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第二章
第79話 キエティに危機せまる
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キエティは今日も研究室にいた。
暑い。夏だからだ。冷房が効いているとはいえ、大学の規定で27度以下まで下げてはいけないことになっている。部屋は蒸し暑い。
今日も実験をしなければいけない。暑いなぁ、と思いながら椅子に座っていた。
例の女子学生も、今日は実験をする予定だ。
この前はあの子のおかげで助かった面もあるが、流石にあの娘の言っていた内容を放置するわけにもいかない。しばらくは監視して、研究をさせるつもりだ。本人はブー垂れているが、逃がさないつもりだ。
研究室にいた男子学生の一人が、話しかけてきた。
「キエティ先生、今からいつもみたいにジュースを買いに行ってきます。先生もいつものでいいですか?」
時間を見ると13時だった。さっきお昼を食べたばかりだったが、それでも飲み物は買ってきて貰っておいた方がよさそうだ。そう思って、頼むことにする。
「いつものでお願い。さっきお昼を食べたばかりだから一本でいいわ」
そう言って、お金を渡した。
女子学生も頼むようだ。お金を財布から取り出している。
「分かりました。じゃあ、二人の分も一緒に買ってきますね」
そう言って、男子学生は部屋を出て行った。
そして、それと入れ替わりだった。ゼムドが部屋へ入ってきた。
「今日、重力の実験をするという話だったな? 俺も参加するぞ」
「ああ、ゼムド様も参加されますか。助かります」
正直、ゼムドが自分の実験を手伝っているのはあまり公にしたくない。大学内でゼムドの手を借りられれば、研究が簡単にうまくいくのは皆、知っていた。正直、学内で自分に対して、嫉妬の目が向けられているのを感じる。
ゼムドは自分以外の実験には協力する気がないようだ。
おそらく、ゼムドは私の実験を手伝っているというよりは、自分のために実験をしている面が大きいのだとは思っていた。ただ、同じ研究者からすると、その様子が面白くなく写るのだろう。何か対策をしなければいけないとは思っていたが、それをゼムドに言う訳にもいかなかった。
女子学生がゼムドに話しかけた。
「ゼムドさん、お久しぶりです」
「ああ、久しぶりだな。おまえはあの後、キエティに何か怒られたらしいな」
「え? なんのことでしょう?」
女子学生は笑っている。多分、全く反省していない。というか、私がそもそも言えた義理ではないか……。その後、しばらくくだらない話をしていたが、男子学生がすぐに戻ってきた。
「買ってきましたよ。先生がレモンティーでマチルダさんがウーロン茶ですね」
そう言って、それぞれ二人にペットボトルを渡す。
「ありがとう」
マチルダがペットボトルを開けて、ガバガバと飲んでいく。
自分も、レモンティーを開けようとした瞬間だった。
〝あれ? なんかいつもと違う〟
ペットボトルのふたが固いような気がした。いつもより少し力を入れると、それでもプッシュと音がしてペットボトルの蓋は取れた。
そして、それを飲もうとした瞬間だった。
いきなりゼムドが真横に高速移動して、そのペットボトルを引っ手繰った。
びっくりしてしまった。
二人の学生も驚いて、動きが止まっている。
ゼムドはそのペットボトルに顔を近づけて、臭いを嗅いでいた。
そして、それを飲んだ。
どういうことだろう?
