無垢なる密蕾は、愛しき腕にて咲き誇らん

古都助(幸織)

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~サージェスティン・フェイシア編~

魔竜の騎士は狼王の姫に翻弄される6~サージェスティン×幸希~

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 ――Side 幸希

 術者達の命を吸って発動している、地面の巨大な魔術式の陣……。
 混じり気のない漆黒とは違う、禍々しいその光が靄のように陣から遥か上へと向かって吸い寄せられるように昇っていく。
 ……上に、何か、……あるの?
 サージェスさんが前当主さんに命じて禁呪を解かせようとしている様子に一度視線を向け、決めた。誰の目にも映る事のない私の姿。――行ってみよう、あの淀んだ闇の行く先に。
 自分の身体が生身ではない事を感じていた私は、出来ると信じて地を蹴った。

『……っ』

 浮き上がった身体は陣の真上にある空間へと飛び立ち、時折、陣から立ち昇ってくる靄に触れると、現実としての感触というよりは、それに宿る不快な気配に眉を潜めた。
 禁呪を発動しているのだから、不快で受け入れ難い恐ろしい存在である事なのは当然。
 けれど……、本当にこれは……、ひとつの禁呪の為だけに発動しているものなのだろうか?
 根拠のない、胸の奥から湧き上がる正体不明の不安。
 どこまでもどこまでも……、続く、陣の真上にある吹き抜けの空間。
 やがて、靄の纏う光だけが頼りとなった暗闇の中で、――見つけてしまった。
 
『これは――!!』

 息を呑んだ私の目に映り込んでいたもの、それは……。
 禁じられた忌まわしき術……。 
誰かを恨み、妬み、蔑み、……行き場のない激情を昇華する為に生み出された邪法。
そう、禁呪の根本は、誰かに対する強い憎しみの情なのだ。
目の前に佇む『それ』に目を奪われながら、――前当主様の本当の狙いに、私は気付いた。
早く、早くサージェスさんにこの事を伝えないとっ。
気付いていてくれればいいけれど、今の彼はいつもとは違う。
私を助けようと、手段を選ばない非情さと同時に、その目的しか見えていない節があった。
だから、早く伝えに行かないと!!
……けれど、私が真下に向かって急ごうとしたその矢先、聞こえたのは絶対に止めなければならない『解呪』の声だった。

『駄目――!!』

 暗闇の中を突き抜けるように飛んだ先で、石畳の地面に描かれた陣が徐々に消えていくのが見える。――違う、違う、違う!! それは『解呪』を成そうとしてはいない!!

『サージェスさぁああああんっ!!』

 必死に手を伸ばしたその先で……、彼の双眸が、『その姿』を捉えた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 ――Side サージェスティン

 禁呪の術式が……、術者達の代償を受ける苦悶の声と共に効力を失い、その姿を消してゆく。
 
「ふん……、これで良かろう?」

「……まだだ。ウォルヴァンシアにいる彼女が無事に回復するまでは、アンタも、ディヴェラーデの一族も、俺の報復の対象だ」

 確かに、今……、ひとつの強大な悪しき術が解かれてゆく気配を感じている。
 彼女を苦しめ続けた憎悪の象徴。禁じられた忌まわしき術……。
 あの子を呪うくらいなら、何故俺に向けてその悪意をぶつけなかった?
 そうすれば、苦しむのも、命の危機に晒されるのも……、俺だけで良かったのに。
 いや、もっと早くに、この傲慢な男を殺しておくべきだった。
 何が竜煌の血筋だ、何が、誉れ高き一族だ。無駄に権力を持ってる奴程、際限なく膨れ上がっていく傲慢と愚の塊だと、わかっていたはずなのに……。
 後悔と不甲斐なさを抱えながら、俺は耳にしているピアスでウォルヴァンシアに連絡を取る事にした。彼女が……、ユキちゃんが、禁呪から確かに解放されたかどうかを、確かめる為に。
 ――しかし。

