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最新技術のあいつ
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「おいどうなってんだよ、これじゃあ迂闊に歩けねえじゃん!」
「一旦リベラシオンに戻った方が良さそうだ。これでは何もできないどころか、捕まるのが目に見えているしな。」
ワープでコリエンテに着いて数分。俺たちは建物の影から動けずにいる。以前来たときはヒンメルの補給船が止まっていたり、アドラーがいたことを除けば歩けないほどではなかった。
しかし今は違う。パッと見ただけでわかるヒンメル軍の兵士たち、そして港を制圧したかと疑うような数の軍船。ここはヒンメルだったかと勘違いしそうなほどにヒンメルに染まっており、以前のように歩き回れる状況ではない。
(それにしても異様な光景だ。戻ったらマクシムに報告しないと)
「引き返すぞ。リベラシオンにワープ、と。」
「で、戻ってきたわけですか。久々ですね、このやりとりも。それにしてもコリエンテがヒンメル支配下になった、なんて情報はどこにもないですし……。妙ですね。」
「戦った痕跡もパッと見じゃなかったしな。それが一層不気味な感じがする。」
リベラシオンに戻って早々、マクシムと俺たちは頭を悩ませることになった。コリエンテはアゲートの土地であり、ヒンメルが侵攻して奪ったとしたらすぐさま情報が流れるものだろう。それなのに一切そういった類の噂さえもない。
だが先ほど見た光景はどう見てもヒンメルの支配下に入ったコリエンテだった。
「じゃあいっそリンドブルムに戻るとか? コリエンテがあんなんじゃ、アゲートの他の街もヤベェだろ絶対。」
「でもリンドブルムも危ないんじゃないかしら。もともと私たちリンドブルムで追われて今に至るんだし……。」
「ヒンメルのことですから、リンドブルムに戻ってくることは見越してるでしょうね。ここは一旦ヒンメルがどういう動きをしているか探るのがいいかもしれません。ちょうど偵察に良さそうなものを見つけましたし。」
マクシムはそう言うと小さい飛行機のようなものを取り出した。ちょっと得意げな表情をしているがそんなにすごいものにはパッと見では見えない。
「詳しいことは面倒なので省きますが、ここの島を探索していたら見つけまして。なんとなくエニグマさんに聞いてみたところ、パソコンと繋いで空中に飛ばしつつ、情景をパソコン上に映すことができるものらしいです。」
「なるほど、よくわからんが偵察に向いてそうなことだけはなんとなくわかった。」
相変わらずの省略された説明に頭を抱えたくなるが、今は使えるものはなんでも使うべきときだ。マクシムが使い方をわかっていればきっとなんとかなるだろう。
「というわけでちょっと警備が薄そうな場所を突き止めるので、フィンたちはそれまで好きなことしててください。どうしてもすることがないなら畑でも耕していてください。」
「じゃあオレ相棒の手入れでもしっかりしてるわ。部屋にいるから何かあったら呼んでくれ。」
「お姉さんは畑の一区画借りて薬草でも植えようかしら~。あって困るものでもないし、人が増えた時用にストック作っておかないと。」
「じゃあシンティアも手伝うよ! その隣に野菜もいっぱい植えよ!」
それぞれやりたいことがあったらしく、ルキに続いてソフィアとシンティアも出て行った。その辺に落ちてたよくわかんない種も植えてみよ、とかちょっと怖い言葉が聞こえるが聞かなかったことにしたい気持ちでいっぱいだ。
俺も何かするか、と考えるも武器の手入れは必要ないし、何か植えたいものがあるわけでもない。そして困ったことにアクセサリーを作る気分でもない。
俺もアドラーみたいに紅茶でも飲みながら携帯でも弄って休憩するのもいいな、とポットに手を伸ばしたとき、横にいたリーナに袖を引っ張られた。
「やることないならちょっと来て。」
「いいけど、どこ行くんだよ。」
「こっち。」
そう言われて連れて来られたのは建物から少し歩いた場所にある洞窟だった。そういえばアリーチェがここにきのこがあるとか言っていた気がする。
「きのこでも採るのか? 俺はきのこに詳しくないから、どれが食えるかなんてわからないぞ。」
「違うわよ。ここの奥にたまに凄く綺麗な水晶があるんですって。」
「たまに?」
植物ならまだわかるが、水晶がたまに出現するというのは聞いたことがない。
「なんでも、入るたびに洞窟内が変わるってアドラーが。場合によってはモンスターも沸くとかなんとか……。」
普通に考えたら入るたびに中が変わるなんてありえないことだが、この逃走生活を始めてから普通ではない現象にたくさん出会ってきた。さすがに戸惑いはするが、柔軟に受け入れる方が楽だったりもする。
