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第11章:落星の森と紫煙の魔術師編
第4話:落星の森
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——翌日。
俺たちは、件の『落星の森』の前に立っていた。
「ここが……『落星の森』」
「うーん、なんだか鬱蒼としているねー。ガラテアの森やアイスウッドの森とも違って、なんだか薄気味悪い感じがするよ」
俺の呟きに、リゼが言う。
エルゼリアの街を出発して三時間の馬車移動。
木々の色はなんだか青白く、幽霊でも出てきそうな感じがする。
「ふむ……森の精霊たちを感じないな」
キアラも静かに眉をひそめる。
「この森は数百年前に空から大きな星が降ってきて、一度燃え尽きたと聞いています。その後、木々は再び色を取り戻したのですが、以前の活気のようなものが無くなり、今は心霊やオカルト話のネタの宝庫となっているとか」
「心霊……オカルト……って! うう、苦手だ。怖い話は……」
セーラの話を聞き、キアラが弱気になっている。
「でも、キアラ……精霊とか見えるんだろう? 前にアンデッドの魔物も倒してたじゃないか。ほら、海竜の洞窟のスケルトンとか」
「精霊は友達! アンデッドは魔物! だけど、幽霊は生身のお化けじゃないか!!」
ロウナの言葉に、語気を強めて応えるキアラ。
……生身のお化けって、なんだ?
キアラのよく分からん理論は置いておいて、早速、森の中を入っていく。
やはり、鬱蒼とした木々。
動物や虫もおらず、ワープが使える程度の瘴気が辺りを包んでいる。
「……ご主人様……魔物の気配……」
「ああ。分かっているよ」
シレイドの注意喚起に頷いてやる。
前方には、バスケットボール大の大きさの蜘蛛の魔物の群れ。
胴体部分が丸々と太っていてドクロマークのような模様がある。
全身は真っ黒で光沢のようなツヤがあり、プロが作った泥団子のようにツヤツヤだ。
身体は綺麗だが、この数のでかい虫は正直見ていて気持ち悪い。
早速鑑定を行う。
名前:ボムスパイダー
危険度:B+
説明:黒く大きい蜘蛛の魔物。身体全体が爆弾のようになっており、敵を見つけると突撃していき自爆する。
素材:『爆弾蜘蛛の火薬袋』
うーむ、なんとも物騒な魔物である。
こういう手合いは遠距離で倒すほうが賢明である。
虫の弱点は……火だろう。
俺は、前方の爆弾蜘蛛の群れに向かい魔法を放つ。
「『エルフレイム』!!」
火力を調整し、周囲の草木を焼かないように注意する。
炎にまみれて炎上する爆弾蜘蛛。
「キュウウウウウ……!!」
「キシャアアアア……!!」
断末魔をあげて、黒焦げになったボムスパイダーたち。
素材の方は……うむ。魔法で倒したので無事である。
爆弾蜘蛛というくらいだから、引火しないかと少し思ったが、魔法なので素材保護の効果が働いているらしく、爆発するようなことはないようだ。
俺たちは『爆弾蜘蛛の火薬袋』を手早く剥ぎ取った。
「ご主人様……シレイド……これ欲しい」
「はいよ。いくつか持っていくといいよ」
案の定、シレイドが素材を欲しがったので俺に割り振られる分を、いくつか渡す。
彼女は「むふー♪」と満足そうに笑っていた。
またもや彼女の暗器コレクションが増えるのだろう。
薄暗い森を、リズのサーチとマッピングを駆使しながら進むこと二十分。
前方にまたもや新手の魔物が現れる。
巣に群がる大きくて真っ黒な蜂の群れ。
鑑定を行う。
名前:ブラックビー
危険度:B+
