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ヒロインの歪んだセカイ
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黒い霧に包まれたセカイ。妖しい文字で紫の紋様になり、無数のリボンが絡まり合うように張り巡り動く。甘い蜜の匂いが霧のセカイを、充満し満たしている。
魅了された者たちが、霧の中へと求め入る。
騎士たちは、蜜壺のナカで荒れ狂い続けている。過ごしている時間は、このセカイでは関係ない。
霧の主は、甘い香りを濃くしてチカラを高める。
「っはぁ、はぁ、はっ、はぁはぁ!!」
「んっ、いいわよ。たくさん求めて? ワタシを愛して?」
「あぁ、我々の祝福!! 愛してます!! 溢れ続けて堪らない!!」
「ぁっ、あぁ!! そう、そうよ? ほら、堪らなく昂ぶり滾り続けるでしょ?」
「とまらない!! くっう!! はっ、はっあ!! あっ、くぅはぁはっあぁぁ!!」
溢れ続ける蜜と【祝福】を求め、ひとり、また1人と荒れ狂い続ける。主が産み出す妖しい紋様は、紫に赤、桃色と色を交じっている。新たな紋様が産まれ、蜜壺を堪能する男の背中に刻み入り込ませる。
その瞬間に、昂ぶり狂い蜜壺の中で全身を痙攣させながら果てる。紋様は身体の中に飲み込まれるように入り、身体の外から見えない。チカラがどんどんと溢れ始める。魔法の力が増幅された。
【魅了の力】で集まる男たち。【与える者】の魅了は、果てがなくなっている。蜜がとまらず、絡まる舌の交じり合い、身体中から香しい甘い匂い。祝福が遣った分の魔法の力を与えるのではなく、互いに力を循環するように高め続ける。
身体の中に紋様を刻み入り込まれたれた者が、力をさらに高めるのを求めている。
ビクビクと身体を震わせ、焦点が合わない瞳の【与える者】が黒い霧の中に何十人もいた。壊れた人形のように、与え続けている。【祝福】を高め続け、主のために仕え続ける。そして、その中の1人が狂い始めた。
「っひゃあぁ、あっ、あぁぁぁ!! あぁぁ!!」
「あら、あの娘。【欲しがり屋】さんになっちゃった」
「んぁ、あぁ!! 主さまぁ!! あっ、あっ、あぁ!!」
「ねぇ、アナタの力は有効にするわね?」
そう言い、狂う娘に主が口づける。口づけられ、「主様、主様」と、悦ぶ。主に永久に仕えられると悦び喘ぎ、力を喰われ尽くされる。
とまらなくなる蜜だけで、【与える者】としては成り立たない。【永久の与える者】に堕とし尽くす。堕ちた娘は、霧のセカイの騎士たちに祝福を与え続ける。黒い祝福を……永久に。
「ふふっ、私の力。また、増えたぁ」
「「「あぁ、サラ様は素晴らしい!! 我々の愛する方!!」」」
「ほら、あの娘達にも……ねぇ、してあげてきなさい」
「「「はい、サラ様!!」」」
ゆらゆらと騎士たちが、【与える者】の1人に群がっていく。蜜をあますところなく堪能し、蜜壺を激しく味わい、【欲しがり屋】にするために互いに力を高め続ける。主様を愛している騎士たち……永久に仕える者に堕とすために。
【魅了の力】と【祝福】を増やすために。1人、試してみたら力が増えた。
サラは、力が少し増えただけでは満足できない。そう、学園にいた【与える者】の娘を全てとりこもうと考えた。
私にだけの、力!! ワタシだけが愛され続けるタメ!!
「あははっ!! いいわよ!! ほら、もっと!! もっとよ!!」
「いい声でしょ? 皆さん。もっと力を!! お互いに、皆さんで高めていくの!! そうでしょう
?」
「「「はい!! サラ様!! サラ様を愛しています!! あぁ、サラ様ーーー!!」」」
騎士も【与える者】も、霧の中にいる時は……迷わず力を高めるために、し続けてはならない禁忌の行為に耽る。
訓練場に戻った騎士見習いは、みな、訓練でさらに魔法の力をつけていく。このセカイで、再び力を高め……その繰り返しをしている。
魔法を遣っても、減ることをしらない力になっている。囁き、誘い始めている騎士たち。もう、騎士たちの半分近くはサラの虜になってきた。
学園生活が始まってから、ずっとだ。抜けられないセカイを構築した。もう、この禁忌の力から。魅了に惑わされ、与えられる力。入り浸り、繰り返す行為。ますます力が増幅する感覚を覚え、また戻る。
サラを愛して止まない騎士へと堕ちていく。外のセカイで、サラのために騎士を誘い、サラに悦んで貰い愛を貰いたいと。
新たな【与える者】を引き込んで、サラのセカイを大きくしていく。
「あらっ、新人さんね」
「サラ様のために……お仕えさせて頂きます」
「キモチイイ チカラ ワタシニ ツカエツヅケナサイ ワタシダケニ」
「気持ちいい チカラ 仕えます 永久に 壊れたい」
「アタエル キモチイイ ツヅケタイ オワラナイ エイエン」
サラに言われた直後、騎士たちと力を循環し始める。とまらない循環。力を高め、蜜壺への刺激と口づけの交じり合い。
「あっ、あぁ!! んんっ、あぁ!! もっと、与えさせてぇ!!」
歪んだ瞳に悦びのサラディンが見つめる娘。私を愛する人が造ってくれた、【与える者】。与える力持たない者が、歪なカタチで造られている。サラと似た甘い蜜の香りが濃くなり、騎士を集める。新たな娘に力を貰い、娘の力を高める。
また1人、と。騎士の身体に紋様が刻み入り込む。
激しく身体を震わせ、力が高まるのを感じた騎士は雄叫びを上げる。
「「「サラ様、愛しています!! あぁ、愛しています!!」」」
「「愛するサラ様ぁ!! サラ様ぁ!!」」
騎士たちはサラを崇め讃え、愛していると言い続ける。
理想の力の循環。理想のセカイ。ワタシを愛する騎士さまとのセカイ。
彼女の求める、力の循環。騎士たちに愛され続ける永遠の……。
霧の世界から時折でるサラは、一般兵から見ても魅力的だった。
美しい紫色の髪が光で輝き、紫水晶のように美しく誘う瞳。引き締まった身体に、触れたくなる柔らかな胸が揺れ誘う。細い首筋。漂う甘い香り。
彼女に見つめられると、逆らえなくなる。兵は仕事が終わるとふらりと、向かう。誘われた先が当たり前のように分かった。
首都の邸宅に、騎士見習いや聖騎士見習い。近衛兵、一般兵までもが出入りしている。バリファン侯爵の邸宅は、サラと騎士たち。霧のセカイから呼ばれた【与える者】。
そして、バリファン侯爵家には、サラディンの義兄2人がいる。禁忌の研究をしてきた兄弟。
2人は、突然やってきた幼い娘を無下にしていた。養女にした義父ですら……しかし、成長するサラディンの傍で、最初の虜になったのは義兄たち。義父は最期まで抗った。
『サラディン。今日は遊んでやるよ。俺たちが』
『お義兄さまたち、ありがとう』
サラディンは、2人の義兄に初めて相手にして貰える喜びでいっぱいだった。けれど、違った。2人の義兄は、年下の女の子を実験のために利用しようとした。
初めて試した実験。彼女の底知れぬ、色香の瞳と香りが堪らなくなった。もっと、したい。先祖が研究し、禁忌として封をしたあの書に書かれていた研究を……。
その日を境に……2人は、サラディンに強い興味を持った。彼女のためにと、今や、【与える者】を造り出している。力を高め尽くした騎士すら利用して。
サラにとっては、自分だけのセカイが始まるために必要な出来事だった。
『ねぇ、義兄さま? ワタシと遊んで?』
『そうだね。今日は、もっともっと。遊ぼう』
『兄上、俺もサラディンと遊びたいんだ!!』
『ふふっ、義兄さま達? 3人で楽しいアソビ。いっぱーいしましょ? ワタシのコト、愛してるんですもの』
『『あぁ、愛する俺たちのサラ』』
3人で遊ぶのを義父は見て愕然としていた。学園に入学する前、お義父さまと遊んだ。だって、仲間はずれはイケナイもの……義兄さま達も、一緒に遊んでくれた。「イヤダ」なんて言いながら、侯爵は抗っていたけど。
学園から戻る度にいっぱい遊んであげたら……もう、ワタシのことが大好きで、『愛してる サラ様』って言ってくれた。
久し振りに逢う、愛する義妹に喜ぶ兄たち。広間に義妹をエスコートしていく。彼らが本当に愛しているサラディンは、いないけれど……。
綺麗な紫色のドレスは、妖艶さを増し、身体の線を強調しバリファン侯爵家の男たちを興奮させて誘う。
「あぁ、愛してるよ。サラ。いつものお遊びをしよう」
「兄さん、今日はもっとサラを楽しませるんだったね?」
「義兄様たち、ありがとう。ワタシのこと、一番愛してくれるのね?」
「父も、お前を愛しすぎて大変だけどね?」
「「愛してます サラ様」」
扉を開ける前に、義兄たちとキスをする。彼女のために用意しいたパーティー会場を見せた。
会場の広間の奥の壇上にいる義父。大きな魔方陣の中に組み込まれ、紋様を産み出し続けている。
「みなさま、ようこそ!! バリファン侯爵邸へ。本日も皆様のために、パーティーを始めます!!」
「「ありがとうございます!! サラ様!!」」
「今日は、新しい者が大勢おります。心ゆくまで、堪能して欲しいと望んでおります。さぁ、存分に心ゆくまで!! 壊してしまいなさい!!」
サラの声を合図に、パーティーが始まる。造り変えられた者が壇上近くに現れる。紫色の髪をし、サラに似た顔。瞳は胡乱で黒い紋様。香しい甘い蜜。紫色のドレスに着飾り、バリファン侯爵家の男たちを誘う。
造られた者は、義兄たちに味わって喰らい尽くして貰う。魔方陣にも捧げられる。侯爵家の力が増幅する。彼らのしたかった研究。狂い悦び、造られた者は、騎士に戻れなくなった。
「っ、はっあ、サラディン!! あぁ、サラディン!!」
「あぁ!! 義兄さまぁ!! っあ、あぁん!!」
「はっ、くっ!! ほらっ、サラディン!! もっと遊ぼう!! 愛してる!!」
「俺も愛してるよ!! 兄さんに負けてないからっ!! くぅ!!」
「「あっ、あっぁん!! 義兄さまぁ!! もっと愛して!! 好きなだけ愛して!!」」
サラディンと愛し合っている義兄2人。2人が紋様を産み出し刻み込み入れると、サラディンは悦び狂う。身体を震わせ、「うれしい」「愛されてる」と悦ぶ。
魔方陣に組み込まれた侯爵も、悦び続けサラディンを愛している。 侯爵家の男たちだけに用意した、3人のサラディン。ワタシと同じだけど、違う。ワタシになる前の、サラディンだから。だって、義兄さま方、「あの子と遊びたい」って言っていたんだから。ワタシが遊べるように、たぁくさんアナタ方のしたい遊びを覚えて貰ったのよ。義兄さまだけの義妹よ。
サラディンは邪魔だったの。あの娘は。義兄さまに愛されたがっていたから、ちょうど良かったわ。
彼女の魂は、あの3人のサラディンに紋様を縛り付け刻み込んだ。
邸宅にバリファン侯爵たちを残し、結界を張る。サラが学園に入る前にバリファン侯爵から奪った魔法。闇魔法のひとつ。幻覚作用が強力に現れ、中毒性のある結界魔法。
結界魔法の中心は、侯爵自身。壊れた侯爵は、サラディンを愛しているだけで、永遠に魔方陣と1つで、紋様を産み続ける。そして、サラに与えられたサラディンを愛し続けていける。
邸宅を後にして、愛してくれていない騎士を思い出す。ワタシを愛する聖騎士団の騎士さま。なぜ、デビュタントのパーティーで見向きもしないの?!
ワタシは騎士さまに愛されているのよ? あの、オンナがいたからよ!!
「ぜったいに邪魔だわ……リヒャルト様ともいるのも!! あの女!! 騎士さまたちに、愛されるのはワタシだけ!!」
「あぁ、でも……ふふっ……エリーと同じにしてあげないと……あははっ!!」
歪んだ笑みを浮かべ、結界の力を強める。更に得た強い力は、結界を強固にした。
紋様が現れる。紫、赤、桃色の混じった紋様が、邸宅の空の上に。そして、一瞬にして消えた。消えた、というより……邸宅全体に刻み込み消えた。騎士達と同じように……。
その日を境に、首都の空が紫色交じりの雲が垣間見えるようになった。
なにかの兆候のように……。
マリアは……茜の記憶。前世の茜の記憶が一部戻って以来、空の異変に怖さを覚えた。
あの日の夕方、最期に視た空は紅かった。血に染まりきった紅に視えた。
あの時、あのシナリオを見せた女の子。サラというハンドルネームだった。歪みきった瞳が、空が紅く染まった中に見えていた。高笑いするように、悦びの声。
『ワタシだけを愛している 騎士様たちのセカイ 見せてあげる!!』
そう、言っていた気がする。
魅了された者たちが、霧の中へと求め入る。
騎士たちは、蜜壺のナカで荒れ狂い続けている。過ごしている時間は、このセカイでは関係ない。
霧の主は、甘い香りを濃くしてチカラを高める。
「っはぁ、はぁ、はっ、はぁはぁ!!」
「んっ、いいわよ。たくさん求めて? ワタシを愛して?」
「あぁ、我々の祝福!! 愛してます!! 溢れ続けて堪らない!!」
「ぁっ、あぁ!! そう、そうよ? ほら、堪らなく昂ぶり滾り続けるでしょ?」
「とまらない!! くっう!! はっ、はっあ!! あっ、くぅはぁはっあぁぁ!!」
溢れ続ける蜜と【祝福】を求め、ひとり、また1人と荒れ狂い続ける。主が産み出す妖しい紋様は、紫に赤、桃色と色を交じっている。新たな紋様が産まれ、蜜壺を堪能する男の背中に刻み入り込ませる。
その瞬間に、昂ぶり狂い蜜壺の中で全身を痙攣させながら果てる。紋様は身体の中に飲み込まれるように入り、身体の外から見えない。チカラがどんどんと溢れ始める。魔法の力が増幅された。
【魅了の力】で集まる男たち。【与える者】の魅了は、果てがなくなっている。蜜がとまらず、絡まる舌の交じり合い、身体中から香しい甘い匂い。祝福が遣った分の魔法の力を与えるのではなく、互いに力を循環するように高め続ける。
身体の中に紋様を刻み入り込まれたれた者が、力をさらに高めるのを求めている。
ビクビクと身体を震わせ、焦点が合わない瞳の【与える者】が黒い霧の中に何十人もいた。壊れた人形のように、与え続けている。【祝福】を高め続け、主のために仕え続ける。そして、その中の1人が狂い始めた。
「っひゃあぁ、あっ、あぁぁぁ!! あぁぁ!!」
「あら、あの娘。【欲しがり屋】さんになっちゃった」
「んぁ、あぁ!! 主さまぁ!! あっ、あっ、あぁ!!」
「ねぇ、アナタの力は有効にするわね?」
そう言い、狂う娘に主が口づける。口づけられ、「主様、主様」と、悦ぶ。主に永久に仕えられると悦び喘ぎ、力を喰われ尽くされる。
とまらなくなる蜜だけで、【与える者】としては成り立たない。【永久の与える者】に堕とし尽くす。堕ちた娘は、霧のセカイの騎士たちに祝福を与え続ける。黒い祝福を……永久に。
「ふふっ、私の力。また、増えたぁ」
「「「あぁ、サラ様は素晴らしい!! 我々の愛する方!!」」」
「ほら、あの娘達にも……ねぇ、してあげてきなさい」
「「「はい、サラ様!!」」」
ゆらゆらと騎士たちが、【与える者】の1人に群がっていく。蜜をあますところなく堪能し、蜜壺を激しく味わい、【欲しがり屋】にするために互いに力を高め続ける。主様を愛している騎士たち……永久に仕える者に堕とすために。
【魅了の力】と【祝福】を増やすために。1人、試してみたら力が増えた。
サラは、力が少し増えただけでは満足できない。そう、学園にいた【与える者】の娘を全てとりこもうと考えた。
私にだけの、力!! ワタシだけが愛され続けるタメ!!
