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―1週間後―
繰り上げられたメイとアーノルドの結婚式。王宮の教会で、挙式を挙げることになってから準備は慌ただしく……ではなく、意外とすんなり終わった。まるで、準備は万全だったようで。マーリンの手筈は、ここまでも準備されていた。
有能侍女というより、なんでしょうか? ここまでくると、逆らってはいけない……気がしてきてます。
フリッツも結局、『メイ、あなたのお陰で国に教育する機会と図書館なるものを設立することが出来た功績があるから許す』と言っていた。『有能な人材はとことん使わせてもらうがな?』と相変わらず腹黒い祝い言葉を贈って来た。
「メイ様、最後の仕上げに入ります」
「仕上げ? 化粧も全て終わっているわ。仕上げって……アル?」
「終わったようだな?」
「さぁ、結婚式前ですから。少しは手加減お願いします」
「わかっている」
「……あー、あの、えーっと……これから、結婚式、よね?」
「メイ様もご存じない? シュナイダー家の場合は、結婚式前に一発です!!」
「はぁっ!! ちょ、ちょっと、マーリン、置いて……アル? ほ、本気?」
「本気だ」
終わった。わたしの、結婚式は……シュナイダー家の歴史を学んだはずだったが、全て学び終わる前だったらしく。結婚式が終えた後、アルの両親から「本当だ」と言われた。いえ、本当もなにも……結婚式の式の前の時間で、アレだけされて……晩餐会の時に近かったです。はい……。拒めないわたしも、わたしだったけど。
だって、アルよ? 大好きな、愛おしい、アルよ? って、わたしも相当だ。
結婚式に参列してくれたビルが、なにやら不思議な表情をしていたのは何も言えない。なんか、こう、「頑張れ!!」って口パクで言っていたのは分かったけど。
結婚式当日の夜から、王都中心近くの新居に住むことになった。マーリンは、続けて侍女として付いてきてくれ、ロアンナもキッチンを任せて欲しいと来てくれた。小さな館と聞いていたが、明らかに、広い。部屋数が20はあった。客間なのだろうか? と思ったら、客間は2つ。夫婦の寝室に、他15部屋程は……「たくさん家族をつくる」という、アルの要望。
その夜から、やはりというか、いつもというか……彼からの愛が激しくなり、応えてしまう自分が恐い。
「ねぇ、アル? 15部屋は……多いと思うの。だって、わたし、28歳よ?」
「安心しろ。この世界に来た時に、メイは召喚されて17歳に変わっているらしいからな」
「あの、初耳なんですが……それ」
「あぁ、言ってなかったか? 俺も17歳のデビュタント前の未成年と……最後まではできないからな」
「えぇっと、それで、誕生日だった後に……キス、以上を?」
「当たり前だ!! マーリンにどれだけ言われて、我慢してきたと思う!! こんなに可愛くて、可愛くて、俺の好みで、俺を好きだと……逢った時から堪らなかった!!」
「は、初耳です」
「これからは、遠慮もなにもしないから大丈夫。安心してくれ」
「安心するのは、そこです、か?」
彼の笑顔と、綺麗なセリアンブルーの瞳が見つめて心臓を高鳴らせる。あぁ、わたし、もう、この人しか愛せないし。この人の家族も大事だし、周りの人たちも好き。小さく微笑む芽衣子に、アルは「何を考えてた?」と口を尖らせキスをする。
2人の間に、違う世界で育ったとか、違う国だったとか、今はもう関係ない。ただただ、一緒に過ごしたい、愛したい、愛されたい、大事にしたい。そう、想い合える人に出逢えて一緒にいる。
「アル? じゃぁ、10人までは頑張るわ」
「んー、双子も産まれるといいな? まぁ、俺は大丈夫だ。メイと家族をたくさんつくっていくと決めたからな。あと、長生きするから安心しろ」
「いえ、大丈夫かというと……産むわたしのことも考えてください。旦那さま?」
「んっ、わかってる。メイと一緒に考えながら、子を育てよう」
甘く微笑む強面の旦那さま。アーノルドは、甘いついばむキスから、舌を絡め口内を愛撫し始めた。これから、ずっと時間を供に……。
-----fin-----
繰り上げられたメイとアーノルドの結婚式。王宮の教会で、挙式を挙げることになってから準備は慌ただしく……ではなく、意外とすんなり終わった。まるで、準備は万全だったようで。マーリンの手筈は、ここまでも準備されていた。
有能侍女というより、なんでしょうか? ここまでくると、逆らってはいけない……気がしてきてます。
フリッツも結局、『メイ、あなたのお陰で国に教育する機会と図書館なるものを設立することが出来た功績があるから許す』と言っていた。『有能な人材はとことん使わせてもらうがな?』と相変わらず腹黒い祝い言葉を贈って来た。
「メイ様、最後の仕上げに入ります」
「仕上げ? 化粧も全て終わっているわ。仕上げって……アル?」
「終わったようだな?」
「さぁ、結婚式前ですから。少しは手加減お願いします」
「わかっている」
「……あー、あの、えーっと……これから、結婚式、よね?」
「メイ様もご存じない? シュナイダー家の場合は、結婚式前に一発です!!」
「はぁっ!! ちょ、ちょっと、マーリン、置いて……アル? ほ、本気?」
「本気だ」
終わった。わたしの、結婚式は……シュナイダー家の歴史を学んだはずだったが、全て学び終わる前だったらしく。結婚式が終えた後、アルの両親から「本当だ」と言われた。いえ、本当もなにも……結婚式の式の前の時間で、アレだけされて……晩餐会の時に近かったです。はい……。拒めないわたしも、わたしだったけど。
だって、アルよ? 大好きな、愛おしい、アルよ? って、わたしも相当だ。
結婚式に参列してくれたビルが、なにやら不思議な表情をしていたのは何も言えない。なんか、こう、「頑張れ!!」って口パクで言っていたのは分かったけど。
結婚式当日の夜から、王都中心近くの新居に住むことになった。マーリンは、続けて侍女として付いてきてくれ、ロアンナもキッチンを任せて欲しいと来てくれた。小さな館と聞いていたが、明らかに、広い。部屋数が20はあった。客間なのだろうか? と思ったら、客間は2つ。夫婦の寝室に、他15部屋程は……「たくさん家族をつくる」という、アルの要望。
その夜から、やはりというか、いつもというか……彼からの愛が激しくなり、応えてしまう自分が恐い。
「ねぇ、アル? 15部屋は……多いと思うの。だって、わたし、28歳よ?」
「安心しろ。この世界に来た時に、メイは召喚されて17歳に変わっているらしいからな」
「あの、初耳なんですが……それ」
「あぁ、言ってなかったか? 俺も17歳のデビュタント前の未成年と……最後まではできないからな」
「えぇっと、それで、誕生日だった後に……キス、以上を?」
「当たり前だ!! マーリンにどれだけ言われて、我慢してきたと思う!! こんなに可愛くて、可愛くて、俺の好みで、俺を好きだと……逢った時から堪らなかった!!」
「は、初耳です」
「これからは、遠慮もなにもしないから大丈夫。安心してくれ」
「安心するのは、そこです、か?」
彼の笑顔と、綺麗なセリアンブルーの瞳が見つめて心臓を高鳴らせる。あぁ、わたし、もう、この人しか愛せないし。この人の家族も大事だし、周りの人たちも好き。小さく微笑む芽衣子に、アルは「何を考えてた?」と口を尖らせキスをする。
2人の間に、違う世界で育ったとか、違う国だったとか、今はもう関係ない。ただただ、一緒に過ごしたい、愛したい、愛されたい、大事にしたい。そう、想い合える人に出逢えて一緒にいる。
「アル? じゃぁ、10人までは頑張るわ」
「んー、双子も産まれるといいな? まぁ、俺は大丈夫だ。メイと家族をたくさんつくっていくと決めたからな。あと、長生きするから安心しろ」
「いえ、大丈夫かというと……産むわたしのことも考えてください。旦那さま?」
「んっ、わかってる。メイと一緒に考えながら、子を育てよう」
甘く微笑む強面の旦那さま。アーノルドは、甘いついばむキスから、舌を絡め口内を愛撫し始めた。これから、ずっと時間を供に……。
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