13 / 65
第13召喚 ビッグゴブリンとの対決
しおりを挟む
**
~ダンジョン・フロア19~
「やば。遂にこんな所まで辿り着いてしまった」
今アーサーの目の前にはフロア10の時よりも更に大きな扉が待ち構えていた。この先にいるのはビッグゴブリン。まだ対峙していないにも関わらず、扉の向こうから感じてくる魔力をアーサーはしかと感じ取れた。
(本来ならDランクアーティファクトを装備していても比較的複数人のパーティを組んで挑むのが無難なボス。いくら装備がランクアップしたとはいえ、やっぱここを1人で行くのは無茶か……?)
扉を前にアーサーは一旦冷静に。
“約束はちゃんと守ってね”。
リリアとの会話も頭に過り、やはり誰かとパーティを組んで確実に討伐を狙った方がいいなと思いついたアーサー。
だが。
「どうしよう。ここまで来て調子に乗ってるのかな……? ワクワクが抑えられない――」
アーサーは目の前の扉を見て僅かに口角が上がる。
もっと稼ぎたい。
もっと上のフロアに挑みたい。
もっともっと自分が見た事のない景色を見てみたい。
もっともっと先の可能性に辿り着きたい。
(ごめんなさいリリアさん。やっぱり僕はここまで来て引き下がれません。無茶ではなくて、確実に超えられる自信があればリリアさんも許してくれますよね? 絶対に生きて帰りますから)
アーサーは自分に言い聞かせる様に決意を固めると、いざ力強く前へ進み扉を開けた。
「さぁ。勝負だビッグゴブリン!」
部屋はフロア10の雰囲気と大して変化はない。目の前にいるボスがただギガスライムがビッグゴブリンに変わっただけ。しかしギガスライムの時よりも明らかに空気が殺伐としていた。
『グアァァァ!』
鋭い目つきでアーサーを捉えたビッグゴブリン。
優に3メートルは超えるであろう体格と、手には岩をも簡単に砕きそうな巨大な棍棒が握られていた。
過去に『黒の終焉』に所属していた際、アーサーは数回だけフロア40前後に行った事もある。そしてその時にギガスライムやビッグゴブリンよりも強いモンスターと遭遇した経験もある。
しかしその時とは違い、今は複数人のパーティでもなければ荷物持ちでも雑用枠でもない。自分1人であり最前線。目の前に対峙するビッグゴブリンはアーサーにとって間違いなく今までの中で最強の敵であった。
「すげぇ圧……。ワクワクしてるのかビビってるのか自分でも分からなくなってきた」
そして。
ビッグゴブリンが再び激しい咆哮を上げると、その巨体に似つかない速さで一瞬でアーサーとの間合いを詰めて振り上げた巨大な棍棒を勢いよく振り下ろす。
――ドゴォォン。
「ぐッ!? 想像以上の速さと威力……!」
紙一重でビッグゴブリンの棍棒を躱したアーサー。棍棒が地面を捉えると、その衝撃によって砕かれた地面が辺りに飛び散った。
だがピンチはこれで終わり。
次の瞬間、棍棒を躱して瞬時に態勢を立て直したアーサーはそのままビッグゴブリンの丸太の様な太い腕を斬りつける。
『グギャ……!?』
切り口から人間とは違う色の血飛沫が舞い、アーサーは今の攻撃で怯みを見せたビッグゴブリンに対し更に追撃。これまで何百体と倒したゴブリンとの戦闘経験が功を奏し、アーサーは流れる様な動きでビッグゴブリンの首を斬り落とす事に成功するのだった――。
~ダンジョン・フロア19~
「やば。遂にこんな所まで辿り着いてしまった」
今アーサーの目の前にはフロア10の時よりも更に大きな扉が待ち構えていた。この先にいるのはビッグゴブリン。まだ対峙していないにも関わらず、扉の向こうから感じてくる魔力をアーサーはしかと感じ取れた。
(本来ならDランクアーティファクトを装備していても比較的複数人のパーティを組んで挑むのが無難なボス。いくら装備がランクアップしたとはいえ、やっぱここを1人で行くのは無茶か……?)
扉を前にアーサーは一旦冷静に。
“約束はちゃんと守ってね”。
リリアとの会話も頭に過り、やはり誰かとパーティを組んで確実に討伐を狙った方がいいなと思いついたアーサー。
だが。
「どうしよう。ここまで来て調子に乗ってるのかな……? ワクワクが抑えられない――」
アーサーは目の前の扉を見て僅かに口角が上がる。
もっと稼ぎたい。
もっと上のフロアに挑みたい。
もっともっと自分が見た事のない景色を見てみたい。
もっともっと先の可能性に辿り着きたい。
(ごめんなさいリリアさん。やっぱり僕はここまで来て引き下がれません。無茶ではなくて、確実に超えられる自信があればリリアさんも許してくれますよね? 絶対に生きて帰りますから)
アーサーは自分に言い聞かせる様に決意を固めると、いざ力強く前へ進み扉を開けた。
「さぁ。勝負だビッグゴブリン!」
部屋はフロア10の雰囲気と大して変化はない。目の前にいるボスがただギガスライムがビッグゴブリンに変わっただけ。しかしギガスライムの時よりも明らかに空気が殺伐としていた。
『グアァァァ!』
鋭い目つきでアーサーを捉えたビッグゴブリン。
優に3メートルは超えるであろう体格と、手には岩をも簡単に砕きそうな巨大な棍棒が握られていた。
過去に『黒の終焉』に所属していた際、アーサーは数回だけフロア40前後に行った事もある。そしてその時にギガスライムやビッグゴブリンよりも強いモンスターと遭遇した経験もある。
しかしその時とは違い、今は複数人のパーティでもなければ荷物持ちでも雑用枠でもない。自分1人であり最前線。目の前に対峙するビッグゴブリンはアーサーにとって間違いなく今までの中で最強の敵であった。
「すげぇ圧……。ワクワクしてるのかビビってるのか自分でも分からなくなってきた」
そして。
ビッグゴブリンが再び激しい咆哮を上げると、その巨体に似つかない速さで一瞬でアーサーとの間合いを詰めて振り上げた巨大な棍棒を勢いよく振り下ろす。
――ドゴォォン。
「ぐッ!? 想像以上の速さと威力……!」
紙一重でビッグゴブリンの棍棒を躱したアーサー。棍棒が地面を捉えると、その衝撃によって砕かれた地面が辺りに飛び散った。
だがピンチはこれで終わり。
次の瞬間、棍棒を躱して瞬時に態勢を立て直したアーサーはそのままビッグゴブリンの丸太の様な太い腕を斬りつける。
『グギャ……!?』
切り口から人間とは違う色の血飛沫が舞い、アーサーは今の攻撃で怯みを見せたビッグゴブリンに対し更に追撃。これまで何百体と倒したゴブリンとの戦闘経験が功を奏し、アーサーは流れる様な動きでビッグゴブリンの首を斬り落とす事に成功するのだった――。
応援ありがとうございます!
260
お気に入りに追加
1,353
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる