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オッパの嫉妬と溺愛
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スマホからは、ミゲさんからの着信だった。事前に、ミゲさんには『アボジの故郷の日本に1週間帰る』と伝えていた。
「もしもし?」
「良かった!! ミニョちゃん、大変なんだ!! わぁっ!! ちょっと、落ち着け!!」
「?! えっ、ミゲさん? ど、どうしたんですか? なんだか電話から、オッパの声が……それに……」
「ジュヨン!! 落ち着けっ!! 今、ミニョちゃんはニホンなんだからっ!!」
「オッパになにか……」
ミゲさんは寮で拗ねて暴れ回るジュヨンの事を話してくれた。理由が……ミニョの料理が届いておらず、食べられないっ!! と、暴れているという。餌付けした犬が、主人からのご飯以外は受け付けないみたいな状態になった様な気がした。
ミニョは申し訳なく思いつつ、明後日にならないと飛行機で韓国に帰国できない。何しろ、祖父母のいる家は韓国行きの空港までが近くにはなく、長距離バスを使って行かないと帰れない。
明日、長距離バスに乗る予定なのだが……今の状態が続くと、近づいているデビューショーケースに影響を及ぼす。リーダーのグフさんが必死に宥めてきたそうだが……今朝、限界に陥った。グフさんは、疲れ果てて練習中に倒れそうになったらしい。他のメンバーも一緒に宥めてきたが、グフさんより先に疲れ果ててしまった。
「あの、明後日まで……は、無理そうです、よね?」
「もう、こっちのメンバー全員が練習が……どうすれば落ち着いてくれるかが……」
「あの、約束破る事になるかもしれませんが。緊急事態なので、オッパと電話を代わってください!!」
「そっ、そうだな!! この際、代表へはショーケースがダメになるよりは……ジュヨン!!」
ミゲはスマホをジュヨンに渡すと、いきなりミニョに「ミニョのご飯食べたい」「ミニョに逢いたい」「抱きしめたい」「傍に居て欲しい」とまくしたてるように言い始めた。
それを横で見ていたミゲは、ジュヨンとミニョの事情を知っているので、「ここで言うなよ」と心の中で嘆いた。
「ミニョ、なんで、なんで……俺のこと、嫌いなのか?」
「違う!! 連絡しても返信くれなくても、オッパが『戻ってくる』って約束してくれてたから信じてたよ? オッパの事……わたし……お兄ちゃんとしてじゃなくて……最近、好き、なの」
「そ、それって……俺の事、本当に好き? ねぇ、ミニョ? 俺、頑張るから、デビューショーケースに来れるようにミゲさんに、代表にも頼むし。もう、我が儘言ったりしてグフ達困らせないから!!」
「うん。グフさん達に、ちゃんと謝るんだよ? それと、ショーケースにはハルモニと元々ご飯の提供とかで行く予定もあったの」
「ほっ、本当? ショーケースの日にミニョのご飯食べれる?」
「うん。BGエンターテイメント側から正式なお仕事依頼で行く事になってるから、大丈夫」
ミニョの声と話しを聞いて、電話を終えるとミゲと代わり彼からもお礼を言われた。「代表には叱られるだろうけど、大事なデビューショーケース前の練習の状態を知っているから……多分、大丈夫だよ」と心から感謝の言葉を貰った。ミニョは、ショーケースの日は、ジュヨンだけでなく、メンバー全員の好きな食べ物やミゲさんが好きなカレーパン風揚げパンも用意しようと思った。
この、ミニョがデビューショーケースの裏舞台の食事提供スタッフとして行ったことが更にジュヨンは違う感情を持つようになる。そして、S.treet以外のボーイズグループの目に留まる事にも……。
――韓国帰国後――
無事に夏休みの課題も終えたミニョは、ハルモニの食堂で残りの夏休みもアルバイトに来ていた。アルバイトに復帰する日を事前にミゲさんには連絡を入れておいた。すると、いつもよりも多い品数で配達での注文を受けていたのでミニョは一生懸命に作った。
「ミニョちゃん、今回の配達。数が多いのと、ミニョちゃんだけで作ったので頼みたいんだ」
「えっと、ジュヨ……オッパがまだ食べてないですから、良いですよ」
「うーん、ジュヨンだけでなくて……代表も食べたがっていたんだ。実は……あっ、あと、S.treetのメンバー全員分もなんだ」
「代表が? わたしの作った食事を? お口に合うといいんですけど……」
「大丈夫!! カレーパン風揚げパン布教で、君の食事を他のも食べたい!! って、前々から言っていたんだよ」
「ありがとうございます。分かりました。頑張ります!!」
合計の数が、かなりになったがハルモニは、ショーケースでの食事提供の仕事練習にもなるからと。実地練習だと思って、心を込めてしっかり作ることを教わった。
時間に合わせて、ミニョはBGエンターテイメントの入館許可証を持って、食堂のスタッフと一緒に行った。すると、ビルの一室に案内され、テーブルにそれぞれの名前のシールを貼った弁当ケースを置いた。そして、カレーパン風揚げパンとヤンニョムチキンを数種類、テーブルに分けて置く。
テーブルに食事の準備が終えた瞬間、待っていたお腹を空かせた大型犬たち……もとい、S.treetのメンバー全員と、ミゲさんと代表が入って来た。
「いつもご利用ありがとうございます。ご注文の食事をお持ちしました。お好みのものが違うので、ケースに名前を書いたシールが貼ってあります」
「おぉ、こういう気配りができるのは君くらいだ!! ミニョさん!! やはり、ハルモニの食堂に君が入ってから更に良くなって繁盛しているらしいね? 食堂が好きなわたしとしては、なかなか行けなくて寂しかったんだよ」
「代表、ありがとうございます。ハルモニにも伝えておきます」
「ミゲさん……その、この間はごめんなさい。メンバーの皆さんも大事なデビューショーケース前に、大変ご迷惑おかけしました!!」
