スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第六章 戦乱の京

第29話 同盟

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大蛇が燃え尽きたのを見届けた虎鉄と虎虎は思わずその場に座り込んでしまう。
無理もない、もう二人とも魔力も体力もとうに限界を通り過ぎている。ここまで倒れなかっただけでも奇跡と言えるだろう。

「大丈夫か!?」

駆け寄ってきた興亀が二人の怪我の具合を確認する。
二人とも身体中に生傷があるが深い傷は無かった。これなら少し療養すればすぐに治るだろう。

「先ほどの一撃。見事であった。やはりお主に託して正解だったな」

「それよりさっきの炎は何だよ!? あんな炎僕も見たことがないぞ!?」

龍々家と雀長も集まり場は更に賑やかになる。
先ほどまで死闘を繰り広げていたとは思えない空気がそこにあった。

しかしその緩んだ空気もある人物の登場で再び緊張感を取り戻すことになった。

「随分とハデにやったものだ。これは直すのに時間がかかりそうだな」

まるで虚空から現れたかの如くその人物は唐突に五人の前に現れた。
漆黒の鎧に身を包んだその人物からは常人ではそばにいるだけで命を吸われそうな程の邪気が発せられていた。

「お前は……!」

その人物を見て絶句する面々。
それもそのはず、目の前の人物は陰陽師にとって最も注意しなければならない人物と呼べる存在だからだ。

「クリーク・O・ジーク……!」

「おや、自己紹介はいらなかったか。初めまして陰陽師の諸君、私こそ魔王国当主クリーク・O・ジークだ」

興亀達はなけなしの魔力を振り絞り戦闘態勢に入る。
今このタイミングで魔王が現れた理由は明白。崩壊状態にある陰陽京を潰しに来たのだろう。

「護衛も無しに来るとは余程舐められているようだな。まあここまでボロボロじゃあそれもしょうがないか……」

「フム、何か勘違いしているようだな。私は何もこの機に乗じてここを潰しに来たわけじゃないのだが」

そもそもそんな事しなくても陰陽京など簡単に倒せるーーーーという言葉をジークは飲み込む。いらぬ言葉は閉まっておくのが吉だろう。
しかし興亀達もその言葉をはいそうですかと信じるわけにもいかない。ここで気を許すという事は陰陽京の崩壊を黙認することに他ならないからだ。

「そんな言葉を信じられると思うか? いい加減狙いを言ったらどうだ?」

「本当に騙すつもりは無いのだが……まあいい。お前が説明してくれれば話は早いか。頼んだぞ虎鉄」

「御意」

ジークに呼ばれ虎鉄がジークと興亀達の間に割って入る。

「おいおいどういう事だ虎鉄!? なぜお前がそいつと知り合いなんだ!?」

「黙っていて済まない。拙者は今ジーク様の下で働いているのだ」

虎鉄はそう切り出して話し始めた。
自分が陰陽京を離れて何をしていたのかを。
魔王国の幹部となりジークの手足として働いていた事を。
芭蘭を追って陰陽京に戻って来た事を。

「……成る程な。お前も大変だったんだな」

「怒らない……のか?」

「はっ、どうせお前のことだ。陰陽京が狙われないようにしてたんだろ? 誰もお前も責める奴はいねーよ」

興亀だけで無い。他の者たちも誰一人として虎鉄を責める者はいなかった。
それだけで虎鉄は胸がいっぱいになり、熱いモノがこみ上げてきた。

「お主ら……」
「どうやらいい仲間を持ったようだな」

ジークはポン、と虎鉄の肩に手を置き陰陽師たちの前に立つ。
そこ圧倒的な存在感に暖かくなった空気は再び緊張感を取り戻す。

「私も可愛い部下の故郷を焼き払うほど悪趣味ではない。しかしこれほど近くにある脅威を放置しておくほどお人好しでもない」

「何が望みだ……?」

「望みというほどじゃないさ。協力関係になろうじゃないか、いわゆる同盟ってやつさ」

「同盟、だと?」

「ああ、まずはこの荒れ果てた町を復興するのを手伝おうじゃないか。物資の支援も全面的にさせてもらおう。見返りは優秀な陰陽師の力を貸して貰えればこちらとしては十分だ」

正直ここまで町が荒らされては復興にどれだけかかるか分からない。
ジークの提案は渡りに船。願ってもないほどの好条件だ。
しかしだからこそ怪しい。
ここまで状況が揃っていると芭蘭も魔王国の差し金ではないかと思ってしまう。いわゆるマッチポンプってやつだ。

「正直、俺はあんたの事を信用出来ない。だけど友達《ダチ》を信用しないほど落ちぶれてもいねえ」

「ふむ。つまり私の提案を受けるという事でいいのかな?」

「いいぜ。あんたの思惑に乗ってやる。だけど俺たちや俺の友達《ダチ》を騙そうとしたらタダじゃおかねえからな」

「いいだろう。よろしく頼むよ、陰陽師諸君」

ジークの差し出す手に興亀が応じる。
こうして元日本に存在する二つの勢力は手を組むことになったのだった。









「くく、上手くやったもんじゃの」

陰陽師の連中と同盟を結んだ俺は鎧を解除し休んでいると、何処から出てきたのかハコが声をかけてくる。

「無事だったか」

「あの蛇の化け物以外たいした敵はおらんかったからの。それにしても奴を倒しただけでなく陰陽師の連中を味方につけるとはの。さすがと言ったところか」

「あまり買い被るのなよ。たまたま上手くいっただけだ」

「くくく、そういうことにしといたるわ♪」

ハコは上機嫌な様子でどこかへ去っていく。
いや本当に上手い事いったな。マジで狙って無かったのだがハタから見たら狙ってたようにしか見えないだろう。
陰陽京に手出しをしなかったのはマーレと虎鉄に配慮してのこと、かといって下手に出ては魔王国の威信に関わる。
なので今回いい感じに恩を売れたのは思ってもない幸運だった。日頃の行いがいいからであろう。

だがまだ問題は山積みだ。
結局あの芭蘭とかいう男の正体は分からなかった。一応戦ってる最中に細胞を採取することに成功はしたがどこまで正体を暴けるものだろうか。

「まあ……ひとまず帰るか」

こうして今回の遠征は予想以上の収穫を得て幕を閉じたのだった。
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