40 / 51
3杯目~悪酒~
39 つかめない男
しおりを挟む
「……って、下手こいて死にかけた奴が言ってもね」
そう自虐交じりに言う彼は直ぐに元の雰囲気に戻った。
コイツも訳ありって事か……。
「確かに説得力がねぇな。お前の強さは知らんがまた怪我するぞ」
「心配ありがと。でも大丈夫なんよ。後“1時間”も経てばね」
「は? そりゃどういう意ッ……「――来る」
エマが言った直後、再び大量のモンスターが現れた。先頭切って突っ込んでくる狼や猪のモンスターを筆頭に、その後ろからも次々と出現していた。
「やべぇな。一先ず逃げるか」
「何故ですカ? あの程度のモンスターなら何体いようと私が一撃でッ……「止めろ」
リフェルを遮る様にルルカが言った。
「ここは完全に奴のテリトリー。この結界内では魔力操作が難しくなっている」
「魔力操作が……?」
「成程。それで私の魔法も安定せず、皆がバラバラになったのですネ」
「その説明は後! 今は旦那が言った通りこの場を離れよう」
ルルカの後に続き俺達もこの場から退く。最低限のモンスターを倒しながら暫く逃げていると、いつの間にかモンスター達も消え、また不気味な静けさが広がる密林に戻った。
そして物語は“今”に戻る――。
「――いや~、“旦那達”面白いね! いつもこんな賑やかなの?」
俺達が今言い争っている原因の1つは“コイツ”でもあるかも知れない。
「うるせぇ。そんな事より続きを教えろ。どうなってるんだよこの島と魔女は」
「ヒャハハ。それはさっきも言ったけど、ここは完全に奴のテリトリーなんよ。島全てがね。この結界は奴の魔術で生み出されているから普通の方法では入る事が出来ない。お姉さんの言い方だと、旦那達も特殊な魔法か何かで侵入したんじゃないの? この島に」
「そうでス。私の移動魔法で来ましタ」
「やっぱりね。この結界内では侵入者を察知するとモンスターが出現し襲い掛かって来るんよ。奴からの警告みたいなもんさ。そして侵入者はここでの魔力操作が著しく低下してしまう。
発動したい魔法が出せなかったり、思っていた魔法と違うものが出たり。そもそも魔力を練り上げられなくなる事もね」
随分と詳しいな……。
いまいち掴めない奴だが余程魔女と因縁があるみたいだ。
「成程な。それで肝心のヘクセンリーパーは何処にいる?」
「う~ん、教えてもいいけど今度はこっちの番。俺ばっか言ってフェアじゃないでしょ。旦那達は何の用なの? アイツに」
「私達は満月龍を探しているのでス」
「満月龍を……?」
「この島にいるヘクセンリーパーという魔女が何か知っている可能性があってな。オラ達はそれを聞きに来た」
こちらの言い分を聞いたルルカは沈黙した。そして数秒後、大きな笑い声が響いた。
「ヒャハハハハッ! やっぱり面白過ぎるんよ旦那達。満月龍を探す為に魔女と話をしに来たって? どういう冗談なのそれ!」
何かツボに入ったらしいルルカは腹を抱えて笑い転げている。
だが、一切冗談ではないという俺達4人の視線を感じ取ったのか急に笑うのを止め、「嘘でしょ?」と言いながら何度も何度も俺達の顔を見比べていた。
「ふぅ……。いや、何というか~、まぁアレなんよ。マジで満月龍探してるって事でいいだよな?」
「ああ。やっと分かってくれたらしいな。だから早くヘクセンリーパーの居場所教えてくれ」
「そっかぁ。旦那達には助けてもらった借りがあるから協力したいけどさ……仮に奴が満月龍の情報を持っていたとしても、絶対旦那達には教えないよ」
「だろうな。友達でもない侵入者だし」
「良く分かってるね。だったら諦めてもう帰んなよ。 ワーホルムにはもっと観光に向いた場所が沢山あるし」
「それはまた話が別だ。ヘクセンリーパーがどんな奴なのか知らねぇが、僅かな可能性があるなら俺達は行く。観光にきた訳じゃねぇ」
「え~。絶対に?」
「絶対だ」
「そうか~、困ったなぁ……」
ルルカはバツが悪い様子で頭を抱えている。
「何が困るんだよ。お前も何か穏やかじゃねぇ理由があるみてぇだが、ヘクセンリーパーと俺達が話をするだけでもそれと関係してくるのか」
「大アリだね」
食い気味に言い放ってきたルルカの雰囲気からまた殺意が感じられた。
「 ……! お、“やっと時間がきた”。旦那達、悪いけどやっぱり諦めてよ。今から俺あの魔女殺すからさ――」
「何?……って、おいッ! 」
ルルカの殺意が更に膨れ上がった刹那、彼は一瞬にして姿を消した。
“今から俺があの魔女殺すからさ――。”
やべぇ。
アイツまさか本当にッ……!
