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五頁 孤立したホオズキ
74話 消化不良の決着
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耳を劈くような絶叫を上げながら燃えていくヌカヅキの体。
黒々とした炎はヌカヅキを包み込み瞬く間にヌカヅキを灰にしていく。くそっ……! 燃えているのはおそらくあのネックレスだろう。どうにかしてネックレスをヌカヅキから引きちぎりたいけどこれじゃあ近づきたくても近づけない!
「オルニス公子! 水魔法をお願いします」
「わかった! アクナイト公子はどうするんだ!?」
「おそらく燃えているのはネックレスです。なんとかしてヌカヅキから引き離せないか試してみます」
「……わかった。なんとかして火を弱めてみよう。おそらくこの火には魔法は効きづらいと思うが」
「……お願いします」
アウルの水魔法で俺の周囲に水の障壁が出来上がった。なんかちょっと申し訳ないけど俺は水属性持っていないし。それに早くなんとかしないと、ヌカヅキが死ぬ。
俺は急いでヌカヅキの元に行き、首にかけられていた紐を引き抜くと案の定火元はネックレスだった。元は美しい漆黒の石だったと思われるが今は禍々しい気を帯びながら不気味に赫く輝いている。最初から殺すつもりでなんらかの術式を組み込んでいたのは明らかだけど、黒幕の思惑通りにさせたくない一心でヌカヅキの首元から思いきり引きちぎる。
ネックレスがヌカヅキの体から離れると同時にあれだけ激しく燃えていた炎は跡形もなく消え去った。
「ゲホ、ゲホ……」
あちこち焦げてヒューヒューと不気味な音を立ててはいるが、なんとか息をしているヌカヅキを見て俺は内心安堵のため息を吐く。どうにか口封じは阻止できたみたいだ。目の前で人が死ぬのは見たくなかったから。
さて、ヌカヅキが灰になるのは阻止できたがまだ安心はできない。何せネックレスはまだ元気に輝いているんでね。
「そのネックレスはどうするんだ?」
「持ち帰ってあの変人……魔塔主にでも調べて貰う、と言いたいところですがそれは難しそうです」
そう言った途端不気味な光を発していたネックレスに罅が入り、細かく細かく砕けてやがて跡形も残らず風にさらわれていった。
「証拠隠滅されてしまいましたね」
「……随分と手の込んだことを」
「それほど自分の痕跡を残すのが嫌だったのか、別の意図があったのかは判りませんが詳しい話は後にしましょう。まずはこの場をなんとかしなくては」
「そうだな。ヌカヅキのことはどうする?」
アウルと共々ヌカヅキへ視線を向ける。ふむ、魔力自体は残っているようだがこの状態で魔法薬を使おうものならえらいことになりそうだし、これほどの怪我なら教会へ行って治癒の無属性魔法を持つ人の力を借りる方が早いな。やらかしがやらかしだから秘密裏に匿う必要もありそうだし、どうするかな~。
「……また口封じされかけるのも癪ですし、宿に運び込んで知り合いに引き渡します。この怪我ならば教会に行く方がいいでしょうから」
「わかった。運ぶのは俺がやろう。幸いにも今皆点灯されたホオズキランタンを楽しんでいる頃だろうからな」
「……」
「言っておくが、点灯の瞬間を見られなかったのは君がこんな方法を取ったからだ」
「何も言っていませんが?」
「花への強い執着心をあれだけ見せておいて今更何を言うんだ。まったく、これに懲りたら自分を犠牲にするような計画は立てないように」
大きなお世話じゃい。こんな時に説教など聞きたくありません。俺は疲れました。わざとアウルから視線を外し、カバンを持ってさっさと歩き出す。背後から何やら呆れたようなため息が聞こえた気がするけど、きっと気のせい気のせい。……片付けなければいけないことが山積みなんだから幻聴に気を取られている場合じゃないんでね。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
どうにかヌカヅキを宿の部屋に運び込み、カバンの底に隠していた懐中時計を取り出した。実はこの時計カルから貰った通信機だ。ファルカタに入る前カルから余計な一言を添えたメッセージカードと共に贈られたので、お礼に帰ってからお話をしに行こうと思っている。
蓋を開けて魔力を込めると針が光り文字盤が鏡のようになった。
『おお~思っていたより早かったな~。元気だったか?』
「ふん、ストーカー野郎のくせに何を今更」
『つれないことを言うなよ。まあいいや。それでご用件は?』
「今俺を殺そうとした平民を匿っている」
『……へえ?』
「こいつを教会に連れて行って治療したあとでしばらく匿ってもらいたい」
『……おいおい、これまた随分な依頼内容だなぁ。俺たち情報屋なんだけど?』
「あいにくと他に適任な奴らを知らないものでな。報酬は弾む」
『お前ねぇ……。まあいいや。別に大した労力でもないし』
通信機から口笛が三回聞こえたと同時に窓がノックされる。
『お前につけていた部下だ。入れてやれ』
言われるままに窓を開けると黒ずくめの人物が一人入ってきた。俺の監視を命じられるなんて不憫な奴。
「入ってきたぞ」
『そいつのそばでくたばっている黒い塊があるはずだ。それを教会まで運べ。んで治療が終わったら俺んところに連れてこい』
カルからの指示を受けた奴は机を一度叩くとヌカヅキを俵担ぎした後、俺に一礼して窓から出て行った。びっくりするほどスムーズだな。
『これでいいですか。お坊ちゃん』
「お前にそう言われると虫唾が走る」
『うっわ傷つくな~』
ケラケラと笑いカルはそのまま通信を切った。本当に便利な奴である。……さてと。
「入ってきて結構ですよ」
ドアに向かって声をかけるとアウルが静かに室内へ入ってきた。
「夜中だというのによく動いてくれたな」
「そういう人たちですから」
「……それで、今後はどう動くつもりだ?」
直球で切り出してきたアウルに俺は一度目を閉じる。油断は禁物だがひとまず原作通りの結末は回避できたと言っていいだろう。しかし疑問点が多数浮上している以上は下手に動くと大惨事になりそうだ。
「まずは帳簿を探しましょう。あれがあんなことになったんです。今頃洗脳も解けている頃でしょうし、ここへ送り出してくださった殿下へのお土産を見繕います」
「それは俺が突っ込まない方がいいことだろうな」
「……今回の件は非常に不可解なことが多すぎます。ヌカヅキとの会話で判明したことですけど」
「そうだな。俺も今回はかなり疑問点がある。たとえば」
「私がネックレスに触れた時に聞こえてきた声、とか」
「声? そんなもの聞こえたか?」
「ええ。直後に炎上したのであれはおそらく黒幕の施したものでしょう」
「ネックレスから背後を特定されるのを防ぐため、か。ヌカヅキという生き証人と物証を同時に消そうとした。背後の勢力はどう見る?」
「さあ? 貴族である以上恨みは四方八方から買っているでしょうからなんとも言えません」
「そうか……。他にも気になることはあるが俺はこれ以上踏み込まない方がいいだろうな」
「そうしていただけると助かります」
アウルは他国の人間だ。介入できることには限度がある。今回の件は国内有数の観光地での出来事だからその扱いは慎重にしなければならない。帰ったら手土産と合わせて殿下に報告だな。あんな内容を他国の人間にバラすわけにはいかないし。
「それはそうと……君にいろいろ言いたいことがあるんだが、いいだろうか?」
「はい?」
「君はいつになったら自重を覚えるんだ。学外ワークの時もフェイバースパイダーの時も今回も、君はやらかしている自覚はあるか?」
「……」
え? ありゃ? なんか雲行きが怪しくなってきたぞ。もしかしてお説教始まってます?
「俺の記憶が正しければ学外ワークの際も君は囮になったよな? あの時も怪我を負っていたと思うんだが、なぜそうも怪我をするような方法を実行する? 自傷癖でもあるんじゃないだろうな?」
「そんなものあるはずないでしょう」
「ではどうして毎度毎度怪我を負うんだ! しかも今回は命を狙われていたんだぞ。俺が間に合ったから良かったようなものの、少しは自分を大事にすることを覚えろ」
あ、やばいこれ。本格的に説教の流れだわ。そんなにガミガミ言わんでもよくない? マジで今回は許せなかったんだよ。
「ホオズキをあのように使われて黙っているわけにはいかなかったものですから」
「はあ? 君は何を言っているんだ」
……あ、いっけね。つい本音が出てしまった。相当疲れているな俺。この状況でこんなことを言ったら。チラリとアウルに目を向けると案の定、麗しい般若がそこにいた。俺、痛恨のミスである。
「……反省の意思はないようだな。アクナイト公子、疲れているところ悪いが、少し話をしようか」
………………朝日が昇るまでには終わりますように。
黒々とした炎はヌカヅキを包み込み瞬く間にヌカヅキを灰にしていく。くそっ……! 燃えているのはおそらくあのネックレスだろう。どうにかしてネックレスをヌカヅキから引きちぎりたいけどこれじゃあ近づきたくても近づけない!
