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第二章【旅立ち】
第二十九話 魔力測定
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部屋に戻ると、朝食を食べて、教会に向かう準備をする。
いよいよ魔力測定だ!!
玄関まで行くと、リチアさんとベントさんが居た。
「リチアさん、おはよう」
「お、おはよう、、ご、ざいます」
リチアさんの栄養状態はまだ酷いもので、頬がごっそりそげ落ちている。それでも最初に会った時からいったら雲泥の差だ。
それにベントさんに隠れながらだけど、挨拶もしてくれた。今はそれで十分だ。
因みにエリオネルもちゃんと居る。好きと自覚してからやたらキラキラ見えるから困ったものだ。
俺たちは私邸の前に停まっていた馬車に乗る。エリオネルと俺は豪華な馬車に、リチアさんとベントさんは後ろにある簡素な馬車に乗るようだった。
しばらく馬車が走っていると、とんでもない大きさの大聖堂に近づいて行っていることに気づく。王都の教会って大聖堂だったんだ。
尖塔が二つ建っていて、その後ろには大きな建物がくっついている。馬車で建物の入り口まで近づいて、そこで降りた。
リチアさんたちの馬車は、中まで入って来れないようで、敷地の入り口で降りたようだった。敷地の入り口から建物の入り口まではとんでもなく遠い。
俺はエリオネルに案内されて、大聖堂の中に入った。
「わあー」
今までの建築物もすごかったけど、比じゃない。天井一面に絵が描かれていて、中も豪華だった。
ステンドグラスではないものの、ガラスも宝石のようにキラキラしている。
「すごい綺麗だね、エリオネル」
そう言ってエリオネルの方を向くと、光に照らされてエリオネルの藍色の髪がキラキラ光っていた。
さながら一枚の絵のような綺麗さに見惚れる。
二重のくっきりした目、高い鼻から形の良い唇まで、本当に完璧だった。
「マリヤ、そんなに見られたら恥ずかしいよ」
やっぱり優しく笑ってくれる。この笑顔が冷たくなるなんて考えたくなかった。
「ジルコン様でいらっしゃいますか?」
声をかけられて振り向くと、金色の髪をした優しげな顔をしたおじさんが立っていた。エリアシスの神父さまと同じような格好をしている。
「はい、魔力測定を2名お願いしています」
ついてくるように言われて後をついていく。因みに、エリオネルに見惚れている間に、リチアさんとベントさんは到着した。
大聖堂から横に曲がって長い廊下を歩いていく。しばらく歩くと、大きな扉に二人簡素な服を着た人が立っていた。
白い大きな扉が開かれ、中に入ると拳大の宝石が宙に浮いていた。全部で七つある。手前から左回りに、金、茶、青、緑、黄、赤、黒色の七つだ。
その真ん中は、踝ほどの高さの台になっていた。宝石は胸辺りの高さで浮いている。
「リチアから行こうか」
「は、はい」
リチアさんはおずおずと台の上に立つと、ギュッと目を瞑った。目は開けておいてくださいと神父さまに言われる。
しばらくすると、黒い宝石から靄のような物が出てきた。見方によっては光っているとも言えなくない。
その靄は人ほどに大きくなると、リチアさんの方へすーっと移動し、元の位置に戻った。
「魔力量2400、属性は闇の単属性です」
温度計みたいな物をリチアさんの方に向けている神父さまが告げる。
終わったのか、リチアさんは俺たちの方に戻ってきた。
「マリヤ、大丈夫?危ないことはないから、言っておいで」
「わかった」
いよいよ、俺の番だ。ドキドキしながら宝石を避けて真ん中に立つ。
すると、ほとんどの宝石が強い光を放ちながら光りだした。え!?多くても2個くらいだと思っていたからビックリする。しかも光が強すぎて何にも見えない。
光が収まると、驚愕の顔をした全員が、呆然とこちらを見ていた。
「そ、測定不能です、、」
神父さまがやっとそれだけ声を絞り出した。
測定不能って何?わからなかったってこと?
