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特別なそれを作ったキミは
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「あああああああ! あとちょっとでシャドウオブどさん子倒せたのに!」
「チッ、俺とルキだけじゃあやはり厳しいか……。」
リーナたちが寝静まった頃、本当に起きているつもりらしいルキとアドラーはひたすら恋のどさん子カルテット、どさカルをプレイしていた。声は一応リーナたちを気にしてか落としてはいるものの、かなり熱い戦いを繰り広げているらしく小声で叫びまくっている。
さっきプレイした程度ではそんなに熱くなる要素があの後待っているとはとても思えなかったが、ここまで異様な盛り上がりを見せているしきっと何かがあるのだろう。残念ながら俺にはそれを確かめるためにもう一度やる気力はないので、その何かは残念ながらわからずに終わりそうだ。
そんなことを思っているとは知らないルキとアドラーはレインボーどさん子さえいれば、と項垂れてこちらを見ている。経験上ここで反応したら面倒なことになるのはわかっているのでそれに気づいていないふりをしつつ、俺はひたすらイエローに輝く鉱石を削って形を整えていた。あと少し角を削れば売り物にはなるだろう。
削っては軽く水魔法で流し、また削ってはを繰り返しているとどさん子を諦めたらしいアドラーが気怠そうに話しかけてきた。
「相変わらず細々としたことやってんなぁ、てめぇは。」
「趣味だからな。それにこの双剣と鉱石さえあればどこでもできるし暇潰しにもなる。」
そう答えるとアドラーとルキは俺から双剣へと視線を移してジッと見つめ出した。前にもルキがこれを気にして見つめてきたことがあったが、なんの変哲もないこの双剣はそんなに気になるものなのだろうか。
2人の視線に思わず俺も同じように双剣を見るが、やはりどこか変わっている様子はない。何か特別な刻印があるとかいうわけでもなく、どう見てもそこら辺で売っている双剣だ。違いなんて鉱石を削っても刀身が傷つかないくらいのもので他には何も変わらないはず。
それなのに真剣な表情で2人から見られると少し居心地が悪いというか、作業しようにも視線が気になってできない。先ほどまでどさん子で酷い表情をしていた2人だけに変化の振れ幅が大きすぎて不気味でさえあった。
「そんなに何が気になるんだよ……。あんまり見られるとやりにくいんだが。あと不気味だし怖い。」
思わず正直にそう言うが2人は双剣から目を離すことなく見つめている。これが可愛い女の子たちだったら照れながらも大歓迎だが、現実はガタイのイイ眼帯男とチャラ男。悪夢とまではいかないが似たようなものだ。
(マジでやりにくいんだが……)
そんなに気になるなら片方渡そうかとも思ったがルキはともかくアドラーは敵、何故かここで一緒にキャンプをしているが敵だ。敵に双剣の片割れを渡すわけにはいかない。
これは飽きるまで待つしかなさそうだなと俺は削るのを諦めて鉱石を置いた。頼むから早く飽きてほしいものだ。
「いやマジでなんなんだよおまえら。言いたいことがあるなら言えよ気持ち悪いぞ。」
「オレはほら、なーんか気になっちゃうっていうか……。目を離せないっていうか?」
「恋してるみたいな言い方やめろ。」
まさかそういう趣味なのかと思わずルキを見ると、誤解だからと必死に否定していた。今の時代恋愛対象は自由だぜとアドラーに肩を置かれているのが少し可哀想ではある。
「まぁルキの知られざるフェチが明らかになっちまったが、そんなことはどうでもいい。その双剣どうだ、使いやすいか?」
軽く流されたら流されたでなぜか悔しそうなルキを置いて真剣にアドラーはそう話しかけてきた。何を斬っても刃こぼれしないあたりかなり使いやすい方だとは思うが、そんなに気になることだろうか。