「ゼムド様、どうしたのですか? そんなにレモンティーが好きなら、私が買って来ましょうか?」
「違う。そうではない。これには毒が入っている」
「「「えっ?」」」
ゼムドを除く三人の声が、研究室に響いた。
****************
俺はキエティが飲もうとしたペットボトルを握っている。
キエティがペットボトルの蓋を開けて、レモンティーを飲もうとした瞬間だった。
匂いがいつもと違っているのに気づいた。
あれの匂いは以前、嗅いだことがあった。あれには毒が入っていると思った。
「おい、男子学生、おまえはこれをどこで入手した?」
そう話しかけながら、男子学生の後ろで魔法を起動させた。心音と脳波を測定できる魔法だ。この部屋にいる人族では魔法が起動していることにすら気づけないだろう。
「い、いや、いつも通り自動販売機ですが、ただ、いつもと違うといえば違う方法で買ってきました」
「どういうことだ?」
「それが、僕がペットボトルを買う前に、男性が一人いたんですよ。それでその人が自動販売機でジュースを買ったのですが、買った直後に〝あー、間違えてボタンを押しちゃった〟って呟いたんです。それで、僕がその人の持っているペットボトルを見たら、レモンティーだったんですよ。キエティ先生はいつもレモンティーを頼むので、だったら代わりに僕がそのレモンティーの代金を出してあげて、その人が買い直せばいいと思ったんですよ。それで、そのレモンティーを受け取ってしまいました」
女子学生が胡散臭そうな顔をしている。
「それ、本当? あんたの言ってること下手すると殺人事件だよ」
男子学生は真っ青になっている。
キエティが話しかけてきた。
「そのレモンティーに入っているのは本当に毒なんでしょうか? ゼムド様が勘違いされている可能性はないでしょうか?」
「ないな。俺は一度見たものは忘れない。意味の無いことは忘れるが、この手のものを忘れることはない。俺が二年前に工学部を訪れた際に、実験に使われていた物質だ。名は青酸カリウム、お前達人族にとっては劇薬の1つだ。少量の摂取で死に至る」
「しかし、臭いを嗅いだだけで、それが毒物だとは……」
「青酸カリウムはアーモンド臭がする。それに、お前がペットボトルを開けている時、いつもより力を入れているから妙だと思って見ていた。誰かが一度ペットボトルを空けて、それから元に戻したのだろう。
それから、臭いを嗅いだ瞬間にピンときた。お前たちの嗅覚では匂いの判別はできないだろうが、俺は出来る。それに、もうそれは俺の魔法で既に解析してある。毒で確定だ。議論の余地はない」
男子学生を見る。キエティと女子学生に結界の魔法を強めに張った。
「お前達二人はここから動くな。俺は男子学生とその自動販売機まで行ってくる」
そう言って、男子学生を掴んで窓から出て行った。
**************
「この自動販売機だな?」
「はい。間違いありません」
自動販売機を見てみる。まず、自動販売機のレモンティーのボタンを、魔法で細かく解析してみる。人族の指で触るからだろうが、油脂が指紋状に付いているのが分かった。同時に、ここで違和感に気づく。最後に触れただろう指には指紋が無い。おそらく、手袋をした状態でボタンを押したのだろう。
「その男はどんな風貌だった?」
「スーツ姿でした。アタッシュケースを持っていて、身長は結構高かったです。180センチメートル以上あったと思います」
いくつかの可能性が頭に浮かんだ。
ここで話してもいいが、時間の無駄か。
そう思って、男子学生を連れて研究室へ戻った。
*****************
部屋に戻ると、キエティと女子学生は不安そうな表情をしている。
男子学生を含む三人を椅子に座らせた。そして、考えを話すことにした。
