青い薔薇と金色の牡丹【BL】

水月 花音

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第四章【学園都市】

第六十話 嫉妬

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 夜はご飯も食べずに寝たからか、朝早く目が覚めた。
 昨日は勢いから、とんでもないことをやってしまった気がする。

 あんなことするなんて、自分が信じられない。でも、気持ち悪くなかったし、なんならちょっと気持ちよかった。
 恥ずかしくて顔から火が出そう。はしたないと思われていないだろうか?その前にエリオネルがしてくれたから大丈夫か……


 あまりに恥ずかしくて、エリオネルと顔を合わせる前に宿屋を出ることにした。

 書き置きを置いていく。歩いていけば、ちょうどの時間くらいになるはずだ。


 1人で行くと災難に見舞われそうだったので、ラブラドさんに相談したら、ライナーさんが歩きで送ってくれることになった。
 ラブラドさんには、きちんと言ったことを死ぬほど感謝された。

 途中で襲撃に遭ったが、ライナーさんが撃退してくれた。頼んで本当によかった。思ったより治安がよくないのかもしれない。
 お礼を言ってライナーさんと別れる。門には時間より早めにアイオライトくんが迎えに来てくれていた。

「アイオライトくん、おはよう。早くない?」

「おはよう、そうでもないよ」

「あと、学院生活半分だなー」

 1週間の予定だが、日曜日は学院がお休みなので実質今日を入れてあと3日だ。

「マリヤくん、ずっと居ればいいじゃん」

「んー。そういうわけにもいかないんだよね」

 エリオネルについて行って賢者探さないといけないし。それまでに答えが出たらいいなと思ってる。

「そっか、僕はマリヤくんとずっと一緒に居たいけどな」

 ちょっと照れたように言われて、こちらにも照れが伝染した。

「ありがとう、嬉しい」

「ちょっと、マリヤくん借りるね」

 怒ったような声が後ろから聞こえた。エリオネルだ。何で怒ってるんだろう?朝先に出ちゃったから?

 後ろを振り返れなくて怖い。怒ってるエリオネルなんて初めて。


 腕を引っ張られながら、エリオネルに割り当てられている教員用の部屋に連れて来られた。
 準備や待機のために一人一部屋割り当てられているらしい。アイオライトくんに聞いた。

 部屋に入ると、後ろ手で鍵を閉められる。

「エリオネル?」

 話しかけても答えてくれない。怖い。

 腰を両手で抱き上げられて、机に降ろされる。いきなりキスされてビックリする。ここ学校!!
 貪るようにキスされて、机に押し倒された。そのままキスは続行している。

「ん、…ふ……ぁ……」

 何で怒ってるんだろう、でもキスしてくれるってことは、そんなに怒ってないのかな。

「マリヤ」

「何?」

「何で一緒に居たいって言われて、嬉しいって言ってる?」

 あ、これ嫉妬か。エリオネルの眉間に皺が寄ってる。それもカッコイイ。

「友だちだから、だけど」

「友だちだったら、これからも一緒に居るの?」

「居ないよ?エリオネルと旅に出るんだから」

 可愛いなあ。そんなんじゃ、イタズラしたくなっちゃうじゃん。

「じゃあ、あれは何?」

「何だろうね?俺のこと好きなのかも」

「!!」

 エリオネルがどこか痛いというように顔を顰めた。

「マリヤは、あの子のこと好きなの?」

「好きだよ」

 今度は泣きそうな顔になる。

「友だちとしてね。先生は俺の恋人でしょ」

 ちゅ、とキスするとエリオネルの顔が赤くなった。
 可愛かったので、顔にいっぱいキスする。

「嫉妬してる先生、だぁーいすき」

 耳元で囁くと、エリオネルが耳まで真っ赤になった。


《コンコン》


 ドアが鳴ってビックリする。心臓止まるかと思った。

「エリオネル先生?居ますか?」

 あ、アイオライトくんだ。心配させちゃったかな。

 机から降りて、ドアの方に行こうとすると、腕を引っ張られた。後ろからキスをされる。

「なっ……!?」

 いきなりのことに顔が赤くなってしまった。
 イタズラっぽくエリオネルが舌を出す。許さない!もう!

「マリヤくん!大丈夫?」

 ガチャッとアイオライトくんがドアを回したが、鍵が閉まっているので開かない。
 エリオネルがスーッと隣を通って、鍵とドアを開けた。
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