【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第10章:ルクシアの町と女を忘れたギルド団長編

第22話:団長との秘密

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 そうして、訪れたのはエルゼリア第2層にある高級寿司屋『べらんめえ』。
 この世界は魚を生で食べる文化は浸透していなかったのだが、転生していた異界人が寿司文化を広めて回ったらしく、ここ最近生魚ブームが出てきている。
 当然、俺は日本人なので寿司がどれくらい美味いか知っている。
 この世界で衛生管理等は大丈夫かと思ったが、日常でも使われる単純魔法の中に『クリーン』という対象の雑菌や汚れ、有害な害虫などをキレイになくす魔法があるらしく、それが使われた魚を使われているようなので、ある意味地球の生魚料理より安心らしい。
「ここは……『寿司屋』……?」
 どうやら、ゼルフィアは初見のようだ。
 戸惑う彼女を引き連れて、店に入る。
「らっしゃい!!」
 威勢のいい大将が出迎えてくれる。
「ほう。元気ハツラツだな。面白い」
 粋な挨拶に興味を持ったようなゼルフィア。
 俺たちは空いているカウンターに座る。
「何にしましょう!」
 大将がニコッと笑って聞いてくる。
「れ、レオ。ど、どれがいいんだ? 私、こんな料理食べたことないから、さっぱり分からないぞ!」
 メニューと大将を交互に見ながら、あたふたするゼルフィア。
 うーむ。女の子らしい私服姿も相まって、やはり可愛い。
「おすすめの寿司を八貫ずつ。鯛の味噌汁と、季節の茶わん蒸しも二つずつお願いします」
「あいよ!!」
 大将と奥さんらしきおばさんが早速調理に取り掛かる。
 店の込み具合はボチボチといったところだ。
 この店は単価が高いので、一端クラスの冒険者や商人は来ない。
 寿司文化が広まったのは最近なので、まだ浸透しきってない部分も大きいだろう。
 お茶が出され、少しすると色とりどりの魚を使った寿司が運ばれてくる。
「れ、レオ。この箸というやつはどう使えばいい?」
「こうやって、食べ物を掴むんですよ。難しそうなら、手で食べても怒られませんよ」
「ははは。そうだぜ、姉ちゃん。美味いもんは好きなように食うのが一番美味えんだから」
 俺とゼルフィアさんの会話に、大将がカラカラと笑っている。
「む、そ、そうか。では、手で頂く。パクッ……モグモグ」
 果たして、味の反応は……。
「う、美味い!! レオ!! この寿司……魚!! 美味すぎるぞ!!」
 俺の背中をバシバシと叩きながら感激する、ご機嫌なゼルフィアさん。
 叩かれた背中が、ちょっと痛い。
 だが、彼女の嬉しそうな姿を見れてよかった。
 味のほうは、リサーチ済みだ。
 寿司がエルゼリアで流行りだしたのが、ここ一ヵ月ほど。
 懐かしさや休暇期間の暇もあって、俺はエルゼリアの寿司屋を何軒か制覇していた。
 その中で、この店が一番美味いと思ったのだ。
「うー……うまぁい♡ しあわしぇ~……♡」
 すっかり頬がとろけ切っているゼルフィア。
 何度も思うが、ギルドにいる時の威圧感バリバリの姿からは想像のできない表情である。
 まあ、喜んでもらえてよかった。
 俺も、マグロの寿司を一貫口に放り込む。
「うん……美味い」
 美女との食事というスパイスも効いて、今日の寿司は特段美味く感じる。
 最近の生活や、ギルドや冒険の話などの他愛のない雑談を交わしながら、楽しく食事をすることができた。
 そうして、食後の休憩をゆっくりと取る。
「ふぅ……食べた食べたー」
 ゼルフィアが満足そうに言う。
「にしても、この鯛の味噌汁も茶碗蒸しとやらも、あっさりしつつも奥深い味わいで本当に美味かったぞ」
「まあ、俺のとっておきのお店ですからね」
「そうなのか? ふふふふ、いいのか? そんなとっておきを私なんかに使ってしまって。もっと他に御馳走した方がいい娘がいるんじゃないのか? いるだろう? 『どうしても落としたい女』とか」
 ニンマリと笑い、からかうように尋ねてくるゼルフィア。
 すっかり心を許してくれているようだ。
 よし、気合い入れろ。俺。女の子を落とす時は気合いと雰囲気が大事だ。
「なら、問題ありませんよ。そういう娘に御馳走したんですから」
「……え?」
 俺が茶を飲みながら微笑んで答えてやると、ゼルフィアの顔が真っ赤になる。
「……『どうしても落としたい女』に御馳走したって……それって、つまり……」
 ごくりと息を吞むゼルフィア。
 そんな彼女にニッコリ笑って「帰りましょうか」と声をかける。
 彼女は顔を真っ赤にしたまま、コクリと頷いた。
 代金は二人で8万G。
 高いとは思うが、十分すぎるほど素敵な時間を過ごせた。
 俺がさらっと代金を払ったのだが、先ほどの言葉が強烈すぎたのか、ゼルフィアさんは心ここにあらずといった状態でそれを見ていた。
 まあ、元々俺が出すつもりだったしな。

 そうして、帰路につく頃にはすっかり日が傾いていた。
 先ほどまでの冗談めかした雑談はどこへやら、言葉少なに大通りを歩く俺たち。
 だが、嫌な気分ではない。
 ゼルフィアは俺の隣で、触れそうなほどの距離を保ちつつ歩いていた。
 なんとも甘酸っぱい空気である。
 結構ハッキリと好意を伝えたつもりだが、彼女はなんだか煮え切らないようである。
 まあ、やっぱり職場の上司だしなぁ。
 他の冒険者やギルド職員の手前、これ以上深い付き合いになるのも、彼女の立場的にマズいのかもしれない。
 今日は楽しかったし、これっきりでもいいかと思っていると……。
 突然、ギュッと手を握られる。
「ん? どうしました?」
「え、えっと……その、きょ、今日は楽しかった。まさか、こんなに充実した一日を送れるとは思わなかった……」
 俺の問いかけに、おずおずと言葉を紡ぐゼルフィア。
「そ、それと……その、わ、私は……怖がられることはあっても、だ、男性に好意をまっすぐ告げられることは今までなかった……誰かを守ることはあっても、戦いの時に護られることも……だから、えっと……全部、う、嬉しかった……」
 まるで純情な乙女のように俺に言う。
「わ、私にも立場がある……部下でもある団員と懇意にするのは……その、色々とマズい……」
 彼女のまっすぐな気持ちに、心がじんわりと温かくなる。
「分かりました。気持ちを伝えられただけで俺は満足で——」
「ま、まだ、話は終わっていない!」
 俺が言いかけると、彼女は大きめの声で遮ってくる。
「……マズいが、ひ、秘密にするなら……だ、大丈夫だ……」
 ひ、秘密に?
 少し戸惑う俺の腕をグイっと引っ張り、町の通りから離れた少し薄暗い袋小路に連れ込んでくる。
 彼女は鼻先が触れるくらいの距離まで顔を近づけてきて……そして。
「んちゅ……♡」
 甘くさっぱりとしたキスをしてくれた。
「お、お前の気持ちは確かに受け取った……。今日のデートで良い奴だということも分かった。だが、お前のことはまだ深くは知らない……だから、これが今の私にできる最大限の返事と御礼だ」
 なるほど。つまり、彼女も俺に好意は持ってくれているらしい。
 だが、立場上の問題や、俺の知らない部分がまだまだ大きいということで、返事は『前向きに保留』ということなのだろう。
「はい、それで構いません。団長が良いと言ってくれるタイミングまで、いつまでも待ってますから」
 少々バツの悪そうな彼女に、余裕をもって微笑む。
 こちとらすでに彼女を十人以上作っている恋愛の猛者である。
 恋の度量は幾分か大きくなっている。
 この程度の我慢くらい、いくらでもしてやる。
 転生前の俺が見ていたら「変わっちまったな」と嘆くだろうか。
「そうか……すまないな。感謝する」
 俺の頬を、そっと掌で愛おし気に撫でて微笑むゼルフィア。
 こうして、新たな彼女候補を一人見つけるのだった。
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