「まず、最初に言うが、その男子学生の言っていることは真実だ。嘘ではない」
女子学生がこれに反応する。
「疑っているわけじゃないですが、どうしてそれが本当だと言えるんですか?」
「俺は、最初にこの部屋で男子学生を詰問した時、お前達全員の後ろで魔法を起動させていた。それはお前たちの脈拍、脳波等を測定できる魔法だ。そして、それで測定した結果、嘘はついていないと判断した」
「じゃあ、本当に誰かが毒を入れたペットボトルを渡してきた、ってことですか?」
「そうなるな」
キエティが尋ねてきた。
「誰がそんなことを……」
「俺の考えでは、おそらく、キエティが狙われたと思っている」
三人が驚いたような顔をした。
「今、自動販売機に行ったが、レモンティーのボタンに指紋は無かった。おそらく、その男は最初から、その男子学生が来るタイミングを見計らって、レモンティーを買ったのだろう。そして、アタッシュケースの側面に隠してあった毒入りのペットボトルにすり替えて、男子学生に渡した」
「でも、それがなんでキエティ先生を狙ったことになるんですか?」
「単純だ。俺は時々しか、研究室に来ないが、それでもキエティがレモンティーを良く飲んでいること、また、男子学生がそれをいつも買いに行ってやることは知っていた。つまり、この研究室に出入りしている者なら、誰でも男子学生がキエティのレモンティーを買ってくることは知っていたはずだ」
「じゃあ、僕たちの知り合いが犯人という事になってしまいますが?」
「その可能性もある」
ここで、これ以上話す気にはならなかった。
「お前達はこのことは内密にしろ」
「え? 警察に言わないのですか?」
「ああ、言う必要は無い。今日中に、俺が犯人を捕まえる」
男子学生は不安そうな顔をしている。
「あの、僕が狙われたってことはないでしょうか?」
「ない。お前を狙うなら、お前一人が、大学外の自動販売機で買う時を狙えばいい。わざわざ、大学内で危険を冒して、ジュースを買う時を狙う必要は無い。大学内は基本的に関係者以外入れない。狙うなら屋外の方が犯人にとって有利だ。おまえは心配ない。
それよりもお前は余計なことを考えず、いつも通り行動しろ。犯人からすれば、お前が失敗したことにまだ気づいていないはずだ。おそらく今は、どこかでニュースを見ているはずだ。
もし、キエティが死んだニュースが報道されなければ、犯人は不安になるはずだ。自分が仕掛けた罠が成功したか、失敗したか、不安になる。おそらく、いつもと違う行動をしてくるはずだ。
お前はいつもと同じ顔をして生活をしろ。運が良ければ犯人はボロを出すかもしれない」
三人の顔をもう一度見つめる。
「いいか? 女子学生と男子学生はいつも通り実験しろ。キエティは俺が連れていく。お前達はそのままでいろ」
そう言って、キエティの方を見た。
「キエティ、お前の家に行くぞ。今日は大学を早退しろ。このまま窓から外へ飛ぶ。一瞬で誰にも分からないような早さで移動する。いいな?」
キエティは頷いた。
「よし、話は終わりだ」
そう言って、学生達に窓を開けさせ、一瞬でキエティのマンションまで移動した。
****************
私はゼムドに抱きかかえられて、自宅のマンションに辿り着いた。
ゼムドに、部屋へ入って座っているように言われた。ゼムドがお茶を入れてくれるらしい。
ヤカンに水を入れたと思ったら、一瞬でお湯を沸かして、こちらへ持ってきた。多分、ヤカンの中で火魔法を使ったのだろう。そのお湯でお茶を入れてくれた。
こちらから聞きたいことを質問した。
「誰がやったのでしょうか? ゼムド様は犯人が分かっているのですか?」
「犯人の可能性がある者は三人だ。」
驚いた顔をしてしまった。ゼムドは犯人が分かっているのだろうか?
