魔王様・完全攻略マニュアル

紫月

文字の大きさ
上 下
17 / 18

説明は必ず始めにお読みください。

しおりを挟む
一気に2話アップします。

※※※




「儂は反対じゃが……乙女がそう望むなら仕方あるまいて」
ミルフェ様はそう言って、そっと私の額にキスを落としてくれた。
すると私の中から小さな光の粒が抜けていき、ミルフェ様に吸い込まれていった。
もしかしてあれが祝福の力なの?
「してルシ坊、気持ちに変化はあるかえ?」
「ん?別段ないな。変わらずアンジェリカが好きだが。いや、どちらかというと前より………」
言い淀んで、でもルシフェル様は私を真っ直ぐに見つめると、今までと変わらない優しい笑顔を向けてくれた。
何故だろう?
ルシフェル様のお気持ちが真実だと分かって、じわじわと嬉しさが湧いてくる。
「アンジェリカ、俺の花嫁になってくれるか?」
「はい、私でよければ……」
花嫁の在り方はまだよく分からないが、この方のために私が出来ることを精一杯頑張っていこう。
「後悔しなければいいがの……」
「え?」
「さあ、アンジェリカ、そうと決まれば俺について来てくれ」
「え?は、はい!」
花嫁のお勤めをするのだろうか?
何をするのかは分からないけど、頑張らないと!

このときまだ彼女は何も知らなかった。
花嫁のお勤めとは、めくるめく大人の世界が展開されるということを。



「なぁ、ミルフェ様。お嬢の魅了の力ってあんまり意味ないんじゃないですか?ルシフェル様はあの通りお嬢にメロメロだし」
「ん?誰がそんなデマ教えたんじゃ?」
「え?巫女姫情報ですよ。お嬢には魔性の力があって、魔王であるルシフェル様を強制的に魅了するって言ってたんです」
「逆じゃ、逆!」
「え?」
「どういうわけか代々の魔王は儂が選んできた乙女を大層気にいるのじゃ。溺愛しすぎて乙女が大変な目にあうので、寧ろその余りある煩悩を抑えるような力を授けておるのじゃ」
「え?で、でも最初から欲望全開でしたが……。まさかあれで序の口だったのか?」
「カサンドラはおそらく力を使って強制的に魅了されたのだと思わせたかったのじゃろうて。言霊でも使わないかぎり魔王を制御できる術はないゆえ、乙女には祝福を持っていてほしかったんじゃが…………」
「…………じゃが、なんです?」
「先程儂のところにきて祝福を消してほしいと言ったのじゃ。彼女は勇者よの」
「お嬢ーーーーー!!!!」

後にその夜のヴァラクを見た者は、まるで鬼神か殺人鬼のようだったと語る。
そしてお嬢様の大切なものは、ヴァラクの渾身の一撃により守られたのだという。


よってまだ彼女は花嫁のお勤めを知らない。






※※※

もうヴァラクがヒーローでいい気がしてきた……。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

魔法学院のチート生徒2人がいちゃつく話

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:412

悪役令嬢がでれでれに溺愛されるまでの話

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:4,807

転生王女は美味しいものがお好き

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:2,271

魔道士師団長は弟子を拾う

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:180

愛しの令嬢の時巡り

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:930

薄幸の令嬢は幸福基準値が低すぎる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:4,784

氷の女王様の縁結び

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:121

夫の裏切りの果てに

恋愛 / 完結 24h.ポイント:908pt お気に入り:1,249

一途な令嬢は悪役になり王子の幸福を望む

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:1,701

愛される王女の物語

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:8,264

処理中です...