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第10話:柏原 庄司。

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とりあえず俺とズズは警察に出頭して事情聴取に応じた。

そしてまずはズズの親父を探さなきゃな・・・。

情報の収集、一番てっとり早いのが、裏の社会の連中・・・。
俺のダチ、柏原 庄司かいばら しょうじのところに行くのが一番
手っ取り早いと思った。

で、スズには、あまりそういう世界は見せたくなかったけど連れて
行かないとオリーブをボコボコにされると困るから、だからズズも連れて
柏原の事務所を訪ねた。

柏原には前もって事務所に行くからって連絡を入れておいた。

下北通りの吉岡ビルの二階が橘組の事務所。

「ショーちゃん久しぶり・・・」

「お~カグラ・・・久しぶりだな」

「あのさ、懐かしんでる暇はないんだ・・・ちょっと人探しててな 」
「こいつの親父」

そう言って俺はズズを柏原に紹介した。

「人探しか?・・・クライアントはこの子か? 」

「違うよ、この子はズズって言って俺の相棒」

「相棒?・・・こんなしょんべんたれが?」

「誰がしょんべんたれだよ・・・バカ中年」

「お~お、威勢のいいこって」
「カグラ・・・どこで拾ってきたんだよこんな可愛い子猫ちゃん」

「私は捨て猫じゃないよ、バカ中年」

「怖いもんなしな年頃だな・・・」

「まあまあショーちゃんも・・・スズも・・・ちゃんと挨拶しろよ」

「人をバカにして・・・」

「社交辞令だよ・・・本気で言ってるわけじゃないよ」
「おまえは、からかわれてるの、相手にするだけショーちゃんの思う壺」

「ほら、挨拶」

「こんにちは・・・花咲 鈴蘭です」

「おう、よろしくな鈴蘭ちゃん・・・しょんべんたれなんて言って悪かったな 」
「カグラの相棒なら、俺ともダチだ・・・仲良くやろうぜ」

「この子のことは説明するのも面倒くさいんだけど・・・
 まあいろいろあってな・・・行きがかり上この子の面倒を俺が見ることに
なったんだよ 」
「ひとり放っておけないから世間を連れて回ってるってわけ」

「まあ経緯はどうあれ、おまえがそれでいいって思ったんならいんじゃねえ」
「で?、その探してるやつってのが、この子の親父だって?」

「そうなんだ・・・それが殺人事件に関わってるかもしれなくな」

「殺されたのは向田 恭二もこうだ きょうじって言って叩けばホコリが山ほどでそうなやろう」

「なんだ、殺されたのは向田か?」

「知ってるのか・・・」

「あ~知ってるな・・・そうか、あいつ殺されたのか、まあ自業自得だな」

「どういうやつなんだ?」

「大光商事って金融屋に出入りしてたやつだよ・・・主に取り立てとか
やってたって話だぜ・・・えげつないやり方でな・・・ 」
「大光って表向きは普通の金貸しだけどよ、裏じゃ闇金だろ」
「貸した相手に逆恨みされることだってあるだろ?・・・だから誰かに殺されたって
不思議じゃないわな」 
「大光商事・・・めちゃブラックだよな」

「で、そいつの胸に刺さってた凶器のナイフにスズのおやじの指紋が残って
たんだ・・・ 」

「言い訳できねえ証拠だよな・・・」
「スズちゃんの親父が犯人にされそうなんだろ?」
「で、サツより早く見つけたい、そういうことだよな?」

「そうだ、でも俺はスズの親父は犯人ないって睨んでる・・・なんとか
サツより早く見つけたいんだ」

そう言って俺はズズの親父の名前と顔写真を柏原に見せた。

 「あ~こいつか」

すると柏原は誰かにスマホで連絡をした。
で、出た相手にスズの親父の写真を送って、若い連中に情報を回すよう
指示してくれた。

「ちょっと待ってな、すぐに連絡がくるからよ」
「こういうことは俺っちのほうがサツより情報回って来るのは早いんだぜ」

「なあ、カグラたまには飲みにでも行かねえか?」
「最近めっきりだぜおまえ・・・」

「行方不明の猫探して忙しいからな・・・」

「お嬢ちゃん・・・遠慮しないでいいからな、暇だったら事務所に
遊びに来いよ・・・可愛がってやるからさ 」

「どういう意味だよ・・・スズはまだ未成年だぞ」

「未成年?・・・いくつだよ?」

「17です」

「立派な女じゃねえかよ」

つづく。
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