「誰でしょうか?」
「お前と同じ学科の助教授、それからエスカとシヴィだ」
「助教授は容疑者なのですか?」
「そうだ。その可能性はある」
「どうしてでしょうか?」
「お前と同じ学科で、重力に使える予算の上限は決まっている。キエティが死ねば、助教授が教授になり、予算は自由に使える。あとは嫉妬か」
「嫉妬?」
「そうだ。おまえは若くして、教授になっている。かなり優秀だ。一方で、奴は助教授だ。加えて、最近は、キエティの研究に俺が加担している。お前の研究はかなり進み具合が早いはずだ。おそらく、お前のことを面白くないと思っている連中はそれなりにいるはずだ」
そう言われたが、確かにそういう面が会ってもおかしくはないと思った。確かに助教授はゼムドの協力を取り付けることに躍起になっていた面は以前からあった。けれど……。
「ですが、助教授はそのような人ではないと思います。私はずっとあの人とお互いに助け合って、研究してきました。確かに、彼が予算の執行権や私に嫉妬している可能性は否定できませんが、それでも人を殺すほどのことだとは思えません」
「その点については俺も厳密には分からない。ただ、可能性としては検討しておきたい。というか、俺はこれから助教授に会いに行くつもりだ。そして、圧力を掛けてみる。俺の魔法で、心音と脳波を測定すれば、本当のことを言っているか、いないかすぐに判明するはずだ。今、奴が犯人であるなら、お前が病院に運ばれていないことを不思議に思って、動揺しているはずだ。おそらく、脅しを掛ければすぐにボロが出る」
「待って下さい。彼がやった証拠があるわけでもないのに、そのような扱いをするのは認められません!」
自分は激高してしまったが、ゼムドはゆっくりと首を横に振った。
「キエティ、時間が無い。犯人がいずれの三人にしても、決着をつけるなら今夜中にしたい。でないと、捕まえられる者も捕まえられずに終わる可能性がある。犯人は間違いなく、今、動揺しているはずだ。俺がたまたまあの場にいて、毒に気づくとは思ってもいないはずだ。今がチャンスだ」
「ですが……」
「おまえの気持ちは分かる。ただ、俺にとっては、お前の優先順位が高い。正直、他の者が多少、心理的に傷つくとしても、それ以上にお前の方が大事だ。これは譲れない」
ゼムドが珍しく感情的な表現をしている。しかし、声は一定で、落ち着いている。自分と違って、取り乱してはいない。
「犯人は男性と分かっているのに、何故エスカさんとシヴィさんを疑うのでしょうか?」
「俺達は衣服を自分で魔力から服を作ることができる。お前は以前、俺が着替えるところを見たことがあるだろう。あの要領で服を作ればいい。それに、男性の体格にするなら、服の中で土魔法を使えば、男に見せかけることなど俺達上位魔族なら簡単にできる。髪型については何とも言えないが、男子学生が見た〝男〟というのは基本的にあまり当てにならない。犯人は男でも女でもあり得る。あと、あの二人がお前を殺すとしたら、現段階では嫉妬の可能性が高い。それ以外に理由はないように思える……。」
「分かりました。では、最初に会う人は助教授ではなく、シヴィさんにしてください」
「何故、シヴィだ? 疑いの余地があるのか?」
「いえ、ありません。ですから、シヴィさんなのです」
「意味が分からない。もう少し詳しく言え」
「私がシヴィさんに会って、話を聞きます。ゼムド様はここで待っていて下さい」
「ダメだ。話にならない。そんな条件は認められない。もう助教授のところへ行く」
そう言って、ゼムドが立ち上がろうとした。
「では、シヴィさんに会う時、ケリド君を同席させてください。それで、私に結界魔法を張ってもらえませんか? それなら私は殺されないでしょう?」
「何故、そこまでシヴィにこだわる?」
「私は、シヴィさんと同じ女性ですが、彼女がゼムド様を慕っているように見えます。私を殺して、ゼムド様を独り占めしようなどと考えるような人には見えません」
「……曖昧な根拠だな」