「まぁ、使いやすいが……。こんな鉱石をいくら削っても刃こぼれどころか傷もないし、手入れもほぼしなくていいしな。」
「そりゃあよかった。何か不具合とかもねぇか?」
「別にないが。やけに気にするんだな、この双剣のこと。」
「あぁ? 俺が作ってやったんだから当然だろうが。」
「は?」
思ってもいなかった事実に俺は間抜けな声を出しながらアドラーを見た。聞き間違いでなければこの双剣を作ったのはアドラーだと、そう聞こえたが聞き間違いであってほしい。
いや聞き間違いに違いない。何故ならアドラーは軍人、鍛冶屋みたいにこんな剣を作れるはずがない。そんな暇もないだろうし、武器を作るのが趣味ですという顔でもない。
それに敵に作った双剣をあげるほどお人好しでもないだろう。だからきっと聞き間違いだ、と思い込もうとするも、疑えなくなるほどアドラーはどんどん話を進めていった。
「はーあ、せっかくテメェの鉱石を削りたいとかいう狂った願いも聞き入れて特殊加工してやったってのに。流石に量産してファンネルみたいに自動で飛ぶようにしてほしいって願いは無理だったけどなぁ。」
「そんなすごい願いを言ったの? キミ。」
「記憶がないから知らないが、事実だとしたら俺の神経を疑うわ。何を思ったらファンネルみたいにできると思うんだよ。」
過去の自分の発言がそんなに馬鹿げていたなんて信じたくなかった。これでも常識人な方だと思っているし、実際このパーティでは一番まともだと思う。
「というか本当におまえが作ったのかこれ。」
「だからそう言ってんだろうが。絶対に他の人物には加工できねえからなぁソイツ。ま、疑うなら起きたときにシンティアにでも聞いてみればいい。」
アドラーはそう言うと途端に興味をなくしたのか、双剣から目を離して再びどさん子をプレイし始めた。このまま本当に朝までやるつもりなのだろうか。
一緒にやり始めたルキを見ながら俺は俺で再び鉱石を削りだす。まだ朝まで時間はたくさんあるし、今持っている鉱石は全部綺麗にできそうだ。
(……一応気になるし起きたらシンティアに聞いてみるか)
「チッ、俺とルキだけじゃあやはり厳しいか……。」
リーナたちが寝静まった頃、本当に起きているつもりらしいルキとアドラーはひたすら恋のどさん子カルテット、どさカルをプレイしていた。声は一応リーナたちを気にしてか落としてはいるものの、かなり熱い戦いを繰り広げているらしく小声で叫びまくっている。
さっきプレイした程度ではそんなに熱くなる要素があの後待っているとはとても思えなかったが、ここまで異様な盛り上がりを見せているしきっと何かがあるのだろう。残念ながら俺にはそれを確かめるためにもう一度やる気力はないので、その何かは残念ながらわからずに終わりそうだ。
そんなことを思っているとは知らないルキとアドラーはレインボーどさん子さえいれば、と項垂れてこちらを見ている。経験上ここで反応したら面倒なことになるのはわかっているのでそれに気づいていないふりをしつつ、俺はひたすらイエローに輝く鉱石を削って形を整えていた。あと少し角を削れば売り物にはなるだろう。
削っては軽く水魔法で流し、また削ってはを繰り返しているとどさん子を諦めたらしいアドラーが気怠そうに話しかけてきた。
「相変わらず細々としたことやってんなぁ、てめぇは。」
「趣味だからな。それにこの双剣と鉱石さえあればどこでもできるし暇潰しにもなる。」
そう答えるとアドラーとルキは俺から双剣へと視線を移してジッと見つめ出した。前にもルキがこれを気にして見つめてきたことがあったが、なんの変哲もないこの双剣はそんなに気になるものなのだろうか。
2人の視線に思わず俺も同じように双剣を見るが、やはりどこか変わっている様子はない。何か特別な刻印があるとかいうわけでもなく、どう見てもそこら辺で売っている双剣だ。違いなんて鉱石を削っても刀身が傷つかないくらいのもので他には何も変わらないはず。
それなのに真剣な表情で2人から見られると少し居心地が悪いというか、作業しようにも視線が気になってできない。先ほどまでどさん子で酷い表情をしていた2人だけに変化の振れ幅が大きすぎて不気味でさえあった。
「そんなに何が気になるんだよ……。あんまり見られるとやりにくいんだが。あと不気味だし怖い。」
思わず正直にそう言うが2人は双剣から目を離すことなく見つめている。これが可愛い女の子たちだったら照れながらも大歓迎だが、現実はガタイのイイ眼帯男とチャラ男。悪夢とまではいかないが似たようなものだ。
(マジでやりにくいんだが……)
そんなに気になるなら片方渡そうかとも思ったがルキはともかくアドラーは敵、何故かここで一緒にキャンプをしているが敵だ。敵に双剣の片割れを渡すわけにはいかない。
これは飽きるまで待つしかなさそうだなと俺は削るのを諦めて鉱石を置いた。頼むから早く飽きてほしいものだ。
「いやマジでなんなんだよおまえら。言いたいことがあるなら言えよ気持ち悪いぞ。」
「オレはほら、なーんか気になっちゃうっていうか……。目を離せないっていうか?」
「恋してるみたいな言い方やめろ。」
まさかそういう趣味なのかと思わずルキを見ると、誤解だからと必死に否定していた。今の時代恋愛対象は自由だぜとアドラーに肩を置かれているのが少し可哀想ではある。
「まぁルキの知られざるフェチが明らかになっちまったが、そんなことはどうでもいい。その双剣どうだ、使いやすいか?」
軽く流されたら流されたでなぜか悔しそうなルキを置いて真剣にアドラーはそう話しかけてきた。何を斬っても刃こぼれしないあたりかなり使いやすい方だとは思うが、そんなに気になることだろうか。
「まぁ、使いやすいが……。こんな鉱石をいくら削っても刃こぼれどころか傷もないし、手入れもほぼしなくていいしな。」
「そりゃあよかった。何か不具合とかもねぇか?」
「別にないが。やけに気にするんだな、この双剣のこと。」
「あぁ? 俺が作ってやったんだから当然だろうが。」
「は?」
思ってもいなかった事実に俺は間抜けな声を出しながらアドラーを見た。聞き間違いでなければこの双剣を作ったのはアドラーだと、そう聞こえたが聞き間違いであってほしい。
いや聞き間違いに違いない。何故ならアドラーは軍人、鍛冶屋みたいにこんな剣を作れるはずがない。そんな暇もないだろうし、武器を作るのが趣味ですという顔でもない。
それに敵に作った双剣をあげるほどお人好しでもないだろう。だからきっと聞き間違いだ、と思い込もうとするも、疑えなくなるほどアドラーはどんどん話を進めていった。
「はーあ、せっかくテメェの鉱石を削りたいとかいう狂った願いも聞き入れて特殊加工してやったってのに。流石に量産してファンネルみたいに自動で飛ぶようにしてほしいって願いは無理だったけどなぁ。」
「そんなすごい願いを言ったの? キミ。」
「記憶がないから知らないが、事実だとしたら俺の神経を疑うわ。何を思ったらファンネルみたいにできると思うんだよ。」
過去の自分の発言がそんなに馬鹿げていたなんて信じたくなかった。これでも常識人な方だと思っているし、実際このパーティでは一番まともだと思う。
「というか本当におまえが作ったのかこれ。」
「だからそう言ってんだろうが。絶対に他の人物には加工できねえからなぁソイツ。ま、疑うなら起きたときにシンティアにでも聞いてみればいい。」
アドラーはそう言うと途端に興味をなくしたのか、双剣から目を離して再びどさん子をプレイし始めた。このまま本当に朝までやるつもりなのだろうか。
一緒にやり始めたルキを見ながら俺は俺で再び鉱石を削りだす。まだ朝まで時間はたくさんあるし、今持っている鉱石は全部綺麗にできそうだ。
(……一応気になるし起きたらシンティアに聞いてみるか)
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