「司祭さま、少しお話いいですか?」
ニコッと普通の顔に戻ったエリオネルが、司祭と部屋を出ていった。
いよいよ魔力測定だ!!
玄関まで行くと、リチアさんとベントさんが居た。
「リチアさん、おはよう」
「お、おはよう、、ご、ざいます」
リチアさんの栄養状態はまだ酷いもので、頬がごっそりそげ落ちている。それでも最初に会った時からいったら雲泥の差だ。
それにベントさんに隠れながらだけど、挨拶もしてくれた。今はそれで十分だ。
因みにエリオネルもちゃんと居る。好きと自覚してからやたらキラキラ見えるから困ったものだ。
俺たちは私邸の前に停まっていた馬車に乗る。エリオネルと俺は豪華な馬車に、リチアさんとベントさんは後ろにある簡素な馬車に乗るようだった。
しばらく馬車が走っていると、とんでもない大きさの大聖堂に近づいて行っていることに気づく。王都の教会って大聖堂だったんだ。
尖塔が二つ建っていて、その後ろには大きな建物がくっついている。馬車で建物の入り口まで近づいて、そこで降りた。
リチアさんたちの馬車は、中まで入って来れないようで、敷地の入り口で降りたようだった。敷地の入り口から建物の入り口まではとんでもなく遠い。
俺はエリオネルに案内されて、大聖堂の中に入った。
「わあー」
今までの建築物もすごかったけど、比じゃない。天井一面に絵が描かれていて、中も豪華だった。
ステンドグラスではないものの、ガラスも宝石のようにキラキラしている。
「すごい綺麗だね、エリオネル」
そう言ってエリオネルの方を向くと、光に照らされてエリオネルの藍色の髪がキラキラ光っていた。
さながら一枚の絵のような綺麗さに見惚れる。
二重のくっきりした目、高い鼻から形の良い唇まで、本当に完璧だった。
「マリヤ、そんなに見られたら恥ずかしいよ」
やっぱり優しく笑ってくれる。この笑顔が冷たくなるなんて考えたくなかった。
「ジルコン様でいらっしゃいますか?」
声をかけられて振り向くと、金色の髪をした優しげな顔をしたおじさんが立っていた。エリアシスの神父さまと同じような格好をしている。
「はい、魔力測定を2名お願いしています」
ついてくるように言われて後をついていく。因みに、エリオネルに見惚れている間に、リチアさんとベントさんは到着した。
大聖堂から横に曲がって長い廊下を歩いていく。しばらく歩くと、大きな扉に二人簡素な服を着た人が立っていた。
白い大きな扉が開かれ、中に入ると拳大の宝石が宙に浮いていた。全部で七つある。手前から左回りに、金、茶、青、緑、黄、赤、黒色の七つだ。
その真ん中は、踝ほどの高さの台になっていた。宝石は胸辺りの高さで浮いている。
「リチアから行こうか」
「は、はい」
リチアさんはおずおずと台の上に立つと、ギュッと目を瞑った。目は開けておいてくださいと神父さまに言われる。
しばらくすると、黒い宝石から靄のような物が出てきた。見方によっては光っているとも言えなくない。
その靄は人ほどに大きくなると、リチアさんの方へすーっと移動し、元の位置に戻った。
「魔力量2400、属性は闇の単属性です」
温度計みたいな物をリチアさんの方に向けている神父さまが告げる。
終わったのか、リチアさんは俺たちの方に戻ってきた。
「マリヤ、大丈夫?危ないことはないから、言っておいで」
「わかった」
いよいよ、俺の番だ。ドキドキしながら宝石を避けて真ん中に立つ。
すると、ほとんどの宝石が強い光を放ちながら光りだした。え!?多くても2個くらいだと思っていたからビックリする。しかも光が強すぎて何にも見えない。
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「そ、測定不能です、、」
神父さまがやっとそれだけ声を絞り出した。
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ニコッと普通の顔に戻ったエリオネルが、司祭と部屋を出ていった。
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