「オルニス公子! 水魔法をお願いします」
「わかった! アクナイト公子はどうするんだ!?」
「おそらく燃えているのはネックレスです。なんとかしてヌカヅキから引き離せないか試してみます」
「……わかった。なんとかして火を弱めてみよう。おそらくこの火には魔法は効きづらいと思うが」
「……お願いします」
アウルの水魔法で俺の周囲に水の障壁が出来上がった。なんかちょっと申し訳ないけど俺は水属性持っていないし。それに早くなんとかしないと、ヌカヅキが死ぬ。
俺は急いでヌカヅキの元に行き、首にかけられていた紐を引き抜くと案の定火元はネックレスだった。元は美しい漆黒の石だったと思われるが今は禍々しい気を帯びながら不気味に赫く輝いている。最初から殺すつもりでなんらかの術式を組み込んでいたのは明らかだけど、黒幕の思惑通りにさせたくない一心でヌカヅキの首元から思いきり引きちぎる。
ネックレスがヌカヅキの体から離れると同時にあれだけ激しく燃えていた炎は跡形もなく消え去った。
「ゲホ、ゲホ……」
あちこち焦げてヒューヒューと不気味な音を立ててはいるが、なんとか息をしているヌカヅキを見て俺は内心安堵のため息を吐く。どうにか口封じは阻止できたみたいだ。目の前で人が死ぬのは見たくなかったから。
さて、ヌカヅキが灰になるのは阻止できたがまだ安心はできない。何せネックレスはまだ元気に輝いているんでね。
「そのネックレスはどうするんだ?」
「持ち帰ってあの変人……魔塔主にでも調べて貰う、と言いたいところですがそれは難しそうです」
そう言った途端不気味な光を発していたネックレスに罅が入り、細かく細かく砕けてやがて跡形も残らず風にさらわれていった。
「証拠隠滅されてしまいましたね」
「……随分と手の込んだことを」
「それほど自分の痕跡を残すのが嫌だったのか、別の意図があったのかは判りませんが詳しい話は後にしましょう。まずはこの場をなんとかしなくては」
「そうだな。ヌカヅキのことはどうする?」
アウルと共々ヌカヅキへ視線を向ける。ふむ、魔力自体は残っているようだがこの状態で魔法薬を使おうものならえらいことになりそうだし、これほどの怪我なら教会へ行って治癒の無属性魔法を持つ人の力を借りる方が早いな。やらかしがやらかしだから秘密裏に匿う必要もありそうだし、どうするかな~。
「……また口封じされかけるのも癪ですし、宿に運び込んで知り合いに引き渡します。この怪我ならば教会に行く方がいいでしょうから」
「わかった。運ぶのは俺がやろう。幸いにも今皆点灯されたホオズキランタンを楽しんでいる頃だろうからな」
「……」
「言っておくが、点灯の瞬間を見られなかったのは君がこんな方法を取ったからだ」
「何も言っていませんが?」
「花への強い執着心をあれだけ見せておいて今更何を言うんだ。まったく、これに懲りたら自分を犠牲にするような計画は立てないように」
大きなお世話じゃい。こんな時に説教など聞きたくありません。俺は疲れました。わざとアウルから視線を外し、カバンを持ってさっさと歩き出す。背後から何やら呆れたようなため息が聞こえた気がするけど、きっと気のせい気のせい。……片付けなければいけないことが山積みなんだから幻聴に気を取られている場合じゃないんでね。
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どうにかヌカヅキを宿の部屋に運び込み、カバンの底に隠していた懐中時計を取り出した。実はこの時計カルから貰った通信機だ。ファルカタに入る前カルから余計な一言を添えたメッセージカードと共に贈られたので、お礼に帰ってからお話をしに行こうと思っている。
蓋を開けて魔力を込めると針が光り文字盤が鏡のようになった。
『おお~思っていたより早かったな~。元気だったか?』
「ふん、ストーカー野郎のくせに何を今更」
『つれないことを言うなよ。まあいいや。それでご用件は?』
「今俺を殺そうとした平民を匿っている」
『……へえ?』
「こいつを教会に連れて行って治療したあとでしばらく匿ってもらいたい」
『……おいおい、これまた随分な依頼内容だなぁ。俺たち情報屋なんだけど?』
