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第10章:ルクシアの町と女を忘れたギルド団長編
第6話:烈火鶴フレアミンゴ
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——翌日。
宿で朝飯を食べた後、早速、昨日進んだ場所であるハクオウ山の二合目の川へとワープする。
「ふむ……ハクオウリュウはいないようだな」
「ああ。気配もしないな……まあ、あんな大物バカスカ現れてたら、こちらの身が持たねえから構わないけど」
キアラの呟きにロウナが応える。
おそらく、出現率の低いレアモンスターだったのだろう。
危険度もAと高めだったしな。
「さあさあ、今日はどんな魔物が現れるかなー」
「ん……素材、豪華だからいっぱい戦いたい」
リズとシレイドが意気込んでいる。
「さてと、それでは進むとしようか」
俺たちは、三合目にあるボス部屋目指して歩を進めた。
進むこと十分、目の前に鳥の群れが現れる。
赤く煌めく炎のように逆立った羽毛を持ち、片足で立っている。
フラミンゴのようだが常に威嚇しているような風貌で、なんとも威圧感がある。
鑑定をしてみた。
名前:フレアミンゴ
危険度:B
説明:熱を持った羽毛を持つ、フラミンゴの魔物。性格は凶暴で、敵を見つけるや否や鋭いくちばしで攻撃してくる。温かい羽毛は防寒着の素材として重宝されている。
素材:『烈火鶴の羽毛』
レア素材:『烈火鶴のくちばし』
「おー! なんか、需要が高そうな素材だね!」
「ええ。一般の衣類にも使える羽毛なのでしたら、市場での価値は高そうですね」
リズの言葉にセーラが頷く。
その時、烈火鶴の群れがこちらに気づいたようで、一斉にこちらの方向を見てくる。
集団で、ぎょろりとした鋭い目で睨まれるとなんだか怖い。
直後——!!
「グエエエエーーーー!!」
すさまじい雄たけびを上げて、群れごとこちらに突っ込んできた。
「わわわっ!! や、ヤバいんじゃない、これ!?」
先ほどまでの意気はどこへやら、リズが少し怯えている。
「え、『エルブラスト』!!」
あまりの剣幕に戸惑いながらも、すぐさま範囲魔法を放つ。
「ギエエーーーー!!」
「ギョエーーーー!!」
風魔法が直撃した烈火鶴たちがこと切れていく。
だが、なにぶん数が多い。
何体かは魔法をかいくぐって、突進してきた。
「はぁあああっ!!」
「おらあああああっ!!」
キアラとロウナが前に出てかち合う。
「グエエエエーーーー!!」
「いでで!! いでぇっ!! つつくなぁ!!」
「くっ!! 痛っ!! このー、鳥のくせに!!」
ロウナがくちばしでつつかれながら、蹴りを放ってフレアミンゴを倒していく。
キアラもつつかれてムキになっている。
なんか、コントみたいだな……。
二人とも装備は充分丈夫なので、大した怪我にはなっていない。
いかんいかん、軽く見てはいけない。
攻撃自体は軽いものだが、頭をつつかれてうっすら血が出ている。
セーラがそれに気づいて、すぐに回復魔法をかけていく。
「グエエエエーーーー!!」
俺も応戦を始める。
つつかれる前に、風霊の剣で切り倒していく。
後ろからはリズが援護をしてくれているため、俺もキアラもロウナも苦戦はしていない。
リズやセーラに突撃するフレアミンゴはシレイドが処理してくれている。
そうして五分後には、全羽斃しきったのだった。
「いてー……あの鳥野郎、バカスカつついてきやがってー!」
「うむ……何というか……不快感はここ最近で一番大きい魔物だったな」
ロウナとキアラがつつかれた頭を撫でながら、所感を述べる。
「シレイドは平気だったか?」
「ん……大丈夫……あんなヘナチョコ攻撃、シレイドは余裕で避けれる……」
俺の問いかけに逞しく答えるシレイド。
まあ、彼女はパーティで一番俊敏だからな。どうということはなかったのだろう。
「わぁ! これ、すっごくあったかいよ!」
「ええ。まぁ……また、なんと綺麗な羽毛でしょう」
