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第六章 戦乱の京
第17話 裏切り
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「てめえいったいどこから入って来やがった!」
芭蘭を目にした興亀は声を大にして怒鳴りると、己の陰陽術を展開し攻撃を仕掛ける。
興亀の魔法は陰陽師には珍しい近接特化型だ。
亀の甲羅を素材にしたグローブ型の魔道具に魔力をまとわせて殴る、といった単純な攻撃だがその威力はシンプルゆえに強力。
興亀がボクシングの選手としても優秀なことも相まり並みの魔法使いではその拳撃に反応することすら出来ないだろう。
「吹っ飛べ!!」
一瞬にして距離をつめた興亀の容赦ない一撃が芭蘭を襲う。
しかしその一撃は芭蘭に当たるすんでのところでガキン! と見えない壁に阻まれ止まってしまう。
「あん?」
興亀は鬼の様な形相で芭蘭ではなく、その隣の元老院を睨みつける。
なぜなら目の前の壁は、魔力構成からして明らかに陰陽師のもの。つまり元老院が作ったものであり、彼らは敵であるはずの芭蘭をかばったのだ。
「粗相がすぎるぞ玄流院。この方はお前が手を出していいお方ではない」
憮然とした態度で元老院は興亀をたしなめる。
その瞬間、興亀はもう彼らが完全に芭蘭の手に落ちたことを理解する。
「ちぃっ!」
仕方なくその場を離れ距離を取る興亀。
しかしその目はしっかりと芭蘭を捕らえたまま離さない。
たとえ上位の存在である元老院が邪魔しようと知ったことではない。興亀は確実にここで芭蘭を仕留める気だった。
「……あいつが最近騒ぎになってた奴なのね?」
「ああ間違いねえ。あの気持ち悪い感じ、間違えようがないぜ」
虎虎の質問に興亀が答える。
四象家の中で芭蘭と遭遇したことがあるのは興亀のみ。そんな中四人が揃った状況で芭蘭と相見えるのは幸運と言える。
元老院が敵でなければ、の話ではあるが。
「説明を……求める」
膠着状態の中、意外にも最初に発言したのは龍々家だった。
「元々其《そ》の者の退治は元老院殿の命のはず。なにゆえ其の者と一緒におられるのですか」
低く、重い声で龍々家は尋ねる。
決して大きい声ではないがその声には無視できない威圧感があった。
「そう気を立たせるな青松院。我々は誤解しておったのだよ、この方は京を荒らす者ではない、むしろ我々の救世主となられるお方だったのだ」
「……話が見えませぬ。いったい何を唆されたのですか」
「唆されたとは人聞きが悪い。この方は我々に人を超える可能性を示してくださったのだよ」
『人を超える』。その元老院の発言に四人の間に緊張感が走る。
それは言い換えてしまえば『人ならざる者』になるという事。まさかそこまで自体が悪い方向に向かっているとは誰も思っていなかった。
そしてその言葉が本当であるならば、芭蘭という男はおそらく人ではない。
「その年になってまだ欲しいものがあるとは驚きだぜ。お山の大将で満足してりゃあいいのによ」
「口を謹め玄流院。若く、才にあふれ、生まれも良いお前たちにはわかるまい。苦労して得たこの地位を失う怖さを。日《ひ》に異《け》に老いる恐怖をな」
「まあまあ落ち着いてください。みんなで仲良くなりましょうよ、次の世界へね」
両陣のやりとりをニコニコ見守っていた芭蘭は両陣の間に立つとそう提案をする。
そして懐よりキラキラ光る液体の入った瓶を取り出し見せつける様に掲げる。
「これが人を進化させる仙水『をち水』です。魔力がない人間が飲めばその身に魔力を宿し、魔力を持つ者が飲めば人を超える。これで老いなどという人間的な悩みに苦しむ日々とは無縁になります」
芭蘭を目にした興亀は声を大にして怒鳴りると、己の陰陽術を展開し攻撃を仕掛ける。
興亀の魔法は陰陽師には珍しい近接特化型だ。
亀の甲羅を素材にしたグローブ型の魔道具に魔力をまとわせて殴る、といった単純な攻撃だがその威力はシンプルゆえに強力。
興亀がボクシングの選手としても優秀なことも相まり並みの魔法使いではその拳撃に反応することすら出来ないだろう。
「吹っ飛べ!!」
一瞬にして距離をつめた興亀の容赦ない一撃が芭蘭を襲う。
しかしその一撃は芭蘭に当たるすんでのところでガキン! と見えない壁に阻まれ止まってしまう。
「あん?」
興亀は鬼の様な形相で芭蘭ではなく、その隣の元老院を睨みつける。
なぜなら目の前の壁は、魔力構成からして明らかに陰陽師のもの。つまり元老院が作ったものであり、彼らは敵であるはずの芭蘭をかばったのだ。
「粗相がすぎるぞ玄流院。この方はお前が手を出していいお方ではない」
憮然とした態度で元老院は興亀をたしなめる。
その瞬間、興亀はもう彼らが完全に芭蘭の手に落ちたことを理解する。
「ちぃっ!」
仕方なくその場を離れ距離を取る興亀。
しかしその目はしっかりと芭蘭を捕らえたまま離さない。
たとえ上位の存在である元老院が邪魔しようと知ったことではない。興亀は確実にここで芭蘭を仕留める気だった。
「……あいつが最近騒ぎになってた奴なのね?」
「ああ間違いねえ。あの気持ち悪い感じ、間違えようがないぜ」
虎虎の質問に興亀が答える。
四象家の中で芭蘭と遭遇したことがあるのは興亀のみ。そんな中四人が揃った状況で芭蘭と相見えるのは幸運と言える。
元老院が敵でなければ、の話ではあるが。
「説明を……求める」
膠着状態の中、意外にも最初に発言したのは龍々家だった。
「元々其《そ》の者の退治は元老院殿の命のはず。なにゆえ其の者と一緒におられるのですか」
低く、重い声で龍々家は尋ねる。
決して大きい声ではないがその声には無視できない威圧感があった。
「そう気を立たせるな青松院。我々は誤解しておったのだよ、この方は京を荒らす者ではない、むしろ我々の救世主となられるお方だったのだ」
「……話が見えませぬ。いったい何を唆されたのですか」
「唆されたとは人聞きが悪い。この方は我々に人を超える可能性を示してくださったのだよ」
『人を超える』。その元老院の発言に四人の間に緊張感が走る。
それは言い換えてしまえば『人ならざる者』になるという事。まさかそこまで自体が悪い方向に向かっているとは誰も思っていなかった。
そしてその言葉が本当であるならば、芭蘭という男はおそらく人ではない。
「その年になってまだ欲しいものがあるとは驚きだぜ。お山の大将で満足してりゃあいいのによ」
「口を謹め玄流院。若く、才にあふれ、生まれも良いお前たちにはわかるまい。苦労して得たこの地位を失う怖さを。日《ひ》に異《け》に老いる恐怖をな」
「まあまあ落ち着いてください。みんなで仲良くなりましょうよ、次の世界へね」
両陣のやりとりをニコニコ見守っていた芭蘭は両陣の間に立つとそう提案をする。
そして懐よりキラキラ光る液体の入った瓶を取り出し見せつける様に掲げる。
「これが人を進化させる仙水『をち水』です。魔力がない人間が飲めばその身に魔力を宿し、魔力を持つ者が飲めば人を超える。これで老いなどという人間的な悩みに苦しむ日々とは無縁になります」
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