『サージェスさぁあああああんっ!!』

「――ッ!?」

 通信先じゃない、今の声は……、俺と前当主の頭上に視線を上げた瞬間、信じられない光景を見た。必死にその手を伸ばし、俺に向かって飛び込んでくる、――愛しい、俺だけの花。
 ここにいるはずのない、俺の、大切な……。
 まるで幽霊のように透き通っている彼女の姿を捉えた俺は、その背後にあり得ないものを見た。
 ――俺と同じ顔をした、けれど、俺じゃない、別の、何か。
 瞬間、前当主が癪に障る笑みを浮かべ、俺を突き飛ばした。

「ふっ、はは、ははははっ!! サージェスティンよ!! この場所で無残に引き裂かれ、魂までも滅するが良い!!」

「待て!!!!」

 俺が体勢を立て直すよりも早く、前当主が転移の術を発動させてその中へと消えていく。
 それと同時に、ユキちゃん両手を広げて俺を身体を包み込むと、白銀に輝く神々しい光を爆発させるかのように放ち、――襲い来る敵を一瞬で弾き飛ばした。

「……ユキ、ちゃん?」

『はぁ、……はぁ、サージェス、さんっ。大丈、夫、です、か?』

 耳元で聞こえた、辛そうな彼女の声。
 温もりの感じられないその身体を抱き締め返そうとするけれど、彼女の姿と声を捉える事は出来ても……、触れられない。
 
「どう、して……」

 どうして、君がここにいるの? 
 生身ではない事はわかっているけれど……、だとしたら。
 一瞬、嫌な予感がよぎって心臓が凍り付くかと思ったけれど、――違う事に気付いた。
 これは、ユキちゃんの精神(こころ)だ。
 ウォルヴァンシアで禁呪を闘いながら、その身体を離れた……、彼女の心。
 
『サージェス、さん……。あの人は、ディヴェラーデの前当主様は、私を呪う事なんて、ついでの事でしか、なかったん、です……』

「……うん、わかってる。今君が跳ね返した『あれ』が……、前当主の、真意だ」

 あの男は、俺を破滅に追い込む為に手段を選ばなかった。
 ただ殺すだけでは飽き足らない。そのひとつが、ユキちゃんを禁呪によって蝕む事。
 そうすれば、俺が自分の痕跡を辿って必ずやって来るとわかっていたんだろう。
 ……そして、彼女の命を盾にされた俺が『奴隷』になる道と、もうひとつの道を用意していた。
 牢獄の鉄格子に叩き付けられ倒れ込んでいた『もう一人の俺』……、いや、禁呪が複数の術者の命を吸い上げ、最悪の形として姿をもってしまった存在が、醜悪な笑みを浮かべて立ち上がる。
 ユキちゃんを呪う為の禁呪はあくまで餌。それを『解呪』したふりを見せて……、前当主が術者達に命じていたもうひとつの禁呪が目を覚ますように二重の仕掛けを施されていた。
 何かある……。そうわかっていたのに、彼女を早く解放させる事だけに意識が向きすぎていた。
 
「ユキちゃん……、身体に、戻って。禁呪に苛まれたままで精神を飛ばして来るなんて、無謀すぎだよ。君にかかる負担が、大きすぎる」

『嫌です!! サージェスさんを……、貴方を、一人で戦わせたくなんかありません!!』

「……っ。……だーめ、だよ。俺は、君を……」

 寄り添ってくれようとする彼女の心は嬉しい。
 だけど……、これ以上の無理はさせられない、絶対に。
 まだ、禁呪は解かれていない……。俺と彼女の忌まわしき呪いは、まだ、目の前に、ある。
 ユキちゃんの髪を撫でるように手を動かすと、俺は尻餅をついていた地面からゆっくりと腰をあげた。剣を構え、自分と同じ姿をしている禁呪を睨み据える。