「まぁ、とりあえず入ってみるか。危険だったらすぐ出ればいいしな。」
それに水晶も気になるしな、という言葉は飲み込んで俺たちは洞窟内へ入って行った。無謀にもライトなしで。
「一旦リベラシオンに戻った方が良さそうだ。これでは何もできないどころか、捕まるのが目に見えているしな。」
ワープでコリエンテに着いて数分。俺たちは建物の影から動けずにいる。以前来たときはヒンメルの補給船が止まっていたり、アドラーがいたことを除けば歩けないほどではなかった。
しかし今は違う。パッと見ただけでわかるヒンメル軍の兵士たち、そして港を制圧したかと疑うような数の軍船。ここはヒンメルだったかと勘違いしそうなほどにヒンメルに染まっており、以前のように歩き回れる状況ではない。
(それにしても異様な光景だ。戻ったらマクシムに報告しないと)
「引き返すぞ。リベラシオンにワープ、と。」
「で、戻ってきたわけですか。久々ですね、このやりとりも。それにしてもコリエンテがヒンメル支配下になった、なんて情報はどこにもないですし……。妙ですね。」
「戦った痕跡もパッと見じゃなかったしな。それが一層不気味な感じがする。」
リベラシオンに戻って早々、マクシムと俺たちは頭を悩ませることになった。コリエンテはアゲートの土地であり、ヒンメルが侵攻して奪ったとしたらすぐさま情報が流れるものだろう。それなのに一切そういった類の噂さえもない。
だが先ほど見た光景はどう見てもヒンメルの支配下に入ったコリエンテだった。
「じゃあいっそリンドブルムに戻るとか? コリエンテがあんなんじゃ、アゲートの他の街もヤベェだろ絶対。」
「でもリンドブルムも危ないんじゃないかしら。もともと私たちリンドブルムで追われて今に至るんだし……。」
「ヒンメルのことですから、リンドブルムに戻ってくることは見越してるでしょうね。ここは一旦ヒンメルがどういう動きをしているか探るのがいいかもしれません。ちょうど偵察に良さそうなものを見つけましたし。」
マクシムはそう言うと小さい飛行機のようなものを取り出した。ちょっと得意げな表情をしているがそんなにすごいものにはパッと見では見えない。
「詳しいことは面倒なので省きますが、ここの島を探索していたら見つけまして。なんとなくエニグマさんに聞いてみたところ、パソコンと繋いで空中に飛ばしつつ、情景をパソコン上に映すことができるものらしいです。」
「なるほど、よくわからんが偵察に向いてそうなことだけはなんとなくわかった。」
相変わらずの省略された説明に頭を抱えたくなるが、今は使えるものはなんでも使うべきときだ。マクシムが使い方をわかっていればきっとなんとかなるだろう。
「というわけでちょっと警備が薄そうな場所を突き止めるので、フィンたちはそれまで好きなことしててください。どうしてもすることがないなら畑でも耕していてください。」
「じゃあオレ相棒の手入れでもしっかりしてるわ。部屋にいるから何かあったら呼んでくれ。」
「お姉さんは畑の一区画借りて薬草でも植えようかしら~。あって困るものでもないし、人が増えた時用にストック作っておかないと。」
「じゃあシンティアも手伝うよ! その隣に野菜もいっぱい植えよ!」
それぞれやりたいことがあったらしく、ルキに続いてソフィアとシンティアも出て行った。その辺に落ちてたよくわかんない種も植えてみよ、とかちょっと怖い言葉が聞こえるが聞かなかったことにしたい気持ちでいっぱいだ。
俺も何かするか、と考えるも武器の手入れは必要ないし、何か植えたいものがあるわけでもない。そして困ったことにアクセサリーを作る気分でもない。
俺もアドラーみたいに紅茶でも飲みながら携帯でも弄って休憩するのもいいな、とポットに手を伸ばしたとき、横にいたリーナに袖を引っ張られた。
「やることないならちょっと来て。」
「いいけど、どこ行くんだよ。」
「こっち。」
そう言われて連れて来られたのは建物から少し歩いた場所にある洞窟だった。そういえばアリーチェがここにきのこがあるとか言っていた気がする。
「きのこでも採るのか? 俺はきのこに詳しくないから、どれが食えるかなんてわからないぞ。」
「違うわよ。ここの奥にたまに凄く綺麗な水晶があるんですって。」
「たまに?」
植物ならまだわかるが、水晶がたまに出現するというのは聞いたことがない。
「なんでも、入るたびに洞窟内が変わるってアドラーが。場合によってはモンスターも沸くとかなんとか……。」
普通に考えたら入るたびに中が変わるなんてありえないことだが、この逃走生活を始めてから普通ではない現象にたくさん出会ってきた。さすがに戸惑いはするが、柔軟に受け入れる方が楽だったりもする。
「まぁ、とりあえず入ってみるか。危険だったらすぐ出ればいいしな。」
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