説明:蜂系統の魔物が瘴気を取り込み適応した上位ランクの姿。針には『毒』、腹には『蜜』を蓄えている。
素材:『黒蜂の毒針』
レア素材:『黒色蜂蜜』
ルクシアにいたイエロービーやレッドビーと同じ系統の魔物のようだ。
この辺りで言うと、奴らの代用品のような扱いなのだろう。
再び虫の魔物なので火属性魔法を放つ。
「『エルファイア』!!」
火炎の波は群れに直撃し……残らず斃した。
「ふーむ。案外脆いな」
「それで良いのだろう。先ほどのボムスパイダーもブラックビーも接近戦になれば、かなり苦戦する魔物だと思うぞ」
「そうだねー。自爆する蜘蛛に、毒を持った蜂の群れだからね」
俺の呟きに、キアラとリズが言う。
「とはいえ、レオ様の魔法もそろそろ効かなくなってきていると思いますわ」
「だな。斃せるけど、微かにピクピク動いているやつもいるし。そろそろ魔法の扱いも考えないとな」
セーラとロウナが提言してくる。
シレイドは、率先して素材の剥ぎ取りをしている。
わずかに生きている黒蜂たちはヘルシングダガーで仕留めながら。
みんな、優秀な仲間で助かる。
そう思っているとシレイドが『黒蜂の毒針』を持ってきて、目をウルウルと輝かせている。
言わんとすることは分かった。
「いいぞ。好きなだけ持ってけ」
「むふー♪ ……ご主人様、大好き……!」
シレイドに愛の告白をされる。
可愛いやつだ。
レア素材である『黒色蜂蜜』も幾らか手に入った。
巣を調べてみたが、中は空っぽ。
ガラテアの森の時のように『クイーンビー』や『マノハチノコ』がいるかと思ったが、どうやらこの巣はハズレだったらしい。
そうして、再び進むこと十分。
またもや前方に新手の魔物が出現する。
黄金の毛をもつなんとも綺麗な豹の魔物が二匹。
すかさず鑑定を行う。
名前:ゴールドパンサー
危険度:A
説明:瘴気を受けた豹が魔物化した姿。斑模様で黄金の毛皮が衣類などで大人気。とある隠し素材は食品として使われる。
素材:『金豹の毛皮』
レア素材:『金豹の鋭爪』
「危険度Aだ。気をつけろ」
俺の言葉に、五人が首肯する。
「へへへ、ようやく戦える魔物が来たぜ!」
「ああ。戦いたくてウズウズしていたのだ!」
前衛二人がやる気である。
「バックアップは任せて!」
「ええ! 回復魔法の準備をしますわ!」
「ん……シレイドもリズとセーラ守って……隙を伺う……!」
後衛の準備もいいらしい。
「行くぞ!!」
俺たちは掛け声と共に、金豹に突撃していった。
俺たちは、件の『落星の森』の前に立っていた。
「ここが……『落星の森』」
「うーん、なんだか鬱蒼としているねー。ガラテアの森やアイスウッドの森とも違って、なんだか薄気味悪い感じがするよ」
俺の呟きに、リゼが言う。
エルゼリアの街を出発して三時間の馬車移動。
木々の色はなんだか青白く、幽霊でも出てきそうな感じがする。
「ふむ……森の精霊たちを感じないな」
キアラも静かに眉をひそめる。
「この森は数百年前に空から大きな星が降ってきて、一度燃え尽きたと聞いています。その後、木々は再び色を取り戻したのですが、以前の活気のようなものが無くなり、今は心霊やオカルト話のネタの宝庫となっているとか」
「心霊……オカルト……って! うう、苦手だ。怖い話は……」
セーラの話を聞き、キアラが弱気になっている。
「でも、キアラ……精霊とか見えるんだろう? 前にアンデッドの魔物も倒してたじゃないか。ほら、海竜の洞窟のスケルトンとか」
「精霊は友達! アンデッドは魔物! だけど、幽霊は生身のお化けじゃないか!!」
ロウナの言葉に、語気を強めて応えるキアラ。
……生身のお化けって、なんだ?
キアラのよく分からん理論は置いておいて、早速、森の中を入っていく。
やはり、鬱蒼とした木々。
動物や虫もおらず、ワープが使える程度の瘴気が辺りを包んでいる。
「……ご主人様……魔物の気配……」
「ああ。分かっているよ」
シレイドの注意喚起に頷いてやる。
前方には、バスケットボール大の大きさの蜘蛛の魔物の群れ。
胴体部分が丸々と太っていてドクロマークのような模様がある。
全身は真っ黒で光沢のようなツヤがあり、プロが作った泥団子のようにツヤツヤだ。
身体は綺麗だが、この数のでかい虫は正直見ていて気持ち悪い。
早速鑑定を行う。
名前:ボムスパイダー
危険度:B+
説明:黒く大きい蜘蛛の魔物。身体全体が爆弾のようになっており、敵を見つけると突撃していき自爆する。
素材:『爆弾蜘蛛の火薬袋』
うーむ、なんとも物騒な魔物である。
こういう手合いは遠距離で倒すほうが賢明である。
虫の弱点は……火だろう。
俺は、前方の爆弾蜘蛛の群れに向かい魔法を放つ。
「『エルフレイム』!!」
火力を調整し、周囲の草木を焼かないように注意する。
炎にまみれて炎上する爆弾蜘蛛。
「キュウウウウウ……!!」
「キシャアアアア……!!」
断末魔をあげて、黒焦げになったボムスパイダーたち。
素材の方は……うむ。魔法で倒したので無事である。
爆弾蜘蛛というくらいだから、引火しないかと少し思ったが、魔法なので素材保護の効果が働いているらしく、爆発するようなことはないようだ。
俺たちは『爆弾蜘蛛の火薬袋』を手早く剥ぎ取った。
「ご主人様……シレイド……これ欲しい」
「はいよ。いくつか持っていくといいよ」
案の定、シレイドが素材を欲しがったので俺に割り振られる分を、いくつか渡す。
彼女は「むふー♪」と満足そうに笑っていた。
またもや彼女の暗器コレクションが増えるのだろう。
薄暗い森を、リズのサーチとマッピングを駆使しながら進むこと二十分。
前方にまたもや新手の魔物が現れる。
巣に群がる大きくて真っ黒な蜂の群れ。
鑑定を行う。
名前:ブラックビー
危険度:B+
説明:蜂系統の魔物が瘴気を取り込み適応した上位ランクの姿。針には『毒』、腹には『蜜』を蓄えている。
素材:『黒蜂の毒針』
レア素材:『黒色蜂蜜』
ルクシアにいたイエロービーやレッドビーと同じ系統の魔物のようだ。
この辺りで言うと、奴らの代用品のような扱いなのだろう。
再び虫の魔物なので火属性魔法を放つ。
「『エルファイア』!!」
火炎の波は群れに直撃し……残らず斃した。
「ふーむ。案外脆いな」
「それで良いのだろう。先ほどのボムスパイダーもブラックビーも接近戦になれば、かなり苦戦する魔物だと思うぞ」
「そうだねー。自爆する蜘蛛に、毒を持った蜂の群れだからね」
俺の呟きに、キアラとリズが言う。
「とはいえ、レオ様の魔法もそろそろ効かなくなってきていると思いますわ」
「だな。斃せるけど、微かにピクピク動いているやつもいるし。そろそろ魔法の扱いも考えないとな」
セーラとロウナが提言してくる。
シレイドは、率先して素材の剥ぎ取りをしている。
わずかに生きている黒蜂たちはヘルシングダガーで仕留めながら。
みんな、優秀な仲間で助かる。
そう思っているとシレイドが『黒蜂の毒針』を持ってきて、目をウルウルと輝かせている。
言わんとすることは分かった。
「いいぞ。好きなだけ持ってけ」
「むふー♪ ……ご主人様、大好き……!」
シレイドに愛の告白をされる。
可愛いやつだ。
レア素材である『黒色蜂蜜』も幾らか手に入った。
巣を調べてみたが、中は空っぽ。
ガラテアの森の時のように『クイーンビー』や『マノハチノコ』がいるかと思ったが、どうやらこの巣はハズレだったらしい。
そうして、再び進むこと十分。
またもや前方に新手の魔物が出現する。
黄金の毛をもつなんとも綺麗な豹の魔物が二匹。
すかさず鑑定を行う。
名前:ゴールドパンサー
危険度:A
説明:瘴気を受けた豹が魔物化した姿。斑模様で黄金の毛皮が衣類などで大人気。とある隠し素材は食品として使われる。
素材:『金豹の毛皮』
レア素材:『金豹の鋭爪』
「危険度Aだ。気をつけろ」
俺の言葉に、五人が首肯する。
「へへへ、ようやく戦える魔物が来たぜ!」
「ああ。戦いたくてウズウズしていたのだ!」
前衛二人がやる気である。
「バックアップは任せて!」
「ええ! 回復魔法の準備をしますわ!」
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「行くぞ!!」
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