ミニョが深々と頭を下げて謝る。ジュヨンは、それに倣って皆に頭を下げた。電話のあと、ジュヨンは直ぐにメンバーやミゲ、代表にも謝ったらしい。ミニョまでも頭を下げるとは思わず、「大丈夫だよ、もう練習も出来るし。なにより、今日はミニョちゃんの作ったご飯が食べれるから嬉しんだ!!」ミゲたちは口々にミニョに逆に感謝していた。
久しぶりに逢ったミニョに対してジュヨンは、少しミニョへどう接しようか? 考えあぐねていた。昔みたいに、キスをしたい……抱きしめたい……だけど、今は我慢しないと。
食事を始めると、口々にミニョの作った料理に感嘆しながら食べている。それを近くで見れたミニョは心から嬉しくなった。ハルモニの食堂で一緒に作った料理で、お客さんが笑顔になってくれるのが嬉しい。今も、目の前の人たちが、幸せそうに食べている。
「……わたし、料理で幸せにしたい……皆の笑顔、見たい。S.treetの皆が、ファンダムに笑顔と幸せを与えるみたいに、わたしは料理で皆を支えたい……」
気が付いたら、ミニョはみんなが居る前でそう口にしていた。心からそう思った。頑張る彼らの支えに、何より、オッパ……ジュヨンを支えたい。わたしの願いを叶えようと頑張ってくれているジュヨンを傍で支えて、笑顔と幸せにしたい。
瞳から大粒の涙があふれだして、「……支えたい……」と何度も口にしている。
代表は席から立ち、ミニョの傍に行き抱きしめた。
「君の、ミニョさんの料理はわたしをも元気にしてくれる。君が今の高校を卒業したら、この子たちを料理で支えてくれるかい? お願いしたい」
「うっ……はい!! わたし、もっと腕を磨いて、美味しいだけじゃなくて皆を支えられる料理作りたいです!!」
「ミニョさん、君だから、お願いしたいんだ。後で、契約しようね? 先に契約しないと、他の会社に採られてしまうからね? ハルモニには、連絡を入れるから安心して?」
「はい、お願いします!!」
代表は実の娘のように、ミニョを優しい眼差しで見てからジュヨンの方をちらりと見やり、『これで安心できるだろ?』と口パクで言う。それを知ったミゲは、代表の方が何枚も上手だと更に感じた。
ジュヨンのあの時の拗ねての暴れっぷりというのは、代表も見てしまったのだから……「ミニョのじゃないとヤダー!!」「ミニョを補給したい~~~!!」と段々訳わからないことを言い始めていたのだから。
しまいには、「ミニョとキスできないなら練習しない!!」と言い放った。これに、グフが限界の糸が切れて倒れ果てた。「キスって……」と、言い気を失った。
――デビューショーケース当日――
テレビ局内の大スタジオで、BGエンターテイメントグループの新人アイドル・S.treetのデビューショーケースの準備が着々と進んでいく。
リハーサルをし、休憩の間にハルモニの食堂で準備されたメンバー達だけでなく、ショーケースに関わる人達の食事提供も用意してきた。夏休みの終わり近くで、その日は、食堂も臨時休業にした。かき入れ時だったが、こちらの方が一日の売り上げははるかに上で1週間分の売り上げに近いらしい。
商売人の亡くなった夫の受け売りがあるハルモニは、電卓をたたいて喜んでいた。
「ミニョに脚を向けて寝られないねぇ……BGエンターテイメントの代表も人が悪いよ。わたしの大事な孫と、専属契約だなんてさ」
「ハルモニ……それは、わたしが言いだして、泣いたから……」
「ミニョさんは、大事なうちのS.treetの専属料理スタッフだよ?」
「だ、代表?」
「はぁ、あんたは昔っから人が悪いよ。まぁ、良い意味だけどね。たくっ、お前ときたらなかなか実家に帰らないし」
「えっ? 実家?」
「こいつは、わたしの妹の息子だよ? 気が付かなかったかい? ミニョ?」
「えっ、えっ、えぇぇぇぇ!!」
灯台下暗しというのか、ハルモニの妹の息子はBGエンターテイメントグループの代表だと。今、判明し混乱しそうだった。たしかに、面影にハルモニと似たところもあるし、商売っ気もあるし、でも優しい人なのは知っている。何となく似ていて、思わず笑顔になった。それを見た二人は、「ミニョは何を笑っているんだろう?」と不思議に言い合った。
控室の食事場所に並んだ弁当だけでなく、スタッフ達の休憩スペースが少ない中、皆が「こんなに旨いの初めてだ!!」「あのハルモニの食堂だろ? ついてるよな、俺たち!!」「このトッポギの辛さ、堪らないわ!!」などと口々に聴こえてくる。
聴こえてくるスタッフたちの声や、見た表情の笑顔にミニョの心は満たされる。
S.treetのメンバー全員は、衣装着替え前に食事で年ごろの食べ盛りの男の子という食べっぷり。「やっぱりこのチキン最高だわ!!」「俺の好きなチゲ風があるし、ミニョちゃんのメニュー最高だわ!!」と口々に言っていると。
「料理は食べていいけど、ミニョだけはダメ」
と、真顔でメンバーに向かってジュヨンが言い放った。
沈黙の後、デビューショーケースを直前に、心の中で『料理は食べていいけど、ミニョちゃんはダメって……ジュヨンはミニョちゃんに特別な感情がある?! きょ、兄妹だよな?! えっ、えぇぇぇ!! き、禁断の恋ってやつをコイツしてるのかぁ????』と叫んでいる。メンバー全員が。
グフがミゲのところに行き、食事での出来事を言ったジュヨンの言葉の後からメンバー全員が頭を混乱させていると相談した。
「んー。グフには伝えておいた方がいいか、まぁ、そのうち全員に話すけど」
「な、なんですか? やっぱり、ジュヨンは……ミニョちゃんとき、きんだ……」
「違う、違う。あの2人再婚の連れ子同士で、血の繋がり全くないし、ミニョちゃんは韓国人じゃなくて日本人」
「えっ? 血の繋がりがない? 日本人? いや、ミニョちゃんって韓国人じゃ……」
「もともと日本人学校でも合わなくて韓国の学校に普通に通えてたくらいに韓国語を小さい頃から話せてたんだよ」
「そうなんですね……でも、あのジュヨンのミニョちゃんへの態度って……ミニョちゃん殆ど気づいてないです、よね」
「まぁ、そこが観ていて楽しいけどね」
「ミゲさんも、人が悪いというか……まぁ、事情が分かったんで皆にはショーケースの前に誤解をミゲさんから解いてください」
「えぇ、もうちょっと楽しみたかったけど……ショーケースが大事だし、ミニョちゃんの願いを叶えてあげたいから」
グフはやれやれ、と思いつつ。小さく芽生えていたミニョへの感情は、恋心ではなく、大事な兄弟みたいなメンバーのジュヨンの大切な想い人で、自分にとってはメンバー全員が夢を叶えるのを支えてくれる大事なS.treetの一員で妹みたいな存在だと判った。
グフは、メンバー達のところへ戻ると……ジュヨンは他のメンバー達に「わかったら、ミニョはダメ」と言っていた。こいつはこいつで、言葉が足りなさすぎる……グフは、練習生で一緒にグループ練習するようになってからジュヨンの小さな機微で感情が変わることや、ミニョちゃんの前でだけは感情が抑えられていないのは分かるようになった。そして、何より、日ごろから口数が少ないだけでなく言葉が足りなさ過ぎてメンバー達とミゲ達講師以外には、ほとんど、いや全くもって通じない。
誤解が解けた中で迎えたデビューショーケースの舞台では、口数が少ない中で、堂々としたパフォーマンスが新しいファン層を掴み、S.treetのそれぞれのキャラクターがMCの進行により話も弾んで楽しく時間が過ぎていく。
バックステージで、休憩用の飲み物を準備し足りないものを貰いに別スタジオの方へと向かったミニョはとあるアイドルグループとぶつかりそうになった。
新人アイドルで人気が出始めた、JYAM-BUGというクールなイケメングループだった。K-POPアイドル好きなミニョも知っているが……ファンダムの友人に、中でもリードボーカルでメインダンサーのリィンが格好いいと聴いていた。ミニョは慌てて謝ると、リィンがじっと見ている視線に気が付いた。
鈍感すぎて、ジュヨンの好き好きアピールすらスキンシップと思い込んでいた10年でやっと、異性として意識し始めたミニョなので。このリィンの視線が、気になった。『な、なんか……オッパと同じ瞳で見てるよ』と内心焦る。早く戻らないと、飲み物の準備が間に合わない、慌ててもう一度謝って目的の場所へ行こうとすると彼がミニョの手を掴んだ。
「リィン、どうした?」
「俺、好きになった。この子の事」
「「「「はっぁぁっぁぁl?????」」」」
「えっ? わ、わたし、仕事が、急いでるので!!」
そう言い、何とか手を離してもらい走り出す。その後ろ姿を、リィンは見つめながら「可愛い……俺の好きな子、運命の子、見つけた」と。リィンは何かと「運命の子が見つかるんだ!!」と言っていたが、まさか……という表情でメンバーは惚けている彼の顔を見た。クールさはどこへ行った、と言わんばかりのデレデレ顔。入館許可証に書いてあった、名前と写真の顔、所属を瞬時で覚えたリィン。
「俺、ミニョちゃんと結婚したい」
「ちょっ、待て!! どこで名前……お前、憶えるの早いけど……それをここで発揮はヤバいぞ」
「リィン、テレビ局内だから気を付けろよ?」
「俺の未来の奥さん、また逢おうね」
「あぁ、ダメだ……収録後で良かったけどさ……」
デレデレでミニョの名前を連呼しているのを、JYAMのリーダーに引きずられあるいていた。デビューショーケースが終わったS.treetのメンバー達が、スタジオ出口でJYAM-BUGと出会った。
ミニョの名前を耳にしたジュヨンが、リィンを威嚇する瞳で見つめた。
「先輩、お疲れ様です!!」
「お疲れ様。S.treetは今日がデビューショーケースだったけ?」
「はい!!」
「ミニョちゃんって、君たちのとこの専属スタッフ? 俺、ミニョちゃんの事好きになった」
「ばっ、リィン!!」
「ダメ、ミニョはダメ」
「………………」
沈黙する2グループのところに、ミニョが荷物を持って戻ってくると……大型犬が尻尾を振って、「ミニョ、俺頑張った!! ご褒美のポッポして?」「ミニョちゃん、一目で好きになった!!」と言ってくる。
全員、テレビ局内だ、ここは!! と、叫びたくなった。
ミゲと、JYAMのマネージャーが2人の口を塞いだ。塞がれている口から、「ミニョ大好き――――!!」が漏れている。さらに、2人は威嚇し始めてしまい……ミニョは「ご褒美いらないなら、いい? オッパ?」とジュヨンに言い。「リィンさん、初対面のわたしに言ってくださったのは気持ちとして嬉しいですが……ここ、テレビ局内ですよ? 場所、わきまえましょう? ふ・た・り・と・も」と加えて言う。
瞬間、大人しくなった。JYAM-BUGのリーダーは内心、『あっ、俺、今、ドキドキしてる。やべぇ、この子の云い方マジ好きになって反応しちまう』と。最近、性的欲求を満たすモノがなく溜まりに溜まった挙句、JYAMのリーダーはミニョの云っている言葉のトーンと表情で性的興奮が激しくなった。
『マジキタ……あぁ、やべぇ彼女にあんな風に云われて……彼女に犯されるようにシたい……ガン勃ちしてきた』
『ミニョちゃんに叱られたら、俺、興奮してる……ダメだ、勃ってきてる。あぁ、自分の我慢できないの出てるのわかる』
リーダーはリーダーで興奮状態になり、半勃ち。リィンも半勃ち。衣装がたまたまズボンを隠す長めのコートで分かりにくいが……男性陣は、理解してしまった。コイツら、ミニョちゃんの彼女の言い方と表情でキた、と。M属性かよっ!! それとも、女性優位好き? 訳わかんねぇけど、ここはテレビ局内だっ!! と。
それからというものの、JYAM-BUGのリーダーとリィンの2人がミニョを見かけると、声を掛けてくるようになった。それも、冷たく「ここはテレビ局内ですよ?」と云われたりしても2人は嬉しそうな表情ばかり。しまいには、怒られたくて、仕方ない変態大型犬に出来上がった。
2人が近づいてくるのを察知すると、ジュヨンがすかさず先輩たちとはいえ、ミニョを護ろうと必死に壁を作る。
「俺はミニョちゃんとご飯の話しをしてたんだ」
「いいじゃないか!! お前たちは、専属契約でいる時間がたくさんだろ? 少しくらい時間を分けてくれ!!」
「あの、わたしは仕事できていて、先輩たちもお仕事が控えてますよね?」
「ミニョちゃんにそう云われると、お兄さん嬉しすぎる」