「ユキちゃん、早く身体に戻って。後は俺が全部何とかする……。出来れば、術者達も助けたいけど、……無理だったら、申し訳ないところだね」

 最悪、俺はユキちゃんさえ救えるなら、術者達が命を落とす事になっても後悔はしないだろう。
 それに、ディヴェラーデ前当主によって『隷属』の首輪を着けられた彼らは、複数人でひとつの術の負担を分け合う為にいるわけじゃない。
 全ては、禁呪の中でも特に凶悪な代償の大きすぎる術を成す為……。
 どの道、負担を軽減するどころか、術者達は最初から死を宣告されたも同じ事だった。
 だから、俺があの禁呪をどうにか出来たとしても、たとえ、彼らが命拾いをしたとしても……、失うものは大きいだろう。
 
『サージェスさん!! その禁呪は術者達の命と憎悪の感情で何倍にも膨れ上がった化け物なんです!! 一人でなんてっ、絶対にやめてください!!』

 そうだね……。以前に珍しい症例としてフェリデロード家の記録に刻まれる事になったタイプと同じように見えるけれど、中身の強さは桁違いだ。
 だけど、それで君に無理をさせて万が一の事があったら?
 大好きな女の子が自分の為に傷ついて、二度と目を覚まさなくなったら……。

「そんなの、御免だよ……」

 ユキちゃんに笑みを向けた後、俺は向かってくる禁呪目がけて地を蹴った。
 俺と同じ顔をした、嫌がらせとしか思えない悪趣味な人形。
 正面から激突した互いの剣身の力をそれぞれに逃がしあい、また渾身の力でぶつかり合う。
 なるほどね……。俺の事をよく調べた上で、同じ動きをするように仕込まれているのか。
 
『シ、ネ……ッ!! シネ……!! マザリ、モノッ、ガァアアッ!!』

「それは聞き飽きた……、って、何度言えばわかるのかな!!」

 自分は俺に対する憎悪の情だけを術式に組み込んで、後は高みの見物か……。
 心底、あの男と血が繋がっている事が腹立たしくて仕方がない。
 俺の母親が……、あの人が、ディヴェラーデの家を何故捨てたのか、その気持ちがよくわかる。
 誇り高い血筋とやらに拘り、他種族を疎み、蔑む傲慢な在り方……。
 
「娘に逃げられて、当然だ!!」

『グググッ!! グァアアアッ!!』

 人の姿をした禁呪の腹を蹴り飛ばし、隙を与えずに詠唱なしの炎の術を発動させ、長い槍の形をしたそれを奴の腹ど真ん中に突き刺す。次いで、強い浄化作用のある術を叩き込む。
 相手が禁呪である以上、目の前のそれは『命』ではなく、『術式そのもの』だ。
 仕留めるのではなく、悪意と憎悪の塊である禁呪を攻撃と浄化の術で弱らせ、これから創り出す檻の中に閉じ込める。
 
『ム、ダ……、ムダ、ダ……!! サージェス、ティン……、ワレ、ラ、ディヴェラーデ、ノ、ハジサラシ、ガァアアッ!!』

「――っ!! ……やっぱり、これくらいじゃ無理、か」

 焼け爛れた身体で立ち上がってくるその姿が、地味にこっちの精神を削ってくる。
 一応、自分と同じ顔をした人形だ。まるで自分がそうなっているのかのように、不快だ。
 禁呪も詠唱を唱えずに威力の高い攻撃用の魔術を駆使し、執拗に俺を狙ってくる。
 一発一発の威力が凄まじい……。油断すれば、すぐにこちらが絶命だ。
 場を駆け回って攻撃を避ける俺に、今度は挟み打ちで術と禁呪が襲いかかってくる。
 それを寸でのところで上に向かって飛び上がり、俺にぶち当たるはずだった二つを激突させてみたが……、今度はすぐ真上から竜の姿を模した炎の術が滝のように襲いかかってきた。

『サージェスさん!!』

 ユキちゃんの悲痛な叫び声が聞こえたと思ったら、白銀の光が俺の身体を包み込み、避ける必要もなく炎の竜を打ち消してくれた。

「ユキちゃん!! 力を使っちゃ駄目だって言っただろう!!」

『でも……っ!!』

 禁呪の脅威を受けていなければ、精神体で力を使ったとしても、それほどの問題はなかっただろう。けれど、彼女は病床の身だ。無理をすれば、ウォルヴァンシアに在る肉体にどれほどの影響が出るか……。頼むからそれをわかってほしい。
 それなのに、彼女は首を振って宙へと飛んだかと思うと、禁呪に向かって浄化の力を使い始めた。
 
「駄目だって……、言ってるだろう!! ユキ!! それ以上やったら本気で怒るぞ!!」

『―っ!! さ、サージェスさん……』

 禁呪やディヴェラーデ前当主への怒りとは別に、彼女自身にも俺は本気で腹を立てている。
 触れられない彼女の許へと飛び、困惑しているユキちゃんに今まで向けた事のない冷たい視線を注ぐ。

「返事は?」

『い、嫌です!!』

「ユキ!!」

『私は……、――サージェスさん後ろ!!』

「ちっ!!」

 鋭い氷の刃。それも、超特大の一撃を彼女と一緒に飛び退いて避けて難を逃れたが、禁呪から放たれる攻撃の術も、俺を引き裂く為に突っ込んでくるその刃も、急激に威力や速度を増している気がした。彼女と話の続きをする暇もなく、絶え間なく撃ち込まれてくる攻撃の連続に、やがて服を焼いて肌を傷つける痛みの感触を覚え始める。

「痛……っ」

 大勢の魔術師達を利用していた成果、といったところか。
 俺だけじゃなく、地上の方からは禁呪の余波を受けた術者達が悲鳴を上げて助けを求めている。
 ……彼らが、『隷属』の首輪さえ着けられていなければ、本当の解呪を行えたはずなのに。
 術者達はディヴェラーデ前当主によってこの場所に閉じ込められた、哀れな捨て駒だ。
 強制力さえ働いてなければ……、きっと協力をしてくれた事だろう。
 それと……、この限られた空間の中じゃ、いつまでも戦っている事が出来なくなる。
 禁呪の攻撃は何の容赦もなく石壁や地面を抉り、空間を破壊しにかかっているのだから……。

「一度、転移の術で……」

 外に出よう。どこか、誰の邪魔にもならない、国内の拓けた場所に。
 牢獄に囚われている術者達を助けるのは、禁呪を外で拘束した後だ。
 そう決めて転移の術を発動させようとした瞬間、天空の雲間から雷(いかずち)が振り落とされたかのような轟音が響き渡った。

『サージェスさん……、これはっ』

 ユキちゃんが言いたい事はすぐにわかった。
 誰かが……、『外側』から、この空間を破壊しようと力を加えている。
 連続して響く耳障りな音に苛立ちを募らせながら、また俺の方へと向かって飛び込んでくる禁呪の攻撃を避け、後ろから肘を叩き入れた。
 ……これは、考えるまでもなく、あの男だ。
 空間ごと破壊して、俺と禁呪や術者達諸共消し去る気か。
 
「ふざけるなよ……っ。――ユキちゃん!! 道を開くから、そこに飛び込んで!!」

『で、でも、術者の人達はどうするんですか!! この人達を置いていくわけには!!』

「わかってる!! だから、道が開いたらまず君がそこに飛び込んで、次に……」

 話している暇も惜しい。
 俺はユキちゃんを自分の傍に呼び寄せ、もう一度転移の術を発動する。
 ――しかし、外側から押し潰そうとしてくる力の気配が邪魔となって、道を開かせてくれない。
 あのクソジジィ!! どこまで腐れ外道を極めれば気が済むんだ!!
 
「……ユキちゃん。ここから別の空間に移動する事は出来る? 俺の方はちょっと転移の術が使えそうにないんだけど、精神体の君は? もしかしたら、例外なんじゃない?」

 前当主が阻もうとしているのは、あくまで俺やこの場にいる術者達が脱出する術(すべ)だ。
 あの男に認識されていないユキちゃんなら、もしかしたら。

「え……」

 禁呪が放ってきた風の刃を躱し、無数の光の矢を作って一気にそれを放つ。
 抉れられていた剥き出しの壁だった場所に禁呪が縫い止められ、忌々しいとばかりに咆哮をあげる。

「で、どうなの? ユキちゃん」

『えっと……、多分、戻れる、感じはします。サージェスさんや術者の皆さんを一気に運べるかはわかりませんけど』

「違う」

『え?』

 きょとんとした彼女を見据え、首を振る。
 
「君が外に出られるなら、それでいい。―― 一人で行くんだ。いいね?」

『な、何言ってるんですか!! サージェスさん!! そんな事をしたら、サージェスさんや術者の人達がっ』

 彼女がここからいなくなれば、確かに俺や術者達は禁呪諸共ここで消え去るだろう……。
 だけど、別に自分から死ぬ為にこんな事を君に言ったわけじゃない。
 ユキちゃんが安心出来るようにいつもの笑みを浮かべ、希望を託す。

「この空間、多分……、もう暫くはもつと思うんだ。だから、ウォルヴァンシアに戻って、ルイちゃんに伝えて。『サージェスお兄さんがピンチ!』って。そうすれば、きっと必ず助けに来て貰える。頼めるかな?」

『そ、そんな……っ。だ、だって、この空間、どんどん崩れて……、助けに来るまで持ち堪えてくれる可能性なんてっ』

 涙ぐむ彼女の気持ちはよくわかる。
 俺だって、自分の愛する人をおいて自分だけ逃げる事なんか、死んでも出来ないから。
 でもね、ユキちゃん……。君は気付いてないだろうけど、俺を庇って禁呪を圧倒的な力によって跳ね飛ばしたあの時、そして、次に俺を助ける為に力を使った時。
 あの二回分で、……君は自分でもわかっているだろうけれど、かなりの疲労を負っている。
 それは、彼女の顔を見れば、たとえ幽霊状態でもわかるほどで……。
 これ以上の無理が何を引き起こすかは、考えなくてもわかってしまうんだ。
 ――だから、お願いだから、君だけでも逃げてほしい。
 ユキちゃんの唇に温もりを重ね、感触のないそれに少し寂しさを覚えながら、俺は微笑む。

「頼んだよ、ユキちゃん……」

『……っ。サージェスさんの、馬鹿っ』

「今夜が無事に終わったら、いっぱいイチャつこうね。大好きだよ、ユキちゃん」

『うぅっ……、絶対に、絶対に、助けますからっ。だから、……だから』

 ――どうか、無事でいてください。
 彼女の泣きじゃくった声に懇願された俺は、しっかりとそれに頷いて応えた。
 大丈夫、俺は死なない。だって、俺が勝手に死んじゃったりなんかしたら、他の誰かが君と寄り添い合う事になる。それに……、俺がいなくなる事で君が悲しむのは、嫌だから。
 幻のようにユキちゃんが消えていく姿を見送り、――俺は剣の柄を改めて握り直した。
 禁呪が……、あのクソジジィが作り出した化け物が、場を弁えない強大な術式を発動させる気配を掴む。ゆっくりとそちらに振り向き、俺は笑う。

「人の恋路を邪魔する者は、――馬に蹴られて何とやら、って、知ってるか?」

『オノ、レ……ッ、オノレ……ッ!! コノ、シュウアクナルマザリモノガァアアアッ!!』

 あの子に伝えた通り、俺に死ぬ気は微塵もない。
 俺は必ず、必ず、絶対に、――彼女の許に戻って見せる。
 崩壊を始めた空間の中で、その姿をおぞましい化け物本来の姿へと変え始めた禁呪を視界に映しながら、剣身に魔力を滲ませる。
 何もかも、今夜で全て、終わりにしてやろう。
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