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スマホ? それは何です?
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親父殿から「お前、スマホ持っていないのか?」と言われた。スマホなるものが分からないハロルドは、バイトが終わって帰ると王子に尋ねた。
「あっ、これだよ」
「ふむ、この鏡みたいなのが……うわっ?!」
「あっ、コレね。ここが、承認ボタンで……」
フリードは、ここに来てバイトを始める前に買ったという。お金はアヤネ殿に立て替えて貰ったと。
ハロルドは、スマホがないとバイトの変更の連絡ができないと親父殿に言われ買うことを考えた。しかし、どこで売っているとかがさっぱり分からない。
帰ってきた女神様に相談してみよう!! ということになり、掃除を済ませ玄関で待つ。
「ただいま」
「お帰りなさい!! 女神様!!」
あの日以来、ハロルドは玄関で待つことにしている。帰ってきてすぐに彼女に分かるように……。
ぎゅぅと彼女が抱きつくようになった。
顔を少し彼の胸に埋め、何かを確かめるように……。
ドクッドクン……
「ハロルドさん……」
「はい!!」
「ハロルドさん」
女神様は自分の名前を何度も呼んで、抱きしめてくれる。ハロルドも、それがまた日常になってきているが……心臓が持ちそうにない。
女神様が、女神様が!! 心臓がどんどん早鐘をうつ。が、我慢がぁ!! これ以上は、これ以上は!!
ハロルドのなかで、我慢? の限界にきていた。
「めっめっめめ、めが、めがぁめがみさまっっ!!」
そう言うと、ハロルドは頭から煙を出しているかのように床にへたり込んでいた。
連日、帰宅した女神様に抱きしめられ続け。そして、夜も「一緒に寝て欲しい」と乞われて同衾する状態。ハロルドは、忠誠を誓った女神様に望むことを叶えたい一心だったが……さすがに同衾はと躊躇った。一緒の寝室で、別々の布団で寝てはいたものの、「傍にいて」と何度もお願いされ、折れた。
「めが、めがみさ、ま……女神様ぁ」
「ハロルドさん」
そんな状態のハロルドにも、彼女は抱きしめたままでいる。フリードは、その状態を聴いて「なに、イチャコラしてんの?」と変な目で見られた。
イチャコラという言葉の意味が分からない。ただ、コノ状態が連日続いたハロルドの限界がきていた。
頭の限界を鍛錬で鎮めたハロルドは、何とかスマホの話しができた。
「という訳なのですが……」
「そうだよね。私もハロルドさんと連絡したい時あるから……明日は、お休みだからスマホ買いに行こう?」
「はい!!」
ハロルドは、再び……夜の我慢大会になった。
スマホを買ってくれた女神様に感謝し、操作を少し教わる。そして、女神様の番号とメッセージのやりとりできるようにもしてくれた。
「これが私の番号で、こっちがフリードさんと綾音ちゃん」
「ふむ……女神様の番号と文字のやりとりはコレですね?」
「うん。文字は……ひらがなとカタカナでもいいよ。言葉の間にこの空欄をいれて……」
ピロン
【ハロルドさん こんにちは】
【めがみさま ありがとう】
「うん、そうそう」
「おぉ!! これはいいです!!」
「これで、バイト先の連絡貰えるね?」
「はい!! ありがとうございます!!」
久し振りに、女神様の笑顔を見た気がした。
あぁ、勘違いだったのだろう。女神様は、俺にいつもこんなにも愛らしくて……愛らしい? なぜだ? 女神様だぞ?