「俺も、ミニョちゃんに怒られて叱られたい!!」
「……仕事、しなさい!! 先輩たち!!」
あきれ果てて、もう、そういわないとこの2人は仕事に行かないのだ。挙句、JYAM-BUGのマネージャーに『2人が仕事に行こうとしなかったら、怒って叱ってくれないか? 頼む!!』と頭を下げられたのだ。
2人はミニョに叱られたり怒られた日は、性的興奮が激しくなり、寮で彼女の事を考えすぎて自慰行為が過剰になっているのか……他のメンバーはその時間帯は、合同練習という名目でしばらく避難している。
「っ、はぁ、ミニョちゃぁん!! もっとシてぇ!! イィ、気持ちイィ!! ミニョちゃぁん!!」
「俺の運命の人ぉ、ミニョちゃんに、そんな風に扱われるの気持ちいい!! あっ、あぁ、あぁ!! 気持ちイィ!!」
「「い、イィ、イクイクッ!! 出るぅ!! とまらないぃ!! 腰、うごくぅ!!」」
「「ミニョちゃん気持ちイィ、もっと、罵って、いぃいぃ!」」
寮に戻って来たメンバーは、いつもなら大丈夫な時間帯の筈だったが……2人の興奮が冷めておらず、寒空の中、またレッスン室に行くか悩んだ。挙句、悩んでいても2人の興奮自慰行為の喘ぐ声が部屋から漏れ聞こえて……メンバー達は、最近、性的欲求を満たされていない状態を呼び戻されて部屋に行き……シてしまった。何度も何度も……あの時、リィンに言ったミニョの表情と瞳が思い出されてしまい。テレビ局内で見かける可愛い笑顔。
堪らない興奮状態になり、あの可愛い笑顔が……自分を求めてやまなくて、可愛く喘いで啼いて……堪らず精を放つ。一度や二度では、もう、足らない。
気が付いたら、明け方近くまで勃っている状態で、朝の半勃ちすら半勃ちではない。完全たるもので、朝から、全員、もう、時間の許す限りミニョを思い浮かべて激しく腰を動かし精を放って惚けていた。もう、気が付いたら、頭の中はミニョの事でいっぱいになっていく日にJYAM-BUGのメンバー全員がなり、新曲では、色気が増して堪らないとファンダムの間では凄かった。
裏では、メンバー達の性的興奮&好きな人=ミニョという存在ができたから……だが。
ジュヨンは、気が気ではなく苛々する様になった。行く先々で、ミニョの魅力に気が付いた男が隙あらば声を掛ける。自分が収録や生番組の時は助けたり、守れないもどかしさ……そんな中、ミゲさんが周りのBGエンターテイメントグループのスタッフ達と協力をはじめミニョを護ってくれる手伝いをしてくれるようになった。
『代表がさ、可愛い母の姉の孫娘を護れないなら専属契約辞めさせるって、おど……言ってきてね』と。
ハルモニは怒ると恐い。契約書の追加項目に、わたしの仕事に支障が出ない様に周りのスタッフの連携と護衛も兼ねると。護衛って何だろう? とは思ったが、仕事に支障が出始めていたし、困ってミゲさんに早めに相談したのが功を奏した。
オッパが後から、「なんで俺に言ってくれなかったの?」と少し拗ねていた。でも、ジュヨンはジュヨンなりに、一生懸命護ろうと空き時間は近くに居てくれたのが凄く嬉しかったし負担はこれ以上かけたくなかった。
きちんと気持ちを伝えると、「仲直りのキス、しよ? 頬じゃなくて、ここ」と、唇を指さした。誰も居ない小さな控室で、ジュヨンの唇に自分の唇を重ねようとすると、ぐぃっと引き寄せられジュヨンと軽いのではなく……口の中に舌が滑り込み腔内を貪り唇を食みクチュクチュと厭らしい水音を口の中で立ててキスをした。
とても長いキスで脚が震え、胸元に違和感を感じた。乳首が……下着に擦れておかしな感覚になって甘い声が出てしまっていた。
小さな吐息をすると、再び、ジュヨンに甘く激しい大人のキスをされる。
S.treetがデビューショーケースして、ミニョが科英高校を卒業した年に、ミニョはJYAM-BUGメンバー達のアピールに合うようになってからジュヨンと異性としてのキスを初めてした。
恥ずかしくてムズかゆくて、でも、嬉しくて。彼の腕に縋り付いて、キスに応える。唇から漏れ聞こえる声は、女の子の声ではなく、成長し始めた、女性として目覚め始めた女の子の甘い声。ジュヨンは嬉しくて、彼女との大切な時間の中でキスで自分の気持ちを行動で現わし、耳元で『ミニョを愛してる。女として。妹じゃないよ』と、何度も何度も分からせるように囁く。
「んっ、ぁ……ジュヨ、ン……す、きぃ……」
「俺はずっとずっと好きだよ……もっとキスと、ココ、気にしてる」
「んぁ、はぁ……だ、だめ……声、がま、ん、できな、く……あっ、あぁ、あっ」
「キスしながら胸気持ちよくなろうね?」
そういうと、ジュヨンはミニョの口を塞いで舌を激しく絡めあいながら、尖っている乳首を服の中に手を滑り込ませて下着の中から探り当てコリコリと指先で弄ったり摘まんだり胸全体も揉みしだいて刺激し始め……太ももの間に、彼の鍛え抜かれた足が滑り込み下半身が激しく刺激され全身が敏感に反応していく。
激しさがまし、ミニョは耐えきれない状態が何度も何度も繰り返されて最期絶頂を迎えるとき、彼の激しいキスと供にイッた。
「俺も気持ちよかった……コレ、ちょっと落ち着かせてから行く」
彼の視線を辿ると、ズボンが異様に膨らみ、男性のが反応しているのが明らかに分かった。ミニョは彼にキスしながら、ズボンの中に手をゆっくり滑り込ませ「今度は……わたしが、シたいの」と甘いおねだりをした。
ジュヨンは彼女のおねだりを受け入れ、初めて彼女の手と口で本当の意味で気持ちよさを憶えた。
「ミニョ、俺、もう、我慢しない」
「えっ?!」
「順番、逆になったけど。俺の恋人になって?」
「……うん……してくれる? オッパの恋人に」
「ミニョの願いも叶える」
「ジュヨンの傍で支える」
「なんか、結婚式の宣誓みたい、だな」
「わたし……奥さんに、なり、たい」
「っ!! ミニョ、今、それ云われたら……可愛すぎる」
後日、わたしはまたオッパに、ジュヨンに甘やかされる。ドロドロにとかされてキスされて……。彼の気持ちが行動に現わされて、言葉に現わされて・・・・・・。
アイドルとして成長していくジュヨン達を、食事サポーターとして一緒に行動して気が付いたらデビューショーケースから1年になった。
「もしもし?」
「良かった!! ミニョちゃん、大変なんだ!! わぁっ!! ちょっと、落ち着け!!」
「?! えっ、ミゲさん? ど、どうしたんですか? なんだか電話から、オッパの声が……それに……」
「ジュヨン!! 落ち着けっ!! 今、ミニョちゃんはニホンなんだからっ!!」
「オッパになにか……」
ミゲさんは寮で拗ねて暴れ回るジュヨンの事を話してくれた。理由が……ミニョの料理が届いておらず、食べられないっ!! と、暴れているという。餌付けした犬が、主人からのご飯以外は受け付けないみたいな状態になった様な気がした。
ミニョは申し訳なく思いつつ、明後日にならないと飛行機で韓国に帰国できない。何しろ、祖父母のいる家は韓国行きの空港までが近くにはなく、長距離バスを使って行かないと帰れない。
明日、長距離バスに乗る予定なのだが……今の状態が続くと、近づいているデビューショーケースに影響を及ぼす。リーダーのグフさんが必死に宥めてきたそうだが……今朝、限界に陥った。グフさんは、疲れ果てて練習中に倒れそうになったらしい。他のメンバーも一緒に宥めてきたが、グフさんより先に疲れ果ててしまった。
「あの、明後日まで……は、無理そうです、よね?」
「もう、こっちのメンバー全員が練習が……どうすれば落ち着いてくれるかが……」
「あの、約束破る事になるかもしれませんが。緊急事態なので、オッパと電話を代わってください!!」
「そっ、そうだな!! この際、代表へはショーケースがダメになるよりは……ジュヨン!!」
ミゲはスマホをジュヨンに渡すと、いきなりミニョに「ミニョのご飯食べたい」「ミニョに逢いたい」「抱きしめたい」「傍に居て欲しい」とまくしたてるように言い始めた。
それを横で見ていたミゲは、ジュヨンとミニョの事情を知っているので、「ここで言うなよ」と心の中で嘆いた。
「ミニョ、なんで、なんで……俺のこと、嫌いなのか?」
「違う!! 連絡しても返信くれなくても、オッパが『戻ってくる』って約束してくれてたから信じてたよ? オッパの事……わたし……お兄ちゃんとしてじゃなくて……最近、好き、なの」
「そ、それって……俺の事、本当に好き? ねぇ、ミニョ? 俺、頑張るから、デビューショーケースに来れるようにミゲさんに、代表にも頼むし。もう、我が儘言ったりしてグフ達困らせないから!!」
「うん。グフさん達に、ちゃんと謝るんだよ? それと、ショーケースにはハルモニと元々ご飯の提供とかで行く予定もあったの」
「ほっ、本当? ショーケースの日にミニョのご飯食べれる?」
「うん。BGエンターテイメント側から正式なお仕事依頼で行く事になってるから、大丈夫」
ミニョの声と話しを聞いて、電話を終えるとミゲと代わり彼からもお礼を言われた。「代表には叱られるだろうけど、大事なデビューショーケース前の練習の状態を知っているから……多分、大丈夫だよ」と心から感謝の言葉を貰った。ミニョは、ショーケースの日は、ジュヨンだけでなく、メンバー全員の好きな食べ物やミゲさんが好きなカレーパン風揚げパンも用意しようと思った。
この、ミニョがデビューショーケースの裏舞台の食事提供スタッフとして行ったことが更にジュヨンは違う感情を持つようになる。そして、S.treet以外のボーイズグループの目に留まる事にも……。
――韓国帰国後――
無事に夏休みの課題も終えたミニョは、ハルモニの食堂で残りの夏休みもアルバイトに来ていた。アルバイトに復帰する日を事前にミゲさんには連絡を入れておいた。すると、いつもよりも多い品数で配達での注文を受けていたのでミニョは一生懸命に作った。
「ミニョちゃん、今回の配達。数が多いのと、ミニョちゃんだけで作ったので頼みたいんだ」
「えっと、ジュヨ……オッパがまだ食べてないですから、良いですよ」
「うーん、ジュヨンだけでなくて……代表も食べたがっていたんだ。実は……あっ、あと、S.treetのメンバー全員分もなんだ」
「代表が? わたしの作った食事を? お口に合うといいんですけど……」
「大丈夫!! カレーパン風揚げパン布教で、君の食事を他のも食べたい!! って、前々から言っていたんだよ」
「ありがとうございます。分かりました。頑張ります!!」
合計の数が、かなりになったがハルモニは、ショーケースでの食事提供の仕事練習にもなるからと。実地練習だと思って、心を込めてしっかり作ることを教わった。
時間に合わせて、ミニョはBGエンターテイメントの入館許可証を持って、食堂のスタッフと一緒に行った。すると、ビルの一室に案内され、テーブルにそれぞれの名前のシールを貼った弁当ケースを置いた。そして、カレーパン風揚げパンとヤンニョムチキンを数種類、テーブルに分けて置く。
テーブルに食事の準備が終えた瞬間、待っていたお腹を空かせた大型犬たち……もとい、S.treetのメンバー全員と、ミゲさんと代表が入って来た。
「いつもご利用ありがとうございます。ご注文の食事をお持ちしました。お好みのものが違うので、ケースに名前を書いたシールが貼ってあります」
「おぉ、こういう気配りができるのは君くらいだ!! ミニョさん!! やはり、ハルモニの食堂に君が入ってから更に良くなって繁盛しているらしいね? 食堂が好きなわたしとしては、なかなか行けなくて寂しかったんだよ」
「代表、ありがとうございます。ハルモニにも伝えておきます」
「ミゲさん……その、この間はごめんなさい。メンバーの皆さんも大事なデビューショーケース前に、大変ご迷惑おかけしました!!」
ミニョが深々と頭を下げて謝る。ジュヨンは、それに倣って皆に頭を下げた。電話のあと、ジュヨンは直ぐにメンバーやミゲ、代表にも謝ったらしい。ミニョまでも頭を下げるとは思わず、「大丈夫だよ、もう練習も出来るし。なにより、今日はミニョちゃんの作ったご飯が食べれるから嬉しんだ!!」ミゲたちは口々にミニョに逆に感謝していた。
