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第11章:落星の森と紫煙の魔術師編
第10話:ギルドからの呼び出し
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「魔力武装(マジカルアーマメント)!!」
「精霊強化(スピリットエンチャント)!!」
俺とキアラは身体強化系の魔法を使って、身体に魔力の膜を張る。
「これで例え毒が触れても大丈夫だろう」
「ん……多分大丈夫……直接体内に毒を注入でもされない限りは……」
俺の言葉にシレイドが考え込みながら怖い事を言う。
「気を付けてくださいね、二人とも。一応、解毒魔法をいつでも使えるようにしておきますが」
「無理しないでね……」
セーラとリズは少し心配そうだ。
「よし。何はともあれ、行くぞ! キアラ!」
「ああ!!」
号令をかけて、キアラと一緒に突撃する。
「『精霊砲突』!!」
十分近づいたところで、キアラが霊属性の光線を放つ。
「ゲッコオオオオオ!!」
光線が腹部に直撃したポイズントードがのたうち回る。
魔法ではなく武技なので、ちゃんと効くようだ。
——俺も距離を詰めた後。
「『マグナムブレイド』!!」
突きの弾丸をもう一匹に放つ。
ゴムのようにブヨブヨした皮だが、距離を詰めたお陰で威力を維持したまま、相手の腹部を無理やり貫くことができた。
「ギコホォオオオ!!」
これまた、ポイズントードがごろごろと地面をはいずる。
そうこうしていると、ムワリと熱気が漂ってくる。
ふむ。これが皮膚表面から出てきている毒素か。
シレイドの見立て通り、ある程度気化して空気中に漂っているようだ。
『魔力武装』の効果は短い。
早々に終わらせてもらおう。
毒蛙たちが動けなくなったところで『ルーンブレード』を使い、喉笛を掻っ捌く。
ザクン!! ザクン!!
二匹とも、問題なく仕留めることができた。
そのまま、すぐに素材部分を剥ぎ取って、残りの死骸は焼却する。
空気中の毒素も、もう問題ないようだ。
俺とキアラが強化武装を解く。
「あいつと戦うには、マスクでも持ってこなきゃいけねえのかな?」
「おそらく毒耐性のアクセサリなどを付けてきたら大丈夫かと。でも、お店で買うと高いですし、作ってもらうにも素材が要りますね」
「でも、必要経費だよ。死んじゃったら終わりでしょ?」
ロウナとセーラ、リズが話し込んでいる。
ふーむ。なかなかに面倒な相手だったな。
魔力を纏って身体に膜を作るという戦法を思いつかなければ倒せない魔物だった。
これからはこうした状態異常特性を持つ魔物との戦いも考えないといけないようだ。
まあ、なんとか倒せたから、今日の所は良しとしよう。
そうして、俺たちは深淵を進んでいった。
出現する魔物は、ダークラビット、バッドラックオウル、ポイズントードで固定化している。
ダークラビットはリズの『ターゲットテリトリー』を使い、必中する弾丸で倒す。
バッドラックオウルはゴーストバードを呼ばれないうちに、遠距離攻撃で倒す。
呼ばれた時は、セーラの『ターンアンデッド』で霊鳥を倒してから仕留める。
ポイズントードは俺とキアラが魔力で身体を武装して倒すといった塩梅だ。
そうして、何度か戦闘を重ねて、ついにボス部屋前までくる。
「レオ、この小道を抜けたらボスのエリアだよ。大きい反応もあり!」
「いよいよか。確か、相手はキマイラだったな」
「獅子と山羊の頭と身体に悪魔の羽、それに蛇の尾を持つと言われる、なんとも不気味な魔物らしい」
俺の言葉にキアラが言う。
なるほどな。色々な動物が組み合わさっているという点では、鶏の身体に蛇の尾を持つコカトリスと同じ感じなのだろう。