「ハロルドさん?」
「いっ、いえ……その……笑顔が愛らしく……」
な、なにを言って。俺は。
言ったことが失礼だったと謝ろうとしたが、こちらに向けた彼女の笑顔が。ハロルドの心臓をさらに高鳴らせた。
ピロン
【うれしい】
ドクッ、ドクッ……
全身の血が一気に巡る。なにか違う感情も、忠誠とか、今まで違うものを……。
「ハロルドさん……一緒にいて?」
「……はい……」
彼女の言葉の深い意味とか、もう考えられない。最近、深まっている彼女からの抱擁が嬉しく、女神様からの祝福だとしか考えないようにしている。
もう、俺は、俺は……俺には女神様だけだ……女神様の傍を離れたく、ない。
その日、初めてハロルドは彼女を抱きしめ返した。小さくて、自分の力を入れ間違えると折れてしまいそうなくらいで。とても、愛おしくて、柔らかくて、温かくて……。彼女の花の匂いに、もう、頭の思考が追いつかない。
ただ、彼女が抱きついてくれば、抱きしめ返す。それを繰り返していくようになった。
「あっ、これだよ」
「ふむ、この鏡みたいなのが……うわっ?!」
「あっ、コレね。ここが、承認ボタンで……」
フリードは、ここに来てバイトを始める前に買ったという。お金はアヤネ殿に立て替えて貰ったと。
ハロルドは、スマホがないとバイトの変更の連絡ができないと親父殿に言われ買うことを考えた。しかし、どこで売っているとかがさっぱり分からない。
帰ってきた女神様に相談してみよう!! ということになり、掃除を済ませ玄関で待つ。
「ただいま」
「お帰りなさい!! 女神様!!」
あの日以来、ハロルドは玄関で待つことにしている。帰ってきてすぐに彼女に分かるように……。
ぎゅぅと彼女が抱きつくようになった。
顔を少し彼の胸に埋め、何かを確かめるように……。
ドクッドクン……
「ハロルドさん……」
「はい!!」
「ハロルドさん」
女神様は自分の名前を何度も呼んで、抱きしめてくれる。ハロルドも、それがまた日常になってきているが……心臓が持ちそうにない。
女神様が、女神様が!! 心臓がどんどん早鐘をうつ。が、我慢がぁ!! これ以上は、これ以上は!!
ハロルドのなかで、我慢? の限界にきていた。
「めっめっめめ、めが、めがぁめがみさまっっ!!」
そう言うと、ハロルドは頭から煙を出しているかのように床にへたり込んでいた。
連日、帰宅した女神様に抱きしめられ続け。そして、夜も「一緒に寝て欲しい」と乞われて同衾する状態。ハロルドは、忠誠を誓った女神様に望むことを叶えたい一心だったが……さすがに同衾はと躊躇った。一緒の寝室で、別々の布団で寝てはいたものの、「傍にいて」と何度もお願いされ、折れた。
「めが、めがみさ、ま……女神様ぁ」
「ハロルドさん」
そんな状態のハロルドにも、彼女は抱きしめたままでいる。フリードは、その状態を聴いて「なに、イチャコラしてんの?」と変な目で見られた。
イチャコラという言葉の意味が分からない。ただ、コノ状態が連日続いたハロルドの限界がきていた。
頭の限界を鍛錬で鎮めたハロルドは、何とかスマホの話しができた。
「という訳なのですが……」
「そうだよね。私もハロルドさんと連絡したい時あるから……明日は、お休みだからスマホ買いに行こう?」
「はい!!」
ハロルドは、再び……夜の我慢大会になった。
スマホを買ってくれた女神様に感謝し、操作を少し教わる。そして、女神様の番号とメッセージのやりとりできるようにもしてくれた。
「これが私の番号で、こっちがフリードさんと綾音ちゃん」
「ふむ……女神様の番号と文字のやりとりはコレですね?」
「うん。文字は……ひらがなとカタカナでもいいよ。言葉の間にこの空欄をいれて……」
ピロン
【ハロルドさん こんにちは】
【めがみさま ありがとう】
「うん、そうそう」
「おぉ!! これはいいです!!」
「これで、バイト先の連絡貰えるね?」
「はい!! ありがとうございます!!」
久し振りに、女神様の笑顔を見た気がした。
あぁ、勘違いだったのだろう。女神様は、俺にいつもこんなにも愛らしくて……愛らしい? なぜだ? 女神様だぞ?
「ハロルドさん?」
「いっ、いえ……その……笑顔が愛らしく……」
な、なにを言って。俺は。
言ったことが失礼だったと謝ろうとしたが、こちらに向けた彼女の笑顔が。ハロルドの心臓をさらに高鳴らせた。
ピロン
【うれしい】
ドクッ、ドクッ……
全身の血が一気に巡る。なにか違う感情も、忠誠とか、今まで違うものを……。
「ハロルドさん……一緒にいて?」
「……はい……」
彼女の言葉の深い意味とか、もう考えられない。最近、深まっている彼女からの抱擁が嬉しく、女神様からの祝福だとしか考えないようにしている。
もう、俺は、俺は……俺には女神様だけだ……女神様の傍を離れたく、ない。
その日、初めてハロルドは彼女を抱きしめ返した。小さくて、自分の力を入れ間違えると折れてしまいそうなくらいで。とても、愛おしくて、柔らかくて、温かくて……。彼女の花の匂いに、もう、頭の思考が追いつかない。
ただ、彼女が抱きついてくれば、抱きしめ返す。それを繰り返していくようになった。
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