久しぶりに逢ったミニョに対してジュヨンは、少しミニョへどう接しようか? 考えあぐねていた。昔みたいに、キスをしたい……抱きしめたい……だけど、今は我慢しないと。
食事を始めると、口々にミニョの作った料理に感嘆しながら食べている。それを近くで見れたミニョは心から嬉しくなった。ハルモニの食堂で一緒に作った料理で、お客さんが笑顔になってくれるのが嬉しい。今も、目の前の人たちが、幸せそうに食べている。
「……わたし、料理で幸せにしたい……皆の笑顔、見たい。S.treetの皆が、ファンダムに笑顔と幸せを与えるみたいに、わたしは料理で皆を支えたい……」
気が付いたら、ミニョはみんなが居る前でそう口にしていた。心からそう思った。頑張る彼らの支えに、何より、オッパ……ジュヨンを支えたい。わたしの願いを叶えようと頑張ってくれているジュヨンを傍で支えて、笑顔と幸せにしたい。
瞳から大粒の涙があふれだして、「……支えたい……」と何度も口にしている。
代表は席から立ち、ミニョの傍に行き抱きしめた。
「君の、ミニョさんの料理はわたしをも元気にしてくれる。君が今の高校を卒業したら、この子たちを料理で支えてくれるかい? お願いしたい」
「うっ……はい!! わたし、もっと腕を磨いて、美味しいだけじゃなくて皆を支えられる料理作りたいです!!」
「ミニョさん、君だから、お願いしたいんだ。後で、契約しようね? 先に契約しないと、他の会社に採られてしまうからね? ハルモニには、連絡を入れるから安心して?」
「はい、お願いします!!」
代表は実の娘のように、ミニョを優しい眼差しで見てからジュヨンの方をちらりと見やり、『これで安心できるだろ?』と口パクで言う。それを知ったミゲは、代表の方が何枚も上手だと更に感じた。
ジュヨンのあの時の拗ねての暴れっぷりというのは、代表も見てしまったのだから……「ミニョのじゃないとヤダー!!」「ミニョを補給したい~~~!!」と段々訳わからないことを言い始めていたのだから。
しまいには、「ミニョとキスできないなら練習しない!!」と言い放った。これに、グフが限界の糸が切れて倒れ果てた。「キスって……」と、言い気を失った。
――デビューショーケース当日――
テレビ局内の大スタジオで、BGエンターテイメントグループの新人アイドル・S.treetのデビューショーケースの準備が着々と進んでいく。
リハーサルをし、休憩の間にハルモニの食堂で準備されたメンバー達だけでなく、ショーケースに関わる人達の食事提供も用意してきた。夏休みの終わり近くで、その日は、食堂も臨時休業にした。かき入れ時だったが、こちらの方が一日の売り上げははるかに上で1週間分の売り上げに近いらしい。
商売人の亡くなった夫の受け売りがあるハルモニは、電卓をたたいて喜んでいた。
「ミニョに脚を向けて寝られないねぇ……BGエンターテイメントの代表も人が悪いよ。わたしの大事な孫と、専属契約だなんてさ」
「ハルモニ……それは、わたしが言いだして、泣いたから……」
「ミニョさんは、大事なうちのS.treetの専属料理スタッフだよ?」
「だ、代表?」
「はぁ、あんたは昔っから人が悪いよ。まぁ、良い意味だけどね。たくっ、お前ときたらなかなか実家に帰らないし」
「えっ? 実家?」
「こいつは、わたしの妹の息子だよ? 気が付かなかったかい? ミニョ?」
「えっ、えっ、えぇぇぇぇ!!」
灯台下暗しというのか、ハルモニの妹の息子はBGエンターテイメントグループの代表だと。今、判明し混乱しそうだった。たしかに、面影にハルモニと似たところもあるし、商売っ気もあるし、でも優しい人なのは知っている。何となく似ていて、思わず笑顔になった。それを見た二人は、「ミニョは何を笑っているんだろう?」と不思議に言い合った。
控室の食事場所に並んだ弁当だけでなく、スタッフ達の休憩スペースが少ない中、皆が「こんなに旨いの初めてだ!!」「あのハルモニの食堂だろ? ついてるよな、俺たち!!」「このトッポギの辛さ、堪らないわ!!」などと口々に聴こえてくる。
聴こえてくるスタッフたちの声や、見た表情の笑顔にミニョの心は満たされる。
S.treetのメンバー全員は、衣装着替え前に食事で年ごろの食べ盛りの男の子という食べっぷり。「やっぱりこのチキン最高だわ!!」「俺の好きなチゲ風があるし、ミニョちゃんのメニュー最高だわ!!」と口々に言っていると。
「料理は食べていいけど、ミニョだけはダメ」
と、真顔でメンバーに向かってジュヨンが言い放った。
沈黙の後、デビューショーケースを直前に、心の中で『料理は食べていいけど、ミニョちゃんはダメって……ジュヨンはミニョちゃんに特別な感情がある?! きょ、兄妹だよな?! えっ、えぇぇぇ!! き、禁断の恋ってやつをコイツしてるのかぁ????』と叫んでいる。メンバー全員が。
グフがミゲのところに行き、食事での出来事を言ったジュヨンの言葉の後からメンバー全員が頭を混乱させていると相談した。
「んー。グフには伝えておいた方がいいか、まぁ、そのうち全員に話すけど」
「な、なんですか? やっぱり、ジュヨンは……ミニョちゃんとき、きんだ……」
「違う、違う。あの2人再婚の連れ子同士で、血の繋がり全くないし、ミニョちゃんは韓国人じゃなくて日本人」
「えっ? 血の繋がりがない? 日本人? いや、ミニョちゃんって韓国人じゃ……」
「もともと日本人学校でも合わなくて韓国の学校に普通に通えてたくらいに韓国語を小さい頃から話せてたんだよ」
「そうなんですね……でも、あのジュヨンのミニョちゃんへの態度って……ミニョちゃん殆ど気づいてないです、よね」
「まぁ、そこが観ていて楽しいけどね」
「ミゲさんも、人が悪いというか……まぁ、事情が分かったんで皆にはショーケースの前に誤解をミゲさんから解いてください」
「えぇ、もうちょっと楽しみたかったけど……ショーケースが大事だし、ミニョちゃんの願いを叶えてあげたいから」
