17才。

猫野 尻尾

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第19話:条件反射。

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(ホテルはすぐ決まったんだけど・・・凛がなんて言うか・・・それが問題)

あれから何度か凛と連絡は取り合ってたけど、 だけどエッチのことは話題には
上がらなかったし、僕も何も聞かなかった。 
普通に話して笑った。
なにごともなかったように・・・。

(もしダメなら先延ばしにすればいいか)
( 僕が我慢すればいいことだし)

そして次の土曜日、デートの日がやって来て凛を乗せた車は国道を抜けて
東へ走っていた。 
実はその方向にホテル「ハピホ」があるからだ。
悠人の腹は決まっていた・・・あとは凛次第。

たわいもない話で盛り上がる・・つ~かいつもよりノリが悪い・・
ような気がする。 
お互い意識してるからか、いつになくテンションも低め。 
そして僕は心ここにあらず・・・。

(もう少しで目当てのホテル・・・なんだけどな)

僕の心拍数が少しずつ上がっていく。

(今、凛からの返事をもらわないとホテルを通り過ぎちゃうよ)

聞くべきか・・・。

すると凛が「お腹が痛い」って言い始めた。

その言葉は以前にも僕は聞いたことがあった。
初デートの時だ。
車の助手席で凛は「お腹が痛い」って言った。

「大丈夫?」って聞くと 「緊張するとお腹が痛くなるから」って。 

そのことを僕はよく覚えていた。
だから凛は今緊張してるんだ。
じゃ何に緊張してる?
ってことは、これから起こるであろうことに凛は緊張してるんだ。

これから起こること。

すなわち凛は暗黙のうちに、僕に「ホテルに行っていいよ」って言ってるんだ。
条件反射ってやつだな

それだけのことを僕は一瞬で悟った。

彼女のお腹は正直なのだよ。
今だよ、悠人、チャンスだよ。

僕は車のハンドルを左に切って国道から外れてホテルのあるほうに入っていった。
 ホテルの屋上に「「キン○ダム」って文字が見えた。
以前のラブホみたいにネオンがギラギラしたイメージはもうなかった。

日曜の昼間でも人気のホテルは全室、満室だったりする。

(空室があればいいんだけど・・・・)

ホテルの入り口の前に車を止めると空室の部屋がいくつかあった。
黙ってる訳にもいかないと思ったので

「いいね、入るよ」

って僕は凛に確かめた。
凛は小さくうなずいた。

「こういうとこ、初めて入る・・・」

ボソッと凛が言った。
凛にとってホテルなんて経験したことのない領域だったんだろう。
悠人は何度かはあるようだけど・・・〈それは凛には内緒)

車は足早に車庫の中に消えた。
車を降りた僕は、そのまま助手席に回って、降りてきた凛をいきなり
お姫様抱っこした。
そしてホテルの部屋に向かう階段を、よっこいしょって登って行った。
凛は一瞬、何事かと驚いたけど何をされるのかすぐに分かった。 

「これ一度やってみたかったの」

「落とさないでね」

「死んでも落とさない」

 凛は僕の首にしっかり、しがみついていた。

つづく。


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