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第8章:マッサ鉱山と謎のダークエルフ編
第20話:アイスウッド
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三日後、指定された町外れにある林を訪ねる。
この場所はロザリアが最初に俺を連れてきた場所だ。
「ここだよね! 招待状に書いてあった『例の林』って!」
「ん……助けたエルフをご主人様のワープで連れてきた場所……」
「やはり、人の気配はないな。エルフが好みそうな場所だ」
「うふふ、どんな国なのでしょう。今からワクワクしますね」
「だな! 美味いもん食えるかなー?」
リズたちも、エルフの国の女王直々の招待ということで、テンションが高い。
皆で、あれこれ話しながら林を進むと、木陰から人影が出てくる。
ロザリアだ。
「やあ、レオ。それに、お仲間さんだな。私は今回使いを務めるロザリア・アイスウッドだ。よろしく頼む」
確か、リズたちと自己紹介するのは初めてだっただろう。
エルフたちを助けた時は状況が状況だっただけに、あまり話もできなかったからな。
リズたちもそれぞれ自分の名前を名乗った。
「今回、攫われたエルフたちを救っていただき、改めて感謝する。そして、女王の命により、正式にアイスウッドの国へ招待したい」
ロザリアが膝を折り、御礼のポーズをとる。
「あ、頭を上げてくれ、ロザリア」
「そ、そうだよ! あたしたち当然のことをしたまでだし」
キアラとリズが慌てて言う。
ロザリアはその言葉を受け、立ち上がり姿勢を正して微笑む。
「やはり、レオの仲間もレオと同じ、素晴らしい人格の者たちらしいな」
「ははは、褒めて頂けて光栄だよ」
ロザリアの言葉に、笑って答える。
「さて、じゃあ、そろそろ移動しようか。私についてきてくれ」
先行するロザリアの後に続き、俺たちはアイスウッドの国に向かうのだった。
エルゼリアを出て、北に三十分ほど進むと、鬱蒼とした森が見えてくる。
道中、何度か魔物に遭遇したが、俺たちが出る必要も無いくらいロザリアが一人で簡単に屠ってしまった。
流石は、国の暗殺部隊長なだけある。
「あれがアイスウッドの森だ」
ロザリアは指をさして俺たちに言う。
「ふむ。ガラテアとは少し違うな……森自体が深くて濃い。精霊たちの気配もなんだか荘厳な感じがする」
キアラが森の様子を見て呟く。
俺も、キアラと同じことを思った。
例えるなら、ガラテアの森は明るく元気な小学校という感じだったが、アイスウッドの森は深い自然の中の静かなキャンパスのような雰囲気だ。
「アイスウッドができたのが、ガラテアよりもずっと前だからだろうな」
ロザリアが俺たちに応える。
「木々自体の樹齢が高く、その分、エルフや精霊たちも年を取っている。アイスウッドの国の歴史は、ガラテアよりもずっと長いんだ」
「なるほどな」
ロザリアの説明に納得する。
それからしばらく森を進むと、大樹の下にたどり着く。
「この大樹の幹の下から、アイスウッドの森へ移動できるんだ」
ロザリアが指す部分を見てみると、白い空間がぼんやりと浮かんでいる。
なるほど、ガラテアの国に初めて行った時と同じだ。
おそらく、これもワープの呪文によるものだろう。
「さあ、遠慮せずに入ってくれ」
「じゃ、じゃあ……お邪魔します」
「ん……入る」
「ガラテアの者として、しっかりせねば……」
「入らせていただきますね。よいしょ」
「へへ、ワクワクするなぁ」
ロザリアに促されてリズたちが次々にワープ空間に入っていく。
俺も、リズたちに続いて空間の中に入っていく。
その先に見えたのは——。
ガラテアよりもずっと大きい、エルフの国だった。
森に囲まれ、緑も多いが、前時代的な空気は一切感じない。
建物は一つ一つ大きく、主に白い石材で作られているのか、シンプルながらも高級感や神聖さを感じる。
行き交うエルフたちも多く、街全体に活気があり、まさに都会のエルフの国といった感じだ。
「うわー!! すっごーい!」
「綺麗な国ですねぇ!!」
リズとセーラも感激している。
キアラは驚いた表情をしながら「なんと……これほどとは……」と呟いている。
シレイドとロウナは、露店で売られている美味しそうな料理に釘付けになっている。
ロウナの尻尾がパタパタと嬉しそうに激しく揺れていて可愛い。
「すごい国だな……」
「だろう? エルフの国の中でも指折りの大きさを持つんだ」
後からワープ空間を抜けてきたロゼリアが、俺の感嘆の声を受けて言う。
「さて、まずは女王様に会ってほしいんだけど……って、ええっ!?」
ロザリアが大通りの方を見て、声を上げる。
人々が道を開け跪き、敬服のポーズを取っている。
鎧を着た騎士たちを引き連れて、凄まじく高貴な雰囲気を纏うダークエルフの女性が現れた。
俺たちがポカンとしていると、ダークエルフの女性がゆっくり近づいてくる。
艶やかで長い銀髪。気高さと気品、色気を感じさせる風貌。
そして、すべてを見透かすような上に立つ者ならではの、まっすぐな瞳。
彼女の放つオーラというものに思わず圧倒される。
「れ、レオ、みんな、跪け!」
ロザリアはそう言って、すぐに敬服のポーズを取る。
「ロザリア、よい」
高貴な雰囲気のダークエルフの女性は静かにロザリアを諭す。
「よくぞ来てくれた、我がアイスウッドの恩人。妾がエルフの国アイスウッドの女王、ソフィア・アイスウッドじゃ」
高貴でどこか妖艶な微笑を浮かべながら、その女性は名乗ったのだった。
この場所はロザリアが最初に俺を連れてきた場所だ。
「ここだよね! 招待状に書いてあった『例の林』って!」
「ん……助けたエルフをご主人様のワープで連れてきた場所……」
「やはり、人の気配はないな。エルフが好みそうな場所だ」
「うふふ、どんな国なのでしょう。今からワクワクしますね」
「だな! 美味いもん食えるかなー?」
リズたちも、エルフの国の女王直々の招待ということで、テンションが高い。
皆で、あれこれ話しながら林を進むと、木陰から人影が出てくる。
ロザリアだ。
「やあ、レオ。それに、お仲間さんだな。私は今回使いを務めるロザリア・アイスウッドだ。よろしく頼む」
確か、リズたちと自己紹介するのは初めてだっただろう。
エルフたちを助けた時は状況が状況だっただけに、あまり話もできなかったからな。
リズたちもそれぞれ自分の名前を名乗った。
「今回、攫われたエルフたちを救っていただき、改めて感謝する。そして、女王の命により、正式にアイスウッドの国へ招待したい」
ロザリアが膝を折り、御礼のポーズをとる。
「あ、頭を上げてくれ、ロザリア」
「そ、そうだよ! あたしたち当然のことをしたまでだし」
キアラとリズが慌てて言う。
ロザリアはその言葉を受け、立ち上がり姿勢を正して微笑む。
「やはり、レオの仲間もレオと同じ、素晴らしい人格の者たちらしいな」
「ははは、褒めて頂けて光栄だよ」
ロザリアの言葉に、笑って答える。
「さて、じゃあ、そろそろ移動しようか。私についてきてくれ」
先行するロザリアの後に続き、俺たちはアイスウッドの国に向かうのだった。
エルゼリアを出て、北に三十分ほど進むと、鬱蒼とした森が見えてくる。
道中、何度か魔物に遭遇したが、俺たちが出る必要も無いくらいロザリアが一人で簡単に屠ってしまった。
流石は、国の暗殺部隊長なだけある。
「あれがアイスウッドの森だ」
ロザリアは指をさして俺たちに言う。
「ふむ。ガラテアとは少し違うな……森自体が深くて濃い。精霊たちの気配もなんだか荘厳な感じがする」
キアラが森の様子を見て呟く。
俺も、キアラと同じことを思った。
例えるなら、ガラテアの森は明るく元気な小学校という感じだったが、アイスウッドの森は深い自然の中の静かなキャンパスのような雰囲気だ。
「アイスウッドができたのが、ガラテアよりもずっと前だからだろうな」
ロザリアが俺たちに応える。
「木々自体の樹齢が高く、その分、エルフや精霊たちも年を取っている。アイスウッドの国の歴史は、ガラテアよりもずっと長いんだ」
「なるほどな」
ロザリアの説明に納得する。
それからしばらく森を進むと、大樹の下にたどり着く。
「この大樹の幹の下から、アイスウッドの森へ移動できるんだ」
ロザリアが指す部分を見てみると、白い空間がぼんやりと浮かんでいる。
なるほど、ガラテアの国に初めて行った時と同じだ。
おそらく、これもワープの呪文によるものだろう。
「さあ、遠慮せずに入ってくれ」
「じゃ、じゃあ……お邪魔します」
「ん……入る」
「ガラテアの者として、しっかりせねば……」
「入らせていただきますね。よいしょ」
「へへ、ワクワクするなぁ」
ロザリアに促されてリズたちが次々にワープ空間に入っていく。
俺も、リズたちに続いて空間の中に入っていく。
その先に見えたのは——。
ガラテアよりもずっと大きい、エルフの国だった。
森に囲まれ、緑も多いが、前時代的な空気は一切感じない。
建物は一つ一つ大きく、主に白い石材で作られているのか、シンプルながらも高級感や神聖さを感じる。
行き交うエルフたちも多く、街全体に活気があり、まさに都会のエルフの国といった感じだ。
「うわー!! すっごーい!」
「綺麗な国ですねぇ!!」
リズとセーラも感激している。
キアラは驚いた表情をしながら「なんと……これほどとは……」と呟いている。
シレイドとロウナは、露店で売られている美味しそうな料理に釘付けになっている。
ロウナの尻尾がパタパタと嬉しそうに激しく揺れていて可愛い。
「すごい国だな……」
「だろう? エルフの国の中でも指折りの大きさを持つんだ」
後からワープ空間を抜けてきたロゼリアが、俺の感嘆の声を受けて言う。
「さて、まずは女王様に会ってほしいんだけど……って、ええっ!?」
ロザリアが大通りの方を見て、声を上げる。
人々が道を開け跪き、敬服のポーズを取っている。
鎧を着た騎士たちを引き連れて、凄まじく高貴な雰囲気を纏うダークエルフの女性が現れた。
俺たちがポカンとしていると、ダークエルフの女性がゆっくり近づいてくる。
艶やかで長い銀髪。気高さと気品、色気を感じさせる風貌。
そして、すべてを見透かすような上に立つ者ならではの、まっすぐな瞳。
彼女の放つオーラというものに思わず圧倒される。
「れ、レオ、みんな、跪け!」
ロザリアはそう言って、すぐに敬服のポーズを取る。
「ロザリア、よい」
高貴な雰囲気のダークエルフの女性は静かにロザリアを諭す。
「よくぞ来てくれた、我がアイスウッドの恩人。妾がエルフの国アイスウッドの女王、ソフィア・アイスウッドじゃ」
高貴でどこか妖艶な微笑を浮かべながら、その女性は名乗ったのだった。
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