紅の神子

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第二十二章 宿命が交差するとき

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「神の世ってどこにあるんだ?」

「何処ってそうだなあ。人には関われないところ?」

「わからないぞ、賢者殿」

「行ってみればわかるよ。イーグル王もイーグルの王子も何れは行くことになるんだから」

 マリンはあっさりそういう。

 答えられなくてふたりとも黙り込んでしまった。



 透たちが異世界へとトリップして、色々なことがあった。

 暁や隆は今では一児の父である。

 異世界へトリップしてそろそろ3年になる。

 暁と隆の子供はどちらも2歳になった。

 透は便宜上は18歳。

 暁は16歳。

 隆は透と同い年なので18になる。

 ふたりとも今も結婚はしていなかった。別にモテないというわけじゃない。

 どちらもが異世界の出身だと承知の上で、異性から付き合いを申し込まれているらしいが、これが片っ端から断っているのである。

 透は子供のためにも気になる異性がいたら付き合ったらいいとは言っているのだが、ふたりともこれには苦い顔をするだけで応えたことはなかった。

 隆は今では軍医の見習いをやっている。

 さすがにふたりとも水無瀬家の血を引いているというべきか。

 頭の出来が透とは違う。

 この世界の文字も知識も常識も、ありとあらゆる情報を、あっという間に身につけていった。

 透なんて3年かかっても、まだ難しい文字になるとダメだし、それ以前に難しい勉強は、
今でも苦手だ。

 なのにふたりともスゴイ。

 この歴然とした差にランドールたちも唖然としたようだった。

 実は3年経った今も透とランドールは関係は、全く進んでいなかった。

 正式に婚約を申し込んでいるのだが、透からはランドールは父親だからと断られている。

 同意していない上女性化していない透をイーグル王の婚約者として紹介はできないという事情の他にまだ問題があった。

 それがこの勉強面である。

 透は未だに幼児がやるような勉強をやっているレベルなのだ。

 ビクトリアも頭が良くはなかったが、この親子は本当に似ているらしいと、ランドールも苦い気分だ。

 アスベルやルーイが頭脳明師なのは実はランドールの遺伝である。

 ランドール自身がかなり優秀な頭脳の持ち主なのだ。それがなければいくら彼女が好きでも、婚約はできなかったかもしれない。

 産まれてきた子供たちが頭脳面で欠点を抱えているというのは国王として困るので。

 アスベルやルーイがランドールのおかげで避けられた母親からの遺伝を、長子である透が一番強く受けているとは皮肉である。

 アスベルも結婚して2年が過ぎて、外見は神になったせいで若返っているものの、どっしりとした落ち着きが出てきている。

 ルーイもそろそろ11歳。

 将来に備えて動きはじめているらしい。
 
 そんな中でランドールの不満は、透が女性化しないことと、当の透が身内ばかり相手して、ランドールは明らかに避けられていることだった。

 まあ婚約していないのだからと、周囲に止められていることも勿論ある。

 だが、ランドールがそれを大人しく甘受するわけもない。

 何度か同室の透を誘ったが、彼はスルリと逃げてしまう。

 拒まれても求めたときは、酷いときなどは義理の弟の暁の部屋へと逃げてしまう始末だった。

 最近になって避けられている気のしないでもないランドールだった。
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