「はい。ですが、四千年もの間、ゼムド様に付き従うというのは、普通に考えれば、ゼムド様を慕っているとしか思えません。それに、その後の芸能活動の様子をテレビで見ましたが、至極真っ当に思えます。女の勘で彼女は無罪だと思います」
ゼムドはここで少し笑った。
「正直、お前の人を見る目はあまりないと思っている。だが、まぁ、いい。どちらにしても犯人は三人のいずれか、だ。助教授でないならシヴィとエスカを問い詰める必要がある。お前と最初に会ってボロが出るなら、そこで捕まえればいい」
「私は、シヴィさんは犯人ではないと思っています。問い詰めに行くわけではありません。無実を証明しに行くだけです」
「……いいだろう。お前がやりたいようにやってみろ。俺は遠くから気配を消して、お前たちの様子を観察している。何かあればすぐに駆け付ければいい」
「分かりました。それでお願いします」
暑い。夏だからだ。冷房が効いているとはいえ、大学の規定で27度以下まで下げてはいけないことになっている。部屋は蒸し暑い。
今日も実験をしなければいけない。暑いなぁ、と思いながら椅子に座っていた。
例の女子学生も、今日は実験をする予定だ。
この前はあの子のおかげで助かった面もあるが、流石にあの娘の言っていた内容を放置するわけにもいかない。しばらくは監視して、研究をさせるつもりだ。本人はブー垂れているが、逃がさないつもりだ。
研究室にいた男子学生の一人が、話しかけてきた。
「キエティ先生、今からいつもみたいにジュースを買いに行ってきます。先生もいつものでいいですか?」
時間を見ると13時だった。さっきお昼を食べたばかりだったが、それでも飲み物は買ってきて貰っておいた方がよさそうだ。そう思って、頼むことにする。
「いつものでお願い。さっきお昼を食べたばかりだから一本でいいわ」
そう言って、お金を渡した。
女子学生も頼むようだ。お金を財布から取り出している。
「分かりました。じゃあ、二人の分も一緒に買ってきますね」
そう言って、男子学生は部屋を出て行った。
そして、それと入れ替わりだった。ゼムドが部屋へ入ってきた。
「今日、重力の実験をするという話だったな? 俺も参加するぞ」
「ああ、ゼムド様も参加されますか。助かります」
正直、ゼムドが自分の実験を手伝っているのはあまり公にしたくない。大学内でゼムドの手を借りられれば、研究が簡単にうまくいくのは皆、知っていた。正直、学内で自分に対して、嫉妬の目が向けられているのを感じる。
ゼムドは自分以外の実験には協力する気がないようだ。
おそらく、ゼムドは私の実験を手伝っているというよりは、自分のために実験をしている面が大きいのだとは思っていた。ただ、同じ研究者からすると、その様子が面白くなく写るのだろう。何か対策をしなければいけないとは思っていたが、それをゼムドに言う訳にもいかなかった。
女子学生がゼムドに話しかけた。
「ゼムドさん、お久しぶりです」
「ああ、久しぶりだな。おまえはあの後、キエティに何か怒られたらしいな」
「え? なんのことでしょう?」
女子学生は笑っている。多分、全く反省していない。というか、私がそもそも言えた義理ではないか……。その後、しばらくくだらない話をしていたが、男子学生がすぐに戻ってきた。
「買ってきましたよ。先生がレモンティーでマチルダさんがウーロン茶ですね」
そう言って、それぞれ二人にペットボトルを渡す。
「ありがとう」
マチルダがペットボトルを開けて、ガバガバと飲んでいく。
自分も、レモンティーを開けようとした瞬間だった。
〝あれ? なんかいつもと違う〟
ペットボトルのふたが固いような気がした。いつもより少し力を入れると、それでもプッシュと音がしてペットボトルの蓋は取れた。
そして、それを飲もうとした瞬間だった。
いきなりゼムドが真横に高速移動して、そのペットボトルを引っ手繰った。
びっくりしてしまった。
二人の学生も驚いて、動きが止まっている。
ゼムドはそのペットボトルに顔を近づけて、臭いを嗅いでいた。
そして、それを飲んだ。
どういうことだろう?
「ゼムド様、どうしたのですか? そんなにレモンティーが好きなら、私が買って来ましょうか?」
「違う。そうではない。これには毒が入っている」
「「「えっ?」」」
ゼムドを除く三人の声が、研究室に響いた。
****************
俺はキエティが飲もうとしたペットボトルを握っている。
キエティがペットボトルの蓋を開けて、レモンティーを飲もうとした瞬間だった。
匂いがいつもと違っているのに気づいた。
あれの匂いは以前、嗅いだことがあった。あれには毒が入っていると思った。
「おい、男子学生、おまえはこれをどこで入手した?」
そう話しかけながら、男子学生の後ろで魔法を起動させた。心音と脳波を測定できる魔法だ。この部屋にいる人族では魔法が起動していることにすら気づけないだろう。
「い、いや、いつも通り自動販売機ですが、ただ、いつもと違うといえば違う方法で買ってきました」
「どういうことだ?」
「それが、僕がペットボトルを買う前に、男性が一人いたんですよ。それでその人が自動販売機でジュースを買ったのですが、買った直後に〝あー、間違えてボタンを押しちゃった〟って呟いたんです。それで、僕がその人の持っているペットボトルを見たら、レモンティーだったんですよ。キエティ先生はいつもレモンティーを頼むので、だったら代わりに僕がそのレモンティーの代金を出してあげて、その人が買い直せばいいと思ったんですよ。それで、そのレモンティーを受け取ってしまいました」
女子学生が胡散臭そうな顔をしている。
「それ、本当? あんたの言ってること下手すると殺人事件だよ」
男子学生は真っ青になっている。
キエティが話しかけてきた。
「そのレモンティーに入っているのは本当に毒なんでしょうか? ゼムド様が勘違いされている可能性はないでしょうか?」
「ないな。俺は一度見たものは忘れない。意味の無いことは忘れるが、この手のものを忘れることはない。俺が二年前に工学部を訪れた際に、実験に使われていた物質だ。名は青酸カリウム、お前達人族にとっては劇薬の1つだ。少量の摂取で死に至る」
「しかし、臭いを嗅いだだけで、それが毒物だとは……」
「青酸カリウムはアーモンド臭がする。それに、お前がペットボトルを開けている時、いつもより力を入れているから妙だと思って見ていた。誰かが一度ペットボトルを空けて、それから元に戻したのだろう。
それから、臭いを嗅いだ瞬間にピンときた。お前たちの嗅覚では匂いの判別はできないだろうが、俺は出来る。それに、もうそれは俺の魔法で既に解析してある。毒で確定だ。議論の余地はない」
男子学生を見る。キエティと女子学生に結界の魔法を強めに張った。
「お前達二人はここから動くな。俺は男子学生とその自動販売機まで行ってくる」
そう言って、男子学生を掴んで窓から出て行った。
**************
「この自動販売機だな?」
「はい。間違いありません」
自動販売機を見てみる。まず、自動販売機のレモンティーのボタンを、魔法で細かく解析してみる。人族の指で触るからだろうが、油脂が指紋状に付いているのが分かった。同時に、ここで違和感に気づく。最後に触れただろう指には指紋が無い。おそらく、手袋をした状態でボタンを押したのだろう。
「その男はどんな風貌だった?」
「スーツ姿でした。アタッシュケースを持っていて、身長は結構高かったです。180センチメートル以上あったと思います」
いくつかの可能性が頭に浮かんだ。
ここで話してもいいが、時間の無駄か。
そう思って、男子学生を連れて研究室へ戻った。
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部屋に戻ると、キエティと女子学生は不安そうな表情をしている。