「リフェル! ヘクセンリーパーの居場所は⁉」
「妙な結界のせいで100%とは言い切れせんガ、1つだけ怪しい魔力がありまス」
「それだ。早くそこまで飛ばせ! あのタヌキがヘクセンリーパー殺しちまうぞ!」
「ホントに面倒ばっか」
「ですが上手く移動魔法を使えるか分かりませんヨ」
「いいから早くやれ! そして絶対失敗するな!」
「無茶苦茶だなお前……」
「もうどうなっても知りませんからネ」
投げやりになりながらもリフェルは魔法を発動した。淡い光が俺達の体をどんどん包み込んでいく。そして視界が明るくなった瞬間、俺達は何処かへ飛んだ――。
そう自虐交じりに言う彼は直ぐに元の雰囲気に戻った。
コイツも訳ありって事か……。
「確かに説得力がねぇな。お前の強さは知らんがまた怪我するぞ」
「心配ありがと。でも大丈夫なんよ。後“1時間”も経てばね」
「は? そりゃどういう意ッ……「――来る」
エマが言った直後、再び大量のモンスターが現れた。先頭切って突っ込んでくる狼や猪のモンスターを筆頭に、その後ろからも次々と出現していた。
「やべぇな。一先ず逃げるか」
「何故ですカ? あの程度のモンスターなら何体いようと私が一撃でッ……「止めろ」
リフェルを遮る様にルルカが言った。
「ここは完全に奴のテリトリー。この結界内では魔力操作が難しくなっている」
「魔力操作が……?」
「成程。それで私の魔法も安定せず、皆がバラバラになったのですネ」
「その説明は後! 今は旦那が言った通りこの場を離れよう」
ルルカの後に続き俺達もこの場から退く。最低限のモンスターを倒しながら暫く逃げていると、いつの間にかモンスター達も消え、また不気味な静けさが広がる密林に戻った。
そして物語は“今”に戻る――。
「――いや~、“旦那達”面白いね! いつもこんな賑やかなの?」
俺達が今言い争っている原因の1つは“コイツ”でもあるかも知れない。
「うるせぇ。そんな事より続きを教えろ。どうなってるんだよこの島と魔女は」
「ヒャハハ。それはさっきも言ったけど、ここは完全に奴のテリトリーなんよ。島全てがね。この結界は奴の魔術で生み出されているから普通の方法では入る事が出来ない。お姉さんの言い方だと、旦那達も特殊な魔法か何かで侵入したんじゃないの? この島に」
「そうでス。私の移動魔法で来ましタ」
「やっぱりね。この結界内では侵入者を察知するとモンスターが出現し襲い掛かって来るんよ。奴からの警告みたいなもんさ。そして侵入者はここでの魔力操作が著しく低下してしまう。
発動したい魔法が出せなかったり、思っていた魔法と違うものが出たり。そもそも魔力を練り上げられなくなる事もね」
随分と詳しいな……。
いまいち掴めない奴だが余程魔女と因縁があるみたいだ。
「成程な。それで肝心のヘクセンリーパーは何処にいる?」
「う~ん、教えてもいいけど今度はこっちの番。俺ばっか言ってフェアじゃないでしょ。旦那達は何の用なの? アイツに」
「私達は満月龍を探しているのでス」
「満月龍を……?」
「この島にいるヘクセンリーパーという魔女が何か知っている可能性があってな。オラ達はそれを聞きに来た」
こちらの言い分を聞いたルルカは沈黙した。そして数秒後、大きな笑い声が響いた。
「ヒャハハハハッ! やっぱり面白過ぎるんよ旦那達。満月龍を探す為に魔女と話をしに来たって? どういう冗談なのそれ!」
何かツボに入ったらしいルルカは腹を抱えて笑い転げている。
だが、一切冗談ではないという俺達4人の視線を感じ取ったのか急に笑うのを止め、「嘘でしょ?」と言いながら何度も何度も俺達の顔を見比べていた。
「ふぅ……。いや、何というか~、まぁアレなんよ。マジで満月龍探してるって事でいいだよな?」
「ああ。やっと分かってくれたらしいな。だから早くヘクセンリーパーの居場所教えてくれ」
「そっかぁ。旦那達には助けてもらった借りがあるから協力したいけどさ……仮に奴が満月龍の情報を持っていたとしても、絶対旦那達には教えないよ」
「だろうな。友達でもない侵入者だし」
「良く分かってるね。だったら諦めてもう帰んなよ。 ワーホルムにはもっと観光に向いた場所が沢山あるし」
「それはまた話が別だ。ヘクセンリーパーがどんな奴なのか知らねぇが、僅かな可能性があるなら俺達は行く。観光にきた訳じゃねぇ」
「え~。絶対に?」
「絶対だ」
「そうか~、困ったなぁ……」
ルルカはバツが悪い様子で頭を抱えている。
「何が困るんだよ。お前も何か穏やかじゃねぇ理由があるみてぇだが、ヘクセンリーパーと俺達が話をするだけでもそれと関係してくるのか」
「大アリだね」
食い気味に言い放ってきたルルカの雰囲気からまた殺意が感じられた。
「 ……! お、“やっと時間がきた”。旦那達、悪いけどやっぱり諦めてよ。今から俺あの魔女殺すからさ――」
「何?……って、おいッ! 」
ルルカの殺意が更に膨れ上がった刹那、彼は一瞬にして姿を消した。
“今から俺があの魔女殺すからさ――。”
やべぇ。
アイツまさか本当にッ……!
「リフェル! ヘクセンリーパーの居場所は⁉」
「妙な結界のせいで100%とは言い切れせんガ、1つだけ怪しい魔力がありまス」
「それだ。早くそこまで飛ばせ! あのタヌキがヘクセンリーパー殺しちまうぞ!」
「ホントに面倒ばっか」
「ですが上手く移動魔法を使えるか分かりませんヨ」
「いいから早くやれ! そして絶対失敗するな!」
「無茶苦茶だなお前……」
「もうどうなっても知りませんからネ」
投げやりになりながらもリフェルは魔法を発動した。淡い光が俺達の体をどんどん包み込んでいく。そして視界が明るくなった瞬間、俺達は何処かへ飛んだ――。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる