79 / 85
第二章
第78話 キエティの研究室へ行く
しおりを挟む
キエティが怒ってた日から1か月ほど経った。
あの後、キエティからは謝罪のメールがきた。
別にこちらとしてはそれほど気分を害したわけでもないし、その後も、時々キエティのところへ顔を見せに行っていた。正直、キエティの研究の手伝いもしてしまっていた。
人類の活動に大きく貢献することをしてはいけない、という龍族との約束もあったが、単純に自分自身、重力に興味があったし、また重力魔法はかなり使える。自分自身の強さを追求するためにも、もっと重力について理解を深めたいのも理由の一つだった。
今日は夜だったが、キエティは研究室に残って実験をしているはずだ。
自分も行ってみることしにした。
風魔法で大学の上空に到着すると、大学の部屋の大半は電気が消えている。今は夏休みで、学生の多くはお盆で帰省しているらしい。いつもはこの時間でも、大学の研究室は明るいが今日はそうではなかった。
キエティの実験室に入った。キエティの短いスカートが目に入る。真夏で暑いからこのような服を着ているのだろう。上のブラウスも袖がない。
キエティと目が合う。キエティが寄ってきた。
「どうですか? うまくいったと思うんですが」
キエティは嬉しそうな表情をしている。渡された魔道板を見て、そこに記された実験結果を見てみた。
……。
よくできていると思う。
ただ、一部に穴があるのも気付いた。
直接教えてもいいが、龍族との約束が頭に思い浮かぶ。
少し表現を変えて、指摘した方がいいかもしれない。
「よくできているな。ただ、一部、もう少し改良した方が良い点があるとは思うが」
「どこでしょう?」
キエティが困ったような顔をしている。
……まぁ、いいか、と思ったのでそのまま教えてやることにした。
自分も甘くなっている……。
キエティは指摘されたポイントについて真剣に考えているようだ。
まぁ、時間を掛けさえすれば本人でも気づくだろうと思う。
ふと見ると、キエティの近くにはレモンティーのペットボトルがある。
男子学生がいつも買ってきているはずだ。
キエティはいつもあれを飲んでいるようだ。香りが独特な飲み物だ。
少し離れたところに置いてあった助教授の研究資料も見てみた。この男の研究している内容はキエティと違って、かなり予算を必要とする実験が多い。
以前、この助教授から、しつこく研究を手伝ってくれと言われたが無視した。
キエティのケースと違って、流石にこれに力を貸すと、後々面倒なことになりそうだったからだ。
ただ、研究内容を見た限りでは、かなり進捗状況は良さそうだ。あの男なりに頑張っているようだ。
そんなことを考えている次の瞬間だった。
気づくとキエティが自分に抱きついていた。
*************
キエティが自分に抱きついている。
キエティの体を見てみたが、細い。女だから当然だ。しかし、男性ではないため、骨格の柔らかい感触が伝わってくる。
キエティは俺の胸に顔をうずめていたが、しばらくして顔を上げた。
顔は赤い。耳も赤い。
それを見た時、ふと何とも言えない気持ちになった。
今まで感じたことがない感情のように思えた。
次の瞬間、なんとなく無意識にキエティを抱きしめていた。
が、流石にまずいと思って、すぐに手を離した。
キエティとの距離が少し離れた。
キエティは驚いたような顔をしている。当然だろう。
しかし、キエティは覚悟を決めたような顔になって、ブラウスのボタンを一つ、また一つと外していった。
そして、次の瞬間だった。
物凄い音がした。
誰かが扉を開けたようだ。
そして、扉を開けた人物が部屋へ走り込んできて、敬礼をしながらこう言った。
「キエティ先生!! 夏休みにもかかわらず、深夜まで実験されていると聞いて、キエティ親衛隊隊長『風のマチルダ』お手伝いに参りました!!」
……。
…………。
場の空気が完全に凍って、時が止まった……。
***************
異様な光景である。
研究室の一室に一人の男と、二人の女がいる。
一人の立っている男の前で、一人の女は服を脱ぎかけており、その横で、一人の女子学生が軍隊式の敬礼をしている。
次の瞬間だった。
女子学生は、腰を落として戦闘態勢をとった。
レスリングでは、相手と組み合う間に姿勢を下げて、手を前に出す。
あれと同じ姿勢だった。