男子学生を含む三人を椅子に座らせた。そして、考えを話すことにした。
「まず、最初に言うが、その男子学生の言っていることは真実だ。嘘ではない」
女子学生がこれに反応する。
「疑っているわけじゃないですが、どうしてそれが本当だと言えるんですか?」
「俺は、最初にこの部屋で男子学生を詰問した時、お前達全員の後ろで魔法を起動させていた。それはお前たちの脈拍、脳波等を測定できる魔法だ。そして、それで測定した結果、嘘はついていないと判断した」
「じゃあ、本当に誰かが毒を入れたペットボトルを渡してきた、ってことですか?」
「そうなるな」
キエティが尋ねてきた。
「誰がそんなことを……」
「俺の考えでは、おそらく、キエティが狙われたと思っている」
三人が驚いたような顔をした。
「今、自動販売機に行ったが、レモンティーのボタンに指紋は無かった。おそらく、その男は最初から、その男子学生が来るタイミングを見計らって、レモンティーを買ったのだろう。そして、アタッシュケースの側面に隠してあった毒入りのペットボトルにすり替えて、男子学生に渡した」
「でも、それがなんでキエティ先生を狙ったことになるんですか?」
「単純だ。俺は時々しか、研究室に来ないが、それでもキエティがレモンティーを良く飲んでいること、また、男子学生がそれをいつも買いに行ってやることは知っていた。つまり、この研究室に出入りしている者なら、誰でも男子学生がキエティのレモンティーを買ってくることは知っていたはずだ」
「じゃあ、僕たちの知り合いが犯人という事になってしまいますが?」
「その可能性もある」
ここで、これ以上話す気にはならなかった。
「お前達はこのことは内密にしろ」
「え? 警察に言わないのですか?」
「ああ、言う必要は無い。今日中に、俺が犯人を捕まえる」
男子学生は不安そうな顔をしている。
「あの、僕が狙われたってことはないでしょうか?」
「ない。お前を狙うなら、お前一人が、大学外の自動販売機で買う時を狙えばいい。わざわざ、大学内で危険を冒して、ジュースを買う時を狙う必要は無い。大学内は基本的に関係者以外入れない。狙うなら屋外の方が犯人にとって有利だ。おまえは心配ない。
それよりもお前は余計なことを考えず、いつも通り行動しろ。犯人からすれば、お前が失敗したことにまだ気づいていないはずだ。おそらく今は、どこかでニュースを見ているはずだ。
もし、キエティが死んだニュースが報道されなければ、犯人は不安になるはずだ。自分が仕掛けた罠が成功したか、失敗したか、不安になる。おそらく、いつもと違う行動をしてくるはずだ。
お前はいつもと同じ顔をして生活をしろ。運が良ければ犯人はボロを出すかもしれない」
三人の顔をもう一度見つめる。
「いいか? 女子学生と男子学生はいつも通り実験しろ。キエティは俺が連れていく。お前達はそのままでいろ」
そう言って、キエティの方を見た。
「キエティ、お前の家に行くぞ。今日は大学を早退しろ。このまま窓から外へ飛ぶ。一瞬で誰にも分からないような早さで移動する。いいな?」
キエティは頷いた。
「よし、話は終わりだ」
そう言って、学生達に窓を開けさせ、一瞬でキエティのマンションまで移動した。
****************
私はゼムドに抱きかかえられて、自宅のマンションに辿り着いた。
ゼムドに、部屋へ入って座っているように言われた。ゼムドがお茶を入れてくれるらしい。
ヤカンに水を入れたと思ったら、一瞬でお湯を沸かして、こちらへ持ってきた。多分、ヤカンの中で火魔法を使ったのだろう。そのお湯でお茶を入れてくれた。
こちらから聞きたいことを質問した。
「誰がやったのでしょうか? ゼムド様は犯人が分かっているのですか?」
「犯人の可能性がある者は三人だ。」
驚いた顔をしてしまった。ゼムドは犯人が分かっているのだろうか?
