祝福は貴方だけに捧げます!!

中村湊

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前世の記憶?が・・・・・・少し戻りそうです

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 小さなカフェ。オネエちゃんと楽しみにして行った。
 ハンドルネームが、モトさんのオネエちゃん。私は、アカネで。 
 『聖騎士団と令嬢』の、ファンのオフ会。このゲームにハマリ込んだ私たち。2次創作まで、頑張ってしまった。オネエちゃんは、BL作品の2次創作でファンが少しいる。
 今日のオフ会は、2次創作作品を楽しんだりする予定。

 「はじめまして、モトです」
 「アカネです」
 「わぁ、モトさん。会うの楽しみでした!! 噂以上に美人さんです」
 「ふふっ、ありがとう。お世辞でもうれしい」
 「そんなぁ」

 小さなオフ会には、全部で私たちキョウダイ含めて7人。初めて会う方も2人。幹事は、オフ会ベテランのオネエちゃん。
 全員が集まると、ジュースで乾杯。お酒が入ると、その勢いでトラブルを防ぐために作った約束の1つ。
 お茶やジュースを飲んだり、お菓子を食べたりしながら話していた。

 「あの展開が良かったです!!」
 「「わたしも!!」」
 「そう、かしら? 甘すぎると思わない? 最悪ルートと逆ハーレムの統合こそ、最高エンドよ!!」
 「まぁ、好みは色々ヨネ? あなたは、最悪と逆ハーレムが一緒になってくれたらって思ったの?」
 「モトさん? 私をバカにしてます? 最高エンドと言ったんです。色々ではなく、それが最高なんです!! 他はありえません!!」

 静まりかえった部屋。小さな小部屋を借りれるカフェでのオフ会。後半から、そのひと言から変な空気になった。
 彼女は、コレこそが最高エンドで他のエンディングはありえない!! 私の考えたストーリーを読まないといけない!! そうすれば素晴らしさがわかる!! そう言って引かず、人数分用意されたシナリオを渡された。

 シナリオは……ヒロインのサラディンが、魅了の力を最大限に学園で習得できる状態になる。それは、聖騎士候補者や騎士候補者に祝福をありとあらゆる手段で与え、力を高めていくという。
 悪役令嬢のエリザベスさえも、ソレに溺れていく。
 学園では、全ての騎士がサラディンをたたあがめ、求め狂う。サラなくしては、居られなくなってしまうまでに。 
 2人が社交界にデビューしてからは、聖騎士団だけでなく近衛騎士すら彼女らに求め狂うという。異様なまでの逆ハーレムの話しになっていく。
 
 読み終えた時、オネエちゃんは難しい顔をしていた。他のオフ会メンバーの中には、呆然として暫く動けなくなっている子も。
 
 「これこそ、最上のシナリオ!! コレなくしては、聖騎士様たちとの愛はありません!! 私との愛は終わらないのです!!」

 私との愛? ふと、疑問がよぎる。
 彼女は、シナリオでサラディンを主人公にしていたが……あのシナリオは。
 
 「ねぇ? 自分が主人公になった気持ちで書いたり、キャラクターを好きになるのはいいのよ? でも、コレは……」
 「あぁ、モトさんは嫉妬しているんです。私が聖騎士様たちに、こんなにも愛され尽くされているのが!!」
 「……今日は、疲れている子もいるみたいだから、また機会があったら会いましょう?」
 「「……はい……」」

 チラホラと帰って行く子たち。幹事のオネエちゃんが支払いを済ませ、カフェを後にして一緒に歩いた。
 オネエちゃんが、何度か目の溜め息をついた。
 
 「あの、オネエちゃん?」
 「なぁに? 茜」
 「その、あぁいうコトって……」
 「近いことは、何度か。でも、今回の彼女……かなり……」

 信号が青信号の点滅し、赤信号になった。
 2人で、暗くなり始めた空を少し見た。空が、近くに見えた。

 キャーーーーー!!

 たくさんの人たちが、叫んでいる。
 私をつかもうとしている、オネエちゃん。
 後ろに……あの人が、笑いながら言っていた。

 「私を、サラディンの世界を馬鹿にしないで!! 私だけが、みんなに、騎士様たちに愛され尽くされるんだからーーーー!!」

 歪んだ瞳。あははっ、と笑い。悦び叫び、彼女の【シナリオ】が空を舞いながら、紅く染めていく。
 真っ赤に真っ赤に、【シナリオ】は紅く、暗くなり始めた空を紅くした。
 空が近い。とてもとても、紅い空が……。




 オネエちゃん、私……もっと一緒にいたいよ?
 一緒にお話ししてて、オネエちゃんの作ったお菓子食べて。私の作った服を着てくれて。
 

 アカネ、だめ!! 独りにしないから!!
 アナタは、可愛い妹。こんなワタシを笑わずに、一緒に居てくれて。アナタは、ワタシが守るから!!


 ワタシが、サラディン!! ワタシのセカイ。キシさまたちにアイサレつづけて、ずぅっと。ズット。あのキモチイせかい。
 ぞくぞくスル。タマラナイ。キシさまタチにあいされる。ワタシだけが、アイサレつづける。ワタシのセカイ。




 「っ!! はぁっ、はぁっ……いま、の……」

 ゾワリとする。
 あの日、あの場所で……帰りに。あぁ、巻き込まれたんだ!!
 彼女が創ったストーリーのセカイに。何か違うのは、そうだったんだ。彼女のストーリーだから……。

 でも、なんで?
 あのシナリオとはズレが生じてきている。リヒャルト様も、アルバルト様も、サラディンと……。

 「っ……いやっ!! 私は、私は。彼を失いたくない!!」


【ロイの邸宅】
 全身気持ち悪かった。あの、あのときの記憶。
 前世の記憶が大分よみがえったけど。胸くそ悪い。あのオンナ!!

 「大丈夫かしら? あの子?」
 
 早朝だが、手紙をリヒャルト宛てに出し支度をした。「嫌な予感がして、マリアが心配だ」と。
 こう、記しておけば間違いなく。あの男は、断らないだろう。
 マリアを溺愛しているのは間違いないし、俺の前でも平然としてやらかしていたから。
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