この女子学生はタックルをするように見えるが、しかし、予想に反して女子学生はジリジリと下がり始めた。 そして、女子学生は研究室の入口に近づく。
それと同時に、その場でバレエのダンスの様に頭に輪を作って、くるりと一回転する。
なかなか上手に回転できている。
そして、女子学生は徒競走のスタート前の体勢をとって、物凄い速度で走っていった。
ここでもう一人、走り出す者がいる。
着衣の乱れを直して、全速力で女子学生を追いかけていく。
女エルフ、キエティである。
****************
キエティは息を切らしていた。
もうダメだ。
こんなに全速力で走ったのはいつ以来だろう。
気持ちが悪い。吐きそうだ。
横を見ると、女子学生も座り込んで肩で息をしている。死にそうな顔をしている。
二人してその場で、座り込んでしまった。
しばらくして、体調が戻ってくる。
近くにあった自動販売機でスポーツドリンクを二本買って、一本を女子学生に渡してやる。
二人で、同じようにプシュとペットボトルを開けて、中身を飲み干した。
女子学生が話しかけてきた。
「まさか先生が研究室で、あんなことをしているとは思いませんでした」
「ちっ、違う! 誤解なのよ! 誤解!!」
「いやー、無理じゃないですかね。あの状況で、誤解って、さすがに裁判所要らなくなっちゃいますよ?」
正論だ。ぐうの音も出ない……。謝ることにした。
「ごめんなさい。でも許して。もし、私があんなことしてたのが、大学にバレたら首になっちゃう……」
さすがに教育者があれはまずい。首にはならなくても大学に居られなくなってしまう。
「大丈夫ですよ。誰にも言いませんよ」
女子学生は意外にもケロッとして答えた。
「というか、困るんですよ、この私としては。あの実験室に何人も男を連れ込んで、先生たちどころじゃないくらいのことをしています。ここで先生に問題を起こされて、深夜に男女で実験室にいるのは禁止、とかになると私が困るんですよ? 分かります?」
コイツ……。やたら深夜に実験室に残っているわりには、ロクに研究が進まないと思っていた。そんなことをしていたのか。しかも、何で上から目線……。怒りが湧いてくるが、今の自分が説教できる立場ではない。
女子学生がこちらを見てくる。
「でも、先生にしては意外ですね。まさか研究の鬼があんなことしているなんて……。もしかして、ゼムドさんに何か弱みを握られて、無理矢理あんなことさせられていたんじゃないですか? それなら私としても放置はできないんですが」
慌てて否定した。
「違うのよ。そうじゃないの」
女子学生は怪訝そうな表情をしている。しょうがないので、全部話すことにした。
***************
「なるほど、じゃあ、そのシヴィさんに対抗するためにあんなことをしようとした、と」
「……うん。まぁ、そういう感じかも……」
女子学生は呆れたような顔をした。
「いや、それ、順番おかしくないですか? 特にゼムドさんと過ごした時間もないのに、いきなり色仕掛けって、ちょっと頭湧いてるとしか思えないんですけど」
コイツに言われたくない、と思うが正論だ。反論できない……。
「じゃあ、どうすればよかったの?」
「いや、普通に、家に呼んで手料理とか作ってあげればいいんじゃないですか? 今ってゼムドさんも食事を取るわけですよね?」
「でも、私、料理はあまり得意じゃなくて」
「別にいいんですよ。適当にネットでレシピ見て作れば誰でもできますよ。そういうのを作ってあげて一緒に話をすればいいんじゃないですかね」
正論ぽい。多分、この娘の方が正解だろう。
「……分かったわ。確かにそう思う。やってみるわ」
そういうと、女子学生は立ち上がった。そしてニヤッとした。
「でも、惜しかったですね。もう少し、私が遅くにあの部屋に入っていれば、歴史的瞬間を目撃することができたんですけどね」
そう言って笑う。
「勘弁してちょうだい。さすがにシャレにならないわ……」
女子学生は、まだ、笑っている。
「じゃあ、先生、今日はこれで。ジュースありがとうございました」
そう言って、女子学生は行ってしまった。
溜息が出るが、少しすっきりした。あの女子学生の言っていたことは確かに正しいだろう。
焦っていてもしょうがないと思った。
たしかに、何か料理でも作ってゼムドに出してみようと思った。
あの女子学生にはいつもからかわれているが、今回だけは感謝せねばなるまい。
月下草の残りはいくつだったかな?
そんなことを考えながらその場を後にした。
************
ある人物が大学内を歩いていた。
その人物はこの一か月、この大学をよく観察していた。
そして、大学内部に侵入して、様々な薬品等を盗み出していた。
〝この薬品を使おう〟
薬品を見てそう思う。
どの薬品を使うのが一番良いのかよく分からないが、適当に調べた感じでは、これらの薬品のいずれかでも、自分の目標は達成できるはずだ。
薬品は少量ずつ盗み出した。
薬学部の研究室に入るのは比較的簡単だったし、自分の魔力を使えば、カギを開けて中の薬品を盗み出すのはそれほど難しくはなかった。
標的の顔が思い浮かぶ。
あれが居なくなれば、自分にとって好都合だ。
今後、自分が有利になるためには、手段は厭わないつもりだ。
おそらく今回の一回で勝負は決まると思っていた。
そのためこの一か月時間を掛けて、調べたのだ。
それなりの手間は掛けている。
これで全て終わりだ。
そう思って歩いていった。
あの後、キエティからは謝罪のメールがきた。
別にこちらとしてはそれほど気分を害したわけでもないし、その後も、時々キエティのところへ顔を見せに行っていた。正直、キエティの研究の手伝いもしてしまっていた。
人類の活動に大きく貢献することをしてはいけない、という龍族との約束もあったが、単純に自分自身、重力に興味があったし、また重力魔法はかなり使える。自分自身の強さを追求するためにも、もっと重力について理解を深めたいのも理由の一つだった。
今日は夜だったが、キエティは研究室に残って実験をしているはずだ。
自分も行ってみることしにした。
風魔法で大学の上空に到着すると、大学の部屋の大半は電気が消えている。今は夏休みで、学生の多くはお盆で帰省しているらしい。いつもはこの時間でも、大学の研究室は明るいが今日はそうではなかった。
キエティの実験室に入った。キエティの短いスカートが目に入る。真夏で暑いからこのような服を着ているのだろう。上のブラウスも袖がない。
キエティと目が合う。キエティが寄ってきた。
「どうですか? うまくいったと思うんですが」
キエティは嬉しそうな表情をしている。渡された魔道板を見て、そこに記された実験結果を見てみた。
……。
よくできていると思う。
ただ、一部に穴があるのも気付いた。
直接教えてもいいが、龍族との約束が頭に思い浮かぶ。
少し表現を変えて、指摘した方がいいかもしれない。
「よくできているな。ただ、一部、もう少し改良した方が良い点があるとは思うが」
「どこでしょう?」
キエティが困ったような顔をしている。
……まぁ、いいか、と思ったのでそのまま教えてやることにした。
自分も甘くなっている……。
キエティは指摘されたポイントについて真剣に考えているようだ。
まぁ、時間を掛けさえすれば本人でも気づくだろうと思う。
ふと見ると、キエティの近くにはレモンティーのペットボトルがある。
男子学生がいつも買ってきているはずだ。
キエティはいつもあれを飲んでいるようだ。香りが独特な飲み物だ。
少し離れたところに置いてあった助教授の研究資料も見てみた。この男の研究している内容はキエティと違って、かなり予算を必要とする実験が多い。
以前、この助教授から、しつこく研究を手伝ってくれと言われたが無視した。
キエティのケースと違って、流石にこれに力を貸すと、後々面倒なことになりそうだったからだ。
ただ、研究内容を見た限りでは、かなり進捗状況は良さそうだ。あの男なりに頑張っているようだ。
そんなことを考えている次の瞬間だった。
気づくとキエティが自分に抱きついていた。
*************
キエティが自分に抱きついている。
キエティの体を見てみたが、細い。女だから当然だ。しかし、男性ではないため、骨格の柔らかい感触が伝わってくる。
キエティは俺の胸に顔をうずめていたが、しばらくして顔を上げた。
顔は赤い。耳も赤い。
それを見た時、ふと何とも言えない気持ちになった。
今まで感じたことがない感情のように思えた。
次の瞬間、なんとなく無意識にキエティを抱きしめていた。
が、流石にまずいと思って、すぐに手を離した。
キエティとの距離が少し離れた。
キエティは驚いたような顔をしている。当然だろう。
しかし、キエティは覚悟を決めたような顔になって、ブラウスのボタンを一つ、また一つと外していった。
そして、次の瞬間だった。
物凄い音がした。
誰かが扉を開けたようだ。
そして、扉を開けた人物が部屋へ走り込んできて、敬礼をしながらこう言った。
「キエティ先生!! 夏休みにもかかわらず、深夜まで実験されていると聞いて、キエティ親衛隊隊長『風のマチルダ』お手伝いに参りました!!」
……。
…………。
場の空気が完全に凍って、時が止まった……。
***************
異様な光景である。
研究室の一室に一人の男と、二人の女がいる。
一人の立っている男の前で、一人の女は服を脱ぎかけており、その横で、一人の女子学生が軍隊式の敬礼をしている。
次の瞬間だった。
女子学生は、腰を落として戦闘態勢をとった。
レスリングでは、相手と組み合う間に姿勢を下げて、手を前に出す。
あれと同じ姿勢だった。
この女子学生はタックルをするように見えるが、しかし、予想に反して女子学生はジリジリと下がり始めた。 そして、女子学生は研究室の入口に近づく。
それと同時に、その場でバレエのダンスの様に頭に輪を作って、くるりと一回転する。
なかなか上手に回転できている。
そして、女子学生は徒競走のスタート前の体勢をとって、物凄い速度で走っていった。
ここでもう一人、走り出す者がいる。
着衣の乱れを直して、全速力で女子学生を追いかけていく。
女エルフ、キエティである。
****************
キエティは息を切らしていた。
もうダメだ。
こんなに全速力で走ったのはいつ以来だろう。
気持ちが悪い。吐きそうだ。
横を見ると、女子学生も座り込んで肩で息をしている。死にそうな顔をしている。
二人してその場で、座り込んでしまった。
しばらくして、体調が戻ってくる。
近くにあった自動販売機でスポーツドリンクを二本買って、一本を女子学生に渡してやる。
二人で、同じようにプシュとペットボトルを開けて、中身を飲み干した。
女子学生が話しかけてきた。
「まさか先生が研究室で、あんなことをしているとは思いませんでした」
「ちっ、違う! 誤解なのよ! 誤解!!」
「いやー、無理じゃないですかね。あの状況で、誤解って、さすがに裁判所要らなくなっちゃいますよ?」
正論だ。ぐうの音も出ない……。謝ることにした。
「ごめんなさい。でも許して。もし、私があんなことしてたのが、大学にバレたら首になっちゃう……」
さすがに教育者があれはまずい。首にはならなくても大学に居られなくなってしまう。
「大丈夫ですよ。誰にも言いませんよ」
女子学生は意外にもケロッとして答えた。
「というか、困るんですよ、この私としては。あの実験室に何人も男を連れ込んで、先生たちどころじゃないくらいのことをしています。ここで先生に問題を起こされて、深夜に男女で実験室にいるのは禁止、とかになると私が困るんですよ? 分かります?」
コイツ……。やたら深夜に実験室に残っているわりには、ロクに研究が進まないと思っていた。そんなことをしていたのか。しかも、何で上から目線……。怒りが湧いてくるが、今の自分が説教できる立場ではない。
女子学生がこちらを見てくる。
「でも、先生にしては意外ですね。まさか研究の鬼があんなことしているなんて……。もしかして、ゼムドさんに何か弱みを握られて、無理矢理あんなことさせられていたんじゃないですか? それなら私としても放置はできないんですが」
慌てて否定した。
「違うのよ。そうじゃないの」
女子学生は怪訝そうな表情をしている。しょうがないので、全部話すことにした。
***************
「なるほど、じゃあ、そのシヴィさんに対抗するためにあんなことをしようとした、と」
「……うん。まぁ、そういう感じかも……」
女子学生は呆れたような顔をした。
「いや、それ、順番おかしくないですか? 特にゼムドさんと過ごした時間もないのに、いきなり色仕掛けって、ちょっと頭湧いてるとしか思えないんですけど」
コイツに言われたくない、と思うが正論だ。反論できない……。
「じゃあ、どうすればよかったの?」
「いや、普通に、家に呼んで手料理とか作ってあげればいいんじゃないですか? 今ってゼムドさんも食事を取るわけですよね?」
「でも、私、料理はあまり得意じゃなくて」
「別にいいんですよ。適当にネットでレシピ見て作れば誰でもできますよ。そういうのを作ってあげて一緒に話をすればいいんじゃないですかね」
正論ぽい。多分、この娘の方が正解だろう。
「……分かったわ。確かにそう思う。やってみるわ」
そういうと、女子学生は立ち上がった。そしてニヤッとした。
「でも、惜しかったですね。もう少し、私が遅くにあの部屋に入っていれば、歴史的瞬間を目撃することができたんですけどね」