「シャロンの依頼もちゃんと達成してあげなくちゃね」
「ああ。確かキマイラの隠し素材『混合獅子の血』の入手だったな」
リズの言葉に首肯する。
なぜ必要なのかは、はぐらかされてしまったが……。
「よし。今日のところは帰ろう。ルートは確保できたからな」
「そうだね。さすがに戦闘が多くて疲れちゃったし」
「ん……」
「ああ。油断は禁物だしな」
「頑張ってここまで来れたので、明日にしましょう」
「だな……歩くのも多かったから、あたしもヘトヘトだぜ」
俺の提案に、リズを始めメンバー全員が賛同する。
五人の意見を聴いて、俺はエルゼリアにワープで帰った。
午後、ボニーからギルドの伝言をもらい、俺一人でギルドに向かった。
なにやら、渡すものがあるのだとか。
受付に行くと、チェリーが出迎えてくれる。
「レオさん~、こんにちはぁ。伝言聴いてくれたようですねぇ」
「ああ。なんだ? 渡したいものって」
「これ、ですぅ」
チェリーが渡してきたのは、大きな骨数本。
青白く、多少の瘴気を感じる。
「この前、ルクシアに現れたドラゴンゾンビの素材ですぅ。調査が終わってぇ、レオさんも討伐に加わっていたということでぇ、王都エーデルの冒険者ギルドから送られてきましたぁ」
「そうか、ありがとう。受け取るよ」
鑑定をかける。
名前:腐乱竜の骨
素材ランク:S
説明:ドラゴンゾンビの素材。瘴気と魔素を多分に含んだ貴重なアイテム。魔法使いの間で特に価値が高く、高値で取引されている。
ふむ。なかなか良い素材なのだろう。
「あら~、もう一人も来られたようですねぇ」
ポンと嬉しそうに手を叩くチェリーの言葉に振り向くと、見覚えのある女の子がいた。
ハルカだ。
「久しぶりね。レオくんも伝言を受けて?」
「ああ。ちょうど終わったところだ。ドラゴンゾンビの素材らしい」
俺が骨を見せると「そうだったんだね」と笑うハルカ。
ハルカもチェリーから『腐乱竜の骨』を受け取る。
「ねえ。この後、話せる?」
真面目な顔で、ハルカから尋ねられる。
「ああ。いいぞ。じゃあ、前に話した俺の宿の談話室に行こうか」
「ええ。ありがとう」
そうして、ハルカと共に宿の談話室へと向かった。
「精霊強化(スピリットエンチャント)!!」
俺とキアラは身体強化系の魔法を使って、身体に魔力の膜を張る。
「これで例え毒が触れても大丈夫だろう」
「ん……多分大丈夫……直接体内に毒を注入でもされない限りは……」
俺の言葉にシレイドが考え込みながら怖い事を言う。
「気を付けてくださいね、二人とも。一応、解毒魔法をいつでも使えるようにしておきますが」
「無理しないでね……」
セーラとリズは少し心配そうだ。
「よし。何はともあれ、行くぞ! キアラ!」
「ああ!!」
号令をかけて、キアラと一緒に突撃する。
「『精霊砲突』!!」
十分近づいたところで、キアラが霊属性の光線を放つ。
「ゲッコオオオオオ!!」
光線が腹部に直撃したポイズントードがのたうち回る。
魔法ではなく武技なので、ちゃんと効くようだ。
——俺も距離を詰めた後。
「『マグナムブレイド』!!」
突きの弾丸をもう一匹に放つ。
ゴムのようにブヨブヨした皮だが、距離を詰めたお陰で威力を維持したまま、相手の腹部を無理やり貫くことができた。
「ギコホォオオオ!!」
これまた、ポイズントードがごろごろと地面をはいずる。
そうこうしていると、ムワリと熱気が漂ってくる。
ふむ。これが皮膚表面から出てきている毒素か。
シレイドの見立て通り、ある程度気化して空気中に漂っているようだ。
『魔力武装』の効果は短い。
早々に終わらせてもらおう。
毒蛙たちが動けなくなったところで『ルーンブレード』を使い、喉笛を掻っ捌く。
ザクン!! ザクン!!
二匹とも、問題なく仕留めることができた。
そのまま、すぐに素材部分を剥ぎ取って、残りの死骸は焼却する。
空気中の毒素も、もう問題ないようだ。
俺とキアラが強化武装を解く。
「あいつと戦うには、マスクでも持ってこなきゃいけねえのかな?」
「おそらく毒耐性のアクセサリなどを付けてきたら大丈夫かと。でも、お店で買うと高いですし、作ってもらうにも素材が要りますね」
「でも、必要経費だよ。死んじゃったら終わりでしょ?」
ロウナとセーラ、リズが話し込んでいる。
ふーむ。なかなかに面倒な相手だったな。
魔力を纏って身体に膜を作るという戦法を思いつかなければ倒せない魔物だった。
これからはこうした状態異常特性を持つ魔物との戦いも考えないといけないようだ。
まあ、なんとか倒せたから、今日の所は良しとしよう。
そうして、俺たちは深淵を進んでいった。
出現する魔物は、ダークラビット、バッドラックオウル、ポイズントードで固定化している。
ダークラビットはリズの『ターゲットテリトリー』を使い、必中する弾丸で倒す。
バッドラックオウルはゴーストバードを呼ばれないうちに、遠距離攻撃で倒す。
呼ばれた時は、セーラの『ターンアンデッド』で霊鳥を倒してから仕留める。
ポイズントードは俺とキアラが魔力で身体を武装して倒すといった塩梅だ。
そうして、何度か戦闘を重ねて、ついにボス部屋前までくる。
「レオ、この小道を抜けたらボスのエリアだよ。大きい反応もあり!」
「いよいよか。確か、相手はキマイラだったな」
「獅子と山羊の頭と身体に悪魔の羽、それに蛇の尾を持つと言われる、なんとも不気味な魔物らしい」
俺の言葉にキアラが言う。
なるほどな。色々な動物が組み合わさっているという点では、鶏の身体に蛇の尾を持つコカトリスと同じ感じなのだろう。
「シャロンの依頼もちゃんと達成してあげなくちゃね」
「ああ。確かキマイラの隠し素材『混合獅子の血』の入手だったな」
リズの言葉に首肯する。
なぜ必要なのかは、はぐらかされてしまったが……。
「よし。今日のところは帰ろう。ルートは確保できたからな」
「そうだね。さすがに戦闘が多くて疲れちゃったし」
「ん……」
「ああ。油断は禁物だしな」
「頑張ってここまで来れたので、明日にしましょう」
「だな……歩くのも多かったから、あたしもヘトヘトだぜ」
俺の提案に、リズを始めメンバー全員が賛同する。
五人の意見を聴いて、俺はエルゼリアにワープで帰った。
午後、ボニーからギルドの伝言をもらい、俺一人でギルドに向かった。
なにやら、渡すものがあるのだとか。
受付に行くと、チェリーが出迎えてくれる。
「レオさん~、こんにちはぁ。伝言聴いてくれたようですねぇ」
「ああ。なんだ? 渡したいものって」
「これ、ですぅ」
チェリーが渡してきたのは、大きな骨数本。
青白く、多少の瘴気を感じる。
「この前、ルクシアに現れたドラゴンゾンビの素材ですぅ。調査が終わってぇ、レオさんも討伐に加わっていたということでぇ、王都エーデルの冒険者ギルドから送られてきましたぁ」
「そうか、ありがとう。受け取るよ」
鑑定をかける。
名前:腐乱竜の骨
素材ランク:S
説明:ドラゴンゾンビの素材。瘴気と魔素を多分に含んだ貴重なアイテム。魔法使いの間で特に価値が高く、高値で取引されている。
ふむ。なかなか良い素材なのだろう。
「あら~、もう一人も来られたようですねぇ」
ポンと嬉しそうに手を叩くチェリーの言葉に振り向くと、見覚えのある女の子がいた。
ハルカだ。
「久しぶりね。レオくんも伝言を受けて?」
「ああ。ちょうど終わったところだ。ドラゴンゾンビの素材らしい」
俺が骨を見せると「そうだったんだね」と笑うハルカ。
ハルカもチェリーから『腐乱竜の骨』を受け取る。
「ねえ。この後、話せる?」
真面目な顔で、ハルカから尋ねられる。
「ああ。いいぞ。じゃあ、前に話した俺の宿の談話室に行こうか」
「ええ。ありがとう」
そうして、ハルカと共に宿の談話室へと向かった。
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