「あははっ!! いいわよ!! ほら、もっと!! もっとよ!!」
「いい声でしょ? 皆さん。もっと力を!! お互いに、皆さんで高めていくの!! そうでしょう
?」
「「「はい!! サラ様!! サラ様を愛しています!! あぁ、サラ様ーーー!!」」」
騎士も【与える者】も、霧の中にいる時は……迷わず力を高めるために、し続けてはならない禁忌の行為に耽る。
訓練場に戻った騎士見習いは、みな、訓練でさらに魔法の力をつけていく。このセカイで、再び力を高め……その繰り返しをしている。
魔法を遣っても、減ることをしらない力になっている。囁き、誘い始めている騎士たち。もう、騎士たちの半分近くはサラの虜になってきた。
学園生活が始まってから、ずっとだ。抜けられないセカイを構築した。もう、この禁忌の力から。魅了に惑わされ、与えられる力。入り浸り、繰り返す行為。ますます力が増幅する感覚を覚え、また戻る。
サラを愛して止まない騎士へと堕ちていく。外のセカイで、サラのために騎士を誘い、サラに悦んで貰い愛を貰いたいと。
新たな【与える者】を引き込んで、サラのセカイを大きくしていく。
「あらっ、新人さんね」
「サラ様のために……お仕えさせて頂きます」
「キモチイイ チカラ ワタシニ ツカエツヅケナサイ ワタシダケニ」
「気持ちいい チカラ 仕えます 永久に 壊れたい」
「アタエル キモチイイ ツヅケタイ オワラナイ エイエン」
サラに言われた直後、騎士たちと力を循環し始める。とまらない循環。力を高め、蜜壺への刺激と口づけの交じり合い。
「あっ、あぁ!! んんっ、あぁ!! もっと、与えさせてぇ!!」
歪んだ瞳に悦びのサラディンが見つめる娘。私を愛する人が造ってくれた、【与える者】。与える力持たない者が、歪なカタチで造られている。サラと似た甘い蜜の香りが濃くなり、騎士を集める。新たな娘に力を貰い、娘の力を高める。
また1人、と。騎士の身体に紋様が刻み入り込む。
激しく身体を震わせ、力が高まるのを感じた騎士は雄叫びを上げる。
「「「サラ様、愛しています!! あぁ、愛しています!!」」」
「「愛するサラ様ぁ!! サラ様ぁ!!」」
騎士たちはサラを崇め讃え、愛していると言い続ける。
理想の力の循環。理想のセカイ。ワタシを愛する騎士さまとのセカイ。
彼女の求める、力の循環。騎士たちに愛され続ける永遠の……。
霧の世界から時折でるサラは、一般兵から見ても魅力的だった。
美しい紫色の髪が光で輝き、紫水晶のように美しく誘う瞳。引き締まった身体に、触れたくなる柔らかな胸が揺れ誘う。細い首筋。漂う甘い香り。
彼女に見つめられると、逆らえなくなる。兵は仕事が終わるとふらりと、向かう。誘われた先が当たり前のように分かった。
首都の邸宅に、騎士見習いや聖騎士見習い。近衛兵、一般兵までもが出入りしている。バリファン侯爵の邸宅は、サラと騎士たち。霧のセカイから呼ばれた【与える者】。
そして、バリファン侯爵家には、サラディンの義兄2人がいる。禁忌の研究をしてきた兄弟。
2人は、突然やってきた幼い娘を無下にしていた。養女にした義父ですら……しかし、成長するサラディンの傍で、最初の虜になったのは義兄たち。義父は最期まで抗った。
『サラディン。今日は遊んでやるよ。俺たちが』
『お義兄さまたち、ありがとう』
サラディンは、2人の義兄に初めて相手にして貰える喜びでいっぱいだった。けれど、違った。2人の義兄は、年下の女の子を実験のために利用しようとした。
初めて試した実験。彼女の底知れぬ、色香の瞳と香りが堪らなくなった。もっと、したい。先祖が研究し、禁忌として封をしたあの書に書かれていた研究を……。
その日を境に……2人は、サラディンに強い興味を持った。彼女のためにと、今や、【与える者】を造り出している。力を高め尽くした騎士すら利用して。
サラにとっては、自分だけのセカイが始まるために必要な出来事だった。
『ねぇ、義兄さま? ワタシと遊んで?』
『そうだね。今日は、もっともっと。遊ぼう』
『兄上、俺もサラディンと遊びたいんだ!!』
『ふふっ、義兄さま達? 3人で楽しいアソビ。いっぱーいしましょ? ワタシのコト、愛してるんですもの』
『『あぁ、愛する俺たちのサラ』』
3人で遊ぶのを義父は見て愕然としていた。学園に入学する前、お義父さまと遊んだ。だって、仲間はずれはイケナイもの……義兄さま達も、一緒に遊んでくれた。「イヤダ」なんて言いながら、侯爵は抗っていたけど。
学園から戻る度にいっぱい遊んであげたら……もう、ワタシのことが大好きで、『愛してる サラ様』って言ってくれた。
久し振りに逢う、愛する義妹に喜ぶ兄たち。広間に義妹をエスコートしていく。彼らが本当に愛しているサラディンは、いないけれど……。