グフはやれやれ、と思いつつ。小さく芽生えていたミニョへの感情は、恋心ではなく、大事な兄弟みたいなメンバーのジュヨンの大切な想い人で、自分にとってはメンバー全員が夢を叶えるのを支えてくれる大事なS.treetの一員で妹みたいな存在だと判った。
グフは、メンバー達のところへ戻ると……ジュヨンは他のメンバー達に「わかったら、ミニョはダメ」と言っていた。こいつはこいつで、言葉が足りなさすぎる……グフは、練習生で一緒にグループ練習するようになってからジュヨンの小さな機微で感情が変わることや、ミニョちゃんの前でだけは感情が抑えられていないのは分かるようになった。そして、何より、日ごろから口数が少ないだけでなく言葉が足りなさ過ぎてメンバー達とミゲ達講師以外には、ほとんど、いや全くもって通じない。
誤解が解けた中で迎えたデビューショーケースの舞台では、口数が少ない中で、堂々としたパフォーマンスが新しいファン層を掴み、S.treetのそれぞれのキャラクターがMCの進行により話も弾んで楽しく時間が過ぎていく。
バックステージで、休憩用の飲み物を準備し足りないものを貰いに別スタジオの方へと向かったミニョはとあるアイドルグループとぶつかりそうになった。
新人アイドルで人気が出始めた、JYAM-BUGというクールなイケメングループだった。K-POPアイドル好きなミニョも知っているが……ファンダムの友人に、中でもリードボーカルでメインダンサーのリィンが格好いいと聴いていた。ミニョは慌てて謝ると、リィンがじっと見ている視線に気が付いた。
鈍感すぎて、ジュヨンの好き好きアピールすらスキンシップと思い込んでいた10年でやっと、異性として意識し始めたミニョなので。このリィンの視線が、気になった。『な、なんか……オッパと同じ瞳で見てるよ』と内心焦る。早く戻らないと、飲み物の準備が間に合わない、慌ててもう一度謝って目的の場所へ行こうとすると彼がミニョの手を掴んだ。
「リィン、どうした?」
「俺、好きになった。この子の事」
「「「「はっぁぁっぁぁl?????」」」」
「えっ? わ、わたし、仕事が、急いでるので!!」
そう言い、何とか手を離してもらい走り出す。その後ろ姿を、リィンは見つめながら「可愛い……俺の好きな子、運命の子、見つけた」と。リィンは何かと「運命の子が見つかるんだ!!」と言っていたが、まさか……という表情でメンバーは惚けている彼の顔を見た。クールさはどこへ行った、と言わんばかりのデレデレ顔。入館許可証に書いてあった、名前と写真の顔、所属を瞬時で覚えたリィン。
「俺、ミニョちゃんと結婚したい」
「ちょっ、待て!! どこで名前……お前、憶えるの早いけど……それをここで発揮はヤバいぞ」
「リィン、テレビ局内だから気を付けろよ?」
「俺の未来の奥さん、また逢おうね」
「あぁ、ダメだ……収録後で良かったけどさ……」
デレデレでミニョの名前を連呼しているのを、JYAMのリーダーに引きずられあるいていた。デビューショーケースが終わったS.treetのメンバー達が、スタジオ出口でJYAM-BUGと出会った。
ミニョの名前を耳にしたジュヨンが、リィンを威嚇する瞳で見つめた。
「先輩、お疲れ様です!!」
「お疲れ様。S.treetは今日がデビューショーケースだったけ?」
「はい!!」
「ミニョちゃんって、君たちのとこの専属スタッフ? 俺、ミニョちゃんの事好きになった」
「ばっ、リィン!!」
「ダメ、ミニョはダメ」
「………………」
沈黙する2グループのところに、ミニョが荷物を持って戻ってくると……大型犬が尻尾を振って、「ミニョ、俺頑張った!! ご褒美のポッポして?」「ミニョちゃん、一目で好きになった!!」と言ってくる。
全員、テレビ局内だ、ここは!! と、叫びたくなった。
ミゲと、JYAMのマネージャーが2人の口を塞いだ。塞がれている口から、「ミニョ大好き――――!!」が漏れている。さらに、2人は威嚇し始めてしまい……ミニョは「ご褒美いらないなら、いい? オッパ?」とジュヨンに言い。「リィンさん、初対面のわたしに言ってくださったのは気持ちとして嬉しいですが……ここ、テレビ局内ですよ? 場所、わきまえましょう? ふ・た・り・と・も」と加えて言う。
瞬間、大人しくなった。JYAM-BUGのリーダーは内心、『あっ、俺、今、ドキドキしてる。やべぇ、この子の云い方マジ好きになって反応しちまう』と。最近、性的欲求を満たすモノがなく溜まりに溜まった挙句、JYAMのリーダーはミニョの云っている言葉のトーンと表情で性的興奮が激しくなった。
『マジキタ……あぁ、やべぇ彼女にあんな風に云われて……彼女に犯されるようにシたい……ガン勃ちしてきた』
『ミニョちゃんに叱られたら、俺、興奮してる……ダメだ、勃ってきてる。あぁ、自分の我慢できないの出てるのわかる』
リーダーはリーダーで興奮状態になり、半勃ち。リィンも半勃ち。衣装がたまたまズボンを隠す長めのコートで分かりにくいが……男性陣は、理解してしまった。コイツら、ミニョちゃんの彼女の言い方と表情でキた、と。M属性かよっ!! それとも、女性優位好き? 訳わかんねぇけど、ここはテレビ局内だっ!! と。
それからというものの、JYAM-BUGのリーダーとリィンの2人がミニョを見かけると、声を掛けてくるようになった。それも、冷たく「ここはテレビ局内ですよ?」と云われたりしても2人は嬉しそうな表情ばかり。しまいには、怒られたくて、仕方ない変態大型犬に出来上がった。
2人が近づいてくるのを察知すると、ジュヨンがすかさず先輩たちとはいえ、ミニョを護ろうと必死に壁を作る。
「俺はミニョちゃんとご飯の話しをしてたんだ」
「いいじゃないか!! お前たちは、専属契約でいる時間がたくさんだろ? 少しくらい時間を分けてくれ!!」
「あの、わたしは仕事できていて、先輩たちもお仕事が控えてますよね?」
「ミニョちゃんにそう云われると、お兄さん嬉しすぎる」
「俺も、ミニョちゃんに怒られて叱られたい!!」
「……仕事、しなさい!! 先輩たち!!」
あきれ果てて、もう、そういわないとこの2人は仕事に行かないのだ。挙句、JYAM-BUGのマネージャーに『2人が仕事に行こうとしなかったら、怒って叱ってくれないか? 頼む!!』と頭を下げられたのだ。
