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第8章:マッサ鉱山と謎のダークエルフ編
閑話:小屋で閉じ込め!?
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アイスウッドから戻って数日後。
休暇ということもあって、俺はサマンサの下を訪れていた。
「よし。こんなものかな」
「モー」
「よしよし。こうして見ると、なかなか可愛いじゃないか」
餌箱に干し草を入れてやると、牛たちがノシノシと寄ってきて食べ始める。
俺は、驚かせないようにそっと牛たちを撫でる。
「ごめんねー。仕事手伝ってもらっちゃって」
別の小屋にいたサマンサが、俺の所に来て申し訳なさそうに言う。
「なに、構わないさ。こんな機会そうそうないしな。牧場体験って感じで楽しんでいるよ」
「あはは、そう言ってもらえると嬉しいよ」
サマンサの牧場を訪れると、彼女が忙しそうに動き回っていた。
牧場の仕事が繫忙期らしく、俺は彼女の手伝いを買って出たのだ。
「いやー、もう冬だからねー。やることが多くて困っちゃうよー……って、毎日か」
彼女は、ボヤキながら笑っている。
そうなのだ。今は日本換算でいうと12月。
ルクシアやエルゼリアがある、この『アルバイン王国』というのは四季の変化が少ない国らしい。
冒険していても、ほとんど気温の変化は感じなかったし、感じたとしても「ちょっと温かいな」とか「ちょっと涼しいな」と思うくらいだった。
特に衣替えもせずに、ここまでこれている。
ただ、自然界においては確実に変化が訪れているらしく、牧草地の草が育たないということが起こっているみたいだ。
そのため、安易な放牧ができない。
春から夏の間に作った干し草を毎日、小屋の餌箱に入れるという仕事が増えるらしい。
地球の畜産事情はよく分からないが、異世界アルティナでは朝に乾草を食べさせてあげれば大体家畜は元気に育つらしい。
牧草の性質が、地球とは違うのだろうか。
なんとも、ファンタジーらしい都合の良さである。
「さあ、残る小屋はあと一棟だよ! 小屋から乾草を持ってきて、餌箱に入れちゃいましょ!」
サマンサが太陽のようにハツラツとした笑顔で言う。
出会った時からこの純粋な明るさは変わらないな。
「どしたの? あたしの顔、じっと見て」
「いや、相変わらず俺の彼女は可愛いなと思ってな」
「も、もー……何言ってるのよ♪」
彼女の問いに答えてやると、満更でもない感じで照れている。
うむ。やはり可愛いな。
俺とサマンサは乾草を貯蔵している小屋へと向かった。
小屋の中には乾いた乾草が山のように積まれている。
意外と熱が籠っているらしく、中はむわっとしていた。
この暑さは、とても12月とは思えない。
まあ、寒すぎるよりはマシか。
「えっと、よいしょ……これ、持って」
「はいよ」
サマンサから干し草を受け取って運ぼうとする。
その時——。
「きゃあっ!」
ドテーン!
彼女は体勢を崩して転倒してしまう。
ガラガラ……バタン!!
衝撃で乾草小屋の入り口の引き戸が閉まってしまう。
「あいたたた……あちゃー、閉まっちゃったね」
「ああ。開けてくる」
ほんのりと暗い干し草小屋の引き戸に手をかける——が!
ガッ! ガッ! ガッ!
「あ、あれ?」
「どしたの? レオ」
「引き戸が、開かない」
「え、ええー!?」
サマンサは慌てて引き戸を引く。
——が。
ガッ! ガッ! ガッ! ガッ!
「うぅ~、開かなくなっちゃったぁ……あ! まさか、さっきの衝撃で外のつっかえ棒が倒れちゃったのかな!?」
あー、あの扉に立てかけてた長い棒か。
確か、田舎とかでは鍵代わりに使うものだったな。
「困ったな」
二人で途方に暮れてしまう。
「どうする? 扉を壊せば出られると思うが」
「うぅ……なるべくやりたくないなぁ。この小屋も古いから、壊したら崩壊するかもしれないし……修理にもお金かかるし……」
ほ、崩壊……。なんだか、怖いことを言うサマンサ。
「仕方ない。どうすればいいか考えよう」
「最悪、今日はルクシアの行商さんが来る予定だから、その人に助けてもらうしかないかなぁ……」
「それって、それまでは……」
「あはは……はい……軟禁状態です……」
俺の言葉に、乾草のように乾いた笑みを浮かべるサマンサ。
仕方ないか。
俺たちは観念するように、小屋にある乾草に座った。
「暑いね……」
「ああ、そうだな。直接、小屋に日光が当たってるけど、窓がないからな。熱気の逃げ場がないんだろう」
「うー……こんな事なら、窓でも付けとくんだったぁ……。早く来てぇ……行商人さーん……」
サマンサが弱音を吐いている。
暑い……。
俺は、暑さに耐えられずに上着を脱ぐ。
「あー……レオだけずるーい……」
「サマンサも脱げばいいじゃないか」
「う、うぅ……あたしは女の子なんだよ!? こんなとこで脱げないよぉ」
「いつもエッチの時には脱いでるだろう?」
「状況が違うでしょうが! じょーきょーが!」
軽いチョップをしてくるサマンサ。
うーむ。どうしたものか。
じわじわじわじわ……。
閉じ込められてから、どれくらい経っただろう。
入口が閉まって風通しが悪くなった分、小屋の中の温度がぐっと上がった気がする。
暑い……めちゃくちゃ暑い……。
俺はすでに着ていたズボンも脱いでパンツ一丁になっている。
それでも暑いのだ。
隣を見れば、サマンサがものすごく険しい顔をしている。
いつもの彼女とは考えられない表情だ。
——その時。
「あー!! もう、あっつーい!! もう無理、もう限界!! あたしも脱ぐ!!」
堪忍袋の緒が切れたように、着ていたオーバーオールをほっぽり出すサマンサ。
彼女が、オーバーオールの下に着ていた白いシャツと黒の短パンは、すでに汗でびしゃびしゃになっている。
むわっと香る、若い女の子の甘い汗の匂い。一種のフェロモンなのだろうか?
いや、それよりも刺激的なのは、彼女の肌に張り付いている白シャツだ。
普段、ブラジャーをつけないため、おっぱいがもろに透けている。
その煽情的な光景に、俺の愚息がムクムクとそそり立っていく。
「ん……? どしたの? レオ……って、きゃあっ!? な、なに大きくしてるのよ!?」
パンツ越しに完全体になった俺のち〇ちんを見て、顔を真っ赤にするサマンサ。
「悪い。サマンサ……はぁ、はぁ……俺も、もう我慢できない……」
「れ、レオ……? お、落ち着いて……? め、目が怖いよ……? あ、うひゃあっ!?」
俺は、兎を狩る虎のごとく、彼女に飛び掛かったのだった。
休暇ということもあって、俺はサマンサの下を訪れていた。
「よし。こんなものかな」
「モー」
「よしよし。こうして見ると、なかなか可愛いじゃないか」
餌箱に干し草を入れてやると、牛たちがノシノシと寄ってきて食べ始める。
俺は、驚かせないようにそっと牛たちを撫でる。
「ごめんねー。仕事手伝ってもらっちゃって」
別の小屋にいたサマンサが、俺の所に来て申し訳なさそうに言う。
「なに、構わないさ。こんな機会そうそうないしな。牧場体験って感じで楽しんでいるよ」
「あはは、そう言ってもらえると嬉しいよ」
サマンサの牧場を訪れると、彼女が忙しそうに動き回っていた。
牧場の仕事が繫忙期らしく、俺は彼女の手伝いを買って出たのだ。
「いやー、もう冬だからねー。やることが多くて困っちゃうよー……って、毎日か」
彼女は、ボヤキながら笑っている。
そうなのだ。今は日本換算でいうと12月。
ルクシアやエルゼリアがある、この『アルバイン王国』というのは四季の変化が少ない国らしい。
冒険していても、ほとんど気温の変化は感じなかったし、感じたとしても「ちょっと温かいな」とか「ちょっと涼しいな」と思うくらいだった。
特に衣替えもせずに、ここまでこれている。
ただ、自然界においては確実に変化が訪れているらしく、牧草地の草が育たないということが起こっているみたいだ。
そのため、安易な放牧ができない。
春から夏の間に作った干し草を毎日、小屋の餌箱に入れるという仕事が増えるらしい。
地球の畜産事情はよく分からないが、異世界アルティナでは朝に乾草を食べさせてあげれば大体家畜は元気に育つらしい。
牧草の性質が、地球とは違うのだろうか。
なんとも、ファンタジーらしい都合の良さである。
「さあ、残る小屋はあと一棟だよ! 小屋から乾草を持ってきて、餌箱に入れちゃいましょ!」
サマンサが太陽のようにハツラツとした笑顔で言う。
出会った時からこの純粋な明るさは変わらないな。
「どしたの? あたしの顔、じっと見て」
「いや、相変わらず俺の彼女は可愛いなと思ってな」
「も、もー……何言ってるのよ♪」
彼女の問いに答えてやると、満更でもない感じで照れている。
うむ。やはり可愛いな。
俺とサマンサは乾草を貯蔵している小屋へと向かった。
小屋の中には乾いた乾草が山のように積まれている。
意外と熱が籠っているらしく、中はむわっとしていた。
この暑さは、とても12月とは思えない。
まあ、寒すぎるよりはマシか。
「えっと、よいしょ……これ、持って」
「はいよ」
サマンサから干し草を受け取って運ぼうとする。
その時——。
「きゃあっ!」
ドテーン!