リズとセーラが感激しながらフレアミンゴの素材をはぎ取っていく。
二人の言う通り、その羽毛は手に乗せるとほんわりとぬくもりを感じ、そして赤い輝きはなんとも雅である。
「ご主人様。このくちばしもなかなか面白そうな素材だぜ」
「うむ。何体かのくちばしは傷が多くて素材としてはダメだったが、それでも皆で分けるくらいの数は確保できた」
ロウナとキアラもフレアミンゴの素材に舌を巻く。
滑らかで高級感のある赤黒いくちばし。
うむ。このくちばしは、台座に乗せて飾るだけでも見栄えがいいだろうな。
戦闘の危険度の割にはお得な素材が手に入り、ホクホクになる俺たちなのだった。
さらに進むこと、十五分ほど。
また、新たなる敵が現れる。
真っ黒いゴリラのような姿で、こちらに向かってドラミングしながら威嚇をしてきている。
周りには、風神の谷にもいた悪戯好きの猿の魔物『エビルモンキー』を数体引き連れている。
悪猿の姿を見て、リズたち五人が露骨に嫌な顔をする。
まあ、あいつらに関しては碌な思い出がないからな。
セーラに至っては、自らの身体を抱いて鬼のような形相をしている。
いかんいかん、まずはあのひと際でかいゴリラの鑑定だ。
名前:エビルコング
危険度:A
説明:エビルモンキーが進化した魔物。エビルモンキーを引き連れ、群れを形成する。凶暴性や攻撃力が格段に上がっているため充分注意が必要。
素材:『悪大猿の毛皮』
うーむ、どうするか。
「レオ……あたし、あいつら嫌い……」
「ん……シレイドも」
うんざり顔のリズとシレイド。
キアラとロウナは「いつでも行けるぞ」と目線で合図してくる。
といっても、前みたいに前方の敵が囮で後衛を狙われたら困る。
なら、遠距離から攻撃するしかない。
「仕方ない。魔法を試すか『エルハーケン』!!」
俺は、土属性の範囲魔法を放つ。
突き出した両手から魔法陣が出てきて土塊が放射状に飛んでいく。
「ゲギャギャギャ!?」
「グッギャァア!?」
悪猿の頭にバコスコと土塊がぶち当たって絶命していく。
なかなか使わない土魔法攻撃だが、案外強力である。
その時——!!
「ゲギャギャ!!」
「ウッキー!!」
横の茂みからエビルモンキーが数体飛び出してきた。
やはり、隠れていたか。前方の群れは予想通り囮だったということだ。
そのやり方はすでに見切っているのだよ。
「ウッホー!!!!」
土塊攻撃を喰らって激昂したエビルコングも突撃してくる。
俺たちはすぐに接近戦に備えるのだった。
宿で朝飯を食べた後、早速、昨日進んだ場所であるハクオウ山の二合目の川へとワープする。
「ふむ……ハクオウリュウはいないようだな」
「ああ。気配もしないな……まあ、あんな大物バカスカ現れてたら、こちらの身が持たねえから構わないけど」
キアラの呟きにロウナが応える。
おそらく、出現率の低いレアモンスターだったのだろう。
危険度もAと高めだったしな。
「さあさあ、今日はどんな魔物が現れるかなー」
「ん……素材、豪華だからいっぱい戦いたい」
リズとシレイドが意気込んでいる。
「さてと、それでは進むとしようか」
俺たちは、三合目にあるボス部屋目指して歩を進めた。
進むこと十分、目の前に鳥の群れが現れる。
赤く煌めく炎のように逆立った羽毛を持ち、片足で立っている。
フラミンゴのようだが常に威嚇しているような風貌で、なんとも威圧感がある。
鑑定をしてみた。
名前:フレアミンゴ
危険度:B
説明:熱を持った羽毛を持つ、フラミンゴの魔物。性格は凶暴で、敵を見つけるや否や鋭いくちばしで攻撃してくる。温かい羽毛は防寒着の素材として重宝されている。
素材:『烈火鶴の羽毛』
レア素材:『烈火鶴のくちばし』
「おー! なんか、需要が高そうな素材だね!」
「ええ。一般の衣類にも使える羽毛なのでしたら、市場での価値は高そうですね」
リズの言葉にセーラが頷く。
その時、烈火鶴の群れがこちらに気づいたようで、一斉にこちらの方向を見てくる。
集団で、ぎょろりとした鋭い目で睨まれるとなんだか怖い。
直後——!!
「グエエエエーーーー!!」
すさまじい雄たけびを上げて、群れごとこちらに突っ込んできた。
「わわわっ!! や、ヤバいんじゃない、これ!?」
先ほどまでの意気はどこへやら、リズが少し怯えている。
「え、『エルブラスト』!!」
あまりの剣幕に戸惑いながらも、すぐさま範囲魔法を放つ。
「ギエエーーーー!!」
「ギョエーーーー!!」
風魔法が直撃した烈火鶴たちがこと切れていく。
だが、なにぶん数が多い。
何体かは魔法をかいくぐって、突進してきた。
「はぁあああっ!!」
「おらあああああっ!!」
キアラとロウナが前に出てかち合う。
「グエエエエーーーー!!」
「いでで!! いでぇっ!! つつくなぁ!!」
「くっ!! 痛っ!! このー、鳥のくせに!!」
ロウナがくちばしでつつかれながら、蹴りを放ってフレアミンゴを倒していく。
キアラもつつかれてムキになっている。
なんか、コントみたいだな……。
二人とも装備は充分丈夫なので、大した怪我にはなっていない。
いかんいかん、軽く見てはいけない。
攻撃自体は軽いものだが、頭をつつかれてうっすら血が出ている。
セーラがそれに気づいて、すぐに回復魔法をかけていく。
「グエエエエーーーー!!」
俺も応戦を始める。
つつかれる前に、風霊の剣で切り倒していく。
後ろからはリズが援護をしてくれているため、俺もキアラもロウナも苦戦はしていない。
リズやセーラに突撃するフレアミンゴはシレイドが処理してくれている。
そうして五分後には、全羽斃しきったのだった。
「いてー……あの鳥野郎、バカスカつついてきやがってー!」
「うむ……何というか……不快感はここ最近で一番大きい魔物だったな」
ロウナとキアラがつつかれた頭を撫でながら、所感を述べる。
「シレイドは平気だったか?」
「ん……大丈夫……あんなヘナチョコ攻撃、シレイドは余裕で避けれる……」
俺の問いかけに逞しく答えるシレイド。
まあ、彼女はパーティで一番俊敏だからな。どうということはなかったのだろう。
「わぁ! これ、すっごくあったかいよ!」
「ええ。まぁ……また、なんと綺麗な羽毛でしょう」
リズとセーラが感激しながらフレアミンゴの素材をはぎ取っていく。
二人の言う通り、その羽毛は手に乗せるとほんわりとぬくもりを感じ、そして赤い輝きはなんとも雅である。
「ご主人様。このくちばしもなかなか面白そうな素材だぜ」
「うむ。何体かのくちばしは傷が多くて素材としてはダメだったが、それでも皆で分けるくらいの数は確保できた」
ロウナとキアラもフレアミンゴの素材に舌を巻く。
滑らかで高級感のある赤黒いくちばし。
うむ。このくちばしは、台座に乗せて飾るだけでも見栄えがいいだろうな。
戦闘の危険度の割にはお得な素材が手に入り、ホクホクになる俺たちなのだった。
さらに進むこと、十五分ほど。
また、新たなる敵が現れる。
真っ黒いゴリラのような姿で、こちらに向かってドラミングしながら威嚇をしてきている。
周りには、風神の谷にもいた悪戯好きの猿の魔物『エビルモンキー』を数体引き連れている。
悪猿の姿を見て、リズたち五人が露骨に嫌な顔をする。
まあ、あいつらに関しては碌な思い出がないからな。
セーラに至っては、自らの身体を抱いて鬼のような形相をしている。
いかんいかん、まずはあのひと際でかいゴリラの鑑定だ。
名前:エビルコング
危険度:A
説明:エビルモンキーが進化した魔物。エビルモンキーを引き連れ、群れを形成する。凶暴性や攻撃力が格段に上がっているため充分注意が必要。
素材:『悪大猿の毛皮』
うーむ、どうするか。
「レオ……あたし、あいつら嫌い……」
「ん……シレイドも」
うんざり顔のリズとシレイド。
キアラとロウナは「いつでも行けるぞ」と目線で合図してくる。
といっても、前みたいに前方の敵が囮で後衛を狙われたら困る。
なら、遠距離から攻撃するしかない。
「仕方ない。魔法を試すか『エルハーケン』!!」
俺は、土属性の範囲魔法を放つ。
突き出した両手から魔法陣が出てきて土塊が放射状に飛んでいく。
「ゲギャギャギャ!?」
「グッギャァア!?」
悪猿の頭にバコスコと土塊がぶち当たって絶命していく。
なかなか使わない土魔法攻撃だが、案外強力である。
その時——!!
「ゲギャギャ!!」
「ウッキー!!」
横の茂みからエビルモンキーが数体飛び出してきた。
やはり、隠れていたか。前方の群れは予想通り囮だったということだ。
そのやり方はすでに見切っているのだよ。
「ウッホー!!!!」
土塊攻撃を喰らって激昂したエビルコングも突撃してくる。
俺たちはすぐに接近戦に備えるのだった。
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