2人はミニョに叱られたり怒られた日は、性的興奮が激しくなり、寮で彼女の事を考えすぎて自慰行為が過剰になっているのか……他のメンバーはその時間帯は、合同練習という名目でしばらく避難している。
「っ、はぁ、ミニョちゃぁん!! もっとシてぇ!! イィ、気持ちイィ!! ミニョちゃぁん!!」
「俺の運命の人ぉ、ミニョちゃんに、そんな風に扱われるの気持ちいい!! あっ、あぁ、あぁ!! 気持ちイィ!!」
「「い、イィ、イクイクッ!! 出るぅ!! とまらないぃ!! 腰、うごくぅ!!」」
「「ミニョちゃん気持ちイィ、もっと、罵って、いぃいぃ!」」
寮に戻って来たメンバーは、いつもなら大丈夫な時間帯の筈だったが……2人の興奮が冷めておらず、寒空の中、またレッスン室に行くか悩んだ。挙句、悩んでいても2人の興奮自慰行為の喘ぐ声が部屋から漏れ聞こえて……メンバー達は、最近、性的欲求を満たされていない状態を呼び戻されて部屋に行き……シてしまった。何度も何度も……あの時、リィンに言ったミニョの表情と瞳が思い出されてしまい。テレビ局内で見かける可愛い笑顔。
堪らない興奮状態になり、あの可愛い笑顔が……自分を求めてやまなくて、可愛く喘いで啼いて……堪らず精を放つ。一度や二度では、もう、足らない。
気が付いたら、明け方近くまで勃っている状態で、朝の半勃ちすら半勃ちではない。完全たるもので、朝から、全員、もう、時間の許す限りミニョを思い浮かべて激しく腰を動かし精を放って惚けていた。もう、気が付いたら、頭の中はミニョの事でいっぱいになっていく日にJYAM-BUGのメンバー全員がなり、新曲では、色気が増して堪らないとファンダムの間では凄かった。
裏では、メンバー達の性的興奮&好きな人=ミニョという存在ができたから……だが。
ジュヨンは、気が気ではなく苛々する様になった。行く先々で、ミニョの魅力に気が付いた男が隙あらば声を掛ける。自分が収録や生番組の時は助けたり、守れないもどかしさ……そんな中、ミゲさんが周りのBGエンターテイメントグループのスタッフ達と協力をはじめミニョを護ってくれる手伝いをしてくれるようになった。
『代表がさ、可愛い母の姉の孫娘を護れないなら専属契約辞めさせるって、おど……言ってきてね』と。
ハルモニは怒ると恐い。契約書の追加項目に、わたしの仕事に支障が出ない様に周りのスタッフの連携と護衛も兼ねると。護衛って何だろう? とは思ったが、仕事に支障が出始めていたし、困ってミゲさんに早めに相談したのが功を奏した。
オッパが後から、「なんで俺に言ってくれなかったの?」と少し拗ねていた。でも、ジュヨンはジュヨンなりに、一生懸命護ろうと空き時間は近くに居てくれたのが凄く嬉しかったし負担はこれ以上かけたくなかった。
きちんと気持ちを伝えると、「仲直りのキス、しよ? 頬じゃなくて、ここ」と、唇を指さした。誰も居ない小さな控室で、ジュヨンの唇に自分の唇を重ねようとすると、ぐぃっと引き寄せられジュヨンと軽いのではなく……口の中に舌が滑り込み腔内を貪り唇を食みクチュクチュと厭らしい水音を口の中で立ててキスをした。
とても長いキスで脚が震え、胸元に違和感を感じた。乳首が……下着に擦れておかしな感覚になって甘い声が出てしまっていた。
小さな吐息をすると、再び、ジュヨンに甘く激しい大人のキスをされる。
S.treetがデビューショーケースして、ミニョが科英高校を卒業した年に、ミニョはJYAM-BUGメンバー達のアピールに合うようになってからジュヨンと異性としてのキスを初めてした。
恥ずかしくてムズかゆくて、でも、嬉しくて。彼の腕に縋り付いて、キスに応える。唇から漏れ聞こえる声は、女の子の声ではなく、成長し始めた、女性として目覚め始めた女の子の甘い声。ジュヨンは嬉しくて、彼女との大切な時間の中でキスで自分の気持ちを行動で現わし、耳元で『ミニョを愛してる。女として。妹じゃないよ』と、何度も何度も分からせるように囁く。
「んっ、ぁ……ジュヨ、ン……す、きぃ……」
「俺はずっとずっと好きだよ……もっとキスと、ココ、気にしてる」
「んぁ、はぁ……だ、だめ……声、がま、ん、できな、く……あっ、あぁ、あっ」
「キスしながら胸気持ちよくなろうね?」
そういうと、ジュヨンはミニョの口を塞いで舌を激しく絡めあいながら、尖っている乳首を服の中に手を滑り込ませて下着の中から探り当てコリコリと指先で弄ったり摘まんだり胸全体も揉みしだいて刺激し始め……太ももの間に、彼の鍛え抜かれた足が滑り込み下半身が激しく刺激され全身が敏感に反応していく。
激しさがまし、ミニョは耐えきれない状態が何度も何度も繰り返されて最期絶頂を迎えるとき、彼の激しいキスと供にイッた。
「俺も気持ちよかった……コレ、ちょっと落ち着かせてから行く」
彼の視線を辿ると、ズボンが異様に膨らみ、男性のが反応しているのが明らかに分かった。ミニョは彼にキスしながら、ズボンの中に手をゆっくり滑り込ませ「今度は……わたしが、シたいの」と甘いおねだりをした。
ジュヨンは彼女のおねだりを受け入れ、初めて彼女の手と口で本当の意味で気持ちよさを憶えた。
「ミニョ、俺、もう、我慢しない」
「えっ?!」
「順番、逆になったけど。俺の恋人になって?」
「……うん……してくれる? オッパの恋人に」
「ミニョの願いも叶える」
「ジュヨンの傍で支える」
「なんか、結婚式の宣誓みたい、だな」
「わたし……奥さんに、なり、たい」
「っ!! ミニョ、今、それ云われたら……可愛すぎる」
後日、わたしはまたオッパに、ジュヨンに甘やかされる。ドロドロにとかされてキスされて……。彼の気持ちが行動に現わされて、言葉に現わされて・・・・・・。
アイドルとして成長していくジュヨン達を、食事サポーターとして一緒に行動して気が付いたらデビューショーケースから1年になった。
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