彼女は体勢を崩して転倒してしまう。
ガラガラ……バタン!!
衝撃で乾草小屋の入り口の引き戸が閉まってしまう。
「あいたたた……あちゃー、閉まっちゃったね」
「ああ。開けてくる」
ほんのりと暗い干し草小屋の引き戸に手をかける——が!
ガッ! ガッ! ガッ!
「あ、あれ?」
「どしたの? レオ」
「引き戸が、開かない」
「え、ええー!?」
サマンサは慌てて引き戸を引く。
——が。
ガッ! ガッ! ガッ! ガッ!
「うぅ~、開かなくなっちゃったぁ……あ! まさか、さっきの衝撃で外のつっかえ棒が倒れちゃったのかな!?」
あー、あの扉に立てかけてた長い棒か。
確か、田舎とかでは鍵代わりに使うものだったな。
「困ったな」
二人で途方に暮れてしまう。
「どうする? 扉を壊せば出られると思うが」
「うぅ……なるべくやりたくないなぁ。この小屋も古いから、壊したら崩壊するかもしれないし……修理にもお金かかるし……」
ほ、崩壊……。なんだか、怖いことを言うサマンサ。
「仕方ない。どうすればいいか考えよう」
「最悪、今日はルクシアの行商さんが来る予定だから、その人に助けてもらうしかないかなぁ……」
「それって、それまでは……」
「あはは……はい……軟禁状態です……」
俺の言葉に、乾草のように乾いた笑みを浮かべるサマンサ。
仕方ないか。
俺たちは観念するように、小屋にある乾草に座った。
「暑いね……」
「ああ、そうだな。直接、小屋に日光が当たってるけど、窓がないからな。熱気の逃げ場がないんだろう」
「うー……こんな事なら、窓でも付けとくんだったぁ……。早く来てぇ……行商人さーん……」
サマンサが弱音を吐いている。
暑い……。
俺は、暑さに耐えられずに上着を脱ぐ。
「あー……レオだけずるーい……」
「サマンサも脱げばいいじゃないか」
「う、うぅ……あたしは女の子なんだよ!? こんなとこで脱げないよぉ」
「いつもエッチの時には脱いでるだろう?」
「状況が違うでしょうが! じょーきょーが!」
軽いチョップをしてくるサマンサ。
うーむ。どうしたものか。
じわじわじわじわ……。
閉じ込められてから、どれくらい経っただろう。
入口が閉まって風通しが悪くなった分、小屋の中の温度がぐっと上がった気がする。
暑い……めちゃくちゃ暑い……。
俺はすでに着ていたズボンも脱いでパンツ一丁になっている。
それでも暑いのだ。
隣を見れば、サマンサがものすごく険しい顔をしている。
いつもの彼女とは考えられない表情だ。
——その時。
「あー!! もう、あっつーい!! もう無理、もう限界!! あたしも脱ぐ!!」
堪忍袋の緒が切れたように、着ていたオーバーオールをほっぽり出すサマンサ。
彼女が、オーバーオールの下に着ていた白いシャツと黒の短パンは、すでに汗でびしゃびしゃになっている。
むわっと香る、若い女の子の甘い汗の匂い。一種のフェロモンなのだろうか?
いや、それよりも刺激的なのは、彼女の肌に張り付いている白シャツだ。
普段、ブラジャーをつけないため、おっぱいがもろに透けている。
その煽情的な光景に、俺の愚息がムクムクとそそり立っていく。
「ん……? どしたの? レオ……って、きゃあっ!? な、なに大きくしてるのよ!?」
パンツ越しに完全体になった俺のち〇ちんを見て、顔を真っ赤にするサマンサ。
「悪い。サマンサ……はぁ、はぁ……俺も、もう我慢できない……」
「れ、レオ……? お、落ち着いて……? め、目が怖いよ……? あ、うひゃあっ!?」
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