「誰でしょうか?」
「お前と同じ学科の助教授、それからエスカとシヴィだ」
「助教授は容疑者なのですか?」
「そうだ。その可能性はある」
「どうしてでしょうか?」
「お前と同じ学科で、重力に使える予算の上限は決まっている。キエティが死ねば、助教授が教授になり、予算は自由に使える。あとは嫉妬か」
「嫉妬?」
「そうだ。おまえは若くして、教授になっている。かなり優秀だ。一方で、奴は助教授だ。加えて、最近は、キエティの研究に俺が加担している。お前の研究はかなり進み具合が早いはずだ。おそらく、お前のことを面白くないと思っている連中はそれなりにいるはずだ」
そう言われたが、確かにそういう面が会ってもおかしくはないと思った。確かに助教授はゼムドの協力を取り付けることに躍起になっていた面は以前からあった。けれど……。
「ですが、助教授はそのような人ではないと思います。私はずっとあの人とお互いに助け合って、研究してきました。確かに、彼が予算の執行権や私に嫉妬している可能性は否定できませんが、それでも人を殺すほどのことだとは思えません」
「その点については俺も厳密には分からない。ただ、可能性としては検討しておきたい。というか、俺はこれから助教授に会いに行くつもりだ。そして、圧力を掛けてみる。俺の魔法で、心音と脳波を測定すれば、本当のことを言っているか、いないかすぐに判明するはずだ。今、奴が犯人であるなら、お前が病院に運ばれていないことを不思議に思って、動揺しているはずだ。おそらく、脅しを掛ければすぐにボロが出る」
「待って下さい。彼がやった証拠があるわけでもないのに、そのような扱いをするのは認められません!」
自分は激高してしまったが、ゼムドはゆっくりと首を横に振った。
「キエティ、時間が無い。犯人がいずれの三人にしても、決着をつけるなら今夜中にしたい。でないと、捕まえられる者も捕まえられずに終わる可能性がある。犯人は間違いなく、今、動揺しているはずだ。俺がたまたまあの場にいて、毒に気づくとは思ってもいないはずだ。今がチャンスだ」
「ですが……」
「おまえの気持ちは分かる。ただ、俺にとっては、お前の優先順位が高い。正直、他の者が多少、心理的に傷つくとしても、それ以上にお前の方が大事だ。これは譲れない」
ゼムドが珍しく感情的な表現をしている。しかし、声は一定で、落ち着いている。自分と違って、取り乱してはいない。
「犯人は男性と分かっているのに、何故エスカさんとシヴィさんを疑うのでしょうか?」
「俺達は衣服を自分で魔力から服を作ることができる。お前は以前、俺が着替えるところを見たことがあるだろう。あの要領で服を作ればいい。それに、男性の体格にするなら、服の中で土魔法を使えば、男に見せかけることなど俺達上位魔族なら簡単にできる。髪型については何とも言えないが、男子学生が見た〝男〟というのは基本的にあまり当てにならない。犯人は男でも女でもあり得る。あと、あの二人がお前を殺すとしたら、現段階では嫉妬の可能性が高い。それ以外に理由はないように思える……。」
「分かりました。では、最初に会う人は助教授ではなく、シヴィさんにしてください」
「何故、シヴィだ? 疑いの余地があるのか?」
「いえ、ありません。ですから、シヴィさんなのです」
「意味が分からない。もう少し詳しく言え」
「私がシヴィさんに会って、話を聞きます。ゼムド様はここで待っていて下さい」
「ダメだ。話にならない。そんな条件は認められない。もう助教授のところへ行く」
そう言って、ゼムドが立ち上がろうとした。
「では、シヴィさんに会う時、ケリド君を同席させてください。それで、私に結界魔法を張ってもらえませんか? それなら私は殺されないでしょう?」
「何故、そこまでシヴィにこだわる?」
「私は、シヴィさんと同じ女性ですが、彼女がゼムド様を慕っているように見えます。私を殺して、ゼムド様を独り占めしようなどと考えるような人には見えません」
「……曖昧な根拠だな」
「はい。ですが、四千年もの間、ゼムド様に付き従うというのは、普通に考えれば、ゼムド様を慕っているとしか思えません。それに、その後の芸能活動の様子をテレビで見ましたが、至極真っ当に思えます。女の勘で彼女は無罪だと思います」
ゼムドはここで少し笑った。
「正直、お前の人を見る目はあまりないと思っている。だが、まぁ、いい。どちらにしても犯人は三人のいずれか、だ。助教授でないならシヴィとエスカを問い詰める必要がある。お前と最初に会ってボロが出るなら、そこで捕まえればいい」
「私は、シヴィさんは犯人ではないと思っています。問い詰めに行くわけではありません。無実を証明しに行くだけです」
「……いいだろう。お前がやりたいようにやってみろ。俺は遠くから気配を消して、お前たちの様子を観察している。何かあればすぐに駆け付ければいい」
「分かりました。それでお願いします」
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――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
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