1 / 9
1
しおりを挟む「ちょっと!お兄ちゃん!」
「ん?どうした…?」
玄関を開けた瞬間、すごいお酒の匂いがした。
扉の向こうに立っていたのは、我が家のイケメン、平原 知彦。
長身のモデル体型。
センスの良いモノトーンの服が、イケメン度をアップさせている。手も足もビックリするほど長い。
「すごい…お酒くさい」
「ああ…結構飲んだからな。あき、ごめん…水くれないか」
あ、僕の名前は章。お兄ちゃんはあきって呼んでる。
水をくれと言いながら靴を脱いでるけど、ものすごい平行感覚が狂っているらしい。
「いいけど…歩ける?」
フラフラしてるお兄ちゃんなんか初めて見た。
いつも隙なんか無くてビシッとしてて、完璧なのに。
「あー…、無理かも。肩貸して…」
「ほんとに大丈夫?」
僕に何かを頼むのも、すごく珍しい。
いつも自分で全部やっちゃうから、人に頼むことなんかない人なのだ。
「さあ…?どう思う?」
耳の側で低い声が聞こえて、ゾワリとした。肩を貸してるから、近くで聞こえるのは当たり前なんだけど…
いつもストイックなお兄ちゃんは…酔っぱらって隙が多くなっているらしい。
「もう!しっかりしてよね!」
文句を言いながらもお兄ちゃんを部屋に連れていく。
僕とお兄ちゃんは身長差が激しいから、ほとんどお兄ちゃんは自分で歩いてる。
僕、肩貸す必要あったのかな…?
身長差も激しいけど、僕たちは全くと言っていいほど似ていない。
連れ子だから、当たり前といえば当たり前。
僕が小学二年生の時に、僕のお母さんとお兄ちゃんのお父さんが結婚した。
年の離れたお兄ちゃんができることがすごく嬉しくて。お兄ちゃんもすごく優しくしてくれた。
「あき…、水。」
ベッドにいち早く寝転んだお兄ちゃんは、胸元をはだけながら手で顔を扇いでる。
コートなんか着たままだ。
黒いコートに、濃いグレーのシャツ。服が暗めだからか、お兄ちゃんの肌が浮き上がってドキッとした。
「わ、わかった…」
なんだかドキドキする胸を押さえてお兄ちゃんの部屋のドアを閉める。
水を持って戻ってきたときには、お兄ちゃんは寝息を立てていた。
「お兄ちゃん…?お水、持ってきたんだけど…」
お兄ちゃんって、寝てる時まで綺麗。
鼻筋もすっと通ってるし、睫毛も長い。
何でこんなに違うのかなぁ…
僕がもっとカッコよかったら、血が繋がってないなんて言われないのかな…
0
あなたにおすすめの小説
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる