと手を握り、合格します様にと念を送った。
一人だけってダメだよな
二人の手も握り念を送ってあげた。
「よーしおみくじ引こうぜ~」
次のイベントは、おみくじか~
さっきも、一人だけ色違いだったし、ちょっとついてないかも……
おみくじも運なんだろうなぁ~
大丈夫!何が出ても受け止める
大凶とか出ちゃったらどうしよう
そんな事考えてたら、本当出ちゃうかな?
〈カラッカラカラ〉
おみくじを振って、数字が描かれた棒を出して、描かれている数字を巫女さんに言うと、同じ数字が描かれたおみくじを渡された
正直開けるのが、本気で怖いかも
巫女さんにおみくじって大吉以外は、結んだ方が良いのか聞いてくれた
「おみくじ」は単に吉凶判断を目的として引くのではなく、その内容を今後の生活指針としていくことが何より大切なことといえます。 また神社境内の木の枝に結んで帰る習わしもありますが、持ち帰っても問題はなく、引いた「おみくじ」を充分に読み返し、自分自身の行動に照らし合わせるのも必要なんですよって、巫女さんに教えてもらったけど、大吉以外は置いて帰りたいのが、一般人な気がする。
おっと私だけ大吉って、運が良いのか悪いのか分からなくなってきた
誰も大凶や凶はいないみたいで、一安心
これで最後のイベント、絵馬に願い事を書いて奉納
巫女さんから、絵馬を受け取り油性ペンで、○○大学合格、受験合格の願いを念を込めて書いてみる。
四人揃って絵馬を結び、最後にダメ押しで、本堂に手を合わせに行き神頼み
普通に神社にお参りに来るより、ちょっと楽しかったかも
こんな事言うと、怒られちゃうかもアハハは
駐車場のバイクの所に戻り、次の目的地の場所をナビでセットしている間に、合格祈願の御守りを買った時に四人分の交通安全の御守りを、購入したので一人ずつに御守りを手渡した。
四人お揃いの御守り
気に入ってくれると嬉しいんだけど、「何~御守り 葵ありがとう 合格祈願の事しか考えてなかったよ」「ありがとう葵 サプライズビックリだよ」「やだ~葵ちゃん~ ありがとう~もう~言ってくれれば、私も買ったのに~」「私が買いたかったから アハハは」
良かった気に入ってくれた様だ
背中に背負っているリュックに御守りを括り付け、次の目的地へ
○
次の目的地は、カフェ
湖畔沿いのカフェ、私には思いつかない目的地カフェ
さすが、リア充
やっぱまだリア充の修行が足りないのだろう
私なら、湖で終わりだったかも、いつか湖畔までソロツーリングして、湖の淵にバイクを止め、コーヒーを飲みながら読書を満喫したい
そうだ今度、ネットで見たコーヒーミル ポチっちゃおうっと
ソロも楽しみだけど、皆んなとツーリングも楽しいなぁ~
もっと皆んなといっぱい走りたいし、皆んなといろんな所に行きたい
自分で決めた事だけど、このツーリングでしばらくお預けか~
受験に合格してバイク買った方が、ご褒美感が大きいかも!
よし
頑張ろうっと
って、その前に今日を満喫しなくっちゃ
そろそろ次の目的地に着くみたい
湖が少し見えた!
ちょっとテンション上がる
朝ちゃんと食べてきたけど、初めてのツーリングと、さっきの神社ではしゃぎ過ぎたのか、お腹すいた
まずは、カフェでお昼ご飯、何食べようう……
オシャレ過ぎるカフェで、緊張してお腹いっぱいにならなかったらどうしよう
我ながら幸せな悩みだ アハハは
オシャレなお店が見えてきましたよ
あれ? 通り過ぎた
ここじゃないんだ
また通り過ぎた
えっここも通り過ぎた
まただ、通り過ぎてますよ
そっか、湖を一周して何処にするのか決めるって事だな 湖一周ちょっと楽しんじゃおうっと
ちょっと楽しんじゃおって考えたら、めっちゃ楽しくなってきた
やばい顔がニヤけてるのが、自分でも分かる
でも、本当に何処でご飯食べるんだろう?
聞いた方がいいのかな
「ねぇ~華菜ちゃん~ 何処のお店寄るの~」
ナイっすです!
やっぱり琴子ちゃん、あなたはエスパーですね!
私の思念が届いたんでしょうか
「アッハハ ごめんごめん、とっくに通り過ぎたアッハハ 湖沿い走るのが楽しくって、寄ろうと思ってたカフェ通り過ぎちゃった」
なんと
あの女神様が、楽しくて通り過ぎたと!
その気持ち、分かりますすご~く分かります
私も同じ気持ちです 女神様~
「やっぱそうだろう~ おかしいと思ったんだ っでどうするん?戻る、それとも一周する?」
私~一周したいです大佐!
華菜ちゃん戻るなんて言わないでね、一周するって言って下さい
「あっせっかくだから、一周しようかなって たぶん葵もそう思ってるだろうし」
えっ女神様は、エスパーに成られたのですか!
まさかまた、声が漏れてたって事はないですよね
あー怖い怖い、変なあだ名付けちゃってるから、心の声だけで、絶対に声に出しちゃダメなやつだ
私の思念が届いたんですね そう思っておきましょう
ヨッシ!
湖を一周する様に走り、見覚えの有るお店の前でバイクを止め四人ともお腹が空いているのに、湖一周が満足だったのか、満面の笑みでヘルメットを脱ぎながら、顔お見合わせ皆んなで大笑いしてしまった。
やっぱツーリングは楽しい
店内に入り、席に着くなり
「なぁ華菜、湖一周楽しかったけど、考え事でもしてたのか?」
「違うのよ~ 湖が見えてきたら、なんか楽しくなってきちゃって、一周したくなっちゃってアハハは」
それは分かります。
めっちゃ楽しかったし
「華菜ちゃんなんか考え事でもしてたのかと思ったよ~
でも、めっちゃ楽しかったしOKじゃないウフフ」
思わず、琴子ちゃんの楽しかったしにつられて、親指を立て頷きながら、ニンマリしてしまった。
「まぁ葵が喜んでくから、OKかなアハハは」
三人が満面の笑顔で親指を立て、こっちを見てきたので、私も親指を立てニタついてみた
結果は、大笑い お店の中で大爆笑してしまった。
さすがに四人で騒ぎ過ぎた
周りの人の目が気になり、大人しく、すましていても思い出し笑いでさっきのが出てきそうで、笑いを耐えるのが辛かった。
ランチのプレートを食べるのも一苦労
美味しいのに、面白いが勝っちゃって辛い
食後のコーヒーを飲み、やっと落ち着けた気がする。
この湖畔が最終目的地、しばらくはツーリングはお預け、楽しい思い出を残す為に、撮影会が始まった。
四人の最高の時間と思い出をパシャリと写真に収める
この思い出があったら、受験乗り越えられそう 大丈夫、絶対に大丈夫
「そろそろ行こうか」
「安全運転で気を付けて帰ろう」
楽しい時間は、あっという間に終わってしまう
名残惜しいけど、またいつか皆んなと来たいな~
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる