女神として召喚されましたが……

中村湊

文字の大きさ
15 / 15

エピローグ

しおりを挟む
 ―1週間後―

 繰り上げられたメイとアーノルドの結婚式。王宮の教会で、挙式を挙げることになってから準備は慌ただしく……ではなく、意外とすんなり終わった。まるで、準備は万全だったようで。マーリンの手筈は、ここまでも準備されていた。
 有能侍女というより、なんでしょうか? ここまでくると、逆らってはいけない……気がしてきてます。
 フリッツも結局、『メイ、あなたのお陰で国に教育する機会と図書館なるものを設立することが出来た功績があるから許す』と言っていた。『有能な人材はとことん使わせてもらうがな?』と相変わらず腹黒い祝い言葉を贈って来た。

 「メイ様、最後の仕上げに入ります」
 「仕上げ? 化粧も全て終わっているわ。仕上げって……アル?」
 「終わったようだな?」
 「さぁ、結婚式前ですから。少しは手加減お願いします」
 「わかっている」
 「……あー、あの、えーっと……これから、結婚式、よね?」
 「メイ様もご存じない? シュナイダー家の場合は、結婚式前に一発です!!」
 「はぁっ!! ちょ、ちょっと、マーリン、置いて……アル? ほ、本気?」
 「本気だ」

 終わった。わたしの、結婚式は……シュナイダー家の歴史を学んだはずだったが、全て学び終わる前だったらしく。結婚式が終えた後、アルの両親から「本当だ」と言われた。いえ、本当もなにも……結婚式の式の前の時間で、アレだけされて……晩餐会の時に近かったです。はい……。拒めないわたしも、わたしだったけど。
 だって、アルよ? 大好きな、愛おしい、アルよ? って、わたしも相当だ。

 結婚式に参列してくれたビルが、なにやら不思議な表情をしていたのは何も言えない。なんか、こう、「頑張れ!!」って口パクで言っていたのは分かったけど。

 結婚式当日の夜から、王都中心近くの新居に住むことになった。マーリンは、続けて侍女として付いてきてくれ、ロアンナもキッチンを任せて欲しいと来てくれた。小さな館と聞いていたが、明らかに、広い。部屋数が20はあった。客間なのだろうか? と思ったら、客間は2つ。夫婦の寝室に、他15部屋程は……「たくさん家族をつくる」という、アルの要望。
 その夜から、やはりというか、いつもというか……彼からの愛が激しくなり、応えてしまう自分が恐い。

 「ねぇ、アル? 15部屋は……多いと思うの。だって、わたし、28歳よ?」
 「安心しろ。この世界に来た時に、メイは召喚されて17歳に変わっているらしいからな」
 「あの、初耳なんですが……それ」
 「あぁ、言ってなかったか? 俺も17歳のデビュタント前の未成年と……最後まではできないからな」
 「えぇっと、それで、誕生日だった後に……キス、以上を?」
 「当たり前だ!! マーリンにどれだけ言われて、我慢してきたと思う!! こんなに可愛くて、可愛くて、俺の好みで、俺を好きだと……逢った時から堪らなかった!!」
 「は、初耳です」
 「これからは、遠慮もなにもしないから大丈夫。安心してくれ」
 「安心するのは、そこです、か?」

 彼の笑顔と、綺麗なセリアンブルーの瞳が見つめて心臓を高鳴らせる。あぁ、わたし、もう、この人しか愛せないし。この人の家族も大事だし、周りの人たちも好き。小さく微笑む芽衣子に、アルは「何を考えてた?」と口を尖らせキスをする。
 2人の間に、違う世界で育ったとか、違う国だったとか、今はもう関係ない。ただただ、一緒に過ごしたい、愛したい、愛されたい、大事にしたい。そう、想い合える人に出逢えて一緒にいる。

 「アル? じゃぁ、10人までは頑張るわ」
 「んー、双子も産まれるといいな? まぁ、俺は大丈夫だ。メイと家族をたくさんつくっていくと決めたからな。あと、長生きするから安心しろ」
 「いえ、大丈夫かというと……産むわたしのことも考えてください。旦那さま?」
 「んっ、わかってる。メイと一緒に考えながら、子を育てよう」

 甘く微笑む強面の旦那さま。アーノルドは、甘いついばむキスから、舌を絡め口内を愛撫し始めた。これから、ずっと時間を供に……。




-----fin-----
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.14 花雨

作品登録しときますね♪ゆっくり読ませてもらいます♪

2021.08.14 中村湊

ありがとうございます。

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。