スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第六章 戦乱の京

第12話 陰陽師達

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「で? 実際のとこどうなんだ虎鉄」

「どう、とはどういう意味だ」

 ジークとハコが部屋を去ったのを確認した玄流院は先ほどと打って変わって真面目な表情になり、虎鉄に詰め寄る。

「しらばっくれんじゃねえよ。あの二人、普通じゃねえだろ。一人は獣憑き、もう一人にいたっては俺でも何者かわかんねえ。なんであんなのと一緒にいんだ」

 あんなのとなんだ。
 その言葉を虎鉄はかろうじて飲み込む。

 玄流院興亀という男は心配性な男だ。今の言葉にも悪意はないだろう。
 一人の友として自分を心配してくれる貴重な友人だ。

「……あの二人が何者か、それは明かせぬ。しかしお主が心配するようなことはなにもない。安心してくれ」

「……まあお前がそういうならいいんだけどよ」

 そういって興亀は不安を飲み込むかのように酒を飲み干す。
 相変わらずいい飲みっぷりだ。と虎鉄は感心する。

「ところで妹の件はどうなったんだ? 進展あったのか?」

「今のところはなにも。ただ信用できる者に捜索を頼んでいる」

「へえ。疑い深いお前にも信頼できる人が何人も出来たんだな。嫉妬しちまうぜ」

 昔の虎鉄が心を許していたのは興亀と妹くらいのものだった。
 だから興亀からしたら虎鉄に新しい仲間ができたのは嬉しくもあり、ちょっと悔しいことでもあった。

「あ、そういや虎子には会ったのか? あいつお前がいなくなって一番悲しんでたぞ」

「う、あやつは苦手だ。出来れば会わずに済ましたい」

「そう言うなって。あいつも妹みたいなものじゃないか」

「しかし拙者は『四象家』のものと折り合いが悪い。できればお主以外の『四象家』とは会いたくない」

「そうはいってもこの町も広くはない。いつかは会うことになると思うぜ?」

「そしたらその時考える。拙者は一度故郷を捨てた身。今更関係をどうしようとは思わぬ」

 その言葉に「そうか」と呟く興亀はすこし悲しそうな顔をしていたが虎鉄は気づかなかった。




 ◇



 翌日。
 俺たちは朝早く玄流院家を出ていた。
 ちなみに昨日の風呂はハコを縛り上げてから一人でゆっくり入った。
 俺の貞操は守られたがハコが変な性癖に目覚めかけてしまったのは盲点だった。次は違う対処をせねば。

「ところでよかったのか? 久々の再会だったのにもう別れて」

「大丈夫です。元々拙者は招かれざる客、長居しては奴に迷惑がかかってしまいます」

「その通り、貴様の居場所などここにはない」

 俺たちの会話に後ろから突然誰かが割り込んでくる。
 振り向いて声の主を確認すると、そこには燃えるような赤い髪の男が立っていた。

「誰かと思えば……お主だったか、朱凰院《すおういん》」

「ああ、久しいな『出来損ない』。ようやく出て行ったのにもう戻ってきたのか」

「あん?」

 あまりの物言いにさすがの俺もカチンと来て朱凰院《すおういん》とやらを睨みつける。

「ひ、ひぃ! なんだそいつは無礼だぞ! 俺は誉れ高き『四象家』が一つ、朱凰院家《すおういんけ》の家元『朱凰院《すおういん》雀長《じゃくちょう》』だぞ!」

 そんなもん知るか。
 うちの大切な部下を出来損ない呼ばわりされて黙ってられるかってんだ。

 俺は一発ぶん殴ってやろうとするが、虎鉄がそれを制す。

「拙者のために怒っていただきありがとうございます殿。それだけで拙者は大丈夫です」

「虎鉄……」

 虎鉄が京に来たがらなかったのはこれが原因の一つだろう。
 それにしてもいったいなぜこんなに強い虎鉄が馬鹿にされてるんだ?

「おいテメエ! 次また虎鉄を馬鹿にしやがったらそのいけすかねえツラをボコボコにしてやるからな!」

「ひぃっ! だってしょうがないだろ! そいつは由緒正しい名家に生まれながらも術式一つ使えない出来損ないなんだ! いくら強くたって術式が使えなきゃ陰陽師じゃない!」

「……」

 朱凰院《すおういん》の言葉を歯を噛み締め聞き耐える虎鉄。

 俺は奴の言葉でおおまかな事情は察しがついた。
 多分陰陽師での地位というのは強さではなくその『術式』とやらが重要なんだろう。

 だから強さはあってもそれを使うことが出来ない虎鉄は迫害されていた。

 なんて下らない。
 そんな理由でこんないい奴が迫害されなきゃいけないのか。

「殿。あなたの考えてることはわかります。ですがいいのです、私はあなたとそして多くの仲間たちに出会い救われた。それだけで過去を乗り越えそしてこの先も戦える」

 その言葉通り虎鉄は俯いていた顔をあげ朱凰院《すおういん》を見返す。
 もうその瞳に悲しみの色は、ない。

「な、なんだよ……」

「生憎だがお主に構ってる暇はない。こんなところで拙者の相手をするぐらいだったら鍛錬に励むのだな。お主には、守るべき家があるのだから」

「ぐっ……!」

 その言葉に朱凰院すおういんはたじろぐ。
 恐らく今まで言い返されたことがなかったのだろう。いい気味だぜ。

「お、お前こそまだ妹は見つけられないのかよ! あいつがいればこの京は盤石になるのに!」

 こいつがそこまで言うとは、その妹さんはよほど優秀なんだろう。
 そういや年はいくつくらいなのだろうか?
 勝手に子供のイメージだったが成人の可能性もあるな。

「お前の妹ってそんなすごいのか?」

「はい、彼女は私と違い五行すべての術式を操る本物の天才でした。おまけに誰にも優しく、そして強かった」

「そう、あいつが生きてさえいればお前の家も復活するというのに! 『四象家』に並ぶ名家、『礼堂院家れいどういんけ』が!!」
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