綺麗な紫色のドレスは、妖艶さを増し、身体の線を強調しバリファン侯爵家の男たちを興奮させて誘う。
「あぁ、愛してるよ。サラ。いつものお遊びをしよう」
「兄さん、今日はもっとサラを楽しませるんだったね?」
「義兄様たち、ありがとう。ワタシのこと、一番愛してくれるのね?」
「父も、お前を愛しすぎて大変だけどね?」
「「愛してます サラ様」」
扉を開ける前に、義兄たちとキスをする。彼女のために用意しいたパーティー会場を見せた。
会場の広間の奥の壇上にいる義父。大きな魔方陣の中に組み込まれ、紋様を産み出し続けている。
「みなさま、ようこそ!! バリファン侯爵邸へ。本日も皆様のために、パーティーを始めます!!」
「「ありがとうございます!! サラ様!!」」
「今日は、新しい者が大勢おります。心ゆくまで、堪能して欲しいと望んでおります。さぁ、存分に心ゆくまで!! 壊してしまいなさい!!」
サラの声を合図に、パーティーが始まる。造り変えられた者が壇上近くに現れる。紫色の髪をし、サラに似た顔。瞳は胡乱で黒い紋様。香しい甘い蜜。紫色のドレスに着飾り、バリファン侯爵家の男たちを誘う。
造られた者は、義兄たちに味わって喰らい尽くして貰う。魔方陣にも捧げられる。侯爵家の力が増幅する。彼らのしたかった研究。狂い悦び、造られた者は、騎士に戻れなくなった。
「っ、はっあ、サラディン!! あぁ、サラディン!!」
「あぁ!! 義兄さまぁ!! っあ、あぁん!!」
「はっ、くっ!! ほらっ、サラディン!! もっと遊ぼう!! 愛してる!!」
「俺も愛してるよ!! 兄さんに負けてないからっ!! くぅ!!」
「「あっ、あっぁん!! 義兄さまぁ!! もっと愛して!! 好きなだけ愛して!!」」
サラディンと愛し合っている義兄2人。2人が紋様を産み出し刻み込み入れると、サラディンは悦び狂う。身体を震わせ、「うれしい」「愛されてる」と悦ぶ。
魔方陣に組み込まれた侯爵も、悦び続けサラディンを愛している。 侯爵家の男たちだけに用意した、3人のサラディン。ワタシと同じだけど、違う。ワタシになる前の、サラディンだから。だって、義兄さま方、「あの子と遊びたい」って言っていたんだから。ワタシが遊べるように、たぁくさんアナタ方のしたい遊びを覚えて貰ったのよ。義兄さまだけの義妹よ。
サラディンは邪魔だったの。あの娘は。義兄さまに愛されたがっていたから、ちょうど良かったわ。
彼女の魂は、あの3人のサラディンに紋様を縛り付け刻み込んだ。
邸宅にバリファン侯爵たちを残し、結界を張る。サラが学園に入る前にバリファン侯爵から奪った魔法。闇魔法のひとつ。幻覚作用が強力に現れ、中毒性のある結界魔法。
結界魔法の中心は、侯爵自身。壊れた侯爵は、サラディンを愛しているだけで、永遠に魔方陣と1つで、紋様を産み続ける。そして、サラに与えられたサラディンを愛し続けていける。
邸宅を後にして、愛してくれていない騎士を思い出す。ワタシを愛する聖騎士団の騎士さま。なぜ、デビュタントのパーティーで見向きもしないの?!
ワタシは騎士さまに愛されているのよ? あの、オンナがいたからよ!!
「ぜったいに邪魔だわ……リヒャルト様ともいるのも!! あの女!! 騎士さまたちに、愛されるのはワタシだけ!!」
「あぁ、でも……ふふっ……エリーと同じにしてあげないと……あははっ!!」
歪んだ笑みを浮かべ、結界の力を強める。更に得た強い力は、結界を強固にした。
紋様が現れる。紫、赤、桃色の混じった紋様が、邸宅の空の上に。そして、一瞬にして消えた。消えた、というより……邸宅全体に刻み込み消えた。騎士達と同じように……。
その日を境に、首都の空が紫色交じりの雲が垣間見えるようになった。
なにかの兆候のように……。
マリアは……茜の記憶。前世の茜の記憶が一部戻って以来、空の異変に怖さを覚えた。
あの日の夕方、最期に視た空は紅かった。血に染まりきった紅に視えた。
あの時、あのシナリオを見せた女の子。サラというハンドルネームだった。歪みきった瞳が、空が紅く染まった中に見えていた。高笑いするように、悦びの声。
『ワタシだけを愛している 騎士様たちのセカイ 見せてあげる!!』
そう、言っていた気がする。
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地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
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王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
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