「あいにくと他に適任な奴らを知らないものでな。報酬は弾む」
『お前ねぇ……。まあいいや。別に大した労力でもないし』
通信機から口笛が三回聞こえたと同時に窓がノックされる。
『お前につけていた部下だ。入れてやれ』
言われるままに窓を開けると黒ずくめの人物が一人入ってきた。俺の監視を命じられるなんて不憫な奴。
「入ってきたぞ」
『そいつのそばでくたばっている黒い塊があるはずだ。それを教会まで運べ。んで治療が終わったら俺んところに連れてこい』
カルからの指示を受けた奴は机を一度叩くとヌカヅキを俵担ぎした後、俺に一礼して窓から出て行った。びっくりするほどスムーズだな。
『これでいいですか。お坊ちゃん』
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『うっわ傷つくな~』
ケラケラと笑いカルはそのまま通信を切った。本当に便利な奴である。……さてと。
「入ってきて結構ですよ」
ドアに向かって声をかけるとアウルが静かに室内へ入ってきた。
「夜中だというのによく動いてくれたな」
「そういう人たちですから」
「……それで、今後はどう動くつもりだ?」
直球で切り出してきたアウルに俺は一度目を閉じる。油断は禁物だがひとまず原作通りの結末は回避できたと言っていいだろう。しかし疑問点が多数浮上している以上は下手に動くと大惨事になりそうだ。
「まずは帳簿を探しましょう。あれがあんなことになったんです。今頃洗脳も解けている頃でしょうし、ここへ送り出してくださった殿下へのお土産を見繕います」
「それは俺が突っ込まない方がいいことだろうな」
「……今回の件は非常に不可解なことが多すぎます。ヌカヅキとの会話で判明したことですけど」
「そうだな。俺も今回はかなり疑問点がある。たとえば」
「私がネックレスに触れた時に聞こえてきた声、とか」
「声? そんなもの聞こえたか?」
「ええ。直後に炎上したのであれはおそらく黒幕の施したものでしょう」
「ネックレスから背後を特定されるのを防ぐため、か。ヌカヅキという生き証人と物証を同時に消そうとした。背後の勢力はどう見る?」
「さあ? 貴族である以上恨みは四方八方から買っているでしょうからなんとも言えません」
「そうか……。他にも気になることはあるが俺はこれ以上踏み込まない方がいいだろうな」
「そうしていただけると助かります」
アウルは他国の人間だ。介入できることには限度がある。今回の件は国内有数の観光地での出来事だからその扱いは慎重にしなければならない。帰ったら手土産と合わせて殿下に報告だな。あんな内容を他国の人間にバラすわけにはいかないし。
「それはそうと……君にいろいろ言いたいことがあるんだが、いいだろうか?」
「はい?」
「君はいつになったら自重を覚えるんだ。学外ワークの時もフェイバースパイダーの時も今回も、君はやらかしている自覚はあるか?」
「……」
え? ありゃ? なんか雲行きが怪しくなってきたぞ。もしかしてお説教始まってます?
「俺の記憶が正しければ学外ワークの際も君は囮になったよな? あの時も怪我を負っていたと思うんだが、なぜそうも怪我をするような方法を実行する? 自傷癖でもあるんじゃないだろうな?」
「そんなものあるはずないでしょう」
「ではどうして毎度毎度怪我を負うんだ! しかも今回は命を狙われていたんだぞ。俺が間に合ったから良かったようなものの、少しは自分を大事にすることを覚えろ」
あ、やばいこれ。本格的に説教の流れだわ。そんなにガミガミ言わんでもよくない? マジで今回は許せなかったんだよ。
「ホオズキをあのように使われて黙っているわけにはいかなかったものですから」
「はあ? 君は何を言っているんだ」
……あ、いっけね。つい本音が出てしまった。相当疲れているな俺。この状況でこんなことを言ったら。チラリとアウルに目を向けると案の定、麗しい般若がそこにいた。俺、痛恨のミスである。
「……反省の意思はないようだな。アクナイト公子、疲れているところ悪いが、少し話をしようか」
………………朝日が昇るまでには終わりますように。
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