そう言って笑う。
「勘弁してちょうだい。さすがにシャレにならないわ……」
女子学生は、まだ、笑っている。
「じゃあ、先生、今日はこれで。ジュースありがとうございました」
そう言って、女子学生は行ってしまった。
溜息が出るが、少しすっきりした。あの女子学生の言っていたことは確かに正しいだろう。
焦っていてもしょうがないと思った。
たしかに、何か料理でも作ってゼムドに出してみようと思った。
あの女子学生にはいつもからかわれているが、今回だけは感謝せねばなるまい。
月下草の残りはいくつだったかな?
そんなことを考えながらその場を後にした。
************
ある人物が大学内を歩いていた。
その人物はこの一か月、この大学をよく観察していた。
そして、大学内部に侵入して、様々な薬品等を盗み出していた。
〝この薬品を使おう〟
薬品を見てそう思う。
どの薬品を使うのが一番良いのかよく分からないが、適当に調べた感じでは、これらの薬品のいずれかでも、自分の目標は達成できるはずだ。
薬品は少量ずつ盗み出した。
薬学部の研究室に入るのは比較的簡単だったし、自分の魔力を使えば、カギを開けて中の薬品を盗み出すのはそれほど難しくはなかった。
標的の顔が思い浮かぶ。
あれが居なくなれば、自分にとって好都合だ。
今後、自分が有利になるためには、手段は厭わないつもりだ。
おそらく今回の一回で勝負は決まると思っていた。
そのためこの一か月時間を掛けて、調べたのだ。
それなりの手間は掛けている。
これで全て終わりだ。
そう思って歩いていった。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった
雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。
天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。
だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。
鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。
一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。
朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。
悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。
目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。
最強転生悪役令嬢は人生を謳歌したい!~今更SSクラスに戻れと言われても『もう遅い!』Cクラスで最強を目指します!~【改稿版】
てんてんどんどん
ファンタジー
ベビーベッドの上からこんにちは。
私はセレスティア・ラル・シャンデール(0歳)。聖王国のお姫様。
私はなぜかRPGの裏ボス令嬢に転生したようです。
何故それを思い出したかというと、ごくごくとミルクを飲んでいるときに、兄(4歳)のアレスが、「僕も飲みたいー!」と哺乳瓶を取り上げてしまい、「何してくれるんじゃワレ!??」と怒った途端――私は闇の女神の力が覚醒しました。
闇の女神の力も、転生した記憶も。
本来なら、愛する家族が目の前で魔族に惨殺され、愛した国民たちが目の前で魔族に食われていく様に泣き崩れ見ながら、魔王に復讐を誓ったその途端目覚める力を、私はミルクを取られた途端に目覚めさせてしまったのです。
とりあえず、0歳は何も出来なくて暇なのでちょっと魔王を倒して来ようと思います。デコピンで。
--これは最強裏ボスに転生した脳筋主人公が最弱クラスで最強を目指す勘違いTueee物語--
※最強裏ボス転生令嬢は友情を謳歌したい!の改稿版です(5万文字から10万文字にふえています)
※27話あたりからが新規です
※作中で主人公最強、たぶん神様も敵わない(でも陰キャ)
※超ご都合主義。深く考えたらきっと負け
※主人公はそこまで考えてないのに周囲が勝手に深読みして有能に祀り上げられる勘違いもの。
※副題が完結した時点で物語は終了します。俺たちの戦いはこれからだ!
※他Webサイトにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる