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餌を与えすぎないでください

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「クリスティナ嬢は17歳です。」
カイン様(さっきジーク様が言っていた)が再び驚愕した。
いえね、慣れてますけど、その珍獣を見る目はどうにかなりませんか?
「クリスティナ嬢、失礼した。
夜会は楽しんでおられるか?」
持ち直したようで何よりです。
「はい、このような華やかな場にお呼びいただきありがとうございます。」
やーもうお城も堪能したし帰りたいな。
イロイロ疲れた…。
「クリスティナ嬢、あちらに軽食がありましたよ。
召し上がりませんか?」
いつの間に用意したのか、サンドイッチやらマドレーヌなどが乗ったプレートをジーク様が持っていた。
…この前から何となく気になっていたのだけど、私餌付けされてませんか?
「あぁ、こちらにいらしたのですか。
クリスティナ嬢、美味しそうな菓子がありましたよ。」
あれ?カイザー様までクッキー持ってる…。
喜んでいただきますけど。
残したら勿体ないオバケが出るからね!
「ありがとうございます。」
モグモグ…。
「カイザー、警護に戻ったほうがいいんじゃないか?」
バチッ
ん?
「交代の時間になった。
ジークこそカイン様とご令嬢達の取り次ぎがまだ全員終わってないんじゃないか?」
バチバチッ
んんん?
火花が散ってないか?
お2人はこの前とても仲がよろしかったと思うのだが、超睨みあってる…。
これはあれか?
少女漫画とかで見る、ヒロインの少女を取り合い牽制している場面なのか?
私相手に???
そんな馬鹿な、自惚れも甚だしい。
ここは一つ「私のために争わないで!」と冗談を飛ばして笑いを取りにいったほうがいい?
「お、おい、私を置いてきぼりにするな…。」
おお、カイン様!
もっと言ってやってください!
モグモグ…。
「なんて愛らしいの…。」
ん?
「ク、クリスティナ様、こちらのシャンパンゼリー、とても美味しゅうございますわよ?」
むむ!なんて親切なお嬢さんなんだ!
「ありがとうございます!」
笑っとけ!ニコッ!
キューーーン!!
んんん???今度は何の音だ?
「さ、さぁクリスティナ様!アーンしてくださいませ!」
「ジュリア様、抜け駆けはズルいですわ!」
「ソフィア様こそそのミートパイはなんですの!?」
「ほらクリスティナ嬢、宮廷料理人が腕によりをかけたローストビーフだよ。」
あれ!?いつの間にかカイン様も参加してる!?
そして何このカオス!!

クリスティナは自分が小動物系美少女だという自覚がまるでなかったが、最初に餌付けされてると感じたのはなかなか的確だった。
そしてその混沌とした様子を遠くから観察している影に、このとき彼女は気づけなかった。
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