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慈悲の女神様に忠誠を誓う
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ハロルドとフリードは、人生で初めての正座というモノをしていた。
足は痺れ、感覚がすでになくなっている。この国の者は、反省をする時は正座をする。らしい、というのを初めて覚えた。
「でっ? アンタは、私の可愛い可愛い妹に何しようとしたのよ?」
「オレは・・・・・・礼をしようと・・・・・・」
「礼? アンタ、アレが礼だって?」
「・・・・・・そ、その・・・・・・」
ハロルドは仁王立ちして睨みつける女性。歌音の姉という、綾音に尋問と拷問を同時に受けていた。横で、女神様は「綾音ちゃん、綾音ちゃん」と必死に言っている。
ーーあぁ、女神様はお優しい方だ・・・・・・オレがこの様な間違いを犯してもーー
彼は歌音を愛おしい瞳で見つめている。足は当然痺れ感覚なく、綾音が睨みつけていても・・・・・・。
「聞いてるの?! そこのバカは?」
「綾音ちゃん、お腹空いてない? お腹空いていると、怒りっぽくなるでしょ?」
「歌音ってば・・・・・・怖かったよね? こんな図体でかくて、いかつい顔の男に・・・・・・」
こちらに向けている視線と表情をころりと変えて、綾音は妹を抱きしめ頬ずりしている。「ハロルドさんは、怖くないよ」と言って綾音を宥める。
「ねっ、ご飯。一緒に食べよう?」
歌音は、立ち上がって皿にカレーライスをよそって持ってきた。歌音や綾音だけでなく、ハロルドたちの前にも置かれる。
「いただきます!!」
手を合わせて、歌音は食べる。「いただきます」と続いて、綾音も食べる。
先ほど食べた、あのカレーライスの味を思い出す。今まで食べたことない味なのに、お腹も心も満たされた食事。
グゥゥゥーーー。
ハロルドの腹が大きくなった。
「フリードさんも、ハロルドさんも。冷めないうちにどうぞ」
歌音に促されるが、ハロルドはなかなか手をつけない。フリードはスプーンを持ち食べていく。皿はカラになる。ゴクリと、喉を鳴らす。
ーー食べたい。しかし・・・・・・ーー
「食べないなら、俺が食うよ?」
「?!」
ガツガツと突然食べだすハロルド。食事のマナーなど、お構いなしに口に運ぶ。一気に平らげ、カラになった皿を見つめる。
「おかわり、いれますね」
歌音が、返事を待つ前に皿におかわりをよそってくれた。おかわりを食べ終え、さらに・・・・・・2回目のおかわりをした。
「・・・・・・遠慮しないわけ?」
「ハロルドは大食漢だから・・・・・・」
恍惚とした表情に涙を浮かべ、女神を見つめる。
ーーこんなオレに・・・・・・女神様に、慈悲の女神様に。是非とも・・・・・・ ーー
フリードは嫌な予感が盛大にした。なんか、とてつもない事を言い出しかねない。
「あー、ハロルド? 口に出す前に」
「女神様!!」
歌音の手をとり、跪く。頬を赤らめ、潤んだ瞳で彼女を見つめる。
綾音もフリードも、嫌な予感ばかり。女神、慈悲の女神と呼ばれている歌音はハロルドの大きな手に緊張している。
「是非とも、貴女に・・・・・・女神様に忠誠を誓い、仕えさせていただきたい!!」
「ハロルドさん? えっと、私は・・・・・・」
「お願いです!! オレは、オレは・・・・・・」
「あの、そんなに・・・・・・」
とてもかっこいい男性に、手をとられて跪かれている状況がうまく呑み込めない。ハロルドの真っ直ぐな瞳。目をそらすことができなくなった。必死に訴える彼。
「私、そんなつもりではなくて・・・・・・」
「なんと、奥ゆかしい・・・・・・やはり、女神様は違うのですね・・・・・・オレは、貴女に忠誠を誓います」
歌音の言いたい言葉を真逆に受け取り、彼は歌音の手の甲に口づけし忠誠を誓った。
「えっ? アレって、昔の騎士が姫とかに忠誠誓うとかってヤツ?」
「忠誠の誓いの口づけ、しちゃったよ・・・・・・」
綾音とフリードは、事態を理解して大きなため息をついた。歌音は、映画で観た騎士が姫に忠誠を誓いをするシーンが自分にされて困惑している。
その日を境に、歌音はハロルドという忠誠を誓われた近衛騎士と住むこととなった。
いっぽう、フリードは「アヤネちゃんと居たい」と言い張り。隣に住む、姉の部屋に転がり込んでいった。
ハロルドから見ると、カノンは【慈悲の女神】で、アヤネは【恐怖の女神】だという。
昔から伝わる、国の女神の逸話。絵本で小さい頃に、何度も繰り返し読んだ。逸話だから、実在などしないと思っていた。しかし、この国にきて、出会った。
カノンという、慈悲の女神に。そして、フリードは、恐怖の女神のごとくのアヤネと出会った。
2人とも、どこか、女性に対しての憧れが・・・・・・ズレていると。リヒテン王国にいた時言われていたのを忘れている。
足は痺れ、感覚がすでになくなっている。この国の者は、反省をする時は正座をする。らしい、というのを初めて覚えた。
「でっ? アンタは、私の可愛い可愛い妹に何しようとしたのよ?」
「オレは・・・・・・礼をしようと・・・・・・」
「礼? アンタ、アレが礼だって?」
「・・・・・・そ、その・・・・・・」
ハロルドは仁王立ちして睨みつける女性。歌音の姉という、綾音に尋問と拷問を同時に受けていた。横で、女神様は「綾音ちゃん、綾音ちゃん」と必死に言っている。
ーーあぁ、女神様はお優しい方だ・・・・・・オレがこの様な間違いを犯してもーー
彼は歌音を愛おしい瞳で見つめている。足は当然痺れ感覚なく、綾音が睨みつけていても・・・・・・。
「聞いてるの?! そこのバカは?」
「綾音ちゃん、お腹空いてない? お腹空いていると、怒りっぽくなるでしょ?」
「歌音ってば・・・・・・怖かったよね? こんな図体でかくて、いかつい顔の男に・・・・・・」
こちらに向けている視線と表情をころりと変えて、綾音は妹を抱きしめ頬ずりしている。「ハロルドさんは、怖くないよ」と言って綾音を宥める。
「ねっ、ご飯。一緒に食べよう?」
歌音は、立ち上がって皿にカレーライスをよそって持ってきた。歌音や綾音だけでなく、ハロルドたちの前にも置かれる。
「いただきます!!」
手を合わせて、歌音は食べる。「いただきます」と続いて、綾音も食べる。
先ほど食べた、あのカレーライスの味を思い出す。今まで食べたことない味なのに、お腹も心も満たされた食事。
グゥゥゥーーー。
ハロルドの腹が大きくなった。
「フリードさんも、ハロルドさんも。冷めないうちにどうぞ」
歌音に促されるが、ハロルドはなかなか手をつけない。フリードはスプーンを持ち食べていく。皿はカラになる。ゴクリと、喉を鳴らす。
ーー食べたい。しかし・・・・・・ーー
「食べないなら、俺が食うよ?」
「?!」
ガツガツと突然食べだすハロルド。食事のマナーなど、お構いなしに口に運ぶ。一気に平らげ、カラになった皿を見つめる。
「おかわり、いれますね」
歌音が、返事を待つ前に皿におかわりをよそってくれた。おかわりを食べ終え、さらに・・・・・・2回目のおかわりをした。
「・・・・・・遠慮しないわけ?」
「ハロルドは大食漢だから・・・・・・」
恍惚とした表情に涙を浮かべ、女神を見つめる。
ーーこんなオレに・・・・・・女神様に、慈悲の女神様に。是非とも・・・・・・ ーー
フリードは嫌な予感が盛大にした。なんか、とてつもない事を言い出しかねない。
「あー、ハロルド? 口に出す前に」
「女神様!!」
歌音の手をとり、跪く。頬を赤らめ、潤んだ瞳で彼女を見つめる。
綾音もフリードも、嫌な予感ばかり。女神、慈悲の女神と呼ばれている歌音はハロルドの大きな手に緊張している。
「是非とも、貴女に・・・・・・女神様に忠誠を誓い、仕えさせていただきたい!!」
「ハロルドさん? えっと、私は・・・・・・」
「お願いです!! オレは、オレは・・・・・・」
「あの、そんなに・・・・・・」
とてもかっこいい男性に、手をとられて跪かれている状況がうまく呑み込めない。ハロルドの真っ直ぐな瞳。目をそらすことができなくなった。必死に訴える彼。
「私、そんなつもりではなくて・・・・・・」
「なんと、奥ゆかしい・・・・・・やはり、女神様は違うのですね・・・・・・オレは、貴女に忠誠を誓います」
歌音の言いたい言葉を真逆に受け取り、彼は歌音の手の甲に口づけし忠誠を誓った。
「えっ? アレって、昔の騎士が姫とかに忠誠誓うとかってヤツ?」
「忠誠の誓いの口づけ、しちゃったよ・・・・・・」
綾音とフリードは、事態を理解して大きなため息をついた。歌音は、映画で観た騎士が姫に忠誠を誓いをするシーンが自分にされて困惑している。
その日を境に、歌音はハロルドという忠誠を誓われた近衛騎士と住むこととなった。
いっぽう、フリードは「アヤネちゃんと居たい」と言い張り。隣に住む、姉の部屋に転がり込んでいった。
ハロルドから見ると、カノンは【慈悲の女神】で、アヤネは【恐怖の女神】だという。
昔から伝わる、国の女神の逸話。絵本で小さい頃に、何度も繰り返し読んだ。逸話だから、実在などしないと思っていた。しかし、この国にきて、出会った。
カノンという、慈悲の女神に。そして、フリードは、恐怖の女神のごとくのアヤネと出会った。
2人とも、どこか、女性に対しての憧れが・・・・・・ズレていると。リヒテン王国にいた時言われていたのを忘れている。
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